
今回の記事では、看護師の年収について、平均額や年齢・経験年数による違い、勤務先による違い、雇用形態による違いなどさまざまな角度から考察していきます。また、年収UPのためにできることなども解説していくので、収入を上げたい人はぜひ参考にしてみてください。
看護師の平均年収は?
まずは、看護師の平均年収の最新データを確認していきます。
「令和6年賃金構造基本統計調査」の調査結果(調査年月:2024年、結果公開日:2025年3月17日)によると、看護師の「きまって支給される現金給与額」は363.5千円、「年間賞与その他特別給与額」は835.0千円とされています。
つまり、年収にすると、(363.5千円×12)+835.0千円=519万7,000円ということになります。
参照:政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」表番号:1「【参考】(小職種)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額および年間賞与その他特別給与額(産業計)」閲覧用EXCELより
なお、「きまって支給される現金給与額」とは、基本給に、夜勤手当や残業手当(時間外手当)、その他の諸手当を足したものです。「その他の諸手当」とはなにかというと、通勤手当、家族手当、住宅手当などがこれに該当します。
まとめると、看護師の給与の内訳は以下の5つということになります。
基本給
施設ごとに設定されている、ベースとなる給与額のこと。また、一人ひとりの経験年数などによっても金額が異なりますが、大学病院や大規模総合病院の場合、高めに設定されていることが多いです 。
夜勤手当
夜勤1回につきXX千円、もしくは月4回の夜勤につきXX万円など、算出方法は施設や交代制によって異なります。
なお、日本看護協会が公表している「2023年病院看護実態調査」の結果によると、2交代制の夜勤、3交代制の準夜勤、3交代制の深夜勤の3つの働き方の、夜勤1回あたりの平均夜勤手当は次の通りです。
勤務形態 | 1回あたりの手当 |
2交代制 | 11,368円 |
3交代制 準夜勤 | 4,234円 |
3交代制 深夜勤 | 5,199円 |
残業手当(時間外手当)
残業手当の計算方法は、一般的な労働時間制を採用しているか、変形労働時間制を採用しているかによって異なります。一般的な労働時間制を採用している場合、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて働いたぶんは残業とみなされ、「1時間あたりの賃金(時給)×1.26(割増率)×残業時間」ぶんの残業代が支給されます。一方、変形労働時間制の場合、1日10時間働いても残業代が発生しない場合があります 。
その他の諸手当(通勤手当、家族手当、住宅手当など)
通勤手当や家族手当、住宅手当などは、施設によって支給条件が異なります。なお、家族手当とは、家族を扶養している人に支給される手当で、生活費を補う目的で支給されます。そのほか、資格手当や役職手当、危険手当、特殊業務手当、手術室勤務手当、オンコール手当 、拘束手当、地域手当 などが用意されていることもあります。
賞与(ボーナス)
一般的には、夏・冬の年に2回支給されます。施設によっては、春・夏・冬の3回にわけて支給としているところもあります。支給基準は、基本給のXか月分もしくは勤務評価など、施設によって異なりますが、一般的には、公的な大規模病院や公立病院は賞与の金額は高めに設定されています。
准看護師の平均年収は?
続いては、同じ調査の結果データにおける、准看護師の平均年収を確認します。
准看護師の「きまって支給される現金給与額」は294.3千円、「年間賞与その他特別給与額」は640.1千円であるため、年収にすると、(294.3千円×12)+640.1千円=417万1,700円ということになり、正看護師とは約103万円の差があることがわかります。
参照:政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」表番号:1「【参考】(小職種)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額および年間賞与その他特別給与額(産業計)」閲覧用EXCELより
看護師、准看護師の平均年収は他職種と比べて高い? 低い?
