保健所の立ち入り検査とは——クリニックが対象になる頻度・よくある指摘事項・電子カルテ記録の整備で備える方法

保健所の立ち入り検査は、すべてのクリニックで必ずおこなわれるものです。「不備を指摘されたらどうしよう」と不安を感じるかもしれませんが、きちんと対策を講じておけば、指摘はあったとしても、保健所から悪い印象を持たれることはありません。具体的にどのような対策を講じておけばいいのかについて、この記事で詳しく解説していきます。

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目次
  1. 保健所の立ち入り検査とは?
    1. 病院・クリニックへの立ち入り検査の実施主体の違い
    2. 病院・クリニックへの立ち入り検査の主な目的
  2. 病院・クリニックへの立ち入り検査の頻度とタイミング
    1. 定例検査“以外の”立ち入り検査とは?
  3. 保健所の立ち入り検査の主な検査項目は?
    1. 人員配置(医師・看護師など)
      1. 医師数
      2. 看護職員
      3. その他職種
    2. 医療安全管理体制
      1. 医療安全指針
      2. 医療事故対応
      3. 委員会
      4. 研修
      5. 感染対策
    3. 医薬品管理
      1. 医薬品保管
      2. 麻薬・向精神薬
      3. 毒薬・劇薬
      4. ワクチン・冷蔵品
      5. 処方・投薬
    4. 診療録(カルテ)管理
      1. カルテ関連
      2. 個人情報
      3. 同意書
    5. 構造設備
      1. 建物関係
      2. 診察室
      3. 手術室
      4. 病室
      5. 放射線設備
      6. 消防・防災
    6. 感染対策
    7. 放射線・検査機器管理
      1. X線装置
      2. CT/MRI
      3. 検査機器
    8. 掲示義務
    9. 労務・運営管理
    10. ≪令和6年度から追加された検査項目≫
    11. ≪特定機能病院で特に重視される項目≫
  4. 保健所の立ち入り検査結果4パターン
  5. 保健所の立ち入り検査の結果の実情
    1. 診療用放射線に係る安全管理体制
    2. 医療従事者数
    3. 就業規則・労働時間の把握など
    4. 医療安全管理体制の整備
    5. 看護に関する業務基準・手順などの整備・活用
    6. 臨床検査関係
    7. 診療録(カルテ)記載不備
    8. 院内掲示漏れ
    9. 業務委託契約書の記載不備・期限切れ
    10. 麻薬帳簿・麻薬管理体制
  6. 医療機関への保健所の立ち入り検査の当日の流れは?
    1. 来所・挨拶
    2. 検査概要説明
    3. 書類確認
    4. 院内ラウンド(現場確認)
    5. 質疑応答・追加確認
    6. 講評(当日最後)
      1. 指摘事項
      2. 文書指導
      3. 口頭指導
    7. 後日:結果通知・改善報告
  7. 保健所の立ち入り検査に備えるための準備
    1. まずは「事前通知」と「自主点検表」への対応を確実に行う
    2. 立入検査ファイルを作る
      1. 基本書類
      2. 医療安全確保のための書類
      3. 感染対策関連書類
      4. 労務関連書類
      5. 放射線関連書類
      6. 医薬品関連書類
    3. 掲示物を総点検
    4. 研修記録を整理
    5. マニュアルの更新日確認
    6. 院内でチェックすべきポイント
      1. 処置室
      2. X線室
      3. ナースステーション
      4. バックヤード
    7. ≪よくある“直前トラブル”≫
    8. ≪当日の対応ポイント≫
  8. 保健所の立ち入り検査で想定される質問とその答え
    1. 医療安全管理体制
    2. 院内感染対策
    3. 個人情報保護
    4. 放射線安全管理
    5. 労務管理・働き方改革
    6. 看護関係
    7. 医薬品・医療機器管理
    8. 掲示関係
    9. 災害・防火
    10. ≪質疑応答で重要なのは「即答」ではなく「記録」≫
  9. 保健所の立ち入り検査に備えるために、電子カルテでできることは?
    1. 電子カルテ整備でできること
    2. 診療録管理の適正化
      1. 記録漏れ防止:テンプレート化できます。
      2. 時系列管理:誰が、いつ、何を入力したか残ります。
    3. 個人情報保護対策
      1. アクセス制限:医師、看護師、事務で閲覧範囲をわけられます。
      2. 操作ログ保存:誰が閲覧したか残ります。
      3. パスワード管理:共通IDを防止できます。
    4. 医療安全管理
      1. インシデント管理
      2. 保健所対応で有利
    5. 感染対策
      1. 発熱患者管理
    6. オンライン診療対応
      1. 自動保存
      2. URL記録
      3. 接続履歴
    7. 放射線安全管理
      1. 検査履歴
      2. 撮影条件
      3. 線量記録
      4. 再撮影管理
    8. 医薬品安全管理
      1. 処方履歴
      2. 重複投与確認
      3. アレルギー警告
      4. 禁忌チェック
    9. 労務・働き方改革対応
      1. ログイン履歴活用
    10. ≪保健所対応で“かなり強い”運用≫
    11. ≪実際に評価されるポイント≫
      1. 最近特に重要になっていること
  10. 立入検査で指摘を受けた後の改善報告書の書き方
    1. 改善報告書の基本構成
    2. 改善報告書の実務的テンプレート
    3. 実際に重要なのは「原因」と「再発防止」
      1. NGになりやすい書き方
      2. 添付すると強い資料
  11. 再検査を避けるために重要なこと
    1. 再検査を避けるフォロー①:“即対応”する
    2. 再検査を避けるフォロー②:写真を付ける
    3. 再検査を避けるフォロー③:「仕組み化」を示す
    4. 再検査を避けるフォロー④:院長・管理者関与を示す
    5. 再検査を避けるフォロー⑤:軽微事項も放置しない
  12. 保健所の立ち入り検査は、病院・クリニックの運用や管理体制を見直すチャンス

保健所の立ち入り検査とは?

