医師が転職を成功させるためには、いつまでに転職したいのかを決めて、そのタイミングに合わせて準備を進めていくことが大切です。併せて、転職活動を成功に導いてくれるエージェントを見極めて、二人三脚で転職活動を進めることなども非常に大切です。そこで今回は、医師が転職活動を成功させるために重要なステップや、反面教師とすべき、転職の失敗パターン、失敗しないエージェント選びなどについて詳しく解説していきます。
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医師が転職を決意する主な理由
医師が転職を決意する理由は、単純に「年収を上げたい」だけではありません。待遇・人間関係・働き方・キャリア・経営方針など、複数の不満や希望が重なって転職を考えるケースが多いのが特徴です。
【医師が転職を決意する主な理由】
| 主な理由 | 具体的なきっかけ・不満 |
|---|---|
| ① 年収・待遇への不満 | 仕事量に対して給与が低い、昇給が少ない、当直・残業手当が不十分、インセンティブがない |
| ② 人間関係・職場環境 | 上司や同僚との関係が悪い、医局内の派閥、スタッフとの連携不足、ハラスメント |
| ③ キャリアアップ・専門性の追求 | 新しい診療技術を身につけたい、専門医資格を取得したい、症例数を増やしたい、特定分野を極めたい |
| ④ ワークライフバランス | 当直やオンコールが多い、残業が多い、休日を確保できない、家庭・子育てと両立しにくい |
| ⑤ 勤務負担が大きい | 患者数が多すぎる、事務作業が多い、医師不足による負担集中、救急対応が多い |
| ⑥ 病院・クリニックの経営方針への不満 | 経営優先の方針、現場の意見が反映されない、診療方針とのミスマッチ |
| ⑦ 業務効率・医療DXへの不満 | 紙カルテや古いシステム、電子カルテが使いにくい、医師が事務作業を抱えている |
| ⑧ 勤務条件を変えたい | 常勤から非常勤へ、当直なし、日勤のみ、週4日勤務など、希望する働き方が変わった |
| ⑨ 開業・独立を目指す | 自分の診療方針で医療を提供したい、経営にも携わりたい |
| ⑩ ライフステージの変化 | 結婚、子育て、親の介護、転居などにより、勤務地や勤務時間を見直したい |
年収・待遇への不満
医師が転職を考えるきっかけとして、まず挙げられるのが給与や待遇への不満です。
医師は専門性が高く、勤務先によって業務量や当直回数、担当患者数などに大きな差があります。そのため、「これだけ働いているのに、待遇が見合っていない」と感じることがあります。
【よくある不満】
-
業務量に対して年収が低い
-
当直・オンコールが多い
-
当直手当が十分ではない
-
残業が多いのに給与に反映されない
-
昇給がほとんどない
-
経験や専門医資格が給与に反映されない
-
インセンティブ制度がない
-
他の医療機関と比較して条件が悪い
特に、同じ診療科・同程度の経験でも、勤務先によって年収や勤務条件に差があることを知り、「もっと自分の経験や働きに見合った待遇を得たい」と転職を考えるケースがあります。
ただし、実際の転職活動において、年収だけを比較するのは危険です。高年収求人ほど、当直や救急対応、患者数などの負担が大きい場合もあるため、「年収÷勤務負担」という視点も重要になります。
人間関係・職場環境
医師に限らず、転職理由として非常に大きいのが人間関係や職場環境です。
医療現場では医師同士だけでなく、看護師、薬剤師、リハビリ職、医療事務など、多職種との連携が不可欠です。そのため、人間関係が悪いと診療そのものにも影響します。
具体的には次のようなケースです。
-
上司や同僚との関係が悪い
-
医局内の派閥や対立がある
-
上司の指示や方針に納得できない
-
看護師など他職種との連携がうまくいかない
-
新しく入った医師へのサポートがない
-
ハラスメントがある
-
職場全体の雰囲気が悪い
など
また、人間関係や職場環境に悩んでいる場合、特に問題なのが、「相談できる人がいない」環境です。医師は専門職であるため、一般企業以上に仕事上の悩みを一人で抱えてしまうことがあります。そのため、転職先を選ぶ際には給与だけでなく、「どのような医師が働いているか」「スタッフ同士の連携はどうか」まで確認することが重要です。
キャリアアップ・専門性の追求
「現在の職場が嫌だから」ではなく、もっと自分のキャリアを伸ばしたいという前向きな理由で転職する医師も少なくありません。
たとえば次のようなケースです。
-
特定の診療分野を専門的に学びたい
-
症例数を増やしたい
-
希望する手術・治療を経験したい
-
専門医資格を取得したい
-
指導医を目指したい
-
研究・教育にも携わりたい
-
最新の医療技術を学びたい
など
現在の勤務先では症例数が少なかったり、希望する診療を担当できなかったりすると、「このままでは将来、目指している医師像に近づけない」と感じることがあります。
特に、若手~中堅医師の場合、転職によって経験できる症例や手技が変わるため、年収よりもキャリア形成を優先して転職先を選ぶこともあります。
ワークライフバランス
近年、医師の働き方を考えるうえで重要性が高まっているのが、仕事と生活のバランスです。「医師だから長時間勤務は仕方ない」と考えるのではなく、長く働き続けるために勤務環境を見直したいという考え方です。
たとえば、次のような考え・気持ちは、転職を考える大きなきっかけになります。
-
当直回数を減らしたい
-
オンコールから離れたい
-
残業を減らしたい
-
土日を休みたい
-
有給休暇を取得しやすい職場で働きたい
-
家族との時間を増やしたい
-
趣味やプライベートの時間を確保したい
など
特に、ライフステージの変化などは大きな転職理由になります。たとえば、「以前は週5日+当直でも問題なかったが、今後はもう少しゆとりを持って働きたい」というように、医師自身の価値観が変化することもあります。
勤務負担が大きい
ワークライフバランスとも関連しますが、こちらはより直接的に「仕事そのものが過重になっている」ケースです。
たとえば次のようなケースです。
-