続いては、同じ調査の結果データをもとに、看護師、准看護師の平均年収は他職種と比べて高いのか低いのかを確認していきます。
医師
まず、医療分野においてダントツ平均年収が高いのは医師です。
「きまって支給される現金給与額」は1025.9千円、「年間賞与その他特別給与額」は1069.3千円であるため、
平均年収は(1025.9千円×12)+1069.3千円=1,338万100円ということになります。
薬剤師
医療分野のなかで、医師(歯科医師・獣医師)以外で看護師より平均年収が高い職業は、残りは薬剤師と助産師です。
「きまって支給される現金給与額」は430.8千円、「年間賞与その他特別給与額」は823.6千円であるため、
平均年収は(430.8千円×12)+823.6千円=599万3,200円ということになります。
助産師
「きまって支給される現金給与額」は399.6千円、「年間賞与その他特別給与額」は1010.4千円であるため、
平均年収は(399.6千円×12)+1010.4千円=58万5,600円ということになります。
介護支援専門員(ケアマネージャー)
続いて、医療分野と近しい介護分野における職業とも比べてみます。まずは、介護支援専門員(ケアマネージャー)から。
「きまって支給される現金給与額」は301.6千円、「年間賞与その他特別給与額」は676.7千円であるため、
平均年収は(301.6千円×12)+676.7千円=429万5,900円ということになります。
訪問介護従事者
「きまって支給される現金給与額」は285.8千円、「年間賞与その他特別給与額」は382.7千円であるため、
平均年収は(285.8千円×12)+382.7千円=381万2,300円ということになります。
【職業計】
また、職業計での平均年収は460万円であることから、年収519万7,000円の看護師は高収入であるといえます。
勤務先の規模別・看護師の平均年収は?
続いては、同じ調査データにおける、勤務先の規模別の看護師の年収を確認します。
看護師の勤務先の規模は、10~99人、100~999人、1,000人の3種類にわけられていますが、それぞれの平均年収は次の通りです。
企業規模:10人~99人
(329.1千円×12)+647.2千円=459万6,400円
企業規模:100人~999人
(351.0千円×12)+738.2千円=495万200円
企業規模:1,000人
(387.7千円×12)+996.0千円=564万8,400円
計算結果より、企業規模10~99人の企業と企業規模1,000人の企業では、およそ105万円の差があることがわかります。このことから、高収入を狙いたいなら、規模の大きい企業を選ぶこともひとつの選択肢であると考えられます。
参照:政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」表番号:1「【参考】(小職種)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額および年間賞与その他特別給与額(産業計)」閲覧用EXCELより
医療機関の設置主体別・看護師の平均給与は?
続いては、『公益財団法人日本看護協会』による調査データから、医療機関の設置主体別・看護師の平均給与を確認していきます。
最小値 | 中央値 | 最大値 | ||
国立(労働者安全機構、地域医療機能推進機構を含む) | 新卒看護師の初任給(高卒+3年課程卒) | 20万4,238円 | 20万2,200円 | 21万1,000円 |
新卒看護師の初任給(大卒) | 21万2,587円 | 21万1,200円 | 21万6,200円 | |
勤続10年 31-32歳 非管理職の看護師の給与 | 26万1,746円 | 25万6,900円 | 28万2,500円 | |
公立(一般事務組合、地方独立行政法人、公立大学法人を含む) | 新卒看護師の初任給(高卒+3年課程卒) | 21万2,444円 | 21万233円 | 23万9,319円 |
新卒看護師の初任給(大卒) | 21万9,897円 | 21万7,900円 | 24万5,400円 | |
勤続10年 31-32歳 非管理職の看護師の給与 | 27万1,526円 | 26万8,300円 | 30万8,797円 | |
公的医療機関(日本赤十字社、済生会、厚生農業協同組合連合会、北海道社会事業協会) | 新卒看護師の初任給(高卒+3年課程卒) | 20万9,142円 | 21万3,100円 | 22万9,850円 |
新卒看護師の初任給(大卒) | 21万6,399円 | 21万8,600円 | 23万6,375円 | |
勤続10年 31-32歳 非管理職の看護師の給与 | 26万5,613円 | 26万6,100円 | 30万2,805円 | |
社会保険関係団体(健康保険組合およびその連合会、共生組合およびその連合会、国民健康保険組合) | 新卒看護師の初任給(高卒+3年課程卒) | 21万9,855円 | 21万3,000円 | 25万5,200円 |
新卒看護師の初任給(大卒) | 22万9,064円 | 22万2,050円 | 27万7,221円 | |
勤続10年 31-32歳 非管理職の看護師の給与 | 27万6,556円 | 26万7,900円 | 33万3,840円 | |
公益社団法人、公益財団法人 | 新卒看護師の初任給(高卒+3年課程卒) | 20万2,696円 | 20万4,050円 | 23万1,990円 |