保健所の立ち入り検査は、食品関係の店舗から、医療・薬事関係、美容・衛生関係、水・環境関係の事業所や法人まで、幅広い業種を対象におこなわれるものです。

このうち、病院やクリニックを対象とする立ち入り検査に関しては、医療法によって定められていますが、第25条第1項、第25条第3項によって、「病院・診療所・助産所・オンライン診療受診施設などに対する立ち入り検査の実施主体は都道府県など」「特定機能病院などに対する立ち入り検査の実施主体は国」と定められています。

参照:医療法

【特定機能病院、臨床研究中核病院とは?】

前述の「特定機能病院など」とは、特定機能病院および臨床研究中核病院を意味します。2つの病院の違いは次の表の通りです。

項目 特定機能病院 臨床研究中核病院
主な役割 ・高度な先端医療の提供・研修の実施
・地域医療への人的提供
など
革新的な医療技術や医薬品・治験の開発を主導・牽引
全国の施設数 80~90施設程度
(令和8年4月24日時点では88施設)
15施設前後
(令和7年5月30日時点では16施設)
位置づけ 医療法に基づく 特定機能病院などをベースに、さらに厳しい承認要件をクリアした施設。全国トップクラスの大規模病院

参照:厚生労働省「特定機能病院について」

参照:厚生労働省「臨床研究中核病院について」

病院・クリニックへの立ち入り検査の実施主体の違い

上記は、厚生労働省によって示されている、医療法に基づく立ち入り検査の図解ですが、矢印が示す通り、特定機能病院および臨床研究中核病院への立ち入り検査に関しても、保健所が関与することはあります。

これはどういうことかというと、医療法第25条3項に基づく“本体の立ち入り検査”は厚生労働省が担当しているものの、特定機能病院や臨床研究中核病院の次のような事項に関しては、保健所が検査する場面があるということです。

  • 地域の保健所との連携
  • 感染症対応
  • 食品衛生
  • 医療安全情報の共有

など

なお、医療法第25条第3項の規定に基づいて厚生労働省(各地方厚生(支)局)が実施する、特定機能病院への立ち入り検査が、原則として、同第25条第1項に基づき、都道府県・保健所設置市がおこなう立ち入り検査と合同で実施されることは、厚生労働省のホームページにも明記されています。

参照:厚生労働省「医療法に基づく立ち入り検査について」

参照:厚生労働省「特定機能病院に対する立入検査結果について(令和6年度)」

病院・クリニックへの立ち入り検査の主な目的

病院・クリニックへの立ち入り検査の目的は、「法令によって規定された人員および構造設備を有しており、かつ適切な管理をおこなっているかを検査すること」「不適正だと判断される場合、指導等を通じて改善を図ること」とされています。また、これらを通して、病院・クリニックを良質で適正な医療をおこなう場にふさわしいものとすることを目的としています。

参照:厚生労働省「医療法に基づく立ち入り検査について」

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病院・クリニックへの立ち入り検査の頻度とタイミング

病院・クリニックへの立ち入り検査の頻度は、先に記した図でも説明されている通り、“原則として”次の通りです。

  • 病院:原則毎年
  • 有床クリニック:概ね3年に1度
  • 無床クリニック・助産所・オンライン診療受診施設:随時
  • 特定機能病院:原則毎年
  • 臨床研究中核病院:原則毎年

このうち、「随時」とはどういう意味かというと、開設時、あるいは管理上の必要性が認められた場合に実施されるという意味です。つまり、病院や有床クリニックなどと比べて、立ち入り検査の頻度が低くなる場合が多いということになります。

なぜ、無床クリニックや助産所、オンライン診療受診施設などは立ち入り検査の頻度が低いのかというと、入院患者がいないため、夜間対応や急変対応などが不要なぶん、管理すべき項目が少ないためです。

ただし、助産所は入院設備があるタイプとそうでないタイプがあるため、入院設備があるタイプに関しては、有床の助産所より重点的に監視される傾向にあります。具体的にどのくらいの頻度で立ち入り検査がおこなわれるかについての明記はありませんが、そもそも、助産所以外のクリニックや病院も含めて、定例検査の頻度は目安であって、具体的な頻度は自治体によって異なります。

定例検査“以外の”立ち入り検査とは?

病院・クリニックへの立ち入り検査の頻度は、原則としては先に解説した通りですが、それとは別に、“必要に応じて”検査が実施される場合もあります。

これについては、医療法第25条第2項に次のように定められています。

(医療法第25条第2項)
「都道府県知事、保健所を設置する市の市長または特別区の区長は、病院、診療所、助産所もしくはオンライン診療受診施設の業務が法令もしくは法令に基づく処分に違反している疑いがあり、またはその運営が著しく適正を欠く疑いがあると認めるときは、この法律の施行に必要な限度において、当該病院、診療所もしくは助産所の開設者もしくは管理者もしくはオンライン診療受診施設の設置者に対して、診療録、助産録、帳簿書類その他の物件の提出を命じ、または当該職員に、当該病院、診療所もしくは助産所の開設者もしくはオンライン診療受診施設の設置者の事務所その他当該病院、診療所、助産所もしくはオンライン診療受診施設の運営に関係のある場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる」

また、目安が決められた頻度で実施されている定例検査に関しては、保健所などから病院・クリニックに対して事前予告がおこなわれますが、抜き打ち検査に関しては、予告なしでおこなわれる場合があります。

なお、法令に基づく処分に違反している疑い、運営が著しく適性を欠く疑いなどはどのように発覚するかというと、たとえば内部告発や医療事故の発覚、違法広告の疑い、無資格診療の疑い、患者から苦情の声が上がることなどが挙げられます。

参照:医療法

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保健所の立ち入り検査の主な検査項目は?

