30代医師の平均年収は1,200万円程度と言われています。実際に、筆者の地域(都市圏郊外)の勤務医の年収は、1,000万円?1,800万円程度です。年収1,000万円超えは、サラリーマンの憧れでしょう。「年収1,000万円あればいい生活ができる」と一般的には思われます。しかし、年収1,000万円を超えて知る事実もあります。
年収1,000万円は決して裕福ではない
まずは、こちらをご覧ください。
超富裕層(5億円以上) 8.4万世帯 富裕層(1億円~5億円未満) 118.3万世帯 準富裕層(5,000万円~1億円未満) 322.2万世帯 アッパーマス層(3,000万円~5,000万円未満) 720.3万世帯 マス層(3,000万円未満) 4203.1万世帯
引用元: 野村総合研究所
年収1,000万円を超える医者の多くは、実は、金融資産が3,000万円以下のマス層が多いと思われます。また、年収が1,000万円を超えると、受け取る手取りの割合は少なくなります。たとえば、年収1,000万円の手取りは約720万円程度です。一方で、年収800万円の手取りは約600万円です。収入差は200万円ですが、手取り差は120万円しかありません。さらに、年収1,200万円以上の所得者に対する児童手当も今後廃止されます。実際の額面と手取り感には解離があって、多くもらえている感は少ないのが実情です。
一方で、年収が1,000万円を超えている安心感や自信から、医者は出費や浪費が多くなりがちです。1年間でまったく貯金ができていない医師も意外と多いのが実情でしょう。
医者は出費が多い。しかし、誰も気づかない
コロナによって、飲み会や宴会が減って助かった医者は多いと思います。なぜならば、病院の歓迎会、忘年会等になると、"医者価格"なるものがあるからです。
大体、医者は宴会費を1万円以上払います。一次会の会費でまず1万円払います。他のスタッフ(看護師や医療事務等)は4,000円とかですが、なぜか医者は多く払います。医者はみんな多く払うことに慣れているので、なんだかんだで文句も言わず受け入れています。
2次会、3次会と出席する医者はさらに多く払います。ここまでくると、大体すべて医者が支払います。すると、一晩で、2?3万円以上支払うことも多いです。さらに、医者は関わる病棟や部署が多い。病棟や手術室、外来の飲み会がそれぞれあって参加が求められることもあります。なので、自然と交遊費が高くなりがちです。
また、学会の参加費も数万円かかります。筆者が働いている整形外科学会の会費は年間14,000円かかります。また、整形外科学会の参加費は25,000円かかります。さらに、認定医の維持も数万円以上かかります。認定医維持のために、定期的に専門学会に参加していかなくてはいけません。筆者も、学会の参加費等で、年間10万円以上支払っています。
そして、上記の状況は医者であればみんな同じなので、誰も不思議に思いません。現状の医者の給与体系で維持できるからこそ、だれも本気で不満を言わないのです。
私生活でも出費が多くなりがち
ストレートで医者になると、20代後半から年収1,000万円を超えてきます。すると、お金の使い方が荒くなりやすいです。年収が5年、10年かけて少しずつ上昇するならば、その間に節約するすべを身に着けていけます。
しかし、研修医期間が終了すると急に年収が増えます。筆者の地域では研修医時代の年収は500万円程度ですが、医者3年目から年収1,500万円に急に増えます。実質、年収が約3倍になるということです。すると、お金を持て余して、高級車や高級時計を購入したりします。飲み会でも多く支払いをします。だから、気づくといつも貯金がたまらない状況になってしまいます。
また、医師はとにかく多忙です。忙しさにかまけて、節約について考えることにはおろそかになりがちです。
先日、筆者は先輩と携帯キャリアについて会話をしました。筆者は、楽天モバイルを利用することで、月々2,000円以内に抑えています。しかし、先輩家庭は毎月2万円以上通信費に支払っているとのことでした。日々の日用品の購入も、貯めたポイントを使ったり、インターネットセールでまとめ買いをしたりすることで、年間数万円は節約ができます。この先輩医師は、ふるさと納税すらしていませんでした。
さらに、子供が大きくなると養育費もかかってきます。医者家庭は教育に力を入れる家庭が多いです。幼少期から、インターナショナルスクールにご子息を入学させる家庭も比較的おおくあります。また、子供が私立医大に進学した場合は、学費だけで3,000万円~5,000万円かかります。一人だけであれば、勤務医であっても私立医大を卒業させることは可能ですが、2人、3人はまず無理でしょう。
さらに、勤務医は医局のローテーションで病院の移動もあるので、ボーナスや退職金ももらえなかったりします。
最初から高収入であるのは良いかもしれません。が、長期的にみると収益が伸びづらかったり、社会保障がすくなかったりします。そう思うと、無駄遣いできなくなりますね。
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この記事は、2021年8月時点の情報を元に作成しています。
執筆 整形外科専門医 医学博士 | 医師YouTuberいっさ
2019年8月よりYouTuberとして活動を開始した。YouTubeでは、医者のかたわら、動画配信600本以上を達成。既に1,000人以上の登録者がある。「医者のキャリア形成」を中心に、医療にまつわる話を配信している。
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