
終身雇用の時代は終わり、キャリアアップなどを目指して転職する人も増えているとはいえ、どんな業界においても、一般的には年齢を重ねるほど採用されにくくなる傾向にあります。
では看護職の場合、40代での転職難易度はどうなのでしょうか?
今回の記事では、実際のデータをもとに実情を振り返りつつ、40代の看護師が転職活動で気を付けたいポイントについても解説します。
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40代看護師の転職の実情は?
(40代に限らず)看護師は、他業界と比べると「転職のハードルが低い」といえます。
まずは、看護師の求職者を年代別に確認してみます。『日本看護協会』が公表しているデータによると、2022年度における看護師の年代別求職者数はおよび就職者数は次の通りです。
求職者数 | 就職者数 | |
24歳以下 | 1,808人 | 187人 |
25~29歳 | 9,094人 | 898人 |
30~34歳 | 9,217人 | 962人 |
35~39歳 | 10,138人 | 1,243人 |
40~44歳 | 12,116人 | 1,603人 |
45~49歳 | 14,607人 | 1,879人 |
50~54歳 | 14,213人 | 2,061人 |
55~59歳 | 11,222人 | 1,702人 |
60歳以上 | 13,870人 | 3,171人 |
つまり、再就職や転職を希望している看護師は、40代以上のほうが多いということです。しかも、求職者が就職する割合は60歳以上=22.9%、55~59歳=15.2%、50~54歳=14.5%と、40代より上の世代のほうが高いという結果が出ています。
※ただし、給料などの働く条件は一定の年代を超えると下がるのが一般的であるため、50代、60代で転職している人の多くは、よりよい条件を求めているのではなく、ワークライフバランスを重視していると推測されます。
看護師は40代でも採用されやすい?
先に書いたように、看護師は年代に限らず、多職種と比べると転職が容易な傾向にあります。その理由は以下の通りです。
医療業界が慢性的な人手不足だから
冒頭で述べた通り、看護師は常に売り手市場にあります。そのため、基本的にはどの世代であっても採用されやすい傾向にあると考えられます。
ベテランほど採用されやすい傾向にある
新卒採用ではなく中途採用の場合、もっとも重視されることは「即戦力かどうか」です。そのため、20代の若い看護師より、中堅・ベテラン層が有利なケースが多いと考えられます。
また、採用する側からすると、中堅以降の看護師には教育コストがかからないことも魅力だといえます。
「辞める可能性が低いだろう」と思われるから
求職者が20~30代の場合、採用する側からすると気になるのが、「結婚や出産で休職・退職する可能性」です。
もちろん、40代以上でもその可能性がゼロということはありませんが、子育てがひと段落しているケースなども多いことから、「じっくり腰を据えて働いてくれそう」だと判断されることが多いと考えられます。
40代看護師が転職を考える理由
続いては、40代看護師が転職を考える理由をみていきましょう。40代看護師が転職を考える理由としては、主に次のような理由が考えられます。
- 体力の限界
- ライフステージの変化
- キャリアアップ
- 現在の職場への不満
それぞれ詳しくみていきましょう。
体力の限界
看護師の仕事は肉体的にハードです。
特に、入浴介助や移動・移乗介助、夜勤などがある職場に勤めている場合、体力の衰えとともに疲労が抜けにくくなり、体力的な限界を感じるようになるでしょう。
ライフステージの変化
40代前後は、子育てがひと段落する人や、親の介護のために奔走しなくてはならなくなる人が増えてきます。一方、30代後半で出産した場合、40代で育児が忙しくなるという場合もあります。
そうしたライフステージの変化によって、必然的にこれまでとは違った働き方へとシフトしていかなければならなくなることがあります。
キャリアアップ
40代になると、20代から30代にかけて培ってきた知識や経験を活かして、キャリアアップしたいと考える人も増えてきます。
前述の通り、40代の中途採用では、即戦力となる人が求められる傾向にあることから、転職を機に、責任ある職に就ける可能性も高いといえます。
現在の職場への不満
これは40代に限ったことではありませんが、現在の職場への不満は、間違いなく転職を考える理由となり得ます。
待遇面に不満がある場合などは、職場に交渉するという手もありますが、人間関係などが悩みのタネの場合、より現実的な解決方法は転職だと考えられます。
40代看護師が転職で失敗しないためのポイント
続いては、40代看護師が転職で失敗しないためのポイントです。転職活動をする際には、次の点を意識することが大切です。
- 定年まで働ける転職先を見つける
- 前職へのこだわりを捨てる
- 40代以上は採用されにくい職場があることを理解する
- ブランクがある場合は再就職のために準備する
- 40代の強みと弱みの両方を理解する
