ICUとは? 集中治療室の役割からHCUやCCU、SCUなどとの違いまで解説

「ICU」と聞くと、多くの医療従事者が「重症な患者さんがいる場所」とイメージするでしょう。しかし、末尾が「CU」の治療室はICUの他にもたくさんあり、それぞれの役割や違いを正確に説明するのは意外と難しいものです。この記事では、ICUの基本から、HCUやCCUとの違い、そしてICUで働く看護師の具体的な仕事内容や、向いている人の特徴まで、現場の視点から詳しく解説します。

目次
  1. ICUとは? まずは基本の役割と定義を理解する
    1. ICUで受け入れる患者の疾患例
    2. ICUに常時備える必要がある装備・器具
    3. ICUは「GICU」と呼ばれることもある
  2. ICU同様、略称に“CU”が含まれる治療室の種類は?
  3. ICUとHCUの違いは?
  4. ICUで働く医療従事者の職種は?
  5. ICUで働く看護師の仕事は?
    1. 患者の状態観察・アセスメント
    2. 医療機器の管理および操作
    3. 患者の身体的ケア・精神的ケア
    4. 患者の家族対応
  6. ICU勤務に向いている看護師の特徴は ?
    1. 観察力に優れている
    2. いかなるときでも冷静に判断・対処できる
    3. 柔軟である
    4. コミュニケーション能力が高い
    5. 向上心がある
  7. ICUでの仕事は大変だけどやりがいがある仕事

ICUとは? まずは基本の役割と定義を理解する

まずは、ICUについて詳しく解説していきます。

ICUとは、Intensive Care Unitの略称で、日本語表記だと「集中治療室」となります。

集中治療室には、名前の通り、集中治療に必要な生命維持装置などの高度な診療機器、モニタリング機器などが用意されており、24時間体制で患者の治療にあたります。なお、集中治療室のある病院では、患者2人に対して看護師が1人つく体制を整える必要があります。

なぜかというと、集中治療室では、いつ容体が急変するかわからない患者や、今まさに急変している最中で容体が不安定な患者を受け入れているためです。

なお、受け入れる患者は、重篤な急性機能不全の患者や、術後の容態観察が必要な患者で、内科・外科などの領域は問いません。

参照:日本集中治療医学会「集中治療医とは」

ICUで受け入れる患者の疾患例

ICUでは、心停止後の回復期や重症感染症、外傷後の集中治療が必要な患者など、幅広い症状の患者を受け入れます。生命維持装置が不可欠な患者や、術後の経過を24時間体制で見守る必要がある患者なども受け入れます。

また、次のような疾患や症状がある患者をICUで受け入れることも多いです。

  • 呼吸不全
  • 心不全
  • 敗血症
  • 弁疾患
  • 冠動脈疾患
  • 大動脈疾患
  • 脳腫瘍
  • 脳動脈瘤
  • 肺がん
  • 肺炎
  • 食道がん
  • 膵がん
  • など

    なお、ICUで治療を受けている患者の容態が安定してきた場合、基本的には一般病棟に移されることとなります。術後の経過観察のためにICUで受け入れていた場合などは、短期間で一般病棟に移動となるケースも多いです。

    ICUに常時備える必要がある装備・器具

    ICUには、次の装備・器具を常時備えることが義務付けられています。

  • 救急蘇生装置
  • 除細動器
  • ペースメーカー
  • 心電図モニター
  • ポータブルX線撮影装置
  • 呼吸循環監視装置
  • また、いかなるときも患者の生命維持のために全力を尽くせるよう、自家発電装置、電解質定量検査、血液ガス分析を含む必要な検査が常時実施されることも求められています。

    参照:一般社団法人日本医療福祉建設協会「ICUの種類と対象患者・施設基準」

    ICUは「GICU」と呼ばれることもある

    詳細は後述しますが、ICUは、広義では、NICU(新生児集中治療室)、CCU(冠動脈疾患集中治療室)など、特定の疾患を対象とした治療室をひっくるめた総称として使われますが、狭義では、急性臓器不全の患者に集中治療をおこなう総合的な集中治療室を指すことがあります。後者のICUは、「GICU(=general ICU/総合集中治療室)」と呼ばれる場合もあります。

    参照:一般社団法人日本医療福祉建設協会「ICUの種類と対象患者・施設基準」

    ICU同様、略称に“CU”が含まれる治療室の種類は?