病院・クリニックへの立ち入り検査では、主に次のような項目が検査されます。なお、病院・クリニックによって規模や設備に違いがあるため、検査項目数は医療機関によって異なります。

人員配置(医師・看護師など)

医師数

  • 必要医師数を満たしているか(患者数に対応した数の医師がいるか)
  • 当直体制が適切か
  • 常勤・非常勤の区分管理

看護職員

  • 看護師数・准看護師数
  • 夜勤配置
  • 看護配置基準

その他職種

  • 薬剤師
  • 臨床検査技師
  • 診療放射線技師
  • 栄養士
  • 医療安全担当者

などの配置状況

医療安全管理体制

医療安全指針

  • 院内マニュアル整備
  • 改訂履歴
  • 職員への周知

医療事故対応

  • インシデント報告制度
  • 事故発生時のフロー
  • 再発防止策

委員会

  • 医療安全委員会の開催記録
  • 出席記録
  • 議事録

研修

  • 年2回以上の安全研修
  • 新人研修
  • 参加記録

感染対策

  • 感染対策委員会
  • PPE管理
  • 手指衛生
  • 廃棄物管理

その他、患者からの相談に適切に応じる体制を確保しているかどうかなども確認されます。

医薬品管理

医薬品保管

  • 温度管理
  • 鍵管理
  • 使用期限管理

麻薬・向精神薬

  • 麻薬金庫
  • 帳簿記載
  • 施錠状況

毒薬・劇薬

  • 表示
  • 区分保管(その他の薬と区別されていること)
  • 施錠状況

ワクチン・冷蔵品

  • 冷蔵庫温度記録
  • 停電対策

処方・投薬

  • 処方箋管理
  • ダブルチェック体制

など

調剤所については、衛生上、防火上適切な配慮がなされているかどうかも確認されます。

診療録(カルテ)管理

カルテ関連

  • 保存期間(治療完結後5年以上)
  • 記載漏れ
  • 電子カルテアクセス権限

個人情報

  • ID/PW管理
  • ログイン管理
  • 持ち出し防止

同意書

  • 手術同意書
  • 説明同意記録

など

構造設備

病院の構造設備に関して使用の許可を受けていることや、開設許可後の開設届および届出事項に変更を生じたときに、その届出がなされているかなども確認されます。

診療用放射線装置の設置などに関しても、届出を出していることが必要です。

建物関係

  • 面積基準
  • 廊下幅
  • 採光・換気

診察室

  • 必要設備
  • プライバシー配慮

手術室

  • 清潔区域管理
  • 空調管理

病室

  • ベッド間隔
  • ナースコール
  • 避難経路

また、病室に定員を超えて患者を入院させていないかどうかなども確認されます。
結核病室、放射線治療病室、精神病質、感染症病室などについてはさらに細かいチェックポイントがあります。

分娩室なども同様です。

放射線設備

  • 設置状況
  • 周囲の防護状況
  • 管理区域表示
  • 漏洩線量
  • 防護具

消防・防災

  • 消火器
  • 避難訓練
  • 防火管理者

など

感染対策

  • 標準予防策の実施状況
  • 感染対策マニュアル
  • 発熱患者動線
  • ゾーニング
  • 消毒薬管理
  • 滅菌記録
  • リネン管理
  • 医療廃棄物処理
  • 院内感染対策委員会の設置

など

放射線・検査機器管理

X線装置

  • 届出の有無
  • 定期点検
  • 線量測定

CT/MRI

  • 保守点検記録
  • 安全管理

検査機器

  • キャリブレーション
  • 保守契約
  • 点検記録

など

掲示義務

(例)

  • 管理者氏名
  • 診療時間
  • 保険医療機関表示
  • 医師勤務表
  • 医療機能情報
  • 料金表(自由診療)
  • 個人情報保護方針

患者から見える位置に掲示されているかどうかも確認されます。

オンライン診療をおこなっている場合、

  • 通信障害時対応
  • 初診制限
  • セキュリティ

などに関する掲示があるかどうかもチェックされます。

労務・運営管理

  • 就業規則(作成および労働基準監督署への届出)
  • 夜勤体制
  • 宿日直許可
  • 委託契約
  • 院内掲示
  • 各種届出

などに不備がないかどうか

また、きちんと記録をつけているかどうかなども確認されます。

≪令和6年度から追加された検査項目≫

労務・運営管理に含まれる内容となりますが、令和6年度からは、新たに、医師の働き方改革に関連する検査項目が追加されています。

具体的には、次の事項について検査されます。

  • 時間外・休日労働が月100時間以上となった医師に、面接指導が実施されているか
  • 面接実施後、必要に応じて労働時間の短縮、宿直の回数の減少など就業上の措置を講じているか
  • 時間外・休日労働が月155時間超となった医師について、労働時間の短縮のために必要な措置を講じているか
  • 特例水準指定の医療機関の医師のうち、時間外・休日労働時間が 年960時間超となることが見込まれる医師に対し、休息もしくは代償休息が確保されているか

≪特定機能病院で特に重視される項目≫

厚生労働省や厚生局は、特定機能病院については、特に次の点を重点確認するとしています。

  • 高度医療提供体制
  • 医療安全専従部門
  • 死亡症例検討
  • ガバナンス
  • 未承認医薬品管理
  • 高難度新規医療技術管理

など

参照:厚生労働省「医療法第25条第1項の規定に基づく立入検査要綱の一部改正について」

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保健所の立ち入り検査結果4パターン

保健所の立ち入り検査結果は、大きく次の4つのパターンにわけられます。

区分 定義 指示・指導方法
指摘 医療法に係る法令不備(他法令を除く) 文書により改善を指示
文書指導 ・法令不備のうち軽度なもの
・通知に対する重大な不備
・他法令の不備
文書により改善を指導
口頭指導 通知に対する不備など 口頭により改善を指導
指摘・指導事項なし 不備が見られない なし

区分の違いは、「何に違反しているのか」「どの程度重大か」によって決まります。

  • 指摘:衣装法そのものへの不適合

(例:必要人員不足、医療安全管理体制不備など)

