クリニックでは患者さんの呼び出しに気を使います。従来は診察室から待合室に向けて「〇〇さん」などと呼びかける形でしたが、これでは患者さんに聞こえない場合があるほか、他の患者に知られないよう、名前を呼んでほしくないという希望への配慮もできませんでした。
しかし最近では、診療予約システムの導入が進んでおり、これを用いると患者さんのスマホに診察の順番が来たことを知らせることができます。ただしそれは、患者さんがスマホの操作に習熟していることが前提です。スマホの操作に慣れていない患者さんでは、クリニックからのお知らせをスムーズに確認できない場合があります。また、患者さんの呼び出しだけスマートに行えればいいというクリニックにとっては、診療予約システムを入れる工数と費用は過大です。
そこで今回は、患者さんの呼び出しのみを行いたいクリニックにとって、利便性の高い呼び出し端末を用いるシステムについてご紹介します。
患者さんの呼び出しに使えるサービス
患者さん呼び出しの最も簡単なソリューションは、受付を終えた患者さんに通信用端末を渡し、その患者さんの順番が来たら、その旨の情報を端末に送信することです。患者さんは端末さえ持っていれば、待合室にいなくても自分の順番を知ることができます。
患者呼び出しシステムを導入するメリットは?
続いては、患者呼び出しシステムを導入するメリットをみていきましょう。
患者満足度の向上が期待できる
前述した通り、患者呼び出しシステムがあれば、患者さんは待合室で待っていなくても診察の順番が近づいたことを知ることができます。待合室で待機していなくてOKとなると、駐車場の車内で待機したいと考える人もいれば、クリニック周辺のカフェなどで時間を潰したいという人もいるでしょう。それが可能となることで、患者満足度が大きく向上することが考えられます。
スマホを持っていない患者にも、診察の順番が近づいていることをスムーズに伝えられる
専用デバイスを患者さんに渡すタイプの患者呼び出しシステムなら、スマホを持っていない患者さんにも問題なく使ってもらえます。
院内感染のリスクを減らせる
患者呼び出しシステムがあれば、患者さんは待合室に待機しておく必要がありません。そのため、人が密集した状態を避けることができるので、院内感染のリスクを減らすことにつながります。
患者呼出システムを導入するデメリットは?
続いてはデメリットです。
導入費がかかる
患者呼出システムは大型の医療機器のように高いものではありませんが、導入にはそれなりの費用がかかります。
患者によっては使いこなせない
呼出システムを導入すると、患者に渡したデバイスに、順番が近づいたことを知らせるメッセージが届いたり、音声によって患者に通知されたりしますが、視覚や聴覚に問題のある患者は通知に気づかない可能性があります。
電池代がかかる、充電が必要
デバイスによっては、電池の入れ替えや充電が必要な場合があります。
患者呼び出しシステムを選ぶ際のチェックポイント
続いては、患者呼び出しシステムを選ぶ際のチェックポイントを説明していきます。
呼び出し表示または音の選択肢
患者さん側の端末に、診察の順番が近づいていることを表示させる方法はいくつかあります。たとえば文字表示であれば、外出先でも周囲の目が気にならないので安心ですし、音声で知らせるタイプなら、目の不自由な患者さんにもきちんと伝達できます。
呼び出し以外の機能の有無
たとえば、医師や受付から個別メッセージを送ることができる呼び出しシステムなどがあります。
クリニックにおすすめの患者呼び出しシステム8選
専用のデバイスを用いた呼び出しシステムには、例えば以下のようなものがあります。
Ready Call(レディコール)
「セイコーソリューションズ株式会社」の「レディコール」は、携帯電話の通信網を用いたシステムです。患者さんには受付でデバイスを渡しておき、呼び出しの順番がきたらクリニック側はコントローラーのボタンを押します。貸出端末が鳴動、メッセージを表示して患者さんに知らせるという仕組みです。携帯電話網を使っているので、患者さんが院外にいても知らせることができます。
【特徴】
- 携帯電話網を利用したクラウド型の呼出システム
- 工事不要ですぐに利用できる
- 個人のスマホにも呼出可能
- 呼出と同時にメッセージも送れる
- サポート対応は365日(午前8時~午後8時)
コールベルシステム
「シャープ株式会社」の「コールベルシステム」は、フードコートなどでも見かける呼び出しシステムです。受付で受信機を患者さんに渡し、呼び出しの順が来たらクリニック側にある送信機のボタンを押します。これだけです。非常に簡単なので小売店や金融機関などさまざまな場所で使われていますが、プライバシー保護のため名前を呼びたくない、また振動やLEDの点滅で静かに伝えたいというクリニックでの使用にも向いています。
【特徴】
- 小売店や金融機関でも使われているシステムのため、患者にとって馴染みがある
- 振動やLED点滅で患者を呼ぶことができる
ワンタッチコール
