医療機器は日々進化していますが、それを扱う医師も適切に操作できるようにならないといけません。そのため、医療機関では技術習得、向上を目的にグループでの実地トレーニングが実施されてきました。しかし、昨今は実際にその場にいなくてもトレーニングが行えるよう、VR技術や遠隔操作技術を用いた方法も発展しています。2021年2月1日にオリンパスが発表した「オリンパスコンティニュアム」は、遠隔での技術取得にも貢献するプラットフォームです。
コロナ禍で求められる安全なトレーニング
内視鏡をはじめとする医療機器を安全に利用するには、繰り返しトレーニングを行い、技術を向上させることが不可欠です。そのため、オリンパスでは消化器内科、消化器外科、呼吸器科、泌尿器科、婦人科、耳鼻咽喉科、脳神経外科の7つの診療科に対応したトレーニングを提供しています。
こうした医療機器トレーニングは、実地型が中心でしたが、冒頭でも説明したように昨今は遠隔でのトレーニングに注目が集まっています。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響により、より安全な遠隔でのトレーニングを受けたいという声も増えました。
今回発表された「オリンパスコンティニュアム」は、そうした遠隔でのトレーニングにも対応したウェブトレーニングツールです。
「オリンパスコンティニュアム」には、以下の特徴があります。
基礎~上級までを網羅した総合的なプログラム
基礎的なレベルからアドバンスレベルまでのトレーニングを、オンラインと集合型研修を組み合わせながら提供します。事前学習だけでなく、事後のフォローアップも行うことで、一貫したトレーニングが受けられます。
集合型研修「ハンズオントレーニング」は、オリンパスの世界15カ所のトレーニングセンターや提携施設で実施。ユーザーのアクセス性を高めるべく、地域ごとに学習管理システムを導入し、今後は VR(仮想現実)/AR(拡張現実)の技術を活用したトレーニングも行うとのことです。
トレーニングセンターから離れた遠隔地でも受講が可能
集合型研修のものが中心であるトレーニングは、地域によっては受講が難しいという人が出てしまいます。「オリンパスコンティニュアム」では、遠隔地の受講を可能にするためオンラインでのトレーニングプログラムを拡充。トレーニングセンターに出向けない遠隔地の医療従事者でも、場所を選ばずトレーニングを受けられます。
オリンパスによると、これまでもオンラインでトレーニングを受けたいという医療従事者からの要望があり、新型コロナウイルスの感染拡大でそのニーズはさらに増しているとのこと。そのため、同社では従来の集合型研修とオンラインを効果的に組み合わせた新時代のトレーニングの提供を目指しているそうです。
日本だけでなく新興国での貢献にも期待
オンラインでのトレーニングプラットフォームは、海外での活躍が期待されています。多くの国は経済成長に伴い、医療体制の拡充が求められていますが、なかなか対策が追い付いていないのが現状です。オリンパスによると、例えば人口10万人当たりの内視鏡医の数は日本が25人。しかし、中国では 2.2人、インドでは0.5人と人口に対して不足しています。
「オリンパスコンティニュアム」は、こうした医師の育成が必要とされる新興国だけでなく、先進国のニーズが満たせるような学習管理システム、オンデマンドライブラリの拡充を目指しているとのこと。
新型コロナウイルスにより、世界の形は大きく変わりました。これまで当たり前だったことが当たり前でなくなっています。医療の在り方も変わり、新時代に即した新しいプロセスが求められるようになります。患者さんのQOLを維持し続けるためにも、こうした新しいツールを積極的に活用したいですね。
協力:オリンパス株式会社
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2021年6月時点の情報を元に作成しています。