  • 文書指導:法令違反としては比較的軽微、または通知レベルの重要不備
  • 口頭指導:運用改善レベルの軽微な事項

といったイメージです。

なお、実務上、「指摘」と「文書指導」の両方が出ることもあります。

たとえば、

  • A項目:法令違反で「指摘」
  • B項目:軽微な不備で「文書指導」

といったケースです。

なお、「指摘・指導事項なし」となることは極めて少なく、ほとんどの医療機関でなんらかの改善事項が出るとされています。

令和6年度の東京都の立ち入り検査の結果でも、指摘・指導事項なしは0件であることがわかっています。

指摘・指導区分 病院数 割合
指摘 111 47.8%
文書指導 112 48.3%
口頭指導 9 3.9%
指摘・指導事項なし 0 0.0%
232 100.0%

参照:東京都保健医療局医療政策部医療安全課「令和6年度医療法第25条第2項に基づく立入検査の実施状況報告書」4ページおよび5ページ

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保健所の立ち入り検査の結果の実情

では、具体的にどのような項目に対して指摘・指導が出ているかというと、令和6年度の東京都の立ち入り検査では、次のような結果がでています。

指摘・指導状況

立入検査項目 指摘 文書指導 口頭指導 指摘・指導事項なし
または非該当
1 人事関係
(1)医療従事者数 6.90% 0.00% 0.00% 93.10%
(2)雇入れ等の確認及び手続き 0.40% 9.10% 6.00% 84.50%
(3)就業規則、労働時間の把握等 3.90% 13.40% 2.20% 80.60%
(4)医師の働き方改革 0.90% 3.90% 4.70% 90.50%
2 診療体制関係
(1)医療安全管理体制の整備 6.90% 60.30% 28.40% 4.30%
(2)院内感染予防対策の体制整備 1.30% 62.90% 23.30% 12.50%
(3)医薬品の安全管理体制の整備 6.50% 16.40% 49.10% 28.00%
(4)医療機器の安全管理体制の整備 1.30% 18.50% 59.50% 20.70%
(5)診療用放射線に係る安全管理体制 8.60% 20.70% 36.20% 34.50%
(6)高難度新規医療技術及び未承認新医薬品等を用いた医療の提供 0.00% 0.00% 2.60% 97.40%
(7)看護体制 2.20% 0.00% 88.80% 9.10%
(8)病棟等管理 0.40% 1.70% 68.10% 29.70%
(9)看護に関する業務基準、手順等の整備・活用 4.70% 14.70% 62.10% 18.50%
(10)分娩安全管理体制(救急外来、新生児の管理、オンライン診療) 0.90% 12.90% 86.20%
(11)外列表安全管理体制(輸血療法) 5.60% 40.50% 53.90%
(12)帳票・諸記録の運用・管理 0.00% 4.70% 84.10% 11.20%
(13)医療関係職種に関する業務(診療放射線技師、臨床検査技師、救急救命士、その他) 0.00% 3.00% 59.50% 37.50%
3 個人情報の取扱い関係
(1)利用目的の特定・公表・不適正な利用の禁止 0.00% 3.00% 3.90% 93.10%
(2)安全管理措置、従業者の監督 0.00% 17.70% 44.00% 38.40%
(3)委託先の監督 0.00% 1.30% 19.40% 79.30%
(4)個人データの取扱い 0.00% 7.80% 16.80% 75.40%
(5)個人情報に関する相談・苦情対応 0.00% 0.40% 5.60% 94.00%
4 管理関係
(1)防火防災体制 0.40% 48.70% 23.30% 27.60%
(2)施設・設備管理及び衛生管理 3.00% 45.70% 6.90% 44.40%
(3)感染性廃棄物等処理 12.50% 6.00% 81.50%
(4)業務委託 1.30% 4.30% 29.30% 65.10%
(5)職員の健康管理体制 23.70% 9.90% 66.40%
(6)病院管理・施設使用・院内掲示等 15.90% 50.00% 11.60% 22.40%
5 給食関係
(1)給食業務の運営 0.00% 8.20% 7.30% 84.50%
(2)給食施設・設備等の管理 0.00% 4.70% 3.90% 91.40%
6 コメディカル関係
(1)臨床検査関係 25.00% 13.40% 53.90% 7.80%
(2)診療放射線関係 5.20% 28.00% 42.20% 24.60%
(3)薬剤管理関係 0.00% 38.40% 31.00% 30.60%
(4)医療機器管理関係 0.00% 0.00% 3.90% 96.10%
総合評価(n=232) 47.80% 48.30% 3.90% 0.00%
7 特定機能病院関係(n=16)
特定機能病院における安全管理等の体制 0.00% 0.00% 25.00% 75.00%

参照:東京都保健医療局医療政策部医療安全課「令和6年度医療法第25条第2項に基づく立入検査の実施状況報告書」6ページ

さらに、他の年度の検査結果なども考慮すると、実際に指摘・指導の対象となりやすい事項は次の通りです。

診療用放射線に係る安全管理体制

2020年4月に施行された医療法関連の改正において、主に診療用放射線の安全管理体制の整備が義務付けられています。

これによって、CTを有しているクリニックなども診療用放射線に係る安全管理体制の整備の対象となったことから、昔から運営している施設で、未対応の施設が増えています。

参照:国立成育医療研究センター「新医療法、提言の紹介」

医療従事者数

医療法上の厳格な配置基準に足りていないと、即法令不備ということになり、指摘を受けやすいです。

なぜ配置基準に足りていない場合があるかというと、育休、退職、非常勤化などによって一時的に基準割れすることが多いためです。

就業規則・労働時間の把握など

2024年以降、医師の働き方対応が厳格化されたことで、時間外労働上限、面接指導、勤怠管理などが指摘されやすい項目となっています。

また、自己申告制は問題化されやすいので注意が必要です。保健所は、タイムカード、電子ログ、PCログなどの客観記録を重視しています。

医療安全管理体制の整備

指針作成、研修実施、事故報告体制および安全確保体制の整備が求められています。なお、指針や制度を“作っただけ”はNGです。保健所は、実際に研修が実施されているか、インシデント報告がおこなわれているか、どのような改善活動がおこなわれているのかなどの運用実績を見ます。

