クリニック経営を成功させるためには、患者に満足してもらうことが必要不可欠です。不満を抱くようなところには、普通は二度と行きたくないですからね。とはいえ、患者満足度を上げるにはどうすればいいのでしょうか? クリニックの口コミサイトを運営し、医療コンサルタントも手掛けるカルー株式会社の間瀬恵太さんにお話を伺いました。
患者に満足して帰ってもらう意識で業務改善
料理店や美容院に初めて訪れた際に、嫌な思いをすれば次はもう行かないと思います。その点に関してはクリニックも同じです。
診察においては、誠実に対応していても診療結果が思っていた内容と違うなど、患者さまが納得されないことは多々あります。これは仕方ないことです。しかし、診察以外の面、特に患者さまとやり取りする機会の多い受付業務などでは、不快な思いをさせることを極力避けないといけません。
例えば、患者さまが待合室にいるのに、受付スタッフが大きな声でおしゃべりをしていたとすると、不快に感じると思います。受付業務でも、気分を害するような受け答えをすれば、その時点で行くのをやめてしまいます。実際、弊社の口コミサイトで「気になる点」として最も多く挙げられるのは「スタッフの態度」です。基本的なことですが、スタッフ教育をしっかりと行うことが患者満足度を上げることにつながります。
スタッフの対応が問題となっているクリニックは、院長がスタッフの教育まで意識していないことが多く見受けられます。医師は診察が仕事で、その業務は過酷です。そのため、診察以外の仕事まで手が回らないことが多いのですが、残念なことに「放置」してしまっているクリニックも少なくありません。
従って、患者満足度をアップさせるためには、受付など診察以外の業務にも関心を持ち、スタッフ教育を徹底することが求められます。自身が関与する時間が取れないのなら、例えば指導と報告を行うスタッフリーダーを配置するというクリニックも多く見受けられます。いずれにしても、患者さまの目線で考え、「患者さまに満足して帰ってもらう」という意識を組織として持つことが重要です。
満足度アップに貢献するデジタルツールは?
口コミサイトで患者さまから「不満な点」として多く挙がるのが「待ち時間」です。そのため、患者満足度を挙げるには、この待ち時間の問題を解決する必要があります。例えば、今多くのクリニックが導入している「予約システム」は、有効なツールです。
予約システムは、診察予約ができるだけでなく、現在の待ち人数も把握できる機能が備わっています。従来はクリニックに足を運んで受付をし、順番が回ってくるまで待たないといけませんでした。それでは時間を無駄にしますし、待ち時間がストレスになってしまいます。しかし、予約システムはこうした問題を解決できるので、患者さまの満足度を高めることにもつながります。
また、最近では会計をスムーズにすることで、患者さまの待ち時間を減らすクリニックも散見されます。診察が終わってから会計までは、医療費の計算や処方箋の作成などで時間が必要で、混んでいる時間帯は長時間待たされることもあります。これも不満につながる点ですが、小規模なクリニックでは自動精算機のような高額なツールが導入できません。そこで、クレジットカード決済や、QRコード決済を導入して会計をスムーズにし、待ち時間を少しでも短縮しようという取り組みが目立っています。特に『PayPay』を用いた決済は導入が増えているように思います。
「Web問診票」も時間を短縮するために活用できるデジタルツールです。従来はクリニックに行き、紙の問診票を書く必要がありました。しかし、「Web問診票」は自宅でも記入できるので、クリニックに行く前に書いておけば、時間の短縮につながります。また、クリニック側も紙の問診票をカルテに入力する手間がなくなるため、業務速度の改善にもなるのです。
クリニックの特徴を広く知ってもらうことも重要
集患のためにはHPを開設するなどweb上での取り組みも重要になります。クリニックを探す際、多くの人がHPを見て行こうかどうか決めています。そのため、どんなクリニックなのか分かりやすい、見やすいHPを作ることも大事です。見にくかったり、どんなクリニックなのかよく分からなかったりするようなHPだとせっかくの機会を逸してしまいます。HP作成を業者に頼むと相応の費用が必要になりますが、最初にしっかりとお金をかけておくことは長い目で見るとクリニックの利益につながります。
HP以外にも、最近は『Googleマイビジネス』の情報を参考にクリニックを探す人が増えています。『Googleマイビジネス』は口コミも投稿できるため、例えば口コミに丁寧に返信するなどして、クリニックの評価を高めることも重要となります。
また、「長い時間をかけてしっかり診察してくれます」など、自身のクリニックの特徴を表している口コミを残すこともポイント。そうした口コミが多いと、自然と同じようなじっくりと診察してほしいと希望する患者さまが集まり、「診察時間はできるだけ短くしてほしい」といった、クリニックの診察方針と反する考えの人は避けるようになります。クリニックの方針と合致した患者さまが集まることは、満足度向上にもつながります。
「患者満足度を上げる方法」について解説してもらいました。予約システムやWeb問診といったデジタル、Webツールを活用することも大事ですが、やはり重要となるのは「患者に満足してもらう」という考え。クリニック開業の際は、あらためてこの考えを見つめ直してみてはいかがでしょうか?
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この記事は、2020年11月時点の情報を元に作成しています。
取材協力 株式会社 | カルー