それぞれ詳しくみていきましょう。
定年まで働ける転職先を見つける
40代での転職においては、30代までとは異なり、「失敗してもまた転職すればいい」という考えは捨てるべきです。
40代以上になっても看護師自体のニーズは高いですが、条件がよくなることはほとんどないと考えられます。そのため、50代以降の働いている自分の姿を想像しながら、長く働くことのできる働きやすい職場であるのかをよく考えることが大切です。
また、50代以降も無理なく働けるかどうかを考えるなかでは、「日勤のみ」などの条件は特に重視したいところです。
そうなると給与は低くなる傾向にありますが、給与の高さを重視してこれまで通り夜勤を続ける道を選ぶと、後々、体力的に続けるのが難しくなる可能性が考えられます。
こだわりを捨てる
「前の職場はこうだった」「今までとはやり方が違う」という考えを持っていると、先方からネガティブな印象を持たれて当然です。
「この人は採用しても、うちのやり方に従ってはくれないだろう」と判断されて面接ではじかれてしまう可能性が高くなります。
40代以上は採用されにくい職場があることを理解する
看護師の転職は基本的には売り手市場ですが、40代以上のニーズが低い職場・診療科もあることを理解しておくことは大切です。
たとえば美容クリニックは、トレンドが日々変わっていくため、新しいことをどんどん吸収していける20代~30代前半の看護師を積極的に採用しています。
また、患者の容態急変にスピーディに対応することが必要な急性期病院も、20代~30代を優先的に採用する傾向にあります。
さらに、医療機器メーカーの営業など、一般企業で働く企業看護師を目指したい場合も、体力がある若いうちに応募したほうが採用されやすい傾向にあります。
(ブランクがある場合)再就職のために準備する
子育てなどによるブランクを経ての再就職の場合、問題なく働けることを先方に示すためにも、最新の医療や看護について、研修会やインターネット動画で学んでおくことが望ましいです。
また、看護師の復職支援制度を利用して、再就職相談に乗ってもらうのも一手。同時に、家族の協力を得られるよう、家族に話をしていくことも大切です。
40代の強みと弱みの両方を理解する
経験年数が長いからこその強みと、年齢を重ねていることによる弱みの両方を理解して、履歴書および面接で自分をアピールする方法を考えることが大切です。これについては、このあとさらに詳しく解説していきます。
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40代看護師におすすめの転職先は?
続いては、40代看護師におすすめの転職先をみていきましょう。
慢性期病院
前述の通り、患者の容態急変にスピーディに対応することが必要な急性期病院は、20代~30代を優先的に採用する傾向にあります。
しかし、比較的患者の状態が落ち着いている慢性期病院は、体力が落ちてきている40代以上でも、腰を据えて働きやすいといえます。
無床の診療所
無床の診療所は夜勤がないため、体力面に不安があっても長く働き続けられるでしょう。2交替制・3交替制などの不規則な勤務形態でもないため、身体に負担がかかることがありません。
また、部署異動がないため、これまで積み重ねてきた経験や知識を活かしながら、じっくり貢献していくことができます。
訪問看護ステーション
訪問看護師の仕事には、さまざまな症状の患者に対応する力が求められます。また、基本的には現場では一人であることから、高い判断力も求められるため、経験豊富な40代看護師には向いているといえるでしょう。
職場によってはオンコールに対応しなければなりませんが、患者の急変時などを除いては日勤のみの仕事となるため、ワークライフバランスを保ちやすいといえます。
介護施設・デイサービス
介護施設・デイサービスも、患者の急変時などに一人で対応しなければならないことがあるため、経験豊富な40代看護師が歓迎される職場といえます。
ただし、施設によっては夜勤があるため、夜勤なしの働き方を希望している場合、求人票をしっかりチェックすることをお忘れなく。
健診センター
健康診断や人間ドックを行う健診センターは、ケガや病気の人ではなく健康な人を対象とするため、処置や看護のスキルが高い必要がないので、ブランクがある40代看護師にもおすすめです。
大抵の業務はルーティン化していることが多く、基本的に夜勤なし・土日祝日休みであるため、ワークライフバランスを保ちやすいのも魅力です。
企業看護師
- 一般企業の医務室や健康管理室で働く産業看護師
- 製薬会社や医薬品開発業務受託機構に勤務する臨床開発モニター(CRA)
- 医薬品メーカーや医療機器メーカーなどのコールセンターに勤めるオペレーター
などいくつかの種類にわけられる企業看護師ですが、このうちコールセンターのオペレーター業務などに関しては、経験豊富で落ち着きのある対応ができる40代看護師のニーズが高いと考えられます。
ただし、求人自体が少ないうえに競争率が高いのがネック。運よく求人に出逢えた場合には、迷わず応募することをおすすめします。
40代看護師が転職活動でうまく自分をアピールするコツは?