看護に関する業務基準・手順などの整備・活用

看護手順書には、感染対策や転倒防止など記すことが多数あり、更新が追い付かないことが多いです。そのため、マニュアルの更新漏れが指摘される場合があります。

また、手順書に対する現場の理解度も、保健所によって確認されます。

看護現場は属人的になりやすいため、ベテラン依存だと、手順統一不足、記録差、教育差などが出やすくなります。

臨床検査関係

臨床検査は、精度管理、機器管理、試薬管理、温度管理などの規制が多く、これらの記録不備や出やすいです。また、外部委託でも責任は医療機関となるため、契約内容や報告体制にも留意する必要があります。

診療録(カルテ)記載不備

立ち入り検査では、

  • 診療録保存
  • 記載状況
  • 電子カルテ権限管理

も確認対象です。

特に実務上は、

  • 同意書不足
  • 記載遅れ
  • 修正履歴不適切
  • ID/PW共有

などが問題化しやすいとされています。

院内掲示漏れ

比較的多いのが、

  • 管理者掲示漏れ
  • 診療時間掲示漏れ
  • 保険医療機関表示漏れ
  • 自由診療料金掲示不足

などです。

これは「実施内容」より、
単純な更新漏れ・貼替漏れで起きやすい類型です。

業務委託契約書の記載不備・期限切れ

検体検査や医療性廃棄物の処理、清掃などを外部に委託している場合、その契約内容も厳しくチェックされます。特に多いのが、「医療法で定められた基準(受託者の責任範囲など)が契約書に明記されていない」「契約が自動更新になっておらず、有効期限が切れたまま放置されている」といったケースです。
立ち入り検査の直前になって慌てないよう、現在締結している業務委託契約書が最新のものであるか、法定要件を満たしているかを事前に確認しておく必要があります。

麻薬帳簿・麻薬管理体制

令和4年度の東京都の立入検査報告書では、麻薬帳簿または麻薬専用印の管理不十分による「麻薬の管理体制」への文書指導が多かったと記載されています。

また、厚労省や東京都の麻薬管理手引では、

  • 帳簿記載方法
  • 修正方法
  • 出力保存
  • 立入検査時提示

などが細かく定められており、帳簿不備が典型的な指摘事項であることが分かります。

さらに、実際に病院で「麻薬帳簿記載漏れ」により行政指導を受けた事例も公表されています。

参照:東京都保健医療局医療政策部医療安全課「令和4年度医療法第25条第1項に基づく定例立入検査の実施状況報告書」

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医療機関への保健所の立ち入り検査の当日の流れは?

病院・クリニックへの保健所の立ち入り検査は概ね次の流れで進みます。

来所・挨拶

検査概要説明

書類確認

院内ラウンド(現場確認)

質疑応答・追加確認

講評(指摘事項説明)

後日、結果通知

所要時間は、病院は半日~1日、クリニックは1~3時間程度が一般的です。

それぞれの工程を詳しく解説していきます。

来所・挨拶

まず、保健所職員らが来所します。

通常は、

  • 保健所職員
  • 薬務担当
  • 放射線担当
  • 看護担当

など複数名が来所します。

病院では10人前後になることもあります。

【挨拶段階で最初に確認されること】

  • 管理者(院長)の同席
  • 当日の担当者
  • 会議室準備(会議室として使える場所の確認)
  • 提出書類

など

検査概要説明

最初に、

  • 検査目的
  • 対象範囲
  • 当日の流れ

の説明があります。

【説明される内容例】

  • 医療法に基づく立ち入り検査であること
  • 前回指摘事項の確認
  • 医療安全体制確認
  • 感染対策確認

など

書類確認

ここにかける時間がもっとも長いです。

保健所は、(必要な研修などを)「実施しているか」より「記録として残っているか」を重視します。

院内ラウンド(現場確認)

実際に院内を回ります。

【チェックされやすいポイント】

  • 待合室⇒掲示物
  • 処置室⇒薬剤管理
  • ナースステーション⇒個人情報管理
  • X線室⇒放射線表示
  • 医薬品保管庫⇒温度・期限
  • 廃棄物置場⇒感染性廃棄物
  • 給食施設⇒衛生管理
  • 掲示関係:保険医療機関表示、管理者氏名、施設基準
  • 薬剤:使用期限、麻薬管理、冷蔵温度
  • 感染対策:PPE配置、手指消毒、清潔不潔分離

質疑応答・追加確認

現場確認後、追加質問がおこなわれます。

(質問例)
医療安全:「ヒヤリハットは年間何件ですか?」
感染対策:「発熱患者動線は?」
労務:「労働時間はどう把握していますか?」
放射線:「責任者は誰ですか?」

講評(当日最後)

最後に、保健所から総括があります。

ここで伝えられることは次の通りです。

指摘事項

法令不備など

(例)

  • 人員基準不足
  • 必須掲示不足

文書指導

改善推奨事項

(例)

  • マニュアル更新
  • 研修記録不足

口頭指導

軽微事項

(例)

  • 掲示位置
  • 記録方法

ただし、当日は「現時点での所見」として説明されることが多く、正式には後日通知されます。

後日:結果通知・改善報告

後日、

  • 指摘事項通知
  • 改善報告依頼

が送付されます。

なお、当日の雰囲気については多くの医療機関が心配しますが、
実際には、「監査」というより「確認+改善支援」に近いケースが多いです。

特に定例立入検査に関しては、

  • その場で直せる軽微事項
  • 記録不足

の確認が中心です。

ただし、次のケースについては厳格化しやすいため注意が必要です。

  • 前回の指摘を改善していない⇒悪質と判断されます
  • 医療事故後⇒重点確認されます
  • 患者からの苦情多数⇒詳細が確認されます
  • 人員基準不足⇒法令違反となるため、保健所も厳しく注意します
  • 虚偽説明⇒非常に危険です

