クリニックのホームページ運営では「SEO対策が大事」だとよく言われています。
しかし、SEO対策を実施するには、ITに関する豊富な知識が必要なように思えます。
今回取材した、さいとう内科循環器クリニックも、2019年6月の開院以降、クリニックに関するさまざまなキーワードで検索順位の上位を獲得しているため、いわば“SEO対策に強い”クリニックといえるでしょう。
さいとう内科・循環器クリニックのSEO上位キーワード(一部抜粋)
「マスク 表裏」→1位(マスクの表裏)
「心雑音」→1位(心雑音について)
「不整脈 息苦しい」→1位(動悸や息苦しさなど→不整脈の症状かもしれません)
「コロナ対策 クリニック」→2位(新型コロナウイルスの当院の感染対策)
※2021年1月4日現在。検索ランキングは常にアップデートされますので、Google AnalyticsやGoogle Search Consoleで随時チェックしたり、ホームページ制作会社からの定期的なレポート報告を依頼することをおすすめします。
そんな同院院長の齋藤 幹 医師に、クリニックでのSEO対策の秘訣をうかがったところ、なんと齋藤医師は「開業前はSEO対策について、全く知識がなかった」と話します。
この記事では、結果としてわずか半年という短期間に自院のホームページをSEO上位へと押し上げた、齋藤医師のホームページ運営法や参考文献などをご紹介します。
基礎知識:SEOとは
SEO(Search Engine Optimization)
日本語で「検索エンジン最適化」のこと。キーワード検索の結果、サイトが上位表示されるよう、Webサイトの構成やコンテンツなどを調整することを言う。
GoogleやYahoo!で調べ物をしたときに、検索結果の一番上に表示されるサイトが最もクリックされやすいと言われています。
多くの人は、検索結果として表示されたものすべてをクリックしていくことはありません。上から順番に見出しや説明文の冒頭をチェックしていき、有益な情報に辿り着いた時点でチェックを辞める人がほとんどでしょう。
たとえば腹痛があって近所の医療機関を探すために「●●町 内科 腹痛」などのキーワードで検索したとして、1ページ目に表示されたクリニックのほうが患者から選ばれやすいということです。
表示される順番については、検索エンジンごとのアルゴリズムによって決まっています。そのため、アルゴリズムの特性や、検索されやすいキーワードの両方を考慮しながら、できるだけ上位に表示されるよう施策を講じていくことが必要なのです。
そのため、自身のサイトが上位表示されるよう、ホームページのコンテンツや、ホームページの構成そのものの最適化をすることを、SEOと総称しています。
自身のサイトが上位表示されクリックされやすくなると、その分訪れてくれる人が増えるため、クリニックにとっては集患・増患につながる可能性があります。このようなことから、近年SEOの重要性は強く叫ばれるようになっています。
それでは、検索で上位表示されることも多い「さいとう内科・循環器クリニック」の齋藤医師は、ホームページ運営をする上でどのような点に気をつけているのか? インタビュー形式で紐解いていきます。
齋藤 医師の ホームページ運営におけるモットー
- 編集部
- 2020年10月に「コロナ対策 クリニック」というキーワードで調べていたときに、「さいとう内科・循環器クリニック」が1位で表示されておりました。
ホームページを詳しく見てみると、新しい診療支援システムを積極的に取り入れていますし、コロナ対策や疾患に関する情報発信もされています。それに伴って、さまざまなキーワードで上位表示されていますよね。
ホームページを運営、更新する上でどんなことを意識されていますか?
ホームページ運営の参考にしたのは…
- 編集部
- そもそもホームページは制作会社に依頼して作りましたか?それとも、ホームページ制作システムを使ってご自身で作りましたか?
- 齋藤 医師
- 私は医院向けホームページ制作システムを提供しているWevery!(ウェブリィ)(株式会社ウェブリィ)にお願いして、基本的な構造は作っていただいて、内容については自分で制作しました。
- 齋藤 医師
- 開業準備の際に、株式会社ウェブリィの創設者である河村伸哉さんのセミナーを聞きに行ったことがありました。最初は「変な勧誘があったらどうしよう」と思っていたのですが、セミナーを聞くと、至極真っ当なことをおっしゃっていると感じました。
その後、河村さんの本(「医院ホームページ作成の教科書 院長が知っておくべき増患のための6原則」マスブレーン)や記事を読んで、クリニックのホームページ制作におけるシステム利用や運用支援はWevery!さんにお願いしようと決めました。
- 編集部
- 当時の河村さんの影響は大きかったんですね。
- 齋藤 医師
- そうですね。実際にWevery!で担当してくれたのは河村さんではありませんが、担当者から言われた「コツコツとブログを書いてください」というお話も、意識しています。
定期的なブログ記事の更新はSEOで一番効果がある、もっとも即効性が高い…というわけではないものの、広告出稿などと違ってお金もかからないですし、開業したばかりで時間がある私には合っていると思いました。
ブログ更新のルール:定期的な更新と、1記事あたり約2,000字以上の執筆
- 編集部
- ブログ記事を更新する上で、心がけていることはありますか?