    冒頭で触れた通り、ICUのほかにも、略称に“CU”(=Care Unit)が含まれる治療室はいくつかあります。一覧は次の表の通りです。

    種類 日本語表記 対象患者
    全般 ICU(Intensive Care Unit) 集中治療室 内科系・外科系問わず、重篤な急性機能不全の患者、手術後の容態観察が必要な患者
    SICU(Surgical Intensive Care Unit) 外科的集中治療室 従来の「術後回復室」が高度化したもので、主に全身麻酔による外科手術直の患者。容体安定までの短期収容
    EICU(Emergency Intensive Care Unit) 救急集中治療室 救急搬送された患者や急性期の重症患者。なお、EICUは救命救急センターに設けられている
    HCU(High Care Unit) 高度治療室 術後の安定管理、治療中の患者など、ICUで受け入れるほどではない中等度の重症患者
    部位別 CCU(Coronary Care Unit) 冠動脈疾患集中治療室 主に心筋梗塞や狭心症を急性発症していて、緊急の処置・管理を要する患者
    SCU(Stroke Care Unit) 脳卒中集中治療室 脳卒中(脳出血、くも膜下出血、脳梗塞など)を急性発症していて、緊急の処置・管理を要する患者
    NCU(Neurosurgical Care Unit) 脳神経外科集中治療室 脳神経疾患や頭部外傷での脳外科手術後の患者。SCUの役割を併せ持ってNCUとすることも。SICUとは領域が重複
    KICU(Kidney Intensive Care Unit) 腎疾患集中治療室 急性の腎不全や肝炎によって、救急の処置・管理を要する患者、腎障害を合併した重症患者
    RICU(Respiratory Intensive Care Unit) 呼吸器疾患集中治療室 主に急性呼吸不全、慢性呼吸不全の急性憎悪、喘息の重責発作、心不全、大手術後の患者
    周産期・小児専門 MEICU(Maternal-Fetal Intensive Care Unit) 母体・胎児集中治療室 妊娠中の妊娠中毒症、多胎妊娠、胎盤位置異常、切迫流産、合併症の妊婦およびその胎児
    NICU(Neonatal Intensive Cate Unit) 新生児集中治療室 未熟児、高度の先天奇形、分娩時の障害、合併症など、出産後、間もない病的な新生児
    GCU(Growing Care Unit) 移行期(回復期)治療室 急性期治療が終了または集中治療を要しない新生児。NICUの後方病床の位置づけ
    PICU(Pediatric Intensive Care Unit) 小児集中治療室 重症あるいは手術後の小児患者

    参照:一般社団法人日本医療福祉建設協会「ICUの種類と対象患者・施設基準」

    ICUとHCUの違いは?

    上表で説明した通り、HCUは、ICUよりも重症度の低い患者を受け入れる治療室です。

    そのため、HCUの患者はICUから転室してくることもあれば、救急外来から直接受け入れられるケースや、術後管理のために受け入れられるケースもあります。

    また、看護体制にも違いがあります。ICUの看護基準は、前述した通り、患者2人に対して看護師1人の「2:1」ですが、HCUの看護基準は4:1とされています 。

    ICUで働く医療従事者の職種は?

    ICUでは、患者の生命維持と回復のため、多岐にわたる専門職が連携する「チーム医療」がおこなわれています。

    【チーム医療を担う主な職種と役割】

  • 医師(集中治療医): 集中治療の専門家として、多職種の意見を統合して、治療方針を決定します。各科の専門医(外科医、内科医など)と連携して、最適な治療を提供します。
  • 看護師: 24時間体制で患者の状態を観察して、異常の早期発見とケアに努めます。後述する通り、生命維持装置の管理や身体的・精神的ケアも重要な役割です。
  • 臨床工学技士(ME): 人工呼吸器やECMO、持続的血液浄化装置(CHDF)など、高度な生命維持装置のスペシャリストです。機器の安全な操作や保守点検、アラート対応などを担います。
  • 理学療法士・作業療法士: 重症患者の早期リハビリテーションを専門におこないます。廃用症候群(筋力低下など)を予防するため、早期離床や関節可動域訓練を医師や看護師と協力して進めます。

    薬剤師: 患者の状態に合わせた薬剤の選定や投与量の決定、副作用の確認など、薬の専門家としてチームを支えます。

    栄養士: 病態に応じた適切な栄養管理をおこないます。経腸栄養や高カロリー輸液(TPN)など、患者の回復に不可欠な栄養面を管理します。

    参照:日本集中治療医学会「集中治療医とは」

    ICUで働く看護師の仕事は?