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保健所の立ち入り検査に備えるための準備

保健所の立入検査は、「問題を見つけて処分する」ために実施するのではなく、「医療安全・法令遵守が継続運用されているかを確認する」ために実施するものです。

そのため、重要なのは「完璧な施設であること」ではなく、

  • 必要書類が整理されている
  • 運用実態を説明できる
  • 改善姿勢がある

ことです。クリニックが立ち入り検査に向けた適切な対策を行い、スムーズに検査を終えるために、当日までにやっておくべき具体的な準備は次の5つです。

  • 必須書類を1冊にまとめる(理由:検査時間短縮)
  • 掲示物確認(理由:指摘されやすいため)
  • 研修記録整理(理由:「実施した証拠」が重要となるため)
  • マニュアル更新日確認(理由:古いと即指摘対象となるため)
  • 従業員への簡易周知(理由:現場回答の食い違い防止)

まずは「事前通知」と「自主点検表」への対応を確実に行う

定例の立ち入り検査の場合、原則として実施日の1〜2ヶ月前に保健所から「事前通知」が届きます。その際、同時に「自主点検表(事前提出書類)」が送付されるのが一般的です。

この自主点検表は、医療法で定められた人員基準や構造設備、各種マニュアルの整備状況などをクリニック側で事前にセルフチェックするための書類です。保健所は、事前に(あるいは当日に)提出されたこの自主点検表をもとに当日の検査を進めるため、記載内容と実態に相違がないよう、院内の現状を正確に把握して記入することが立ち入り検査対策の第一歩となります。空欄や曖昧な記載があると、当日のヒアリングで厳しく掘り下げられる原因となるため注意が必要です。

立入検査ファイルを作る

保健所対応がスムーズな施設は、ほぼ例外なく「検査ファイル」を作っています。

≪入れておくもの≫

基本書類

  • 開設許可関係
  • 管理者届
  • 医師免許写し
  • 各種届出

医療安全確保のための書類

  • 医療安全管理指針
  • 研修記録
  • インシデント報告書
  • 委員会記録

感染対策関連書類

  • 感染対策マニュアル
  • 研修記録
  • 発熱患者対応手順マニュアル

労務関連書類

  • 就業規則
  • 36協定
  • 勤怠記録

放射線関連書類

  • 安全管理指針
  • 責任者選任記録
  • 研修記録
  • 線量管理記録

医薬品関連書類

  • 麻薬帳簿
  • 温度記録
  • 使用期限確認記録

掲示物を総点検

立ち入り検査では非常によく見られます。

≪特に重要な掲示物

  • 保険医療機関であることの明示
  • 管理者氏名
  • 診療時間
  • 個人情報保護方針
  • 医療安全相談窓口
  • 施設基準
  • 明細書発行について
  • オンライン資格確認について

次の点にも注意が必要です。

  • 古い施設基準を提示していないか(改定対応漏れ)
  • 管理者変更未更新
  • 掲示場所不適切(見えにくい場所でないか)
  • HP掲載漏れ(院内掲示以外にHPもチェックされます)

研修記録を整理

保健所は、「研修をやったか」ではなく、「証拠があるか」を見ます。

≪確認されやすいもの≫

  • 開催日時
  • 研修内容
  • 参加者
  • 資料
  • 写真(あると強い)

≪特に確認されやすい研修≫

  • 医療安全に関する研修
  • 感染対策に関する研修
  • 放射線安全に関する研修
  • 個人情報の扱い方に関する研修
  • 医療機器の扱い方に関する研修

マニュアルの更新日確認

≪よくある危険状態≫

  • 最終更新日が5年以上前
  • コロナ前の内容
  • 担当者退職済み
  • 法改正未反映

≪特に更新確認されやすいマニュアル≫

  • 医療安全関連
  • 感染対策関連
  • 放射線関連
  • 災害対応関連
  • 個人情報関連

院内でチェックすべきポイント

保健所が特に厳しくチェックするのは次のポイントです。

処置室

  • 薬剤の使用期限・保管方法
  • 医療廃棄物

X線室

  • 注意表示
  • 管理区域
  • 線量関係

ナースステーション

  • 個人情報露出
  • マニュアル配置

バックヤード

  • 清潔不潔分離
  • 段ボール放置

など

≪よくある“直前トラブル”≫

必要な準備を進めるなかで起こり得る“直前トラブル”は次の通りです。

  • 必要な書類が見つからない
  • 更新版が不明(最新のものではない書類ならある)
  • 管理社印がない
  • 研修を実施しているが記録がない
  • 掲示物が古い

これらのトラブルで直前に焦ることがないよう、早めに準備を進めることが大切です。

≪当日の対応ポイント≫

当日の基本姿勢のNG例、よい対応は次の通りです。

【NG】

  • 隠す
  • ごまかす
  • 強く反論する

【よい対応】

  • すぐ確認する
  • 改善意思を示す
  • メモをとる

たとえば、口頭で何かを指摘された際、「前からこうなので」などと反論するのではなく、「現在はこの運用ですが、必要があれば改善します」と現状を認めたうえで改善の意思を示すことが大切です

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保健所の立ち入り検査で想定される質問とその答え

保健所の立ち入り検査の日には、病院・クリニック関係者はただ黙って同席しているというわけではありません。適宜、質問が投げかけられるため、それに対して的確に回答する必要があります。