1日の担当患者数が多すぎる
-
救急患者が集中する
-
医師不足で一人あたりの負担が大きい
-
入院患者を多数担当している
-
書類作成などの事務作業が多い
-
医師が本来やらなくてもよい業務まで担当している
-
当直明けも通常勤務が続く
など
勤務負担の大きさが理由で転職活動するにあたって特に注意したいのが、求人票だけでは実際の業務負担が分かりにくいことです。
「年収1,800万円」と書かれていると、金銭面的には魅力を感じますが、反面、非常に多くの患者を担当して、当直やオンコールも頻繁に発生する可能性があります。
そのため転職活動時には、年収だけでなく、「1日あたりの患者数」「担当病床数」「当直回数」「オンコール頻度」「残業時間」などを確認することが大切です。
病院・クリニックの経営方針への不満
医師個人の考え方やストレスが根本原因ではなく、勤務先の経営方針そのものに違和感を持って転職するケースもあります。
たとえば次のようなケースです。
-
経営を優先しすぎている
-
患者数を増やすことばかり求められる
-
診療方針と経営方針が合わない
-
現場の医師の意見が経営側に届かない
-
新しい設備・システムへの投資が進まない
-
スタッフ不足が放置されている
-
組織の将来性に不安を感じる
など
医師として「患者にとってより良い医療を提供したい」と考えていても、経営側と考え方が合わなければ、長期的に勤務を続けることが難しくなります。
そのため、転職では「年収・勤務時間」だけでなく、医療機関がどのような理念・経営方針を持っているかを見ることも重要です。
業務効率・医療DXへの不満
近年、医師の転職理由として注目したいのが、「もっと診療に集中できる環境で働きたい」というニーズです。たとえば、勤務環境が次のような場合、こうしたニーズが生まれやすいといえます。
-
紙カルテを使用している
-
電子カルテが導入されていない
-
電子カルテの操作性が悪い
-
医師が大量の書類作成をおこなっている
-
医療事務・クラークのサポートが不足している
-
検査・画像・処方などのシステム連携が不十分
-
同じ情報を何度も入力する必要がある
など
医師にとっては、こうした「診療以外の仕事」が積み重なることによって、勤務時間が長くなったり、患者と向き合う時間が減ったりします。
そのため、こういった不満が大元の原因で転職先を探す際には、「電子カルテがあるか」だけではなく、「電子カルテや周辺システムを使って、実際にどこまで業務を効率化できているか」を見ることが重要です。
勤務条件そのものを変えたい
転職を機に、働き方そのものを変えたいという医師もいます。
たとえば次のようなシフトが考えられます。
-
常勤から非常勤へ
-
週5日から週4日へ
-
当直ありから当直なしへ
-
夜勤ありから日勤のみへ
-
病院勤務からクリニック勤務へ
-
急性期から慢性期・療養へ
-
外来中心の働き方へ
-
定期非常勤+スポット勤務へ
など
このように希望していることが転職しようと決意するきっかけとなっている場合、「現在の職場が悪い」というより、自分にとって最適な働き方が変わったというケースです。
特に最近は、常勤一本にこだわらず、常勤・非常勤・スポットを組み合わせて働くという選択肢もあります。
開業・独立を目指す
将来的な開業・独立を目的として転職する医師もいます。
たとえば、次のような目標がある場合です。
-
「将来、内科クリニックを開業したい」
-
「美容医療の経験を積んで開業したい」
-
「訪問診療のクリニックを経営したい」
など
この場合、単純に年収の高い求人を選ぶのではなく、たとえば次のような視点を持って、将来の独立につながる経験ができる職場を選ぶことが重要になります。
-
開業したい診療科の経験を積めるかどうか
-
経営について学べるかどうか
-
集患・マーケティングを学べるかどうか
-
スタッフマネジメントを経験できるかどうか
-
医療法人の運営を学べるかどうか
-
開業医との人脈をつくることができるかどうか
など
ライフステージの変化
最後は、本人の生活環境の変化です。これは、医療機関への不満とは関係なくても、転職が必要になる代表的な理由です。
たとえば次のような変化です。
-
結婚
-
子育て
-
子どもの進学
-
親の介護
-
配偶者の転勤
-
引っ越し
-
地方への移住
-
家族との時間を増やしたい
など
たとえば、これまでは当直を月4回こなしていた医師でも、子育てをするようになると「当直なし」「土日休み」「時短勤務」などを希望するようになることがあります。つまり、同じ医師でも、20代・30代・40代・50代・60代では求める勤務条件が変わることがあるということです。
医師の転職理由の大分類
上記10項目を整理すると、次の5つに集約できます。
| 大分類 | 主な転職理由 |
|---|---|
| 待遇 | 年収・昇給・手当・インセンティブなど |
| 職場環境 | 人間関係・経営方針・業務負担など |
| キャリア | 専門性・症例数・資格・開業など |
| 働き方 | 当直・残業・勤務日数・非常勤化など |
| 人生設計 | 結婚・子育て・介護・転居など |
そして、実際には「年収を上げたい+当直を減らしたい」「キャリアアップしたい+症例数を増やしたい」など、複数の理由が重なっていることが多いと考えると分かりやすいでしょう。
特に求人を探す際には、「転職理由=不満」だけで終わらせず、「次の職場で何を実現したいのか」まで言語化することが、ミスマッチを防ぐポイントになります。
医師転職の標準スケジュール
医師の転職活動は、情報収集から入職までに約3~6カ月程度かかることを、1つの目安にすると進めやすいでしょう。特に常勤の場合は、現在の勤務先への退職申し出や引き継ぎもあるため、余裕を持ったスケジュール設定が重要です。
【医師転職の基本的な流れ】
| 時期の目安 | ステップ | 主な内容 |
|---|---|---|
| 入職6~4カ月前 | ① 転職準備・自己分析 | 転職理由、希望条件、キャリアプランを整理 |
| 入職5~3カ月前 | ② 求人情報を収集 | 医療機関・転職サイト・エージェントなどから求人を比較 |