新卒看護師の初任給(大卒) | 20万8,464円 | 20万9,900円 | 23万2,000円 | |
勤続10年 31-32歳 非管理職の看護師の給与 | 24万3,063円 | 24万4,800円 | 29万8,934円 | |
医療法人(社会医療法人を含む)、個人 | 新卒看護師の初任給(高卒+3年課程卒) | 20万2,343円 | 20万円 | 24万6,000円 |
新卒看護師の初任給(大卒) | 20万7,196円 | 20万5,800円 | 25万6,000円 | |
勤続10年 31-32歳 非管理職の看護師の給与 | 23万5,614円 | 23万3,730円 | 30万1,000円 | |
その他の法人等(私立学校法人、社会福祉法人、医療生協、会社、その他の法人) | 新卒看護師の初任給(高卒+3年課程卒) | 20万3,520円 | 20万3,200円 | 24万4,200円 |
新卒看護師の初任給(大卒) | 20万9,773円 | 20万9,800円 | 25万2,110円 | |
勤続10年 31-32歳 非管理職の看護師の給与 | 25万2,504円 | 25万3,100円 | 33万2,235円 |
上表をみればわかる通り、もっとも基本給が高いのは、初任給・勤続10年目ともに社会保険関係団体となっています。反対にもっとも低いのは社会法人もしくは個人クリニックとの結果で、勤続10年目になると差が大きくなるので、給与の高い勤務先への転職を検討しているなら、少しでも早い段階が望ましいと考えられます。
参照:公益社団法人日本看護協会「看護師の基本給与額(設置主体別)
勤続年数別・看護師の平均給与
続いては、勤続年数別・看護師の平均給与をみていきます。
※なお、勤続年数別・看護師の平均給与に関しては、「きまって支給される現金給与額」の記載がないため、「きまって支給される現金給与額」のうち「所定内給与額」を元に算出しています。つまり、手当等の金額は含まない金額となっております。
(所定内給与額32万9,600円×12)+年間賞与その他特別給与額83万5,000円=479万200円
26万9,800円×12+10万4,600円=334万2,200円
30万6,900円×12+69万7,600円=438万400円
30万7,600円×12+79万3,200円=448万4,400円
32万7,800円×12+90万2,100円=483万5,700円
35万6,500円×12+99万8,300円=527万6,300円
勤続年数に関しては、シンプルに、長く勤めているほど平均給与が高くなることがわかりました。
参照:政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」表番号:10「職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」閲覧用EXCELより
都道府県別・看護師の平均給与比較
続いては、都道府県別の看護師の平均給与を比較していきます。
都道府県 | きまって支給する現金給与額 | 年間賞与その他特別給与額 | 平均年収 |
全国 | 36万3,500円 | 83万5,000円 | 519万7,000円 |
青森 | 32万5,800円 | 80万3,800円 | 471万3,400円 |
岩手 | 33万9,400円 | 105万7,900円 | 513万700円 |
宮城 | 37万2,400円 | 91万4,900円 | 538万3,700円 |
秋田 | 34万6,900円 | 97万5,400円 | 513万8,200円 |
山形 | 34万6,200円 | 92万1,800円 | 543万1,500円 |
福島 | 32万4,600円 | 81万7,900円 | 471万3,100円 |
茨城 | 35万5,900円 | 76万1,700円 | 503万2,500円 |
栃木 | 35万8,900円 | 96万6,000円 | 527万2,800円 |
群馬 | 37万6,000円 | 86万7,400円 | 537万9,400円 |
埼玉 | 37万8000円 | 66万4,000円 | 520万円 |
千葉 | 35万4,500円 | 84万6,600円 | 510万600円 |
東京 | 40万5,600円 | 82万1,900円 | 568万9,100円 |
神奈川 | 38万8,900円 | 79万5,800円 | 546万2,600円 |
新潟 | 35万3,600円 | 83万9,100円 | 508万2,300円 |
富山 | 35万4,800円 | 85万1,400円 | 510万9,000円 |
石川 | 34万4,000円 | 78万5,500円 | 491万3,500円 |
福井 | 34万2,000円 | 89万7,900円 | 500万1,900円 |
山梨 | 35万6,800円 | 89万5,700円 | 517万7,300円 |
長野 | 35万8,100円 | 85万200円 | 514万7,400円 |
岐阜 | 33万8,000円 | 74万400円 | 479万6,400円 |
静岡 | 36万800円 | 88万7,400円 | 521万7,000円 |
愛知 | 37万2,700円 | 94万8,600円 | 542万1,000円 |