    ICU勤務の看護師は多岐にわたる仕事を担っています。具体的には次のような仕事を任せられることになります。

  • 患者の状態観察・アセスメント
  • 医療機器の管理および操作
  • 患者の身体的ケア・精神的ケア
  • 患者の家族対応
  • それぞれ詳しくみていきましょう。

    患者の状態観察・アセスメント

    24時間体制で患者を治療するICUにおいては、患者の容態に変化があった場合、すぐに医師に報告する必要があります。また、患者の状態変化をもとにアセスメントをおこなうことも大切です。

    医療機器の管理および操作

    前述の通り、ICUには、救急蘇生装置や除細動器、ペースメーカー、心電図モニター、ポータブルX線撮影装置、呼吸循環監視装置などが用意されています。これらの医療機器を適切に管理および操作できなければ、患者の命に重大な影響が及ぶ可能性があります。そのため、ICUに勤務する看護師は、これらの医療機器に関する正しい知識を備え、適切に管理および操作していく必要があります。

    患者の身体的ケア・精神的ケア

    ICUに入室している患者の多くはADLが低下しているため、患者の清拭(せいしき)や爪切りなどを看護師がおこなう必要があります。また、重症状態の患者は精神的ショックを抱えている場合も多いため、安心感を与える声掛けなどのコミュニケーションも欠かせません。

    患者の家族対応

    ICUに入室している患者同様、患者の家族も精神的疲労を抱えているものです。その疲労を和らげるため、患者の家族に寄り添い、サポートすることも看護師の大切な役目です。特に、患者の状態や治療の方針についてわかりやすく説明することは大切です。

    ICU勤務に向いている看護師の特徴は ?

    上記の仕事内容を踏まえたうえで、次のような特徴がある看護師は、ICU勤務に向いているといえます。

  • 観察力に優れている
  • いかなるときでも冷静に判断・対処できる
  • 柔軟である
  • コミュニケーション能力が高い
  • 向上心がある
  • それぞれ詳しくみていきましょう。

    観察力に優れている

    ICUで働くうえでは、患者のわずかな変化も見逃さず、医師に報告することが大切です。また、バイタルサインなどのデータをもとにアセスメントをおこない、医療チームに報告が必要なタイミングを判断する能力も求められます。

    いかなるときでも冷静に判断・対処できる

    ICUに入室している患者は容態が急変する確率が高いため、そこで医療従事者には、緊急時にも落ち着いて行動することが求められます。緊急事態にも慌てることなく、冷静に判断することができなければ、患者やその家族を不安な目に遭わせてしまう可能性がありますし、適切に対処できなければ、患者を危険に晒してしまうかもしれません。

    柔軟である

    患者の容態が急変する可能性が高いということは、いつ何が起こるかわからないということです。そのため、「今、何を優先すべきか」を自分で判断して柔軟に対応できないようでは、ICUの看護師は務まりません。

    コミュニケーション能力が高い

    患者やその家族の気持ちに寄り添い、少しでも不安を和らげることができるよう、適切な言葉や態度でサポートすることが、ICUに勤務する看護師の大切な役目です。また、ICUでは一般病棟やクリニック以上に多職種連携が重要になってくるため、医療従事者同士のコミュニケーションも大切にすることが重要です。

    向上心がある

    ICUには、日々、さまざまな症状の患者が送られてきます。場合によっては、これまで看護した経験のない症状を有している患者もいるかもしれません。そうした場合でも適切に対応できるよう、わからないことは周囲にも質問しながら、どんどん知識を吸収していける人だと、他職種からも信頼を得やすいでしょう。

    ICUでの仕事は大変だけどやりがいがある仕事

    ICUでの仕事は、どの職種にとっても常に緊張感を伴うものです。しかし、命の最前線で患者の回復を支えることは、何物にも代えがたい大きな達成感とやりがいをもたらします。

    ここで培われる高度なアセスメント能力、緊急時の判断力、そして多職種連携スキルは、その後のキャリアを大きく飛躍させてくれるでしょう。ICUでの経験は、救急外来やオペ室はもちろん、一般病棟のリーダー的役割や、さらなる専門分野へのステップアップにも必ず活かされます。

    ICUで働くことは、看護師としてのキャリアを築くうえでも、非常に価値のある経験となるはずで

    Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

    特徴

    1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

    対象規模

    無床クリニック向け 在宅向け

    オプション機能

    オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

    提供形態

    サービス クラウド SaaS 分離型

    診療科目

    内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、