医者は忙しいというイメージがありますが、診療科によっても忙しさに大きな違いはあるのでしょうか? 緊急手術があるかないか、夜勤が多いかどうかなども忙しさに影響しそうですが、実際のところどうなのかをみていきましょう。
医師の不足感実感度ランキングでは内科は第6位
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2012年に公表している「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、忙しさの原因のひとつであろうと推測される「医師の不足感」について、「非常に感じる」または「まあ感じる」と回答した医師は全体の68.6%に上ります。では、診療科別に見た場合はどうかというと、「非常に感じる」または「まあ感じる」と感じている医師の割合がもっとも高いのは麻酔科。内科は第6位となっています。
医師の不足感実感度ランキング
順位 | 診療科目 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 麻酔科 | 81.70% |
第2位 | 救急科 | 77.80% |
第3位 | 小児科 | 70.70% |
第4位 | 整形外科 | 70.60% |
第5位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 70.30% |
第6位 | 内科 | 69.00% |
第7位 | 外科 | 67.80% |
第8位 | 放射線科 | 66.60% |
第9位 | 脳神経外科 | 65.90% |
第10位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 64.90% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」p.5より一部抜粋
出勤日以外も忙しい? 学会・研究会等への平均参加日数はランキング第9位
勤務医は、学会・研究会等への参加を余儀なくされることもあります。そこで続いては、学会・研究会等への参加日数ランキングを見ていきます。内科医の、学会・研究会等への平均参加日数は年間9.1日。参加日数0日という内科医も5.4%存在しますが、逆に15日以上参加していると回答した内科医は15.1%にも上ります。また、もっとも参加日数が多いのは整形外科医で平均11.4%、もっとも参加日数が少ないのは麻酔科医で、7.5%という結果が出ています。
学会・研究会等への平均参加日数ランキング
順位 | 診療科目 | 平均日数 |
---|---|---|
第1位 | 整形外科 | 11.4日 |
第2位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 10.3日 |
第3位 | 小児科 | 10.2日 |
第4位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 9.9日 |
第5位 | 産科・婦人科 | 9.7日 |
第6位 | 外科 | 9.4日 |
第7位 | 脳神経外科 | 9.3日 |
第8位 | 放射線科 | 9.2日 |
第9位 | 内科 | 9.1日 |
第10位 | 救急科 | 8.7日 |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」p.7より一部抜粋
主たる勤務先の日直・宿直の月あたりの回数は何番目に多い?
続いては、日ごろの忙しさを比較します。まずは、主たる勤務先の日直・宿直の月あたりの回数で比較しましょう。まず、日直の回数がもっとも多いのは救急科。「日直あり」と回答した医者は91.8%にも上ります。さらに、宿直の回数がもっとも多いのも救急科。「宿直あり」と回答した医者は94.4%にも上ります。一方で内科はというと、日直の回数、宿直の回数ともに第9位。日直、宿直の回数だけみると、他の診療科に比べて余裕を持って働けそうです。
主たる勤務先の日直ランキング
順位 | 診療科目 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 救急科 | 91.80% |
第2位 | 小児科 | 73.60% |
第3位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 70.00% |
第4位 | 産科・婦人科 | 69.40% |
第5位 | 精神科 | 68.80% |
第6位 | 外科 | 63.10% |
第7位 | 整形外科 | 61.70% |
第7位 | 脳神経外科 | 61.70% |
第8位 | 内科 | 61.00% |
第9位 | 麻酔科 | 53.60% |
主たる勤務先の宿直ランキング
順位 | 診療科目 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 救急科 | 94.40% |
第2位 | 脳神経外科 | 78.00% |
第3位 | 精神科 | 75.00% |
第4位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 74.10% |
第5位 | 外科 | 73.90% |
第6位 | 小児科 | 71.70% |
第7位 | 産科・婦人科 | 70.00% |
第8位 | 整形外科 | 68.90% |
第9位 | 内科 | 66.60% |
第10位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 58.90% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」p.37より一部抜粋
内科医はオンコールの回数は多い?