三重 | 35万2,900円 | 82万1,200円 | 505万6,000円 |
滋賀 | 36万7,800円 | 78万1,500円 | 519万5,100円 |
京都 | 38万9,700円 | 96万3,800円 | 564万200円 |
大阪 | 37万7,500円 | 106万8,300円 | 559万8,300円 |
兵庫 | 35万7,400円 | 84万4,600円 | 513万4,600円 |
奈良 | 37万9,300円 | 87万5,700円 | 542万7,300円 |
和歌山 | 35万1,500円 | 84万4,200円 | 506万2,200円 |
鳥取 | 34万500円 | 72万2,700円 | 480万8,700円 |
島根 | 33万4,300円 | 81万5,500円 | 482万3,500円 |
岡山 | 34万3,600円 | 76万7,700円 | 489万900円 |
広島 | 35万7,700円 | 80万2,200円 | 509万4,600円 |
山口 | 34万2,900円 | 98万4,400円 | 509万9,200円 |
徳島 | 33万1,900円 | 84万5,900円 | 482万8,700円 |
香川 | 35万1,700円 | 75万3,000円 | 497万3,400円 |
愛媛 | 32万1,400円 | 75万1,200円 | 460万8,000円 |
高知 | 33万4,300円 | 88万7,900円 | 489万9,500円 |
福岡 | 33万6,600円 | 68万500円 | 471万9,700円 |
佐賀 | 32万3,900円 | 76万1,100円 | 464万7,900円 |
長崎 | 34万1,700円 | 90万800円 | 500万1,200円 |
熊本 | 31万7,500円 | 86万8,400円 | 467万8,400円 |
大分 | 31万600円 | 73万9,900円 | 446万7,100円 |
宮崎 | 30万3,600円 | 69万3,900円 | 433万7,100円 |
鹿児島 | 30万2,300円 | 64万1,500円 | 426万9,100円 |
沖縄 | 31万6,900円 | 63万1,600円 | 443万4,400円 |
上表から、看護師の平均年収ベスト3、ワースト3はそれぞれ次の通りということになります。
看護師の平均年収ランキング【ベスト3】
看護師の平均年収ランキング【ワースト3】
ベスト3は東京・京都・大阪の大都市で、ワースト3は九州エリアであることから、都市と地方による差があることがわかります。
では、なぜ都市部で年収が高いかというと、地方と比べて物価や家賃が高いことや、大規模病院や専門性の高い医療機関が多いことから、人材格闘競争が激しいことが大きな要因であると考えられます。一方、地方のおいては地域全体の給与水準が低く、医療業界のみを見ても、クリニックや中小病院が多いことから都市部と比べると給与水準が上がりにくいと考えられます。
自院の給与水準を決定するにあたっては、こうした背景を視野に入れながら、全国平均だけでなく、自院が立地するエリアの競合クリニックや病院の求人動向、給与相場を調査および比較検討材料とすることが、採用成功及び人材定着のカギとなります。
参照:「令和6年賃金構造基本統計調査」表番号:3「 都道府県、職種(特掲)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」閲覧用エクセルより
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001224440&tclass2=000001225782&tclass3=000001225794&tclass4val=0
看護師の年代別平均年収は?
続いては、「令和6年賃金構造基本統計調査」の調査結果から、看護師の年代別平均年収をみていきます。
(315.2千円×12)+494.8千円=427万7,200円
(348.0千円×12)+690.5千円=486万6,500円
(354.3千円×12)+762.4千円=501万4,000円
(355.2千円×12)+849.9千円=511万2,300円
(369.3千円×12)+958.9千円=539万500円
(392.4千円×12)+1014.2千円=572万3,000円
(398.0千円×12)+1048.4千円=582万4,400円
(390.1千円×12)+1036.1千円=581万2,100円
(343.7千円×12)+688.5千円=481万2,900円
(328.7千円×12)+543.0千円=448万7,400円
(387.1千円×12)+510.2千円=515万5,400円
上記の結果から、看護師の平均年収がもっとも高くなるのは50代であることがわかります。また、ボーナスの額は40代後半から50代後半にかけて100万円を超えていますが、転職した場合、勤続年数がリセットされるぶん金額が低くなる場合があるため注意が必要です。
参照:政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」表番号:5「職種(小職種)年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額および年間賞与その他特別給与額(産業計)」閲覧用EXCELより
看護師の主な役職は?