| 入職4~2カ月前 | ③ 応募・面接 | 求人への応募、条件確認、面接・見学 |
| 入職3~2カ月前 | ④ 条件交渉・内定 | 年収、勤務日数、当直、オンコールなどを最終確認 |
| 入職2~1カ月前 | ⑤ 退職手続き | 現職への退職申し出、業務引き継ぎ、有給休暇の調整 |
| 入職1カ月前~直前 | ⑥ 入職準備 | 必要書類の提出、勤務開始日の確認、職場のルール確認 |
| 入職日 | ⑦ 新しい職場で勤務開始 | オリエンテーション、診療体制・業務内容の確認 |
入職6~4カ月前:転職準備・自己分析
まずは、「なぜ転職するのか」「次の職場で何を実現したいのか」を整理します。
たとえば、次のようなことが挙げられるでしょう。
-
年収を上げたい
-
当直を減らしたい
-
ワークライフバランスを改善したい
-
専門性を高めたい
-
症例数を増やしたい
-
開業に向けた経験を積みたい
-
人間関係を変えたい
-
常勤から非常勤に変更したい
など
ここで重要なのは、希望条件に優先順位をつけることです。
「年収1,800万円以上」「当直なし」「週4日」「駅近」「専門性も高めたい」など、すべての条件を満たす求人は限られます。
そのため、次のように整理しておくと、求人選びがスムーズになります。
-
絶対に譲れない条件(例)当直なし、週4日など
-
できれば実現したい条件(例)年収、勤務地、設備など
入職5~3カ月前:求人情報を収集
自己分析ができたら、実際に求人を探します。
主な情報収集ルートは次の通りです。
-
医師向け転職サイト
-
医師転職エージェント
-
医療機関の公式サイト
-
知人・医局からの紹介
-
医師向け求人媒体
など
この段階では、1つの求人だけを見て決めるのではなく、複数の求人を比較することが大切です。
特に比較したいのは次の点です。
-
年収
-
勤務日数
-
勤務時間
-
当直回数
-
オンコール
-
休日
-
有給休暇
-
患者数
-
症例内容
-
医師数
-
医療スタッフの体制
-
電子カルテなどのIT環境
-
福利厚生
-
退職金の有無
など
求人票に書かれている情報だけでなく、実際の勤務負担や職場環境について確認することも重要です。
入職4~2カ月前:応募・面接・医療機関見学
希望する求人が見つかったら応募します。
医師の場合、一般的な企業の転職活動のように面接のみで済ませるのではなく、実際に求人先の医療機関の見学をおこなうことも重要です。
実際に現場を見ることで、たとえば次のような、求人票だけでは分からない情報を自分の目で確認することができます。
-
医師同士の雰囲気
-
看護師・スタッフとの関係
-
外来の混雑状況
-
医療設備
-
電子カルテの使用状況
-
医師の働き方
-
職場の清潔感
など
また、面接では「自分が何を求めているか」を明確に伝えることが大切です。
入職3~2カ月前:条件交渉・内定
面接後、採用となれば具体的な勤務条件を詰めていきます。
ここは非常に重要な段階です。
確認したいのは、「年収はいくらか」だけではありません。たとえば次のような項目に関して、分からないことはすべて確認したいところです。
-
週何日勤務か
-
1日の勤務時間
-
当直の有無・回数
-
オンコールの有無
-
当直手当
-
時間外勤務の扱い
-
インセンティブ
-
休暇
-
学会参加への補助
-
交通費
-
契約期間
-
試用期間
-
退職に関する規定
など
特に、口頭で説明された条件と、最終的な雇用契約書の内容が一致しているかは必ず確認することが大切です。
入職2~1カ月前:現在の勤務先へ退職申し出
転職先が決まったら、現在の勤務先に退職の意思を伝えます。
医師の場合、患者の引き継ぎや担当業務の整理が必要になるため、退職直前に申し出るのではなく、早めに準備することが重要です。
たとえば、次のような業務の整理・調整が必要になる場合が多いです。
-
担当患者の引き継ぎ
-
外来枠の調整
-
手術・処置予定の整理
-
当直スケジュールの調整
-
診療録などの整理
-
後任医師への引き継ぎ
など
なお、退職を申し出る時期は雇用契約や就業規則によって異なるため、契約書・就業規則を確認したうえで進めることが大切です。
入職1カ月前~直前:入職準備
退職手続きと並行して、新しい勤務先への入職準備を進めます。
たとえば、次のような準備が必要です。
-
医師免許証など必要書類の提出
-
保険医登録に関する手続き
-
給与・社会保険関連の書類
-
勤務開始日の確認
-
初日の集合時間・場所の確認
-
電子カルテの操作方法
-
院内ルールの確認
-
白衣・スクラブなどの準備
など
転職先によって必要書類や手続きが異なるため、勤務先の指示に従って準備します。
入職:新しい職場で勤務開始
いよいよ新しい職場での勤務開始です。初日はオリエンテーションや院内案内などから始まり、その後、勤務形態に応じて診療を開始します。
特に最初の1~3カ月については、「新しい職場のルールや診療フローを理解する期間」と捉えることが重要です。前の勤務先との違いに戸惑うこともありますが、周囲のスタッフと適切なコミュニケーションを取ることによって、徐々に環境に慣れていくことができます。
≪医師転職のスケジュールで特に注意したいこと≫
医師の転職では、「いつまでに今の職場を辞めたいか」から逆算して動くのがおすすめです。つまり、「求人を見つけてから退職」ではなく、「退職時期から逆算する」ということです。
たとえば、4月入職を希望する場合、次の流れが1つのモデルになります。
前年10~11月:転職準備
↓
11~1月:求人探し・応募
↓
12~2月:面接・見学・条件交渉
↓
1~2月:内定・入職決定
↓
2~3月:退職手続き・引き継ぎ
↓
4月:新しい職場へ入職
ただし、医師の場合、転職先や診療科、常勤・非常勤、現在の勤務先の退職ルールなどによって必要期間が大きく変わります。
特に、年度はじめである4月から働きたい場合は、直前になって慌てないよう、半年前程度から情報収集を始めておくと選択肢を確保しやすいでしょう。
医局を円満退局するための切り出し方と注意点