- 齋藤 医師
- 河村さんの著書やWevery!の担当者さんからは「1記事あたり2,000字以上」とアドバイスをいただいたのである程度意識しています。
※編集部・脚注※
2,000字と聞いて、「なぜそんなに長い文章が必要なの?」と驚く人は多いでしょう。上位に表示されるにはおおよそこのくらいの文字数が有効だとされていますが、その理由はいくつかあります。
まず、全体の文字数が多いと、ページ内で被りがない「ユニークワード」が増えることが挙げられます。SEO対策を取るうえでは、メインキーワードと一緒に検索されやすい単語についても考えることが重要なのですが、この単語の種類が多ければ、検索に表示される機会が増えるからです。
Googleの考え方としては、「メインのワードについて誰かに教えるとき、ほぼ必ずこのワードも出てくるはずだ。だから、その言葉についても触れているコンテンツはいいものであるはずだ」というものなのでしょう。
2つめの理由は、文字数が多ければ読む時間がかかるため、ユーザーのページ滞在時間が長くなることです。ページ滞在時間は、Googleアナリティクスでも指標のひとつになっているため、Googleから評価を得るための要素となり得ます。
こちらも、「いい情報はじっくり読みたくなるはず」「必要なものがあれば、きっと長い時間を過ごすだろう」といったGoogleの考え方がもとになった指標です。
※※※
記事の内容としては、主に疾患に関することをひとつの記事でまとめています。「心雑音について」や「動悸や息苦しさなど→不整脈の症状かもしれません」といった記事がそうです。
また、先にも言った通り、私のパーソナリティに関するブログ記事を公開することもあります。
定期的に記事を更新することで、「新しい情報を定期的にアップしている有益なサイトだ」とGoogleに認識されることも教えてもらったので、目標としては1週間に1記事更新を目指しています。現実には2週間に1回ほどになっているので、まだまだですね(笑)。
- 編集部
- なるほど。さまざまなアドバイスをWevery!さんから受けているんですね。
- 齋藤 医師
- ただ、Wevery!さんや河村さんの言うことをすごく信じてるというよりも、僕が「こうじゃないかな」と思っていることを河村さんも言っている、という感覚です。
<齋藤医師が意識している ブログ更新のポイント>
・定期的に記事を書く(疾患の解説など)
・記事の文字数は2,000字程度を目安に
・執筆した記事の内容を定期的にアップデートする
- 齋藤 医師
- これらのポイントは、まだ完璧に実行できているわけではありませんが、一つの指標としています。
クリニック・サイトを見つけてもらうための工夫:MEO対策
- 編集部
- ホームページの運営と関連しますが、MEO対策もしっかりされていますよね。
「さいとう内科・循環器クリニック」はGoogle上に写真もたくさんアップしているので、クリニックを調べた人にとって親切な情報提供をされていると思いました。
MEO対策とは
MEO(Map Engine Optimization)。
地図検索(主にGoogleマップ)で上位表示させる施策。上位表示されることで、商圏内のターゲットユーザーの目に付く機会が増え、店舗や施設の認知・来店につながる可能性が高まる。ネットからの新たな集客チャネルとして注目されている。
※編集部・脚注※
具体的に「MEO」とは、地図上の事業所に関するGoogleビジネスプロフィールの情報をローカル検索結果として表示させるための施策です。
「ローカル検索結果」とは、検索をした場所によって検索結果が変わる仕様のことです。たとえば、「内科」と検索した場所が東京であれば、東京の内科が表示されますし、大阪であれば大阪の内科が表示されます。もしくは、「新宿 内科」といったように地名を含むキーワードで検索した際にも、同じように特定のエリアの内科が表示されます。
このように、MEOは地域に密着していることから、「ローカルSEO」とも呼ばれています。
ローカル検索結果においては、地図上に3つの事業所が表示されるため、同業者のなかで上位3位までに表示されると、格段に患者の目につきやすく、集患・増患につながる可能性が高い傾向にあります。
MEOで上位に入るためには、まずはGoogleビジネスプロフィールに登録して情報を充実させることです。情報を充実させる方法に関しては、前述のSEO対策の説明も併せてご参照いただくといいでしょう。
また、文字としての情報を充実させるだけでなく、写真を投稿することも重要です。写真はオーナーが投稿したものが採用されることが多いため、清潔感などが伝わる内装写真、場所がわかりやすい外観写真などを心がけましょう。
