クリニックにおけるデザインでもっとも重要なのは、「患者さんを癒すこと」です。
クリニックの利用者のほとんどは患者さんで心身ともに弱っている状態で訪れます。そのため、患者さんは一般の利用者よりストレスを感じやすいのです。
その患者さんにストレスを与えない空間作りをすることがクリニックにおけるデザインの基本的な必要性となります。
この記事ではそうした「クリニックのデザインコンセプト」について、いくつか重要なポイントや考え方をご紹介します。
医療施設の設計監理を手がける建築設計事務所「HAK」
コンサルに頼らず、医師自ら創り上げていくメディカルモールをプロデュース。弊社では『癒し 心地よさ』をデザインするを心がけ、また通院したくなる医療空間を提案しております。
詳しい内容を知りたい方は下記フォームからお問い合わせください。
コンセプトはデザインから「癒すこと」
患者さんにストレスを与えない空間を提供するにあたって、デザイン段階で求められることは、結局患者さんを癒すことに他なりません。従来のクリニックの考えは、清潔感重視の空間作りで計画されるのが一般的でした。
ここに癒しや心地よさを感じられる空間をデザインすることで、医療技術だけでは賄えないメンタルサポートが可能となります。それが、デザインから癒すこととなり、その結果、他のクリニックとの差別化が生まれ、かかりつけクリニックとして患者さんを誘導していくことにもつながります。
医療はサービス業
ある統計によりますと、医療機関選択時の重視点の1位は、近場で通院しやすいです。2位が医師やスタッフの対応です。この統計より読みとれるのは、1位の近場は物理的要因ですが、2位の医師やスタッフの対応はサービス面を重視していることがわかります。
2002年に日本の標準産業分類改定により、従来のサービス業から、「医療・福祉」の分野が分割され、医療サービスという言葉が一般的になりました。
皆様はお気付きでなかったかも知れませんが、「医療は実はサービス業」なのです。よって、そこに通う患者さん達は技術だけではなく、サービスをも求めているのです。しかるに、クリニック選択の一つにレストランやカフェを選択するように癒しや心地よさを感じられる空間があるということが重要な要素となります。
デザインの原点は患者さん本位のクリニック作り
デザインと言いますと、奇抜なものやカラフルなものを連想しがちですが、ここでいうデザインは違います。例えば、診察室の椅子で考えましょう。大体、診察する側の医師の椅子は、高級なアーロンチェアーが多いです。これは長時間椅子に座ることを考えれば正しい選択です。一方患者側の椅子は大体座がグレーの回転椅子です。背中等を安易に見るためには便利なのですが医師の椅子と比べるとかなりみすぼらしい。これでは癒しの空間を演出できません。
この回転椅子を皮張りで背面が低い回転椅子(洒落たレストランのカウンターにある様な)に変えることで、医師との対等感が生まれ、問診時も臆することなく話ができ心地よい空間の演出となります。
つまり、癒し・心地よさ・安心感を提供できる空間がデザインされたクリニックは、患者さん本位の作りに徹しているということであり、医療技術だけでは提供できないもう一つの医療サービス、癒しや心地よさを提供することができるのです。そして、それがまた、通院したくなるクリニックとなり得ます。
空間デザインは口コミにも有効なツール
また別の調査によりますと、集患に関する医療機関選択時の参考情報の第1位は、家族・友人・知人からの口コミで、第2位は病院のホームページ、第3位は、インターネットの検索サイトや口コミです。これより、第三者の意見、ネット情報も集客効果に重要な役割を持っていることがわかります。
つまり、新規患者さんの来院は家族や知人の紹介や、口コミやインターネットのよるものが、大きく、インターネットでロゴ等や内装の心地よい癒しの空間デザインをアピールすることでクリニック自体の評価をあげ、クリニックに来院を促すことが可能となります。そして、来院して実際の癒しのデザイン空間を体感することで、医療サービスを含め口コミ評価を一層上げる効果が期待できるのです。これも、クリニックにおいてデザインがもつ重要な役割の一つです。
デザインから癒す「もりの緑メンタルクリニック」の事例
「もりの緑メンタルクリニック」
では、実例を一つ紹介させて頂きます。クリニックは全体的に白樺の森をイメージした落ち着いた雰囲気のデザインです。自然の癒し空間で待ち時間もリラックスできる色使いで演出をしています。エントランスには、クリニックのシンボルとして、光合成をする本物の植物を使った壁面緑化システムを採用し、より自然を感じられるように演出しています。
受付やエントランスにはエイジング加工された独特の風合いを持つ板を張り、自然の温かみのある空間を演出しています。診察室へと続く廊下にはアースカラーを使い、これから診療を受ける患者さんの不安を和らげています。
以上、患者さんにストレスを与えない空間作りを通して患者さんを癒すことが、デザインの基本的役割であり、患者さんを精神面でもサポートすることで、結果的に患者さんの満足度につながることを考えてきました。
最後に、デザイン重視といえば、コストがかさむという先入観もありますが、決してそうでもありません。患者さんに見せるところには多少多めに建築・内装予算を使い、そうではないところは節約することで総コストを抑えることも充分可能ですので、プラン決定の前に一度専門の建築士とご相談されてみることをお勧めいたします。
医療施設の設計監理を手がける建築設計事務所「HAK」
コンサルに頼らず、医師自ら創り上げていくメディカルモールをプロデュース。弊社では『癒し 心地よさ』をデザインするを心がけ、また通院したくなる医療空間を提案しております
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この記事は、2020年11月時点の情報を元に作成しています。