医局を退局して転職する場合、一般的な転職以上に「いつ・誰に・どのように伝えるか」が重要です。特に大学病院や関連病院との人事調整があるため、感情的に「辞めます」と伝えるのではなく、これまでの感謝を示しながら、退局の意思を明確に伝えることがポイントです。
まず「退局の意思」を自分の中で固める
上司に相談する前に、最低限、次の点を整理しておきましょう。
-
なぜ退局したいのか
-
退局後はどのような働き方をしたいのか
-
転職先は決まっているのか
-
いつ頃までに退局したいのか
-
現在、担当している患者・業務をどう引き継ぐか
-
医局への不満ではなく、どのようなキャリアを目指しているのか
特に重要なのは、「辞めたい理由」と「辞めた後の方向性」を説明できるようにしておくことです。
最初に誰へ伝える?
基本的には、直属の上司や医局の責任者に、最初に直接伝えるのが無難です。
いきなり医局員全員に伝えたり、先に関連病院や転職先へ話したりすると、医局側との信頼関係を損なう可能性があります。
また、退局の意思をメールやLINEだけで伝えるのではなく、まずは面談の場を設けるのがおすすめです。
たとえば、「先生にご相談したいことがありまして、お時間をいただけないでしょうか」と面談の時間を取ってもらい、その場で話します。
切り出し方は「相談」から入る
いきなり、「医局を辞めます」と切り出すより、「今後のキャリアについてご相談したいことがあります」と始めるほうが、話し合いの場を作りやすくなります。
そのうえで、退局の意思が固まっているのであれば、曖昧な表現を続けず、最終的には明確に伝えることが大切です。
(伝え方の例)
「これまで医局で多くの経験をさせていただき、本当に感謝しています。そのうえで、今後のキャリアについて改めて考えた結果、○○の分野をさらに深めていきたいという気持ちが強くなりました。大変恐縮ですが、○月頃を目安に退局させていただきたいと考えています」
ポイントは、「感謝 → 今後のキャリア → 退局の意思 → 希望時期」という順番です。
「医局への不満」を退局理由の中心にしない
次のような理由は、退局理由として相応しくありません。
-
給料が安い
-
上司が嫌い
-
人間関係が悪い
-
医局のやり方が古い
-
忙しすぎる
-
○○先生と合わない
など
つまり、現在の環境への不満を並べるのは避けたほうが無難であるということです。たとえ本当の理由だったとしても、相手を批判する形になると、感情的な話し合いになりやすくなります。
その代わりに、「これから何をしたいのか」を軸に説明します。
たとえば、次のような話し方が無難です。
-
「今後は外来診療を中心とした働き方に移行したい」
-
「○○領域の症例をさらに経験したい」
-
「家族との時間も考えて、勤務スタイルを見直したい」
など
これは、退局理由を無理に取り繕うという意味ではありません。過去への不満ではなく、未来のキャリアを軸に話すことによって、建設的な話し合いにしやすくなります。
退局時期はできるだけ余裕を持って伝える
医局では、医師の異動によって関連病院の人事や患者の診療体制にも影響が出ることがあります。そのため、「来月辞めたいです」というような急な申し出は、調整を難しくする可能性があります。
特に、次のような場合について、引き継ぎ期間を十分に確保する必要があります。
-
関連病院で勤務している
-
主治医として患者を多数担当している
-
当直・オンコールを担当している
-
手術や専門外来を担当している
-
後任医師の確保が必要
など
ただし、具体的な申し出時期については、雇用契約や医局・勤務先の規定、人事スケジュールを確認したうえで判断することが重要です。
引き止めへの対応を事前に考えておく
医局を退局する際には、「もう少し残ってくれないか」「待遇を改善するから考え直さないか」「関連病院を変えることもできる」など、引き止めを受けることがあります。
ここで大切なのは、退局する意思が固まっているのか、まだ迷っているのかを自分自身ではっきりさせておくことです。
意思が固まっているのに「少し考えます」と曖昧にすると、退局の話が先延ばしになる可能性があります。
それを防ぐためにも、「お気遣いいただいて本当にありがたいです。ただ、今後のキャリアについて十分に考えたうえでの決断ですので、退局の方向で進めさせていただきたいです」というように、感謝を示しつつ意思を変えないことがポイントです。
「転職先が決まってから退局を伝える」は慎重に
これはケースによって判断が必要です。
転職先が決まっていない段階で退局を申し出ることにもリスクがあります。一方で、医局の人事調整を考えると、転職先が決まるまで退局の意思を伝えないことが適切とは限りません。
そのため、「転職先を決める → 退局を伝える」と一律に考えるのではなく、次の点を踏まえて適切に判断しましょう。
-
現在の雇用契約
-
医局との関係
-
関連病院の人事時期
-
退局希望時期
-
転職活動の進捗
など
転職エージェントを利用する場合は、「医局にいつ退局を伝えるべきか」についても事前に相談しておくと安心です。
なお、失敗しないエージェント活用法については追って詳しく解説していきます。
患者・関連病院への配慮を忘れない
退局は医師個人のキャリア選択ですが、患者や勤務先には影響が生じます。
そのため、次の点については丁寧におこなうことが大切です。
-
担当患者の引き継ぎ
-
診療情報の整理
-
手術・処置予定の確認
-
外来患者への対応
-
当直・オンコールの引き継ぎ
-
関連病院との調整
など
「辞めること」よりも「どう辞めるか」が、その後の医局や医師仲間との関係を左右することがあります。
退局後も医局との関係は完全には切れない
医師の世界は、一般企業よりも人脈や紹介、学会・研究活動などのつながりが長く続くことがあります。
たとえば将来的に、次のようなことが起きる可能性もあります。
-
大学病院に戻る
-
非常勤で勤務する
-
関連施設と関わる
-
共同研究をする
-
学会活動を続ける
-
元医局員から紹介を受ける
そのため、退局時に「もう関係ない」と考えるのではなく、できるだけ良好な関係を残しておくことが、長期的なキャリアにとってプラスになる場合があります。