2つめは、口コミの数、よい口コミを増やすこと、そして口コミが入ったときに丁寧に返信することです。ネガティブなコメントであっても、「不快な思いをさせて申し訳ありませんでした」の謝罪を返すことによって、やりとりを見た人にいい印象を抱いてもらいやすくなります。
※※
- 齋藤 医師
- 恥ずかしい話、私はMEOの仕組みを理解していません。これもWevery!の河村さんの本をもとに、見よう見まねで行っています。
Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)に登録し、随時写真をアップしたり、クリニックのホームページのリンクを設置したりと工夫しています。
<GoogleビジネスプロフィールでのMEO対策 実施ステップ>
・Googleに会員登録後、ログインする
・Googleビジネスプロフィールの利用を開始する
┗「ビジネス名」(クリニックの正式名称等)をする ※後に変更可
┗「ビジネス所在地」(郵便番号、住所等)を入力する
┗「ビジネスのタイプ」(業種)を選択する
┗「連絡先情報の入力」(電話番号、WebサイトのURL)を登録する
┗「ビジネスの確認」で確認コードを郵送してもらう
┗クリニックに郵送されたハガキに記載のコードをGoogleビジネスプロフィールに入力する
→Googleマップで表示される、クリニックのページを編集できるようになる(情報の追加を実施)
- 齋藤 医師
- 時々やり方に悩むこともありますが、Wevery!の担当さんにメールで聞いて解決しています。何か大きな野望があるわけではないですが、知識がないながらも勉強して人に聞き、まずやってみようと思って進めています。
- 編集部
- ほぼSEOに関する知識がないところからスタートして、セミナーや本などから学びながら、着実に対策をして結果が出ているという事実は、SEO対策に悩む開業医の励みになると思います。
本日はありがとうございました!
Wevery! 創設者 河村伸哉 氏からのコメント
- 河村伸哉 氏
- Webサイトは、今医療機関が行える広報活動の中では、比較的自由に表現ができる媒体のひつとだと思います。それゆえに、かかるコストも無料〜数百万円と幅広いですが、齋藤先生は、比較的リーズナブルに、最高のパフォーマンスを出していただいているドクターです。
ホームページは医院の理念を患者さんに伝える手段ですので、そこを院長先生自身が活用できるかどうかという視点が大事です。齋藤先生は、ご自身の思いをしっかりとWebという媒体に表現されていました。また、患者さんや、社会が必要なタイムリーな情報についても、ほとんどタイムリーにご自身のホームページでご提供されていることから、まさに、ネット社会での医療機関のあり方を体現されていたと思います。
- インターネットは数学的、統計学的な意味で、わかりやすい原則にのっとって活用されています。ですから、インターネット(特にGoogle)のセオリーや原則を理解すれば、医院の広報にプラスになるような活用ができるものです。
ぜひ、齋藤先生のWebサイトを参考にしていただき、みなさんが伝えたい理念をインターネットにのせてしっかりとお伝えいただきたいと思います。
最後に少し宣伝になってしまいますが、齋藤先生にも登場していただいている動画がアップされている、YouTubeチャンネル「Wevery!チャンネル」では、ネットやITの活用を中心に、医療機関のお役立ち情報をお伝えしていますので、ぜひ、チャンネル登録していただけたら嬉しいです。
特徴
対応業務
その他特徴
診療科目
この記事は、2021年2月時点の情報を元に作成しています。
取材協力 さいとう内科・循環器クリニック 院長 | 齋藤 幹
大学卒業後、循環器科・循環器内科を専門に勤務。大学病院や専門病院での経験を経て、2019年に「さいとう内科・循環器クリニック」を開業。医学博士、内科認定医、総合内科専門医、循環器専門医・指導医、臨床研修指導医。
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監修 Wevery!創設者 メディキャスト株式会社 | 河村 伸哉
東北大学法学部卒業後、フリーランスを経て、大手飲料メーカーや通信系システム会社等のウェブサイト作成を経験。現在は、日本経営グループのメディキャスト株式会社にて、医療機関のマーケティングを担当。16年間で1400件以上のウェブサイトをプロデュースし、増患に導いた。診療科目別の増患ノウハウへの信頼はあつく、ドクターの強みを生かした訴求方法で日々提案を行っている。
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執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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