じっくりと一人の患者さまに向き合うためには、診察以外の部分を効率的に進め、診療業務自体をスピードアップさせる必要があります。では、どのような方法を採用すれば、スピードアップを実現させられるのでしょうか? 今回は、診療をスピードアップさせる方法について紹介します。
増えているWeb問診システムの活用
最近増えているのが『SymView』や『MyClinic問診票』、『メルプWEB問診』などの「Web問診システム」の活用です。問診票は来院時の待ち時間に患者さまに記入してもらう「紙製」のものが一般的です。しかし、記入してもらう時間が必要であったり、紙に書かれた内容をいちいち手動でパソコンに入力するなど、患者さま側にも医師・スタッフ側にも負担がかかっていました。
しかし、Web問診システムは来院前に記入してもらうことが可能で、電子カルテと連携しているシステムでは、記入内容が自動で反映されるようになっています。そのため、患者さまの記入時間や電子カルテへの手動入力といった手間を減らし、診療を効率的に進められるようになります。
Web問診システムには、専用ページで必要項目に入力してもらい、印刷して持ってきてもらうタイプや、必要な質問に回答してもらうだけのタイプなどさまざまなものがあります。スマートフォンやタブレットがないという人の場合は、来院時に記入してもらう必要がありますが、その場合はクリニックのタブレットで入力してもらう方法を併用できるシステムもあり、こちらも電子カルテに自動で反映されるようになっています。
電子カルテを活用して情報伝達を効率化
クリニック内の情報共有を効率的に行うことも、診療のスピードアップにつながります。そのためにも、さまざまなデジタルツールを活用すべきです。先に挙げたWeb問診システムのほか、電子カルテの導入もその一つ。紙のカルテだと保管場所からいちいち取り出さないといけませんが、電子カルテならデータをすぐに確認・共有できます。
最近はカルテ情報をクラウドで保存する「クラウド型電子カルテ」を利用するクリニックが増えています。クラウド型はインターネットに接続できる環境であれば、どこでも確認・編集が可能。例えば在宅時など、クリニックにいない状況でも、カルテを確認しながらスタッフに指示を出したり、修正・編集することが可能なのです。
また、電子カルテは手軽に共有可能なため、例えば地域医療連携ネットワークに参加している場合は、他の病院との情報共有がしやすくなります。他のクリニックで診察を受ける際に既存のカルテを共有すれば、診察を受ける医療機関・患者さまの双方の負担を減らすことができます。逆に、他のクリニックで診察を受けていた患者さまを受け入れる際にも有効となります。
効率化のためにデジタルツール、デジタルサービスを利用
医師によっては「Google スプレッドシート」などのサービスを活用し、スタッフ向けにQ&Aをまとめ、「ここを見れば必要なことが全て書いてある」というシステムを構築している方もいます。スタッフが院長に都度確認しにいく時間が減らせ、院長側もスタッフに対応する時間を削れるので、患者さまに集中することが可能になります。
また、電子カルテを入力する時間が取れない、スタッフにとってパソコン作業が難しいといったケースもあると思います。その場合は、「電子カルテ代行入力サービス」を利用するのも一つの手段です。例えば、メディキャスト株式会社が提供している「電子カルテクラーク」などが有名ですが、電子カルテの入力を手助けしてくれる医療クラーク(医師事務作業補助者)を導入することで、電子カルテ導入のハードルを下げられます。
予約システムが効率的なアテンドを実現
従来、診察を受けるには、受付をして自分の番まで待ってもらう必要がありました。電話などで予約をしていても、待ち人数次第で予約時間に診察が始まらないということも多々あります。その場合は患者さまを長時間待たせてしまい、ストレスを与えてしまいます。そうした問題を解決するためにも、予約システムの導入は重要です。
予約システムは主にWebで予約受付を行うもので、患者さまはスマートフォンやタブレットなどを用いてクリニックのHPにアクセスしてもらい、予約をする仕組み。自分の予約時間や順番が近づくと知らせてくれるシステムもあり、院内で長時間待つ必要はなくなります。
また、予約ページでは待ち人数なども確認できるため、空いている時間を狙って予約をすることもできます。クリニック側も待合室の混雑が避けられますし、予約人数を把握することで効率的なアテンドが可能です。特にコロナ禍の今、混雑が解消できるのは大きい利点でしょう。
診療をスピードアップさせるには、デジタルツールの活用が効果的です。特にWeb問診システムや電子カルテは、クリニック側の負担を大きく減らせるため、医師は患者さまに集中できますし、スタッフの働き方改革にもつながります。今後開業を目指している医師は、ぜひこうしたデジタルツールを取り入れ、効果的・効率的な診療を実現しましょう。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2020年11月時点の情報を元に作成しています。