【ポイント】円満退局の基本は「不満ではなく未来を語る」
医局を退局するときにもっとも大切なのは、「今の医局が嫌だから辞める」ではなく、「これからこういう医師になりたいから、新しい環境へ進む」という形で伝えることです。
≪円満退局のポイント≫
-
退局理由を自分の中で整理する
-
直属の上司・医局責任者に最初に伝える
-
面談の場を設けて直接話す
-
感謝を伝える
-
キャリアやライフプランを軸に説明する
-
退局の意思は曖昧にしない
-
十分な引き継ぎ期間を確保する
-
引き止めへの対応を事前に考えておく
-
患者・関連病院への影響にも配慮する
-
退局後も良好な関係を維持する
医局から離れることは、これまでの人間関係やキャリアをすべて捨てることではありません。これまで医局で得た経験や人脈を次のキャリアにつなげるためにも、最後まで誠実に対応することが、結果的に自分自身のキャリアを守ることにつながります。
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医師の転職活動における、失敗しないエージェント活用法
医師の転職では、転職エージェントを上手に使うことによって、求人探しだけでなく、条件交渉・面接対策・勤務先の情報収集・退職までの段取りを効率化できます。
一方で、エージェントに任せきりにすると、「希望していない求人を勧められる」「年収だけを強調される」「実際の勤務負担を十分確認しないまま入職する」といったミスマッチにつながることもあります。
そうした失敗を防ぐために、次の点に注意することが大切です。
エージェントを「求人を紹介してくれる人」だけだと考えない
優秀なエージェントは、単に求人を紹介するだけではありません。
医師の希望を聞いたうえで、次の点についてもサポートしてくれます。
-
非公開求人の紹介
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医療機関との条件確認
-
年収・勤務条件の交渉
-
面接日程の調整
-
医療機関見学の調整
-
面接対策
-
内定後の条件確認
-
退職・入職スケジュールの相談
など
特に医師の場合、「求人票には書かれていない勤務実態をどこまで把握しているか」がエージェント選びの重要なポイントです。
最初に「転職の目的」を具体的に伝える
エージェントとの最初の面談で、「いい求人があれば転職したいです」だけでは、担当者も求人を絞り込みにくくなります。
たとえば、「年収を上げたい」だけではなく、「現在は、週5日勤務で当直は月4回こなしています。年収は1,500万円程度です。転職では、年収1,700万円以上を目指したいと考えていますが、それ以上に、当直を月1~2回程度まで減らしたいです」というように伝えると、かなり具体的になります。
さらに、次の点について、「絶対条件」と「できれば叶えたい条件」に分けて伝えると効果的です。
-
年収
-
勤務日数
-
勤務時間
-
当直
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オンコール
-
勤務地
-
診療内容
-
キャリア
-
業務効率化・電子カルテ
-
クリニック/病院の希望
など
エージェントは1社だけに絞りすぎない
最初から1社だけに決める必要はありません。
複数のエージェントに相談することで、次の点についても比較できます。
-
求人数
-
非公開求人
-
担当者の対応
-
医療機関についての情報量
-
条件交渉力
-
自分との相性
ただし、登録先を増やしすぎると、同じ求人への重複応募や連絡の増加などで管理が大変になります。2~3社程度に相談して、もっとも信頼できる担当者を中心に進めるという方法も有効です。
「求人を紹介されたら即応募」は避ける
エージェントから求人を紹介されても、すぐに応募する必要はありません。まず、「なぜこの医療機関が自分に合うと思ったのか?」を聞いてみましょう。
さらに、次の点についても確認します。
-
なぜその医療機関は医師を募集しているのか
-
現在の医師数
-
医師の平均的な勤務年数
-
これまでの退職者数
-
1日の患者数
-
当直の実態
-
オンコールの呼び出し頻度
-
残業の実態
-
医師以外のスタッフ体制
-
電子カルテやクラークの導入状況
など
「求人票に書いてあること」より、「エージェントが医療機関の実態をどこまで把握しているか」を見ることが重要です。
「高年収」の裏側を必ず確認する
エージェントから、たとえば「こちらの医療機関は年収2,000万円です」と紹介された場合、年収だけで判断してはいけません。
なぜかというと、たとえば「年収2,000万円+当直週1回+オンコールあり」と「年収1,700万円+当直なし+オンコールなし」では、働き方が大きく異なります。
確認すべきなのは、「その年収を得るために、どれだけ働く必要があるのか」です。
なお、次の点についてもしっかり確認することが大切です。
-
当直
-
オンコール
-
救急対応
-
患者数
-
(外科系の場合)手術件数
-
外来数
-
管理業務
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残業
「実際の勤務実態」をエージェントに質問する
ここが、エージェント活用の最大のポイントです。
たとえば、「求人票には当直月2回とありますが、実際には何時頃まで忙しいのでしょうか?」「オンコールは月何回くらい呼び出されますか?」「この求人から過去1~2年で退職した医師はいますか?」「現在勤務している先生方はどのくらいの年収なのでしょうか?」など、具体的に質問しましょう。
担当者が医療機関から得ている情報が豊富であれば、より具体的に回答できるはずです。
逆に、何を質問しても、「詳しいことは面接で聞いてください」だけで終わる場合は、慎重に判断したほうがよいでしょう。
条件交渉はエージェントに任せる
医師自身が医療機関に直接、「年収をあと200万円上げてもらえませんか?」と交渉するのは、心理的な負担もあります。
エージェントを利用するメリットの一つは、第三者として条件交渉をしてもらえることです。
