
看護師免許を取得して、いよいよ看護師デビューだと意気込んでいたのも束の間、入職からわずか数か月で「もう辞めたい……」と弱音を吐いてしまう看護師は少なくありません。理由は人それぞれですが、「辞めるなら次はどうするの?」を考えなければいけないのはみんな同じ。
しかしその前に、「就職して1年前後でも転職できるの?」という疑問が浮かぶのではないでしょうか。そこで今回は、新人看護師の転職について、さまざまな角度から迫ってみましょう。
看護師1年目で転職するのはあり?なし?
結論からいうと、看護師デビューから1年前後で転職することは、転職したい理由によってはやむを得ないことといえますし、実際に看護師デビューから1、2年で転職する人も多いです。
ただし、1年前後での転職となると、転職先の選択肢が限られる傾向にあります。なぜかというと、新人や未経験者は採用していない医療機関もあるためです。
たとえば、教育体制が整っていない小規模なクリニックや、高度なスキルが求められる救急病院、手技が重視される健診センターなどがこれに該当します。
とはいえ、採血や点滴に自信があるなら、その点をアピールすることで採用にいたる可能性もありますし、また、人手が足りない訪問看護の現場などであれば、未経験でも歓迎されることがほとんどだと考えられます。
実は、新卒看護師の離職率は8.8%にものぼる
『公益社団法人日本看護協会』が公表している「2024年病院看護実態調査報告書」によると、2023年度の正規雇用看護職員の新卒採用者数は37,907人で、そのうち3,322人が年度末までに退職しています。
つまり、約8.8%もの新人看護師が、入職1年以内に退職しているということになります。
参照: 公益財団法人日本看護協会「2024年病院看護実態調査報告書」
キャリア1年前後の看護師が辞めると周りからどう思われる?
調査結果からは、入職1年以内に退職する新人看護師が約8.8%いることがわかりましたが、キャリア1年前後の看護師が辞めることに対して周囲はどう思っているのか、『株式会社Donuts』で独自にアンケートをとってみました。
賛成派
まずは賛成派の声をみてみましょう。
- 「特に何も思わない。看護業界にはいまだにパワハラもあるので、合わない職場は辞めて正解」
- 「奨学金を借りている人が多い1年目で転職しなければならないということは、本人が悪いというより環境が悪かったのだと思う」
- 「合わなければ転職していいと思うが、転職後に苦労しそう」
- 「合わない職場でズルズル働くより自分のためになると思う」
- 「指導する側としても、せっかく教えたのに辞められるより、早めに決断してくれるほうが助かる」
賛成派の多くは、「合わない職場で無理に働き続けるより、活き活きと働ける職場に移ったほうがいい」という考えが根底にあるようです。
ただし、「(早い段階での転職だと)転職後に苦労するのでは?」の声も上がっています。
反対派
続いては反対派です。
- 「社会人としてうまく立ち回ることができなかったのかなと思う」
- 「看護業界は人間関係が複雑なのは確かだが、続けられないのは少しもったいない」
- 「1年がんばれないのは精神的に少し弱い部分があるのかも」
- 「看護師の仕事はそもそも我慢強くない人には向いていない」
- 「病院勤務なら、まずは異動を申し出ればいいのにと思う」
看護師の仕事には強い精神力も求められます。そのため、周囲とうまくやっていけない人や、イヤなことがあるとすぐに辞めたくなる人には向いていないのでは?との声が上がっています。
また、病院勤務であるなら、退職しなくても部署を変えてもらう選択肢がありますよとの示唆もありました。
看護師デビューから1年前後で辞めたくなる理由とは?