40代看護師が転職を成功させるためには、40代ならではの強みと、40代ゆえの不利な要素の両方を理解したうえで、うまくアピールすることが大切です。
具体的には、次のことを意識しながらアピールポイントを考えるといいでしょう。
- 強みは積極的にアピールする
- 不利な要素も、強みに変換可能であれば変換する
- 不利な要素をカバーする
それぞれ詳しくみていきましょう。
強みは積極的にアピールする
リーダーやプリセプターなどを務めた経験があれば、うまくアピールすると「若手看護師の教育も安心して任せられるだろう」と判断してもらえる可能性が高くなります。
また、認定看護師や専門看護師をはじめとする資格を有している場合も、積極的にアピールしたいところです。
不利な要素も、強みに変換可能であれば変換する
たとえば転職回数が多めの場合、一見マイナスな要素に思えがちですが、逆に言えば「さまざまな現場を経験していること」になるため、工夫次第でアピールポイントにもなり得ます。
多くの現場を経験したからこそ得た学びや、これまでの経験を活かして長く働ける職場で働きたいと考えていることなどを先方にしっかり伝えましょう。
不利な要素をカバーする
年齢を重ねるほど体力的にきつくなることはほとんどの人が実感することですし、これまでのやり方を新しいやり方に変えることも難しくなる場合があります。
採用目線で見ると「40代看護師を採用して大丈夫だろうか?」という不安につながる可能性が高いため、先方の不安を払拭できるよう工夫していきましょう。
たとえば、若いころと比べて体力が落ちているため残業や夜勤が難しいのであれば、志望先の部署やクリニック全体の業務効率を上げるためのマニュアル作りにも貢献できることをアピールするなどです。
また柔軟性に関しては、新しいチャレンジを意識すると同時に、若い人の意見にもきちんと耳を傾けられる謙虚な姿勢を持っていることもしっかり伝えていくことが大切です。
40代看護師の転職を成功に導くステップ
続いては、40代看護師の転職を成功に導くステップを解説していきます。
40代看護師が転職に成功するためには、次の3つのステップを着実に踏んでいくことが不可欠です。
- 働くうえでの優先順位を明確にしたうえで、「長く働き続けられる職場」のイメージを固める
- 40代看護師の転職に強い転職サイト・転職エージェントを利用する
- 書類・面接対策では「経験の棚卸し」に重点を置く
一つひとつ詳しく解説していきます。
働くうえでの優先順位を明確にする
前述の通り、40代看護師が転職で成功するためには、「長く働き続けられる職場」を選ぶ必要があります。長く働き続けるためには何が必要かは人それぞれ。
40代では「夜勤なし」「残業なし」を第一条件とするケースが多いですが、「子どもの学費を稼ぐためにもとにかく給料がいいことが一番大事」という人も少なくありません。
優先順位は明確にしながらも、「5年後、10年後の自分が気持ちよく働ける職場とはどんな職場か?」にも意識を向けてみることが大切です。
40代看護師の転職に強い転職サイト・転職エージェントを利用する
看護師が転職する際は、看護師の転職に特化した転職サイト・転職エージェントを利用するとうまくいきやすいのは言わずもがな。それに加えて、「40代看護師の転職に強いかどうか」をチェックすることも大切です。
たとえば、転職サイトの絞り込み検索機能を使って、「40代活躍」「50歳以上歓迎」「復職・ブランクOK」などのキーワードで検索したとき、どのくらいヒットするかというのもひとつの目安となります。
また、転職サイトや転職エージェントは複数利用して、各会社が持っている非公開の求人を紹介してもらうのがおすすめです。
書類・面接対策では「経験の棚卸し」に重点を置く
転職サイトや転職エージェントに登録すると同時に、書類提出・面接に向けて、経験の棚卸しを進めていきます。
通常、40代の看護師はそれなりの経験を積んでいるものとみなされるため、これまでの経験値がものをいいます。
経験値を活かしてどのように働きたいのか、どのように新しい職場に貢献できるかを伝えられるかどうかが、転職の成功を左右するといっても過言ではありません。
経験を棚卸して言語化にあたっても、可能であれば、転職エージェントに添削してもらうといいでしょう。どうすれば採用されやすいかを熟知しているプロにチェックしてもらうことによって、求人先にとってより魅力的な人材に映ります。
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40代での転職で大切なことは
何歳になっても「転職できない」ということはありませんが、40代に突入して以降も転職を繰り返すと条件的にどんどん不利になっていきます。
キャリアとプライベートとの両立を実現させるためにも、しっかりと目的意識を持って、とことん納得できる職場を見つけていきましょう。その際には、優先順位を決めて譲歩する姿勢も大事にしつつ、対策もしっかりと行っていきましょう。
1人で不安な場合には、転職エージェントを頼ることも視野に入れてみてください。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2025年7月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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