続いては、主たる診療科のオンコールの回数を比較しましょう。月あたりのオンコールの回数が4回以上だと回答した内科医は、全体の17.9%という結果。診療科全体で見ると、第7位にランクインしています。
オンコールの回数ランキング
順位 | 診療科目 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 脳神経外科 | 36.70% |
第2位 | 産科・婦人科 | 31.30% |
第3位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 30.90% |
第4位 | 外科 | 29.00% |
第5位 | 麻酔科 | 23.00% |
第6位 | 小児科 | 20.60% |
第7位 | 内科 | 17.90% |
第8位 | 整形外科 | 15.90% |
第9位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 15.30% |
第10位 | 精神科 | 8.50% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」p.45より一部抜粋
内科医の週当たりの労働時間はどのくらい?
続いては、週あたりの労働時間を比較します。内科医の週当たりの平均労働時間は、20時間未満=15.0%、20時間~40時間未満=13.7%、40時間~50時間未満=28.4%、50時間~60時間未満=21.3%、60時間~70時間未満=12.5%、70時間~80時間未満=5.2%、80時間以上=3.9%という結果。平均時間でみると43.4時間です。これは、下表の通り、他の診療科と比べてかなり少ない労働時間といえます。日直・宿直の月当たりの日数やオンコールの回数と併せて考えても、単純に労働時間を比較すると、内科医は余裕がある働き方ができるほうだといえるでしょう。
週当たりの労働時間ランキング
順位 | 診療科目 | 週の平均労働時間 |
---|---|---|
第1位 | 救急科 | 54.0時間 |
第2位 | 脳神経外科 | 53.3時間 |
第3位 | 外科 | 52.5時間 |
第4位 | 小児科 | 52.0時間 |
第5位 | 産科・婦人科 | 49.4時間 |
第5位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 49.5時間 |
第6位 | 整形外科 | 46.8時間 |
第7位 | 放射線科 | 46.1時間 |
第8位 | 麻酔科 | 45.8時間 |
第9位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 44.3時間 |
第10位 | 内科 | 43.3時間 |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」p.48より一部抜粋
年次有給休暇の取得日数は多い?
普段余裕を持って働くことができるということは、そのぶん、年次有給休暇の取得日数は少なくなるのでしょうか? 有給休暇の取得日数7日以上のランキングでみていきましょう。有給休暇取得日数が7日以上の内科医は、全体の26.1%という結果。全体の第6位にランクインしているので、年次有給休暇はかなりとれているほうだといえるでしょう。
年次有給休暇取得日数ランキング
順位 | 診療科目 | 有給取得率 |
---|---|---|
第1位 | 産科・婦人科 | 35.40% |
第1位 | 精神科 | 35.40% |
第2位 | 麻酔科 | 33.40% |
第3位 | 放射線科 | 29.90% |
第4位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 28.80% |
第5位 | 小児科 | 26.40% |
第6位 | 内科 | 26.10% |
第7位 | 整形外科 | 24.80% |
第8位 | 外科 | 23.90% |
第9位 | 脳神経外科 | 22.70% |
※年次有給休暇取得日数7日以上との回答ランキング
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」p.55より一部抜粋
内科医は疲労感を感じている?
ここまでは、実際の時間数や休暇取得日数をもとに比較してきましたが、最後に、医師本人が感じている疲労感をもとにした比較をみてみましょう。医師本人が疲労感を感じているランキングでみると、内科は第9位。内科医全体の56.8%が疲労感を感じているという結果です。
勤務医が疲労感を感じているランキング
順位 | 診療科目 | 割合 |
---|---|---|
第1位 | 救急科 | 72.30% |
第2位 | 外科 | 66.30% |
第2位 | 小児科 | 66.30% |
第3位 | 呼吸器科・消化器科・循環器科 | 64.40% |
第4位 | 産科・婦人科 | 62.60% |
第5位 | 整形外科 | 62.30% |
第6位 | 眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 58.80% |
第7位 | 麻酔科 | 58.20% |
第8位 | 脳神経外科 | 57.70% |
第9位 | 内科 | 56.80% |
第10位 | 放射線科 | 56.10% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」p.67より一部抜粋
自分にとってベストなワークライフバランスについて考えよう
忙しく働くのが好きな人、そうでない人さまざまですし、「プライベートを充実させたいから、仕事にかける時間はそこそこにしたい」と考える人もいるはず。どちらが正解ということはありませんし、一人ひとりが満足いく人生を生きるのが一番なので、生涯内科医の仕事を続けたい人も、これから内科医として開業したい人も、一度今後の働き方についてゆっくり考える時間を取ってみては?
特徴
対応業務
その他特徴
診療科目
特徴
対応業務
診療科目
この記事は、2021年9月時点の情報を元に作成しています。