たとえば、「書類があるか」だけでなく、「実際に運用されているか」「職員が理解しているか」「院長が把握しているか」についても確認されます。

そのため、「あります」だけでなく、「どこにあり、どう運用しているか」まで回答する必要があるのです。

代表的な想定質問と答えは次の通りです。

医療安全管理体制

質問例「医療安全管理指針を見せてください」
回答例「こちらです。毎年見直しをおこなっており、今年は4月に改訂しています」

質問例「医療安全研修は実施していますか?」
回答例「年2回実施しています。こちらが研修記録と参加者名簿です」

質問例「インシデント報告はどのように管理していますか?」
回答例「報告書を作成して、月次で集計しています。再発防止策も検討しています」

院内感染対策

質問例「感染対策マニュアルはありますか?」
回答例「はい、こちらです。標準予防策や発熱患者対応を記載しています」

質問例「職員研修はしていますか?」
回答例「年2回実施しています。直近だと、手指衛生やPPE着脱についておこなっています」

質問例「感染性廃棄物はどのように処理していますか?」
回答例「専用容器で分別して、許可業者へ委託しています。契約書はこちらです」

個人情報保護

質問例「個人情報保護方針は掲示していますか?」
回答例「受付横とホームページに掲載しています」

質問例「電子カルテのアクセス権限はどう管理していますか?」
回答例「職種ごとに権限設定をわけています。退職時は速やかに停止しています」

放射線安全管理

質問例「放射線安全管理責任者は誰ですか?」
回答例「院長である私です。辞令はこちらです」

質問例「放射線安全管理研修はしていますか?」
回答例「年1回実施しています。こちらが記録です」

質問例「患者線量の管理はしていますか?」
回答例「CTの線量情報を保存しており、定期確認しています」

労務管理・働き方改革

質問例「労働時間はどのように把握していますか?」
回答例「タイムカードと勤怠システムで管理しています」

質問例「36協定は締結していますか?」
回答例「はい。労基署へ届け出ています。控えはこちらです」

質問例「宿日直許可はありますか?」
回答例「はい、こちらが許可証です」

看護関係

質問例「看護手順書はありますか?」
回答例「はい。注射、転倒防止、感染対策などを整備しています」

質問例「新人教育はどうしていますか?」
回答例「OJTとマニュアル教育を実施しています」

医薬品・医療機器管理

質問例「麻薬の管理方法を教えてください」
回答例「施錠保管して、受払簿で管理しています」

質問例「医療機器点検はしていますか?」
回答例「定期点検を実施しており、記録を保管しています」

掲示関係

質問例「施設基準の掲示はしていますか?」
回答例「受付前に掲示しています」

質問例「保険医療機関である旨の掲示はありますか?」
回答例「入口付近に掲示しています」

災害・防火

質問例
「避難訓練は実施していますか?」
回答例「年2回実施しています。記録はこちらです」

質問例「防火管理者は誰ですか?」
回答例「事務長です。選任届はこちらです」

≪質疑応答で重要なのは「即答」ではなく「記録」≫

保健所は、回答内容や、てきぱき答えられるかではなく、

  • 記録があるか
  • 更新されているか
  • 実際に運用されているか

を重視します。

そのため、「こちらが記録です」とすぐに提示できる状態を整えておくことがもっとも大切であるといえます。

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保健所の立ち入り検査に備えるために、電子カルテでできることは?

電子カルテは、単なる診療記録システムではなく、
保健所立ち入り検査において、

「実施している証拠」
「運用している証拠」
「管理できている証拠」

を示す重要ツールになります。

特に最近は、

  • 医療安全
  • 個人情報
  • 労務
  • オンライン診療
  • 放射線
  • 感染対策

などで「記録主義」が強まっているため、電子カルテ整備の重要性が上がっています。

電子カルテ整備でできること

立ち入り検査時に検査される具体的な項目への対応策として、電子カルテを活用する方法は次の通りです。

  • 診療記録⇒適切な診療記録を保存する
  • 個人情報保護⇒アクセス管理ログをとる
  • 医療安全⇒従業員間でインシデントを共有する
  • 感染対策⇒発熱患者を管理する
  • 労務⇒ログイン時間を記録・確認する
  • オンライン診療⇒実施記録を保存する
  • 放射線⇒検査履歴・線量管理
  • 薬剤⇒処方履歴管理

診療録管理の適正化

【保健所のチェックポイント】

  • 診療録記載
  • 保存
  • 修正履歴

【電子カルテで強くなる点】

記録漏れ防止:テンプレート化できます。

(例)

  • 主訴
  • バイタル
  • 同意取得
  • 処方理由

時系列管理:誰が、いつ、何を入力したか残ります。

  • 修正履歴:改ざん防止性が高いです。

個人情報保護対策

【保健所のチェックポイント】

  • IDを共有していないか
  • 権限管理
  • ログ管理
  • 退職者アカウント停止の有無

【電子カルテでできること】

アクセス制限:医師、看護師、事務で閲覧範囲をわけられます。

操作ログ保存:誰が閲覧したか残ります。

パスワード管理:共通IDを防止できます。

医療安全管理

インシデント管理

紙だと散逸しやすいですが、電子化で集約できます。

【できること】

  • ヒヤリハット入力
  • 集計
  • 再発防止共有
  • 月次分析

保健所対応で有利

「報告文化がある」と評価されやすくなります。

感染対策

発熱患者管理

電子カルテで、

  • 発熱患者タグ
  • 動線記録
  • 隔離対応記録

を残せます。

オンライン診療対応

オンライン診療では、
通常診療以上に記録が重要です。

【記録すべきもの】

  • 同意取得
  • 本人確認
  • 通信手段
  • 診療場所
  • 処方判断

【電子カルテ連携の強み】

オンライン診療システムと連携すると、

自動保存

URL記録

接続履歴

などを残せます。

放射線安全管理

CT・X線がある施設で重要な管理事項です。

【電子管理でできること】

検査履歴

撮影条件

線量記録

再撮影管理

【保健所が重視】

特に、

  • 不必要被ばく防止
  • 線量最適化

の記録は大切です。

医薬品安全管理

【電子カルテでできること】

処方履歴

重複投与確認

アレルギー警告

禁忌チェック

「システム的安全対策」が評価されやすいため、医療安全上有利です。

労務・働き方改革対応

これは見落とされがちですが重要です。

ログイン履歴活用

電子カルテログで、

  • 深夜勤務
  • 長時間労働
  • 実労働推定

を確認できる場合があります。

≪保健所対応で“かなり強い”運用≫

「立ち入り検査用フォルダ」を作ることが非常に役立ちます。

電子カルテ外でも、

  • 研修記録
  • マニュアル
  • 委員会議事録
  • 改訂履歴

をサーバ保存するといいでしょう。さらに、更新日管理も徹底すれば万全です。

さらに有効

更新日管理。

≪実際に評価されるポイント≫

保健所は、「IT化していること」自体より、「継続的に管理できているかどうか」を見ます。

評価されやすい状態は次の通りです。

  • 記録検索が早い⇒管理性が高い
  • 更新履歴がある⇒運用されている
  • 権限が分離されている⇒個人情報保護対策について考えられている
  • ログ保存がある⇒追跡が可能
  • テンプレ運用⇒記録漏れを防止できている