続いては、看護師デビューから1年前後で辞めたくなる理由を考えていきましょう。せっかく看護師として働き始めたのに、わずか数か月で退職してしまう主な理由としては以下が考えられます。
- 理想と現実のギャップ
- 人間関係
- 知識不足・経験不足
- 業務量と給与の額が見合っていない
- 時間外労働が多い
- 勤務時間外に研修や勉強会にたびたび出席しないといけない
- プレッシャーに耐えられない
- 医師や他のスタッフと価値観や考え方が合わない
それぞれ詳しくみていきましょう。
理想と現実のギャップ
看護師に限ったことではありませんが、いざ憧れの仕事に就くと、思い描いていたような仕事内容や職場環境とは程遠く、ショックを受けることはあり得ます。
また、患者とうまくコミュニケーションをとれる自信があったのに、いきなり当たりの強い患者の担当になったことで、「こんな患者にも対応しないといけないだなんて自分には無理……」とモチベーションが低下してしまうことなども考えられます。
人間関係
人間関係が離職で退職したくなるのは、新人看護師に限ったことではありませんが、社会人1年目だと「職場に相性の悪い人がいるなんてよくあること」と割り切ることができず、「もう辞めたい」と考えるようになるケースが多いかもしれません。
知識不足・経験不足
知識や経験が足りず、できないことが多いと、そのぶん注意されたり怒られたりすることが多いかもしれません。
きつい指導を受けても、「次からは同じ失敗をしないようにしよう」と前向きに考えらえる人ならいいですが、「がんばっても怒られるならもう続けたくない」「自分にはこの仕事が向いていない」と感じて退職を考えるようになる人も一定数います。
業務量と給与の額が見合っていない
看護師の仕事は立ちっぱなしで体力が要るうえ、勤務先によっては夜勤も余儀なくされるので、業務量と給与の額が見合っていないと感じることは多いかもしれません。
特に、新人のうちはボーナスの額も低いため、仕事を続けるモチベーションを保てない場合があるでしょう。また、サービス残業があることに納得できずに辞めるというパターンも考えられます。
時間外労働が多い
患者の急な体調変化や急患の搬送などもある医療現場は、そもそも予定外の業務が多めです。
加えて、新人のうちは先輩より早く出勤して患者の情報収集などを行うことが暗黙の了解とされている医療機関もあるため、体力的にも精神的にもきついと感じることがあるかもしれません。
勤務時間外に研修や勉強会にたびたび出席しないといけない
勤務時間外に開催される研修や勉強会への出席を求められると、心身をゆっくり休める時間を確保できないことから、「勤務時間以外は拘束されない職場に転職したい」と考えるように場合があります。
プレッシャーに耐えられない
医療現場での仕事は患者の命に関わることがあるため、ミスや失敗をしないように常に気を張っていなければなりません。そのプレッシャーに耐えかねて、「続けられない」と感じる人もいるでしょう。
実際に働き始めるまでは「ケガや病気で辛い思いをしている人の支えになりたい」と意欲に満ちていたとしても、「患者から注射が下手だと言われた」などの些細な出来事がきっかけで、「私が担当することで患者にイヤな思いをさせたらどうしよう」などと不安な気持ちが大きくなっていくこともあり得ます。
医師や他のスタッフと価値観や考え方が合わない
「看護師として患者にどういった看護を提供したいか」などの根本的な部分で、医師や他のスタッフと価値観や考え方が合わない場合、その職場で働き続けることでは自分の理想を追求できないため、精神的に辛くなってくると考えられます。
新人看護師が「転職したほうがいいケース」「転職を思いとどまったほうがいいケース」
看護師が「仕事を辞めたい」と感じている場合、仕事を辞めたほうが必ずしもいい未来が待ち受けているとは限りません。
では、どういった場合には転職したほうがいい結果となる可能性が高く、どういった場合には転職を思いとどまったほうがいいのでしょうか。詳しく解説していきます。
新卒1、2年目の看護師でも転職したほうがいいケース
まず、転職したほうがいいケースとしては次の場合が考えられます。
- 肉体的・精神的に限界を迎えている
- ハラスメントなどの被害に遭っている
- 職場が労働基準法に違反している
- 職場の価値観・考え方に賛同できない
それぞれ詳しくみていきましょう。
肉体的・精神的に限界を迎えている
過重労働やストレスが原因で肉体的・精神的に限界を迎えている場合、退職もしくは休職して、今後どうするかを考えることが必要です。
