
私が勤めていた病院には恐怖のパワハラ医師がいました。就職する前から噂には聞いていましたが、実際は想像以上のパワハラ度合いでした。今回は、私たち看護師とパワハラ医師が戦った日々についてお話します。
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パワハラ疑惑のA先生
パワハラで有名な先生は、一見普通な中年の男性医師です。今回はA医師と呼びます。A医師はにこやかに話しかけてくれますし、ルックスも整っていて、患者さんから「イケメン先生」と呼ばれることもあるほどでした。私も就職した直後は、噂と違って優しい先生じゃないかと安心していました。ですが、少しずつ先生のおかしな部分に気付き始めることに。
パワハラ以前にサイコパスなA先生
あるとき、患者さんがてんかん発作で苦しんでいました。てんかん発作は脳波の問題で生じる病気。発作時には特別な処置は必要とせず、看護師は危険物を除去したり、てんかんの秒数を数えたりと見守ることしかできません。
その日も、苦しそうに痙攣している患者さんを見守りながら心苦しく思っていました。すると、廊下を歩いていたA医師が患者さんの部屋に入ってきて、衝撃の言葉を言い残したのです。「今日も痙攣してるね。魚みたい」。私はその発言に驚愕してしまいました。医師としてはもちろん、人としてあるまじき発言だと思いましたし、なんてことを言うんだとぞっとしてしまいました。そんな私の表情に気付いたのか、A医師はそれ以上何も言わずに退室していきました。
その発言があってから、「A医師はもしかしたらサイコパスなのかも」と思い始めました。このときは、パワハラと言うよりサイコパスな先生なんじゃないかと思っていましたね。
セクハラ疑惑もあるA先生
A先生にはパワハラやサイコパス疑惑だけでなく、若い女性看護師には優しいが、年配の女性看護師や男性看護師に対してキツく当たるという特徴がありました。そして、若い看護師をしつこく食事に誘うこともあり、セクハラ疑惑もかけられていました。
私も入職してしばらく経った頃、A先生から食事に誘われました。ですが、一緒に食事に出かけるほど仲がよくなかったですし、行きたくなかったので適当な理由をつけて断っていました。ですがA先生はなかなか引き下がりません。仕事終わりに「じゃあ行こうか」などと言われ、私が食事に応じたかのように振る舞われることも。繰り返し断っていたら食事に誘われることはなくなりましたが、人の気持ちを考えない先生だという印象が強まりました。
自分勝手な理由で看護師を怒鳴りつけたA先生
そんなA先生はあるとき、看護師を怒鳴りつける事件を起こします。事件が起きたのは夜勤帯でした。その日の夜勤では、最年長のベテラン看護師がリーダーでした。リーダーは医師と共に夜間の回診を回るのですが、そのときに怒鳴られたとのこと。なぜ怒鳴られたかというと、空室があったからだそうです。
私が勤めていた病院は緊急病棟でしたので、緊急の入院を受け入れるために、夜勤帯は必ず空室を一部屋用意しなければなりませんでした。その日の夜勤帯でも、定められた通りに空室を用意していたのですが、なぜかA先生は怒り出します。A先生的には、日中に自分の患者さんを入院させようとしたところ、看護師長から空室がないからと断られていたとのこと。その夜に私たちの病棟に空室があったことに強い不満を感じたそうです。
A先生のせいで働けなくなってしまった看護師
自分の入院を断られたからと言って怒鳴りつける必要はないと思いますし、病棟の事情も分かって欲しいものですが、A先生の怒りは収まりません。現場に立ち会っていなかったので怒鳴られた瞬間は当事者たちしか見ていませんが、相当な剣幕だったそうです。さらに、怒鳴りつけながら机を何回も叩いたとのこと。怒鳴られた看護師はかなりショックを受けて、しばらく仕事をお休みすることに。怒鳴られたことで強い心的ダメージを負ってしまったのです。
さらなるパワハラ事件が起こる
その事件以来、A先生への評判はますます悪くなりました。次の被害者を出さないためにも、どのような経緯で怒鳴られたかをレポートにまとめて看護部長にも提出しました。と言っても、看護師と医師では医師の方が絶対的な権力を持っています。対策は練られず、みんなA先生の夜勤担当の日を恐れていました。
そして、しばらく経ったときに次の被害者が出たのです。日勤帯の勤務時に朝から不機嫌だったA先生は、またもや別のベテラン看護師を怒鳴り散らしたとのこと。原因は自分の話を遮られたから。本当に子供じみていますが、そんなどうでもいいことがきっかけで激怒してしまう先生のようです。今回は日勤帯での事件でしたので目撃者も多く、実際に事件を見た人は「みんなの前で怒鳴られて本当に可愛そうだった」と心を痛めていました。男性看護師が「そんな怒らなくても」とフォローを入れたそうですが、「うるさい」と一蹴されてしまったそうです。
パワハラ対策委員会に相談しても現状は変わらず
二回目の激怒事件をきっかけに、私たち看護師は本格的なパワハラ対策をしようと準備をはじめました。まずは、事件への対策として目撃者全員が自分の立場からの報告書を記入。看護部長に提出しました。が、結果は前回と変わらず。対策が練られることはありませんでした。
看護部長に報告しても変わりようがないので、看護師間で相談して外部組織に報告することに。パワハラ対策委員会が院内に設置されていましたのですぐに報告しました。ですが、特に何をしてくれるわけでもなく。証拠がないためどうしようもないと言われてしまいました。二回目の被害にあったベテラン看護師はA先生を避けるように勤務しており、大変居心地が悪そうでした。
証拠を掴むためのパワハラ対策
組織に頼っても動きはありませんでしたが、私たちは諦めませんでした。ナースステーションの全てのパソコンに録音ソフトをインストール。そして一人ひとりペン型のボイスレコーダーを購入しました。もし怒鳴られそうになったときは必ず録音するよう、一致団結して務めました。A先生が座る位置などを想定して、バレずに録音できるようシミュレーションを繰り返しました。
まさかの結末
ここまで対策もしたし、いつでもかかってこい、という状況でしたがこの戦いは意外な結末を迎えます。3月の人事異動で、パワハラのA先生は他県に配属になったのです。もしかしたら私たちの動きを知った組織の上の方々が、大事に発展する前にと考えて異動を決めたのかもしれません。真相は分かりませんが、とにかく病院からA先生が居なくなったのです。お陰で働きやすい職場になり、休職中だった看護師も無事復職することができました。私たちが諦めずに戦おうとした姿勢は正しいものだったと思います。
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まとめ~パワハラを我慢する必要はない!~
いかがでしたか? 今回は私たち看護師がパワハラ医師と戦った話を紹介しました。医師と看護師には見えない壁があると思います。医師になるまでの道のりは険しく、多くの苦悩があったのは十分理解しています。だからといって、医師が看護師より偉いということはありません。私は、同じ職場でチームとして働くなら、対等な立場で意見を交換しあえるような関係性が理想的だと思います。
もし皆さんの働いている職場にパワハラしてくる方がいても、我慢する必要はありませんよ。周囲の力を借りて働きやすい職場になるよう立ち上がりましょう。スタッフみんなが働きやすい病院が増えることを祈っています。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2021年9月時点の情報を元に作成しています。