「応診」と「往診」の違いとは? 医療用語の正しい使い分けを解説

医療現場でよく使われる用語のなかには、意味や言葉の響きが似ていることから、混同されがちな用語もあります。一例として、「応診」と「往診」がありますが、この2つの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか? 意味がわかりにくい「応診」のほうについて最初にざっくり説明すると、応診とは、患者の求めに応じて医師が診療をおこなうことを指し、もっとも一般的にはクリニックや病院での外来診療を意味します。広義には、近年普及が進むオンライン診療や、学校・職場でおこなわれる健康診断なども含まれる場合があります。さらに詳しく解説していきます。

目次
  1. 「応診」と「往診」の基本的な意味
    1. 応診とは? 定義と具体例
      1. 「応診」の使い方具体例
    2. 往診とは? 定義と具体例
      1. 「往診」の使い方具体例
  2. 「応診」と「往診」の医療費の患者負担に違いはある?
    1. 「応診」にかかる医療費の患者負担は?
      1. 医療機関を受診した場合
      2. オンライン診療を受けた場合
      3. 健康診断としての「応診」を受けた場合
  3. 応診・往診と法的義務(応召義務など)とは?
    1. 「往診」にかかる医療費の患者負担は?
  4. 医療機関が「応診」の質を上げるためにできることは?
  5. 医療機関が「往診」の質を上げるためにできることは?
    1. スタッフの知識や対応力アップデート
    2. 患者情報の共有および適切な管理
    3. 移動手段およびスケジュールの最適化
    4. 地域との連携
    5. 患者やその家族の意見のフィードバック
    6. 往診に必要な備品の標準化と管理
    7. リスク管理(往復時の安全確保・感染対策)
  6. 「応診」と「往診」の違いを理解して適切な医療サービスを提供しよう

「応診」と「往診」の基本的な意味

まずは、「応診」と「往診」の基本的な意味を解説していきます。

応診とは? 定義と具体例

「応診」とは、医師が患者の要請に応じて診療を実施することを意味する言葉です。診療を実施する場所に決まりはありませんが、一般的には、患者が医療機関を訪れて診療してほしい旨を伝えて、医師がそれに応じて診察や治療を提供する場合に使用されます。また、オンライン診療やセカンドオピニオンなどの医療サービスを受ける場合にも、「応診してもらう」の表現を使うことがあります。

さらに、定期的な健康診断、もしくは予防医学の一環として実施される診察のことを「応診」と呼ぶこともあります。この場合、応診が実施される場所として、職場や学校なども挙げられます。

「応診」の使い方具体例

  • 「ビタミン剤処方のために応診してもらいたいけれど、病院に行く時間がないからオンライン診療を受けようと考えています」
  • 「学校での応診は、生徒たちの健康管理および病気の早期発見のためにおこなわれています」
  • 往診とは? 定義と具体例

    「往診」とは、医師が患者のもとを訪れて診療をおこなうことを意味する言葉です。診療が実施される場所としては、患者の居宅、もしくは特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどの高齢介護施設である場合が多いでしょう。

    往診は、患者が医療機関まで足を運ぶことが困難な場合や、在宅医療が必要な場合などに実施されます。つまり、主に高齢・障害・重度な病気などの理由で自宅からの移動が困難な人からニーズがあるサービスだということになります。

    なお、「毎週X曜日のX時」などと決めて計画的に患者の居宅を訪れて診療をおこなう場合、一般的には「往診」ではなく「訪問診療」といいます。一方、夜間や休日に症状が悪化した場合などに、患者からの要請があって医師が出向くことは「往診」です。

    ただし、「訪問診療」をひっくるめて「往診」と表現することもあります。

    参照:訪問診療と往診の違いは? 算定できる診療報酬にも違いがある?

    参照:訪問診療と往診の違い

    「往診」の使い方具体例

  • 「うちのおばあちゃんは足が不自由で病院まで通うことが難しいため、体調が悪いときには、かかりつけ医に往診にきてもらっています」
  • 「東京都新宿区で、救急往診に対応している病院を探しています」
  • 「応診」と「往診」の医療費の患者負担に違いはある?

    続いては、「応診」と「往診」の医療費の患者負担に関する違いを確認します。

    「応診」にかかる医療費の患者負担は?