なぜ、看護師の平均年収が50代でピークを迎えるかというと、理由のひとつとして「役職がついてくる」ということが挙げられます。
看護師の主な役職は「看護主任」「副看護師長」「看護師長」「看護副部長」「看護部長」となりますが、看護主任は30歳前後、看護師長は40歳前後、看護部長は50代以上で任されるケースが多いです。
では、役職に就くとどのくらい給与が上がる可能性があるかというと、医療機関にもよりますが、看護主任で1万円程度、看護師長で2~5万円程度、看護部長で8万円程度の役職手当が就くことが多いようです。
新卒看護師の平均給与額はどのくらい?
日本看護協会が公表している「2024年病院看護実態調査報告書」によると、2024年度における新卒看護師の初任給は、「高卒+3年課程新卒」に関しては税込27万6,127円、大卒に関しては税込28万4,63円という結果が出ています。
なお、同調査による、勤続10年看護師の月額給与は税込33万4,325円とされており、10年間で約5~6万基本給がアップすることもわかります。
参照:日本看護協会「2024年病院看護実態調査報告書」より 6. 看護職員の給与
看護師が年収を上げる方法は?
続いては、看護師が年収を上げる方法を考えていきましょう。
前半で解説した通り、夜勤手当は、看護師の給与を構成する要素のうちの1つです。無床クリニックなどでは夜勤が発生することがありませんが、夜勤がある病院に勤めている場合、積極的に夜勤を引き受けることによって年収が上がることになります。
なお、日本看護協会が公表している「2024年病院看護報告書」によると、病院規模・2交代制勤務における月平均夜勤回数は次の通りです。
99床以下 | 平均4.8回 |
100~199床 | 平均4.8回 |
200~299床 | 平均4.8回 |
300~399床 | 平均4.9回 |
400~499床 | 平均4.8回 |
500床以上 | 平均4.7回 |
「夜勤専従」で働くのも一手
夜勤帯に働くと、日中より効率よく稼げることを最大限利用するために、「夜勤専従」で働くのもひとつの選択肢です。
大病院などの雇用形態には、「日勤のみ」「夜勤あり」「夜勤専従」の3パターン用意されている場合がありますが、このうちもっとも年収が高いのが「夜勤専従」です。小さな子どもがいる場合などは難しい選択だと考えられますが、結婚前の若いうちにできるだけ効率よく稼ぎたい場合、もしくは子どもが独立した後の働き方の選択肢などとして覚えておいてもいいかもしれません 。
認定看護師、専門看護師、認定看護管理者、公認心理士、臨床心理士、認知症ケア専門士などの資格を取得すると、資格手当が支給される場合があります。ただし、資格手当の支給は法律によって定められてはいないため、資格手当を確実に受け取りたいなら、資格手当を支給している職場を選んで就職もしくは転職することが不可欠です。
参照:公益財団法人「日本臨床心理士資格認定協会」臨床心理士とは
資格手当同様、役職手当も法律によって定められているわけではありませんが、役職手当に関しては、ほとんどの医療機関が支給していると考えられます。ただし、役職が就くまでには年単位を要することもあるため、短期間で年収UPを実現する方法であるとはいえません。
今の職場より高い給料を保障してくれる職場に転職することは、もっともシンプルな方法です。ただし、給与が上がるぶん仕事がハードになったり、高いスキルを求められたりする可能性も高いので、勤務条件については事前によく確認することをおすすめします。また、条件がよい場合は基本的に競争率が高くなるので、たくさんの応募者のなかから選ばれるためにも、うまく自分をPRする方法を考えることが大切です。
「看護師としての年収」にこだわらないなら、スキマ時間の副業・複業を検討してもいいかもしれません。たとえば、週末にイベントナースとして働いたり、登録制の訪問看護師として、空いている日に稼働したりといった選択肢が考えられます。
年収だけにとらわれることなく、自分らしくキャリアを構築していこう
より高い年収を目指すことはとてもすばらしいことですが、年収にとらわれすぎて、自分が本来やりたいことを見失ってしまうのはもったいないことです。「とにかくたくさん稼いでいい暮らしがしたい」ということなら、高収入を追い求め続けるのももちろんアリですが、理想のキャリアがある場合は、「より自分らしく働ける勤務先はどちらだろう?」などの目線を持つことも大切にしてくださいね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2025年5月時点の情報を元に作成しています。