患者が来院せずに診療が受けられる「オンライン診療」は、新型コロナの影響もあり需要が急激に増えています。オンライン診療を行うには、遠隔医療従事者研修を受ける必要がありますが、現在はコロナ禍での特別措置として未終了でも容認されており、これを機に導入を検討している医師も多いでしょう。今回は、このオンライン診療における「保険診療」と「自由診療」の違いを紹介します。
それぞれの診療の違いとは?
保険診療は、その呼び方のとおり「保険が適用される診療」です。国民健康保険や健康保険といった公的医療制度の対象となる診療で、患者は保険証を提示することで、自己負担は診療費の3割になります(未就学児や高齢者の場合は1~3割負担)。例えば、診療費が1,000円である場合は、7割の700円を保険組合側が負担し、残りの300円を被保険者が支払う形です。
また、保険加入者の「自己負担額」には上限が設けられています(所得によって5段階で区分)。1カ月の医療費がこの自己負担額を超えた場合、「高額療養費」として、負担額上限を超えた分が払い戻されます。保険診療の場合は、医療費が高額になった場合でも安心できるのが特徴です。
一方の「自由診療」は、保険が適用されない、いわゆる「保険適用外診療」のことです。自由診療の場合の医療費は、医療機関で自由に決められるので、一般的に高額になりやすい傾向にあります。また、保険が適用されないため、診療費は全て自己負担となります。自由診療は患者側にとっては負担が大きくなりますが、クリニックとしては収入面でメリットのある診療方法といえます。
オンライン診療に伴う、保険診療について
初診をオンラインで行うことは原則として禁止とされていますが、コロナ禍の現在は特別措置として初診が可能になりました。ただし、オンラインで診療可能かどうかは医師の判断によって決めることになっています。例えば、患者さんが診断をお願いしても、医師がオンライン診療は難しいと判断した場合は、診療を断り、対面での診療を促すことができます。
オンラインでの保険診療対象となる疾患は、厚生労働省がガイドラインでまとめています。例えば、
- がん、糖尿病などの特定疾患療養
- 脳性麻痺などの小児科療養
- てんかん指導料
- パーキンソン病などの難病外来指導
- 生活習慣病管理料
- 精神科在宅支援管理料
などが挙げられます(項目が非常に多いため詳細は厚生労働省のHPでご確認ください)。
参照元:令和2年度診療報酬改定について - 特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件(告示)
オンライン診療が可能だと判断した場合の医療費ですが、保険加入者は対面時での診療と同じく原則3割負担となります。ただし、クリニック側の点数計算は対面とは異なり、初診の場合は288点ではなく214点(電話・情報通信機器共に)となる点に注意です。
オンライン診療に伴う自由診療について
予防注射や美容整形、健康診断、日常生活に支障のない疾患など、一般的に医師が治療を必要だと認めない症例は保険診療の対象外となります。オンライン診療の場合、オンライン保険診療対象外の疾患は全て自由診療です。実際にオンラインによる自由診療を行っているクリニックを参考にすると、
- 禁煙外来
- AGA(FAGA)診療
- ED診療
- シミ、そばかす診療
- 更年期障害診療
などを自由診療で受け付けている例が挙げられます。
また、自由診療の場合は上述のように医療費をクリニックが自由に決められるため、患者の負担を減らすために、保険適用時と同じような金額になるよう設定しているクリニックもあるようです。
オンライン診療の保険診療と自由診療の違いをご紹介しました。オンラインであっても、対面時と同じく保険適用外の疾患は自由診療となります。ただし、原則禁止されていたオンラインでの初診が特別に解禁されるなど、オンライン診療のガイドラインはまだ過渡期。それだけに、導入には慎重な判断が必要だといえます。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
特徴
オンライン診療機能
システム提携
診療科目
この記事は、2020年10月時点の情報を元に作成しています。