    「応診」にかかる医療費の患者負担割合は、応診の内容によって大きく異なります。

    医療機関を受診した場合

    前述の通り、一般的には「医師の診察を受ける」ことを意味するため、「医療機関を受診する」と言い換えることができますが、この場合、保険適用の診療であれば、患者が負担する割合は1割~3割で、保険適用外の自由診療メニューを受けた場合は全額負担となります。

    オンライン診療を受けた場合

    オンライン診療の医療費には、基本的には対面診療と同じ保険診療が適用されますが、医療機関が使用しているシステムによってはシステム利用料が発生する場合があるほか、患者が薬の処方を希望している場合、配送料が発生します。

    ただし、AGAの薬やピルなどの自由診療メニューを提供しているクリニックの多くは、診察料は0円と設定しているため、患者が診療を受けた結果、「薬の処方は不要」と判断した場合には患者が支払う金額は0円ということになります。当然、医療機関側の収益も0円です。

    健康診断としての「応診」を受けた場合

    健康診断としての「応診」を受けた場合、患者の医療費負担額は0円ですが、処方のための自由診療のオンライン診療とは異なり、医師に対しては学校や会社から医療機関に対して報酬が支払われます。金額の目安としては、求人サイトなどで提示されている健康診断の日勤の場合、4万円~8万円程度とされています。

    応診・往診と法的義務(応召義務など)とは?

    医師法第19条では、「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定められています(応召義務)。往診依頼があった場合も、原則として応じる義務がありますが、「診療時間外である」「専門外である」「地理的に遠すぎる」「患者との信頼関係が喪失している」などの場合は「正当な事由」として断ることが認められる場合があります。ただし、判断は慎重におこなう必要があります。

    参照:厚生労働省「医師法」

    学校や職場での健康診断という意味での「応診」の場合、

    「往診」にかかる医療費の患者負担は?

    「往診」は「在宅医療」の一種ですが、在宅医療にかかる診療報酬は次の4つで構成されています。

    【在宅医療の診療報酬】
    ①基本診療料:初診料や再診料など
    ②在宅患者診療、指導管理料:在宅患者訪問診療料や往診料、在宅患者医学総合管理料など
    ③薬剤料:注射代や薬代など
    ④その他:診療情報提供料、検査料、居宅療養管理指導料など

    往診の場合、②に関しては「往診料」を算定することになりますが、往診料を算定するためには、次の2つの条件をクリアしている必要があります。

    ①患者の移住地は当該医療機関から半径16km以内
    ②患者の自宅で医師が滞在する時間は1時間まで

    これを超える場合は、「離島僻地加算」「患家診療時間加算」などを算定できる場合もありますが、半径16kmを超えて訪問診療や往診に出向く場合は、絶対的な理由が必要となります。

    「絶対的な理由」とはなにかというと、たとえば下記の3点が考えられます。

    1.患家の所在地から半径16km以内に、患家の求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在しない場合
    2.患者の求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在していても当該保険医療機関が往診等をおこなっていない場合
    3.重症児の在宅医学管理時や、訪問型病児保育中に必要となった場合の小児科の診療など、往診などに対応できる保険医療機関の確保が特に難しい専門的な診療を要する場合で、近隣に対応できる保険医療機関を患者が自ら見つけられず、往診等を依頼された保険医療機関側も、患者の近隣に対応できる医療機関を実態として知らない場合

    なお、「往診料」は、別途、「在宅療養支援診療所」の届出を提出していなければ加算できません。ただし、届出を提出していなくても、往診を実施すること自体は可能です。逆にいうと、実施はできても「在宅療養支援診療所」を算定できる診療報酬点数を算定できないということになります。

    ①~④までの合計金額は診療の内容にもよりますが、医療保険の適用範囲内での診療で3割負担の場合、患者負担額は4,000円~8,000円程度であると考えられます。

    なお、往診料の診療報酬点数は720円です。

    参照:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【在宅(在宅医療、訪問看護)】」

    医療機関が「応診」の質を上げるためにできることは?