たとえば、超過勤務によって睡眠時間をしっかり確保できないことが原因で体調を崩しているなら、そのまま働き続けることでさらに病状が深刻化する恐れもあるので、心身への負担が少ない職場への転職を検討することをおすすめします。
ハラスメントなどの被害に遭っている
医師や先輩からパワハラやセクハラ、嫌がらせを受けている場合、まずは上司や人事部に相談することが大切です。
それでも改善されない場合、もしくは上司から嫌がらせされていて相談できる人がいない場合などは、メンタルの健康確保のためにも転職することが望ましいといえるでしょう。
職場が労働基準法に違反している
「過度な時間外労働を強要してくる」「有給休暇の申請を受け付けてもらえない」など労働基準法に違反しているブラックな職場であることが判明した場合、できるだけ早く転職することが賢明です。
労働基準監督署に相談して改善を求めることも一手ではありますが、スピーディに改善されるとは限らないうえ、労働基準監督署に相談したことを恨まれて働きにくくなることも考えられます。
なお、そのような会社は退職届を受理しないことも考えられますが、その場合、労働基準監督署に相談するか退職代行サービスを利用するなどして、直接職場と交渉して労力を消耗することを防ぐことをおすすめします。
職場の価値観・考え方に賛同できない
職場の価値観・考え方に賛同できず、患者に対して理想の看護を提供できないと感じている場合も、速やかに転職したほうが生き生きと働けるようになる可能性が高いと考えられます。
ただし、新卒で入職した際に、就職先の理念などをきちんとチェックしていなかったことが大きな原因と考えられるため、転職活動時には、転職候補先の理念などを入念にチェックすることが不可欠です。
新卒1、2年目の看護師が転職を思いとどまったほうがいいケース
続いて、転職を思いとどまったほうがいいケースとしては、以下のようなケースが考えられます。
- 怒られたことやミスが原因でモチベーションが低下している
- キャリアにおける理想が高い
- 人間関係以外に悩みがない
それぞれ詳しくみていきましょう。
怒られたことやミスが原因でモチベーションが低下している
先輩から叱咤されたことやミスが原因で自信を失い、「辞めたい」という気持ちになっている場合、辞めるより前に、先輩を見返すくらい成長することや、ミスを繰り返さないためにはどうすればいいかを考えることが先決です。
そこを意識して日々の仕事に丁寧に取り組んでいくうち、「自分には向いていないと思っていたけど、やればできるとわかった」と気持ちが前向きになる場合がほとんどでしょう。
キャリアにおける理想が高い
キャリアにおける理想が高く、専門性の高い職場などを希望しているなら、新人のうちにしっかりと基礎を固めておくことが大切です。
また、理想が高すぎるがゆえに、「こんな簡単な仕事はやっていられない」と感じる人もいるかもしれませんが、看護師デビューから1、2年の新人に責任の重い仕事が任されることはほとんどありません。
「個人の裁量に任されない仕事ばかりだからイヤだ」とすぐに辞めることを繰り返していては、かえって「簡単な仕事もできない人だ」と判断されてしまいます。
人間関係以外に悩みがない
仕事内容には納得しているものの、人間関係が辛いことから職場を辞めたくなっているなら、まずは上司に相談して、ソリが合わない相手となるべく一緒にならないようシフトを調整してもらうことを検討してもいいかもしれません。
もしくは、部署異動がある職場なら、配属を変えてもらいたいと申し出ることも一手です。
新卒1、2年目の看護師が転職するメリットは?
続いては、新人看護師が転職するメリットをみていきましょう。新人看護師が転職する主なメリットとしては、次のようなことが考えられます。
- ストレスから解放される
- よりよい条件で働ける場合がある
それぞれ詳しくみていきましょう。
ストレスから解放される
パワハラや人間関係、サービス残業が多いなどの不満があって多大なストレスを感じていた場合、転職によってストレスから解放されることは大きなメリットであるといえます。
よりよい条件で働ける場合がある
労働時間、シフト、給与、夜勤の頻度などに不満があって転職する場合、転職活動時にしっかりと条件をチェックして、面接時の質疑応答などでも確認を重ねることで、よりよい条件で働ける可能性が高くなります。
ただし、1つの要素を重視した結果、他の要素に問題があることを見落とす可能性もゼロではないので、1度目の就職で失敗したと感じているならなおさら、就職先選びは熟考することが大事です。
新卒1、2年目の看護師が転職するデメリットは?