たとえば、次のような点について交渉してもらえます。
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年収
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勤務日数
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当直回数
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オンコール
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勤務時間
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役職
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インセンティブ
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学会参加支援
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入職時期
など
ただし、すべての希望が通るわけではありません。「自分にとって何が最優先なのか」を担当者に伝えておくことが重要です。
面接・見学では「自分でも確認する」
エージェントから、「非常に働きやすい職場です」と聞いても、それだけで決めてはいけません。可能であれば医療機関を見学して、自分の目で確認しましょう。
特に見るべきなのは次の点です。
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医師同士の雰囲気
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看護師・スタッフとの関係
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外来の混雑
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医師の人数
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診療スペース
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電子カルテ
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医療クラークの有無
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スタッフの忙しさ
なぜかというと、「働きやすさ」は、求人票の文字だけでは判断できないため、実際の働きやすさにつながる点についてはしっかりと確認することが大切だからです。
条件は必ず「書面」で確認する
口頭で、「週4日で大丈夫です」「当直はありません」「年収1,800万円です」などと言われても、そのまま入職を決めないことが重要です。
最終的には、雇用契約書・労働条件通知書・その他の正式な条件提示書類などで確認します。
特に、年収・勤務日数・勤務時間・当直・オンコール・休日・インセンティブは必ず確認しましょう。
担当者の「押しの強さ」に流されない
エージェントによっては、「この求人は人気なので早く応募しましょう」「今決めないと枠がなくなるかもしれません」など、応募や意思決定を急かしてくることがあります。もちろん、本当に人気求人で早めの対応が必要なケースもあります。
しかし、「急かされたから応募する・決める」という判断は避けるべきです。自分の転職なのですから、「もう少し比較してから決めたい」と伝えて問題ありません。
エージェントに「断る」ことも大切
紹介された求人が希望と違う場合は、遠慮せず断りましょう。
たとえば、「年収は魅力的ですが、当直回数が希望より多いため今回は見送ります」「診療内容が今後のキャリアと合わないため応募しません」など、理由を明確に伝えます。
これを繰り返すことによって、担当者も「この医師が本当に求めている条件」を理解しやすくなります。
≪失敗しないエージェント活用の5ステップ≫
失敗しないエージェント活用方法を5つのステップにまとめると次の通りです。
- STEP 1 転職目的を整理する
↓
- STEP 2 2~3社程度に相談して担当者を比較する
↓
- STEP 3 求人票だけでなく勤務実態を質問する
↓
- STEP 4 面接・見学で自分自身でも確認する
↓
- STEP 5 条件を書面で確認してから入職を決める
≪もっとも大切なのは「エージェントに任せきりにしない」こと≫
転職エージェントは、医師の転職活動を効率化してくれる強力なパートナーです。一方で、最終的に勤務先を選ぶのは医師自身です。
「年収はいくらか」だけではなく、「どれだけ働くのか」「誰と働くのか」「何を経験できるのか」「どのような医療をおこなっているのか」についてしっかりと確認することが、転職後のミスマッチを防ぐポイントです。
転職で失敗する医師の共通点と回避策
医師の転職では、「年収が上がった」「希望の勤務先に移れた」だけでは、必ずしも成功とはいえません。実際に働き始めてから「思っていた勤務内容と違った」「忙しすぎる」「人間関係が合わない」と気づくケースもあります。
転職を成功させるためには、求人票の条件だけで判断せず、自分が転職で何を実現したいのかを明確にしたうえで、勤務実態まで確認することが重要です。
≪医師の転職でよくある失敗と回避策≫
| 失敗する医師の共通点 | 起こりやすい失敗 | 回避策 |
|---|---|---|
| 年収だけで求人を選ぶ | 高年収だが激務・当直が多い | 年収と勤務負担をセットで確認 |
| 求人票を鵜呑みにする | 実際の患者数や業務量が想定と違う | 面接・見学で勤務実態を確認 |
| 転職理由が曖昧 | 転職先でも同じ不満を抱える | 「何を変えたいか」を明確にする |
