管理がしやすい、保管スペースを確保する必要がないなど、さまざまなメリットのある「電子カルテ」。2000年代の初めから普及が急速に進み、現在では多くの医療機関が導入しています。しかし、電子カルテには良いところだけでなく、当然ながら「デメリット」も存在します。今回は「電子カルテの問題点」をまとめてみました。
紙は無料で電子カルテは有料
電子カルテのネックとして挙げられるのが、「コストがかかること」です。紙のカルテの場合は、管理に手間がかかるものの、保管費用や維持費用などは発生しません(院内に保管する場合)。しかし、電子カルテはベンダーから導入するのが一般的で、導入するためや使い続けることにコストがかかります。例えばイニシャルコストは数十万円、ランニングコストは月に数万円が必要になるケースが多く見られます。月数万円でも、年間で計算すれば高額になります。
セキュリティーの面で不安がある
紙カルテの場合、保管場所に侵入されない限りは盗難などは起こりにくいものです。しかし、電子カルテはパソコンを使用するため、そのパソコンがネットワークに接続されている場合は、常に不正アクセスなどの危険にさらされている状態です。もちろん、コンピュータウイルスによる個人情報漏洩やシステム破壊が起こらないよう、ベンダーは堅牢なセキュリティー性を持つ製品を提供していますが、外部からの不正なアクセスを完璧に遮断するのは困難です。また、スタンドアローンの場合や院内ネットワークの場合でも、不正アクセスが起こらないとは言い切れません。
トラブルがあった場合に対応できなくなる
電子カルテは、インターネット経由でサーバーにデータを保存するクラウド型と、自クリニック内にサーバーなど保存機器を設置するオンプレミス型の2種類があります。しかし、いずれも何か大きなトラブルが起こった場合、例えばネットワークが使えない、保存機器が故障したといったトラブルが起これば、電子カルテは使えなくなります。災害発生時に停電が起こり、システム停止して何もできなくなった、というケースも過去にあったように、電子カルテには信頼性のリスクもあるのです。
紙カルテの整理に時間がかかる
長く紙カルテで診察を続けていた場合は、電子カルテ移行時のデータ変換に時間がかかります。全ての紙カルテの情報を移行するのは膨大な時間がかかるため、データを精査して必要なところから移行しますが、この整理にも時間が必要です。残った紙カルテも順次整理しないといけませんし、その保管スペースの問題もあります。
さらには、電子カルテに対応するために、操作方法などをスタッフに学習させる手間も必要です。いわゆる「学習コスト」が必要なため、この点も問題となります。
一部の医師の中には、電子カルテに入力するために診察中にPCに顔を向ける時間が増え、これまでよりも患者との接点が薄くなったという声もあります。こうした点を踏まえ、「紙カルテのままでもよかった」というクリニックもあるのです。
もはや導入が当たり前になりつつある電子カルテですが、今回紹介したような「問題点」もあります。導入を考えている人は、メリットばかりでなく、デメリットも理解した上で検討してみるといいでしょう。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
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この記事は、2021年2月時点の情報を元に作成しています。