    続いては、医療機関が「応診」の質を上げるためにできることをざっくり確認しましょう。

    まず、一般的な意味での「応診」の質を上げるためには、提供する医療の精度を上げるために新しい知識を吸収し続ける姿勢をキープすることはもちろん、患者とのコミュニケーションスキルに磨きをかけることや、来院する患者目線で自院のサービスを考え、待ち時間削減や快適な空間づくりに努めることが大切であるといえます。

    自院に足りていない要素、競合と比べてマイナスである要素が何であるかがわからない場合、患者にアンケートをとって教えてもらうのが一番です。

    患者が匿名でアンケートに回答できるフォームの作成は、Googleフォームなどを使えば無料で簡単に実現しますが、ITに対する苦手意識が強く重い腰が上がらないなら、ワードで作成したアンケート用紙をプリントアウトして、アンケート回収箱に投函してもらうなどのアナログな手法でも構いません。難しくてやれないままでいるより、「できることからやっていこう」という姿勢でいるほうが、患者からの好感度もアップするはずです。

    参照:Googleフォーム:オンライン フォーム作成ツール

    医療機関が「往診」の質を上げるためにできることは?

    一方、「往診」の質を上げるためにはどうすればいいかというと、知識のアップデートを欠かさないこと、患者とのコミュニケーションスキルに磨きをかけることなどの基本的なことは「応診」の質を上げることと共通しているといえますが、それ以外には次の点が大切だと考えられます。

  • スタッフの知識や対応力アップデート
  • 患者情報の共有および適切な管理
  • 移動手段およびスケジュールの最適化
  • 地域との連携
  • 患者やその家族の意見のフィードバック
  • 往診に必要な備品の標準化と管理
  • リスク管理(往復時の安全確保・感染対策)
  • それぞれ詳しく解説していきます。

    スタッフの知識や対応力アップデート

    往診に同行する看護師の業務と院内での業務には、共通点も相違点もあります。そのため、まずは必要な知識やスキルを身に着けてもらうことが必要ですし、患者やその家族とのコミュニケーションスキルにも磨きをかけていくことが求められます。

    また、緊急時の対応や感染予防に関する知識もアップデートしていくことが必要なので、スキル向上を目的とした研修の開催も検討できるといいでしょう。

    患者情報の共有および適切な管理

    往診先での診療の質を上げるためにも、患者の病歴や現在の症状に関するデータを事前に確認することが大切です。電子カルテや専用アプリなどを活用して、リアルタイムで情報を更新することで、質の高い医療を提供できます。

    移動手段およびスケジュールの最適化

    最適なルートでの訪問を実現するためには、ルート管理ソフトやGPSを導入することが役立ちます。また、訪問に使う車両の安全性能などにもこだわることが理想です。

    地域との連携

    行政や地域の介護関連サービス事業所などと協力し合うことで、患者の支援体制を強化することが大切です。地域コミュニティとのつながりを深めながら、患者との信頼関係を築いていきましょう。

    患者やその家族の意見のフィードバック

    患者およびその家族からの声を聴く機会を設け、サービス改善に役立てることが大切です。満足度調査は定期的に実施して、その結果をもとに取り組みを見直しましょう。

    往診に必要な備品の標準化と管理

    聴診器、血圧計、体温計、パルスオキシメーター、血糖測定器、基本的な処置セット、代表的な薬剤、注射器、針、個人防護具(マスク、手袋、エプロンなど)、書類、筆記用具などをリスト化して、定期的にチェックする体制を整えましょう。

    リスク管理(往復時の安全確保・感染対策)

    事前に患者情報や環境を確認して、移動時の安全および現地での感染対策を徹底します。移動手段の確保と安全運転、緊急連絡体制の整備、標準予防策を考えることに加えて、必要に応じて個人防護具を着用します。

    「応診」と「往診」の違いを理解して適切な医療サービスを提供しよう

    「応診」「往診」の言葉の意味や使い方の違いをしっかり理解したら、そのうえで、いずれの医療サービスも適切に提供することが大切です。この2つの言葉に限らず、意味を混同しがちな医療用語はいくつかあるので、正しい意味を確認するタイミングで、自院がそれを適切に提供できているかどうかを見直せるといいですね。

    Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

    特徴

    1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

    対象規模

    無床クリニック向け 在宅向け

    オプション機能

    オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

    提供形態

    サービス クラウド SaaS 分離型

    診療科目

    内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、