| 希望条件を整理していない | 入職後に「こんなはずでは」となる | 必須条件と妥協できる条件を分ける |
| 職場の人間関係を確認しない | 上司・スタッフとの相性が合わない | 見学や面接で職場の雰囲気を確認 |
| 当直・オンコールを軽視する | 想像以上に拘束される | 回数・時間・呼び出し頻度まで確認 |
| キャリアとの相性を考えない | 症例や専門性が希望と違う | 3~5年後のキャリアから逆算 |
| 転職を急ぎすぎる | 条件比較が不十分になる | 複数求人を比較して決める |
| 条件を口約束で済ませる | 入職後に認識の食い違いが発生 | 労働条件を書面で確認 |
| 現職への退職対応を軽視する | 医局・勤務先との関係が悪化 | 早めに退職・引き継ぎを準備 |
「年収が高い」という理由だけで決めてしまう
医師の転職では、年収は非常に重要な条件です。
しかし、「高年収=好条件」とは限りません。
たとえば、次の2パターンの求人があった場合、どちらがよい求人であるかは医師本人の希望によって変わります。
(ケース1)
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年収2,000万円
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当直週1回
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オンコールあり
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救急対応あり
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1日の患者数が非常に多い
(ケース2)
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年収1,600万円
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当直なし
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オンコールなし
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残業少なめ
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外来中心
【回避策】
年収だけでなく、「勤務日数 × 勤務時間 × 当直・オンコール × 患者数 × 業務内容」まで含めて比較しましょう。
求人票の情報だけで判断する
求人票には、勤務時間や年収、業務内容などが記載されていますが、職場の実態まですべて分かるわけではありません。
たとえば、「残業少なめ」と書かれていても、次のような要素によって実際の拘束時間は変わります。
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実際の平均残業時間
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診療終了後の書類作成
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カンファレンス
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委員会業務
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オンコール時の呼び出し
など
【回避策】
面接・医療機関見学では、「先生方は普段何時頃に帰宅されていますか?」「1日の平均的な患者数はどの程度でしょうか?」「オンコールでは月に何回程度呼び出しがありますか?」など、具体的な数字を聞くことが重要です。
「転職したい理由」が曖昧
「今の職場が嫌だから」という理由だけで転職すると、次の職場でも同じ問題に直面する可能性があります。
たとえば、「忙しいから転職したい」だけでは不十分です。
本当に改善したいのは、患者数なのか・当直なのか・残業なのか・人間関係なのか・診療科なのか・勤務日数なのかを明確にする必要があります。
【回避策】
転職前に、「今の職場で何が嫌なのか」を自問自答して、「それを次の職場でどう変えたいのか」を整理しましょう。
希望条件に優先順位をつけていない
「年収アップ」「当直なし」「週4日」「駅近」「症例も豊富」など、希望をすべて叶えようとすると、求人の選択肢が狭くなります。
そこで、希望する条件について、たとえば次のように分類します。
【絶対に譲れない条件】(例)
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当直なし
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週4日勤務
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自宅から1時間以内
【できれば叶えたい条件】(例)
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年収1,800万円以上
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電子カルテ
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学会参加支援
これだけでも求人選びがかなりしやすくなります。
人間関係・職場の雰囲気を確認していない
転職後の満足度を左右するのが、職場の人間関係です。
求人票には、「アットホームな職場です」「医師同士の連携が良好です」などと書かれていても、それだけで実態を判断することはできません。
【回避策】
可能であれば入職を決める前に医療機関を見学して、医師同士の会話・看護師との関係・スタッフの雰囲気・医師の年齢構成・医師の定着状況などを確認しましょう。
