高収入なイメージがある医者ですが、なかにはアルバイトに精を出している人もいます。では、なぜ医者はアルバイトに時間を割くのでしょうか? また、そもそもアルバイトをする時間など捻出できるのでしょうか?さっそくみていきましょう。
主たる診療所以外に4か所以上で働いている勤務医もいる
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が公表している「勤務医の就労実態と調査に関する調査」によると、「前月に勤務した病院の勤務先数は?」の質問に対する回答は以下の通り。男女ともに「主たる勤務先の1か所のみ」の回答がもっとも多いとはいえ、最高で5か所以上もの勤務先で働いている人がいることに驚かされます。
勤務先数 | 1か所 | 2か所 | 3か所 | 4か所 | 5か所以上 |
---|---|---|---|---|---|
全体 | 47.90% | 20.90% | 14.40% | 7.60% | 9.20% |
男性 | 48.00% | 20.40% | 14.40% | 7.60% | 9.60% |
女性 | 46.70% | 25.80% | 14.50% | 7.20% | 5.80% |
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と調査に関する調査」P.19より一部抜粋
複数の勤務先で働く理由は?
では、なぜ複数の勤務先で働くのでしょうか? 同じ調査の結果、医師たちからあがってきた回答を紹介します。
第1位:収入を増やしたいから(48.1%)
もっとも回答数が多かったのは、「収入を増やしたいから」。医者になるために学生時代に奨学金制度を利用した人などは、時間的にも体力的にも余裕がある若いうちに、たくさん稼いで早めに返済したいという理由もあるのかもしれません。
第2位:勤務先の指示があるから(36.5%)
なかには、勤務先からの指示によって複数の勤務先で働いている医師もいました。医療の世界はどこも人手不足ということもあり、人手が足りないときにサポートに行くということもあるのかもしれません。
第3位:1つの勤務先だけでは生活自体が営めないから(34.4%)
勤務医の給料は医療機関によってまちまち。独り身の間ならまだしも、家族を養っているとなると1ルームなどで暮らすわけにはいかないので、薄給の勤め先の場合、「これだけでは生活ができない……」ということもあるでしょう。
第4位:不足している専門家の病院から要請があったから(33.4%)
第2位の理由である「勤務先の指示があるから」のほかに、他の医療機関から要請がある場合もあるようです。
第5位:自分が活躍できる場を広げたいから(17.7%)
高い志を持って医師になり、より多くの人の役に立ちたいと、日々、邁進している人もなかにはいるでしょう。そうした人たちにとっては、自分が人の役に立てる場所は大切なのかもしれません。
また、6位以下の回答としては、「複数の病院で知識・技術を習得したいから」「現在の仕事で培った能力を活用したいから」「さまざまな分野の人とつながりができるから」「時間のゆとりがあるから」「短時間勤務で複数の勤務先で働くほうが効率的だから」などがありました。
参照:労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と調査に関する調査」P.21 より一部抜粋
開業や転職を見据えてアルバイトしている場合もある
アルバイトする理由としてあがってきた「活躍の場を広げたい」「複数の病院で知識・技術を習得したい」「さまざまな分野の人とつながりができる」の裏には、「開業や転職のために今のうちに準備しておきたい」という考えもあるでしょう。
人とのつながりがたくさんあると、それだけ、なにかあったときに頼れる人が多いということですし、さまざまな考えの人と接触することで、自分にはなかった考え方を身に着けられることもあります。
アルバイトすることにデメリットはないの?
こうしてみると、複数の勤務先で働く体力と気力さえ続くなら、アルバイトすることはメリットだらけのように思えますが、実際のところデメリットはないのでしょうか?
その答えは、ある意味NOです。なぜかというと、手間が増えるのです。
そもそも、複数の勤務先に通い続ける時間的な手間もありますが、それ以上に、複数の勤務先から収入を得ると確定申告に時間がかかることがデメリットといえます。確定申告をしなければならないのは以下の3つのいずれかに当てはまる人です。
- 1か所の医療機関からの受給額が年収2,000万円以上である
- 執筆活動や講演活動など、診療行為以外での収入が年に20万円を超えている
- 2か所以上から給料を受給している
ただし、時間的な手間はかかりますし、覚えなければいけないことも増えますが、そのぶん、できることが増えるということなので、長い目で見ると大きなメリットと言えるでしょう。
アルバイトはどうやって探せばいい?
メリットやデメリットを理解したうえでアルバイトしたいと考えるなら、先輩や上司から紹介してもらうという方法があります。周りからの紹介が期待できないようなら、インターネットなどで探すのもアリ。医療従事者向けの求人サイトはさまざまに存在するので、条件などに納得いく勤務先が見つかるまで、いろいろ探してみるといいですね。
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対応業務
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診療科目
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この記事は、2021年9月時点の情報を元に作成しています。