コールベルシステム同様、フードコートなどでも活用されているタイプの呼び出しシステムです。ブザーとバイブレーションでの呼出が基本ですが、ブザーとバイブレーションの消去機能ボタンもついています。ブザーのみ、バイブレーションのみでお知らせすることも可能です。
【特徴】
- ブザーとバイブレーションで呼出/ブザーのみ、バイブレーションのみにも切り替え可能
- ブザーとバイブレーションの消音機能付き
- 抗菌仕様
- 落下に強い
- 初期状態で3~4時間充電で15時間使用可能
- 番号変更可能
- LEDランプが受信機の状態をお知らせ(赤点滅=バッテリー不足、緑点滅=呼び出しがありました など)
HosPad(ホスパッド)
「株式会社ホスピタルネット」の「HosPad」はタブレット端末を用いた医療機関向けシステムです。タブレット端末を用いた「オンライン面会サービス」や「問診システム」など数種のサービスがありますが、その中に「外来呼び出しシステム」があります。患者さんが受付を行う際に端末を渡し、画面のボタンを押します。これで自動で番号がセットされます。順番が来たらクリニック側のタブレットで呼び出し先を選択。患者さん側の端末に通知が送信されるというシンプルな仕組みです。
【特徴】
- 受付ボタンをタッチすると自動で番号が発行される
- 呼出先を選択できる(「診察室1へお越しください」「診察室2へお越しください」などから選択可能)
- 患者のスマホにも呼出通知が届く
NTS
メロディ、光、振動でのお知らせが可能。液晶ディスプレイに表示できる文字は48文字までで、漢字表示も可能です。また、抗菌樹脂仕様なので院内感染防止にも役立ちます。リチウムイオン電池採用で、連続待ち受け時間は約48時間もの長時間。
【特徴】
- メロディ、光、振動で知らせられる
- 液晶ディスプレイに48文字までのメッセージを表示できる
- 抗菌樹脂仕様
- 患者がボタンを押すと応答したことになる「アンサー機能」付き
- ボタンひとつのみのシンプル設計
大井電気
LPWA(Low Power Wide Area)方式を使用する構内無線呼出システムです。表示画面には、文字が見やすいカラー液晶を採用。本体では、呼出カード(患者側の端末)を200台収納・充電可能。
【特徴】
- 920MHz帯の使用により無線LAN方式と異なり、混信が少なく安定的な通信が可能
- LPWA方式(Low Power, Wide Area)により400MHz帯ポケットベルと同等の通信距離を実現
- 送受信アンテナはPoEスイッチングHUBから電源給電可能。電源工事が不要
参照: 大井電気「920MHz帯LPWA方式 構内無線呼出システム」
ケアコム
メロディ音、振動、光の点滅、大きい文字での表示などで呼出可能。高齢者や身体体の不自由な方でも押しやすいよう、大きめのボタンひとつで操作できるよう設計されています。医師や受付からの個別メッセージも受信可能です。
【特徴】
- メロディ音、振動、光の点滅、大きい文字での表示OKで高齢者や身体の不自由な方も順番を確認しやすい
- 医師や受付からの個別メッセージも受信可能
- 呼出カードの使用数が少ないクリニックは手渡し、使用数が多いクリニックは専用の自動発行機で発行、など使い分け可能
患者用端末を用意しないタイプの呼び出しシステムもある
上記に紹介した患者呼び出しシステムはすべて、患者一人ひとりに呼び出し用のデバイスを渡すタイプですが、個別にデバイスを渡さずに利用できるシステムもあります。
専用デバイスを使わないシステムとして、例えば以下のようなものもあります。
MELTH WINDOW(メルスウィンドウ)
「株式会社メルス」の「MELTH WINDOW」は、クリニック内の大型モニターを使って患者さんの呼び出しを行うシステムです。患者さんには受付時に「C001」などの番号(あくまで一例です)の受付票を渡し、この番号を画面表示することで「診察室呼び込み」「検査室呼び込み」などを行います。番号表示と「クリニックからのお知らせ」などをどのように表示させるかの画面遷移を設定できる他、チャイム音を鳴らす、番号のポップアップ表示もできます。また、目の不自由な方に向けて音声での番号呼び出しも可能です。
【特徴】
- 診療待ち、会計待ち、薬待ち、検査待ちの4つのシーンで使い分けできる
- 再来受付機や自動精算機とシステム連動OK
参照: 株式会社メルス「患者案内表示システム メルスウィンドウ」
まとめ
このように、近年では患者さんの呼び出し方法も進歩しており、診療予約システムを使わなくても簡単に行えるソリューションが登場しています。
「高齢者の患者さんのことを考えるとスマホは使えない」ということでしたら、今回ご紹介したようなシステムを導入するのはいかがでしょうか。
特徴
提供システム
その他機能
予約・受付機能
対応言語
システムとの提携
診療科目
特徴
その他機能
予約・受付機能
システムとの提携
提供システム
対応言語
診療科目
特徴
予約・受付機能
提供システム
対応言語
システムとの提携
その他機能
診療科目
特徴
対応言語
予約・受付機能
提供システム
診療科目
特徴
提供システム
予約・受付機能
診療科目
この記事は、2023年11月時点の情報を元に作成しています。