また、面接時に「なぜ今回、医師を募集しているのか」を質問することは極めて大切です。欠員補充なのか、患者数増加による増員なのか、それとも短期間で医師が辞めているのかでは意味が大きく違います。
当直・オンコールを軽く考える
「当直月2回」と書いてあっても、その内容によって負担は大きく異なります。
確認したいのは、主に次のような点です。
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当直回数
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当直時間
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救急対応の有無
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当直中の平均患者数
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翌日の勤務
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オンコール回数
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実際の呼び出し頻度
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オンコール手当
など
なお、特に重要なのは、「オンコールあり=必ず呼び出されるわけではない」という点です。「月5回のオンコール」と「月5回だが実際の呼び出しはほぼない」では負担がまったく違います。
キャリアとの相性を考えない
目先の年収だけを見て転職すると、数年後に、「自分がやりたかった医療と違う」という問題が起きることがあります。
たとえば、専門医取得を目指しているのに症例数の少ない施設へ転職したり、将来的に開業したいのに経営やマネジメントを経験できない職場へ移ったりするケースです。
【回避策】
求人を見るときは、「この職場で3~5年働いたら、自分はどんな経験を積めるか?」を考えましょう。転職先は単なる「勤務先」ではなく、キャリア形成の場として選ぶことが重要です。
転職を急ぎすぎる
「今の職場を早く辞めたい」という気持ちが強いと、最初に条件の良さそうな求人が見つかった時点で決めてしまうことがあります。しかし、医師求人は診療科や地域によって選択肢が大きく異なります。
【回避策】
最低でも複数の求人を比較して、「なぜこの求人を選ぶのか」を説明できる状態にしてから決めることをおすすめします。
条件を口約束だけで済ませる
これに関しては、転職エージェント選びに関しての項目でも説明した通りです。面接時に口頭で約束されたことに関して、入職後に認識が食い違うことがあるので注意が必要です。
【回避策】
面接時の口約束に関しても、最終的には、雇用契約書・労働条件通知書・その他の正式な条件提示書類などで、勤務条件を書面で確認することが重要です。
転職先が決まったことだけに意識が向き、現在の勤務先や医局への退職手続きを急いでしまうケースにも注意が必要です。特に、医局に所属している場合は、関連病院の人事や患者の引き継ぎなどが関係することがあります。
【回避策】
退職時期は早めに検討して、「退職意思の伝達 → 人事調整 → 患者・業務の引き継ぎ → 退職」という流れを意識しましょう。
転職成功のための「5つの確認」
最後に、求人を決める前に次の5つを確認しておくと、転職後のミスマッチをかなり減らせます。
- ① なぜ医師を募集しているのか?
欠員補充なのか、事業拡大による増員なのか
② 実際の勤務負担はどの程度か?
患者数、当直、オンコール、残業など
③ 職場の人間関係・雰囲気はどうか?
可能なら見学して確認
④ 自分のキャリアにつながるか?
症例、専門性、資格、開業などとの相性
⑤ 提示された条件が書面に反映されているか?
年収だけでなく、勤務日数・時間・当直なども確認
もっとも避けたいのは「転職したこと」ではなく「転職先選びを間違えること」です。その点を踏まえて、医師の転職では、「今の職場を辞めること」より「次の職場を慎重に選ぶこと」のほうが重要であることを頭に入れておきましょう。
年収アップだけを目的にせず、「待遇・働き方・人間関係・キャリア・業務効率」の5つを総合的に比較することによって、自分に合った勤務先を見つけやすくなります。
特に、最近は電子カルテや医療クラークの活用など、「医師が診療に集中できる環境が整っているか」も転職先選びの重要なチェックポイントになっています。
「この職場なら自分の理想とする働き方ができる」と思える転職を見つけよう!
医師の転職は、単に「今の職場を辞めて、別の病院へ移る」ということではありません。これからどのような医師として働きたいのか、どのような生活を送りたいのかを見直す大切な機会です。
「年収を上げたい」「当直を減らしたい」「専門性を高めたい」「もっと患者さんと向き合える環境で働きたい」など、転職を考える理由は人それぞれです。大切なのは、まず自分が転職によって何を実現したいのかを明確にすることです。
求人を選ぶ際には、年収だけで判断せず、勤務時間、当直・オンコール、患者数、人間関係、医療スタッフのサポート体制、電子カルテなどの業務効率化、そして将来のキャリアまで総合的に確認しましょう。
また、求人票だけでは分からない「実際の働きやすさ」を、面接や医療機関見学、転職エージェントなどを通じて確認することも重要です。
転職は、必ずしも「今の職場から逃げること」ではありません。これまで培ってきた経験を生かしながら、より自分らしく、長く働ける環境を選ぶための前向きなキャリア選択です。焦って決める必要はありません。まずは情報収集から始め、さまざまな選択肢を比較しながら、「この職場なら自分の理想とする働き方ができる」と思える転職先を見つけてください。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
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