続いてはデメリットです。
- 転職で不利になる可能性がある
- 転職先の選択肢が限られる
- 同期と差がつきやすい
それぞれ詳しくみていきましょう。
転職で不利になる可能性がある
求人先に履歴書を送っても、「採用したところで、うちもすぐに辞められるのではないか」とよくない印象を持たれる可能性があります。
場合によっては書類選考をパスできないこともあるので、「1年前後で辞めているぶん、新卒と比べるとマイナスな印象を持たれている」ということをよく自覚したうえで、「マイナスな要素があっても目を留めてもらうためにはどんな点をアピールすればいいか?」を考えて工夫することが大切です。
転職先の選択肢が限られる
中途採用の求人では、ある程度経験を積んでいることが求められる場合が多いといえます。そのため、看護師としての経験が1年前後だと、応募を受け付けてもらえないことがあります。
基本的には応募を受け付けていても、新人の教育には手間がかかることから、「年度途中では採用したくない」と考えている職場も多いので、タイミングによっては採用にこぎつけることが難しいかもしれません。
同期と差がつきやすい
転職先でも業務をゼロから覚えなくてはならないため、スキル面や経験面において同期と差がつきやすいといえます。
新卒1、2年目の看護師におすすめの転職先は?
続いては、新人看護師におすすめの転職先を解説していきます。
個人開業医が経営するクリニック
不規則なシフト、または不特定多数の医療従事者と関わることにストレスを感じているなら、小規模クリニックに転職することがおすすめです。
個人開業医が経営する小規模なクリニックは、外来中心で夜勤がない場合が多いためワークライフバランスをとりやすく、仕事に慣れない新人のうちでも、ストレスを発散しながら働き続けることができる可能性が高いと言えます。
また、患者一人ひとりとの距離が近いため、患者との信頼関係との築き方などを学びやすい環境であるといえます。
専門性の高いクリニックであれば、特定の診療科目に関する知識や技術を磨くことができるため、その後もその診療科の看護師として働き続けたい気持ちがあるなら、キャリア形成しやすいのもメリットです。
総合病院
なかなか仕事が覚えられないことや、自分の知識・スキル不足に悩んで転職を考えているなら、総合病院への転職がおすすめです。
なぜかというと、創業病院は新人看護師の育成プログラムやプリセプター制度などが充実している場合が多いためです。また、病棟での異動や研修プログラムを通じて、専門知識を深めていくこともできます。
美容クリニック
美容医療への関心が高いなら、美容クリニックへの転職がおすすめです。
美容クリニックは、ケガや病気の治癒のためではなく、美しくなるために来院する患者がターゲットであるため、基礎的な看護技術はさほど必要とされません。そのため、未経験OKというクリニックも多く、やる気があれば採用してもらえる可能性が高いといえるでしょう。
また、インセンティブ制度を導入しているクリニックも多いため、努力次第で高収入も狙えます。さらに、働きながら美容について学べることや、スタッフ同士の研修によって、最新の美容機器などを体験できること、緊急対応が少なくワークライフバランスを取りやすいも大きなメリットです。
ただし、美容クリニックで経験を積んだ後、それ以外の診療科のクリニックや病院に転職したいと考えても、一般的な医療現場で経験を積んでいないとみなされて、書類選考や面接に通りにくい可能性があります。
訪問看護ステーション
自分のペースで働きたい人や、患者と密にコミュニケーションをとることが好きな人には、訪問看護ステーションへの転職がおすすめです。
訪問看護は基本的に看護師ひとりでおこなうため、他のスタッフの顔色を伺いながら働く必要がありません。ただしもちろん、時間内に業務を終わらせる必要があるため、好きなだけ時間をかけて患者をサポートしていいというわけではありません。
必要な業務を効率よくこなしながら、利用者とのコミュニケーションを築いていくコツなどを学ぶためにも、新人の教育体制を整えている訪問看護ステーションを選ぶことをおすすめします。
介護施設
高齢者のサポートにやりがいを感じるなら、介護施設勤務もおすすめです。
特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの介護施設で働く場合、介護職やリハビリ職と連携して利用者の健康管理をおこなうことになります。そのため、多職種連携は必須ですが、看護師の人数は少ないため、看護師同士の人間関係に悩まされる可能性は低いといえます。
業務内容としては、訪問看護ステーションに勤務した場合と類似する部分もありますが、訪問看護ステーション勤務の場合とは異なり、利用者宅を訪問する必要がないため、高齢者のサポートにやりがいを感じるものの、1日に何度も移動するのが苦痛という人には向いているかもしれません。
医薬品や医療機器を扱う企業
看護師に必要な知識を学ぶことは好きだったものの、いざ臨床の現場に出たら体力的にきつかったという人は、医薬品や医療機器を扱う企業の、臨床開発モニターやフィールドナースとして働く道を選んでもいいかもしれません。
臨床開発モニターとは、治験の準備や調整および報告書作成などをおこなう仕事です。フィールドナースは、自社の営業担当者に同行して客先を訪れ、自社製品の使い方を説明するのが仕事です。ただし、募集先によっては、臨床経験豊富な看護師を優遇する場合があります。
また、そもそも募集が少なく倍率も高いため、この職種への関心が高い場合は、求人が出るのを待って退職するのが賢明かもしれません。
新卒1、2年目の看護師が転職を成功させるためのコツは?