逆に危険な状態は次の通りです。

  • 共通ID⇒個人情報保護に問題がある
  • 修正履歴なし⇒改ざん疑義
  • 紙と電子混在⇒記録不整合
  • 未署名⇒診療録不備
  • バックアップ不明⇒管理不備

最近特に重要になっていること

近年は、

  • サイバーセキュリティ
  • ランサムウェア
  • 個人情報漏えい

が社会問題化しているため、

保健所も、

  • バックアップ
  • 権限管理
  • セキュリティ

を以前より重視しています。

そのため、「電子カルテを導入している」だけではなく、「安全に運用している」ことが重要です。

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立入検査で指摘を受けた後の改善報告書の書き方

保健所の立ち入り検査では、指摘後の「改善報告」が非常に重要です。

実際、“最初の指摘”そのものより、“その後どう対応したか”のほうが重視されることも多いです。

特に、

  • 迅速な対応
  • 具体的な改善
  • 再発防止あり
  • 証拠添付あり

の4点が重要です。

改善報告書の基本構成

一般的には次の形です。

  • 1 宛先
  • 2 医療機関情報
  • 3 指摘事項
  • 4 原因
  • 5 改善内容
  • 6 再発防止策
  • 7 添付資料
  • 8 日付・署名

改善報告書の実務的テンプレート

例(医療安全研修未実施の場合)

改善報告書

令和○年○月○日

○○保健所長 殿

医療法人○○会 ○○クリニック
管理者 ○○ ○○

  • 1 指摘事項

医療安全管理に係る職員研修について、実施記録が確認できなかった。

  • 2 原因

年間研修計画は作成していたものの、記録保存方法が明確でなく、実施記録の保管が不十分であった。

  • 3 改善内容

令和○年○月○日に全職員対象の医療安全研修を実施した。
あわせて、

  • 研修記録様式の統一
  • 出席簿作成
  • 保存フォルダ整備

をおこなった。

  • 4 再発防止策

今後は、

  • 年間研修計画の策定
  • 実施後即日記録保存
  • 管理者による確認

を実施する。

  • 5 添付資料
  • 研修資料
  • 出席簿
  • 写真
  • 改訂マニュアル

以上

実際に重要なのは「原因」と「再発防止」

保健所は、「直しました」だけでは不十分と考えることがあります。

重要なのは、「なぜ起きたか」と「今後どう防ぐか」です。

【良い改善報告の特徴】

  • 原因分析あり⇒本気度が見える
  • 実施日明記⇒客観性
  • 添付資料あり⇒信頼性
  • 再発防止あり⇒継続性
  • 期限内提出⇒管理能力

NGになりやすい書き方

(危険例)
「今後気を付けます」→ 抽象的すぎる
「担当者不在でした」→ 責任回避に見えやすい
「以前からこの運用」→ 改善意思不足と見られる

添付すると強い資料

  • 写真⇒即改善証明
  • 改訂版マニュアル⇒実効性
  • 研修資料⇒実施証明
  • 出席簿⇒運用証明
  • 新チェックリスト⇒再発防止感

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再検査を避けるために重要なこと

再検査は、

  • 改善不十分
  • 重大違反
  • 虚偽疑義
  • 前回未改善

などで起きやすいです。

つまり、「ちゃんと改善した」と保健所が判断できれば、多くの場合、再検査まで行きません。

再検査を避けるフォロー①:“即対応”する

対応が遅い施設ほど、印象が悪化します。

【理想】

  • 指摘当日~1週間で改善開始
  • 期限前提出

再検査を避けるフォロー②:写真を付ける

(例)

  • 掲示不足→ 掲示後写真添付
  • 廃棄物管理→ 改善後写真添付
  • 区画表示→ 標識写真添付

再検査を避けるフォロー③:「仕組み化」を示す

単発改善だけでは弱いです。

(例)
NG:「今回修正しました」
良い:「毎月確認チェックリストを導入しました」

再検査を避けるフォロー④:院長・管理者関与を示す

これかなり重要です。

良い印象
「管理者確認済」
「院内会議で共有」
など

再検査を避けるフォロー⑤:軽微事項も放置しない

これも、実務上かなり重要です。

なぜかというと、保健所は、“改善文化があるか”を見ているからです。

小さなことを放置すると、「他も危ない」と判断されやすいといえます。

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保健所の立ち入り検査は、病院・クリニックの運用や管理体制を見直すチャンス

保健所の立ち入り検査に対して、不安な気持ちを抱く医療機関は多いかもしれません。しかし、立入検査に備えて、必要な資料を整理したり、運用や管理体制を見直したりすることは、結果的に自院にとって大きなプラスとなり得ます。また、万が一、指摘・指導があった際には、“改善すればいい”だけのことなので、何も恐れる必要はありません。しかも、どこをどう改善すればよりよい状態になるかを教えてもらえるのですから、医療機関にとって何一つ悪いことはありません。ただし、保健所に対して真摯に対応しなかったり、虚偽の説明をおこなったりすると、保健所から厳しい目で見られるようになるだけでなく、クリニックの運営が危ぶまれる可能性もあるので、誠実な態度で対応するようにしましょう。

Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

特徴

1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、