続いては、新人看護師が転職を成功させるコツを紹介していきます。
新人看護師が転職を成功させるために意識したいポイントは次の通りです。
- 情報収集を怠らない
- 複数の募集先に併願する
- ポジティブな転職理由を伝える
- キャリアプランを論理的に話せるよう準備しておく
- 長く働きたい意思を示す
- 転職エージェントの活用を検討する
- 転職志望先を見学する
それぞれ詳しくみていきましょう。
情報収集を怠らない
まず大切なのが情報収集です。転職した結果、現状の職場と同じような問題を抱えている職場だと判明した場合など、転職した意味がなくなります。
ふたを開けてみたら、「給料が上がると思っていたのに手取りは変わらなかった」「思っていたより残業が多い」などといったことがないよう、求人票や口コミを入念にチェックするのはもちろん、転職エージェントなどを利用しているなら担当者に気になることを積極的に質問するといいでしょう。
複数の募集先に併願する
転職活動するにあたっては、「どうしてもここに転職したい」という志望先がある場合以外、基本的には複数の募集先に併願することが望ましいといえます。
なぜかというと、同じタイミングで複数の職場で面接を受けることで、それぞれの職場のよしあしが見えやすくなるためです。
比較検討できたことで、「A病院がいいと思っていたけど、Bクリニックのほうが断然働きやすそうだな」など、面接前に抱いていた印象が覆されることもあります。
ポジティブな転職理由を伝える
履歴書や面接で、ポジティブな転職理由を伝えることも非常に大切です。「新卒で入職して1年と日が浅いのに転職を考えたのはなぜですか?」は、先方から必ず投げかけられる質問です。
この質問に対して、前の職場の悪口を言ったり、仕事が辛かったなどのネガティブな本音を漏らしたりするのはご法度。看護師として高い志があり、その実現のために転職を希望していることを自分なりの言葉で伝えましょう。
キャリアプランを論理的に話せるよう準備しておく
ポジティブな転職理由を考えるにあたっては、「なりたい看護師像」を明確にすることも大切です。
なぜなら、「患者にこのような看護を提供していきたい」→「そのためには、今の段階でこのような経験を積んでおく必要がある」と順序だてて説明できれば、説得度が増すためです。
もちろん、看護師としての理想像に近づくために、募集先で働くことがいかに役立つかを説明できるようになっておくことも大切です。
長く働きたい意思を示す
早期離職した看護師に対して、「採用してもすぐに辞められるのでは?」との懸念を抱く職場は多いです。それでも採用してもらうためには、まず、「次こそは長く働き続けたいと考えています」と意欲をみせることが大切です。
転職エージェントを活用する
転職エージェントを利用しなくても転職活動でいい結果を出せる自信があるなら、一度は自分でチャレンジしてみるのもいいですが、なかなかいい結果が出ない場合などは、プロにアドバイスをもらうことがおすすめです。
また、そもそも転職するかどうかを悩んでいるときにも、転職エージェントの活用がおすすめです。なぜなら、ほとんどの転職エージェントは無料で相談に乗ってくれるためです。
もちろん、転職すべきと判断される場合には、どうすれば希望の転職先に採用されやすいかについてアドバイスしてもらえるので、納得できる結果となる可能性が高まります。
なお、転職エージェントは無数に存在しますが、看護師に特化した転職エージェントに絞れば、利用するエージェントを選びやすいだけでなく、より的確なアドバイスをもらうことができます。
転職志望先を見学する
求人への応募を検討している医療機関が定まっている場合、応募前に見学させてもらうと、自分に合っている職場であるかどうか見極めやすくなります。
見学時には、スタッフの人柄や患者への接し方なども隈なくチェックしましょう。また、見学したい旨を先方に伝えることが難しい場合、診療科によっては、患者として来院してみることを検討してみてもいいかもしれません。
看護師が転職する場合の流れは?
続いては、看護師が転職する場合の流れを解説します。
看護師が転職する場合、次の5つのステップを踏むことになります。
- 理想の転職先のイメージを固める
- 情報を収集する・求人を探す
- 履歴書を書いて求人に応募する
- 面接を受けて内定をもらう
- 退職の手続きをおこなう
それぞれ詳しくみていきましょう。
理想の転職先のイメージを固める
まずは、転職先のイメージを固めることが必須です。今の職場にどんな不満があって、転職先にどんな条件を望むのか、譲れない条件は何であるのか、キャリアアップのためにはどんな経験を積める職場であることが望ましいのかなど、細かく紙に書き出してみるといいでしょう。
情報を収集する・求人を探す
理想の転職先のイメージが固まったら、条件に合う職場を探します。求人サイトで条件検索することはもちろん、具体的に働きたい医療機関があるなら、その医療機関のホームページなどをチェックすることも大切です。
履歴書を書いて求人に応募する
応募したい医療機関や企業などが決まったら、その医療機関ないし企業などのホームページやパンフレットをよく読み込み、理念などを理解したうえで、先方から興味を持ってもらえるような履歴書に仕上げます。志望動機には、なぜそこで働きたいと思ったかをしっかり記してアピールすることが大切です。
面接を受けて内定をもらう
面接時には、履歴書に書いたことを丸暗記して自己PRや質疑応答に臨むのではなく、就職希望先への思いをしっかりと自分の言葉で伝えることができるよう、予行演習を繰り返しましょう。
退職の手続きを行う
内定をもらったら、今現在勤めている職場に退職の意思を伝えて、必要な手続きを取ることになります。退職に関する就業規則がある場合、それに従うようにします。
新卒1、2年目の看護師が転職する際の注意点は?
続いては、新人看護師が転職する際の注意点を解説します。新人看護師が転職する際の主な注意点は次の通りです。
- 転職活動を始める時点で退職に関する就業規則を確認する
- ベストなタイミングを見計らう
- 退職の意思は直属の上司に最初に伝える
- 円満退職を心がける
それぞれ詳しくみていきましょう。
転職活動を始める時点で退職に関する就業規則を確認する
退職に関する就業規則は職場によって異なるため、転職を希望している場合は、退職届を出すタイミングなどの就業規則を事前に確認しておいて、それに合わせてスケジュールを調整することが大切です。
ベストなタイミングを見計らう
看護師業界の求人数が増える時期は、ボーナス支給後の退職者が出やすい6月、9月と、4月入職に向けた動きがある11月~1月といわれています。
そのため、それ以外の時期に求人を探しても理想の求人に出逢いにくい場合があるので、求人を見ながら、すぐにでも転職したほうがいいのか、もう少し待ったほうがいいのかを考えてみるといいかもしれません。
退職の意思は直属の上司に最初に伝える
退職の意思が固まったら、最初に直属の上司に伝えます。順番を守らず、先に親しい動機や先輩に話すと、引き止められる確率が上がるなどのデメリットもあります。
また、上司の期限を損ねて、シフト調整などに協力してもらいにくくなる可能性もあります。
円満退職を心がける
職場に不満があって転職する場合も、円満退職を心がけることは非常に大切です。
特に、前職と同じエリアでの転職の場合などは、前職のスタッフと転職先のスタッフが知り合いであるケースや、医療機関同士が連携を取り合っているケースなどもあり、悪い印象を持たれると自分自身が働きにくくなるなど、大きな損をすることになります。
「転職したい」と思ったら、今後のキャリアプランを考えよう
新人看護師に限ったことではありませんが、「転職したい」と思ったときは、自分のキャリアを見つめなおすことが大切です。
現状の働き方や職場にどんな不満があるのか、どこが改善されれば納得いく働き方ができるのか、そして、これから先どんなふうに働いて、どんなキャリアを築いていきたいのかを改めて考えることで、よりよい転職を実現しやすくなります。
理想のキャリアをしっかりと思い描くことができていれば、たとえば転職後の職場で人間関係に悩まされるようなことがあっても、「次のステップに進むための期間」ととらえて踏ん張ることもできるかもしれません。
もちろん、「キャリアアップよりもワークライフバランスを大切にしたい」ということならそれもアリ。じゃあ、そのためにはどんな職場で働くことが望ましいの?と自問自答を繰り返すことで、理想の職場と巡り合いやすくなるはずですよ。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2025年4月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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