今の時代、どんな業界も口コミによってある程度印象が決まってしまうといっても過言ではありません。
「本当はいい店なのに、悪い口コミのせいで客足が遠のいている」ということもあれば、その逆も然り。正しく評価されることなくネガティブな口コミを書きこまれてしまっては、努力している店や企業はたまったものではありません。
もちろん、クリニックや病院に関しても同じこと。では、悪い口コミを書かれないためにはどうすればいいのでしょうか?
悪い口コミの具体例と与える影響
まずは、「悪い口コミ」とはどんな口コミなのかをみていきましょう。
下記は、具体的によくある口コミです。
初診であることを伝えたのに、『診察券を変えましたか?』と確認されて、こちらの話を何も聞いていないと感じました。
しかも、診察と検査で受付してもらったのに、診察が終わったら会計に回されたので『検査はどうなったのですか?』と聞いたら、『あーそうですね、そうでしたね』と言われたのでこちらから断りました。
ドクターは感じが良かったですが、受付や看護師の対応が悪く二度と行きたくありません。
上記のような口コミを書かれると、それを見た患者からネガティブな印象を持たれることは避けられません。しかも、書かれていることが真実ならまだしも、真実ではない場合もあります。
実際、真実とは程遠い嘘の書き込みを書かれたことが原因で、著しく患者が減ったクリニックもあります。
では、真実の場合もそうでない場合も含めて、なぜ患者は悪い口コミを書くのでしょうか。次の項で紹介します。
悪い口コミを書く心理
ここからは、悪い口コミを書く人の心理にスポットを当てていきます。
クリニックに対して不満がある
「真摯に対応してもらえなかった」「待ち時間が異常に長かった」などの不満があるものの、その場で耳を傾けてもらうことができなかった場合や言い出せなかった場合には、口コミサイトにネガティブな口コミを入れたくなってしまうこともあるでしょう。
多くの人は、「わたしはここに行ってこんなにイヤな思いをした」ということに対して、誰かに共感してもらいたいのです。
医師や看護師の対応が気にくわなかった
こちらも基本的には「クリニックへの不満」ですが、内装や待ち時間に対する不満ではなく、「対人」の不満の場合は、「仕返ししたい」という気持ちが働くものです。
クリニックに改善してほしい
「ここがよくなかったからこうしてほしい」「もっとこうだったらいいのに」といった表現の場合などは、「これを見たクリニック側が改善のために動いてくれたら」という期待が込められている場合があります。
基本的にクレーマー
クリニックがポジティブな対応をしたかネガティブな対応をしたかに関わらず、根っからのクレーマーはクレームを入れるものです。このタイプは、相手が真摯に対応しても、自分が気に入らなければクレーマーを入れます。
評価することそのものが好き
グルメサイトの口コミを見てもわかる通り、良い点悪い点を細かく評価することが好きで、極些細な問題点も指摘するタイプもいます。
悪徳業者の可能性も…?
なかには、わざと悪質な口コミを書きこみ、後々業者を装って「うちの会社なら悪い口コミを消すことができる」と金銭を要求してくるパターンもあります。
悪い口コミは削除できる?
結論からいうと、口コミは削除できる場合とできない場合があります。
まず、どのサイトに口コミを書かれたかによって削除できる可能性は大きく異なります。サイトによっては、そもそも悪い口コミは書き込めないものもあります。
たとえば、医療系ポータルサイトの『MyClinic』は「苦情などは掲載しない」と明言しています。
ただし、もっとも多くの人が利用または閲覧するGoogleの口コミに関しては、Googleアカウントを持っていれば誰でも書き込めるうえ、規制されていないため事前に防ぐことは難しいです。
しかも、削除依頼は可能ですが、依頼を受けて削除するかどうかはGoogleの判断となりますし、クレーマーであることが疑われる場合などでも削除されないケースもあります。
Googleの口コミがスムーズに削除されない理由としては、以下の3点が挙げられます。
審査に時間がかかる
削除依頼を行ってから審査結果が出るまでにはかなりの時間を要します。
システムが判断できない
意図的な虚偽情報、抽象的な表現、個人攻撃などに当てはまるかどうかは、自動システムおよび手動で検出していますが、システムが判断できない場合があります。
どちらの言い分が本当か確認できない
証拠がないことに関しては、どちらが本当のことを言っているのか判断されにくいでしょう。
口コミ投稿者またはGoogleを相手取った裁判にも注目
Googleの口コミがスムーズに削除されないケースは未だに多く、また、悪質な口コミが原因で利益が侵害されるクリニックも多く存在します。しかし、こうした状況に対してクリニック側も黙っているだけというわけではなく、投稿者やGoogleを訴えるクリニックが増えつつあります。
今年4月には、都内の医師などをはじめとする63人の個人と団体が、Googleに対して損害賠償を求める訴えを起こしたことは大きなニュースとなりましたし、翌5月には、兵庫県内の医療法人が、悪質な口コミの投稿者に対して損害賠償を求めた裁判で勝訴しています。
SNSでの誹謗中傷に対する世間の認識がここ数年でぐっとアップデートされたのと同様、口コミに対する認識も、こうした事例が増えることによって刷新されていくことが期待されます。
とはいえ、悪質な口コミが確実かつスムーズに削除される未来がくるとしても、まだ先の話になりそうなので、今できる対策はしっかりと取っていくことが大切です。
悪い口コミへの対策3選
続いては、悪い口コミにはどう対応すればいいかをみていきましょう。
誹謗中傷・悪質なクレームの場合は「削除依頼」一択
この場合は「削除依頼する」の一択です。下手に反論すると相手に火が付いてさらに攻撃してくる可能性があります。
また、削除依頼すると同時に、書き込まれた事実のバックアップをとっておくことも大切です。本当に悪質な犯人で、後々法的手段を取らなければならなくなる可能性もあるなら、書き込んだアカウントのアカウント名や日付なども控えておきましょう。
自院に非がある場合1.謝罪とお礼
「待ち時間が長い」「院内に清潔感がない」などの書き込みが事実である場合、「不快な思いをさせてすみませんでした」の謝罪と「ためになるアドバイスをありがとうございます」のお礼を返信することが大切です。
場合によっては、「毎日掃除しているのに清潔感がないと言われても……」などと思う場合もあるかもしれません。しかしそんなときこそ共感の姿勢を示すことで、返信を見たその他のユーザーからも「患者に寄り添ってくれるクリニックだ」と思ってもらえる確率が高くなります。
自院に非がある場合2.良い口コミが増えるよう努力する
悪い口コミが書かれていても、よい口コミの数がその何倍にものぼれば、多くの人は「総じていいクリニックなのだな」と判断します。
よい口コミを増やすためには、丁寧な診療やコミュニケーションを心がけることに加え、「受付で患者に口コミをお願いすること」などが役立つでしょう。
悪い口コミは、専門家に相談して対策しよう
悪い口コミを書く人の心理や対応策を頭に入れておいても、いざ自院に対するネガティブな口コミを目にすると、精神的に参ったり余計なストレスを感じたりしてしまうこともあるでしょう。
また、書き込みの内容が真実でない場合は、公に言い返したくなる衝動に駆られることもあり得ますが、反論した結果、相手が逆上することもあり得ます。
近年は、患者に逆恨みされて放火されたケースなどもあるので、法的手段が必要な場合なども含めて、口コミ対策に関して不安なことがあれば専門家を頼るのもアリ。
信頼できるコンサルタントなどがいるなら、早めに意見をきいてみるのも得策ですよ。
特徴
その他特徴
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診療科目
この記事は、2022年1月時点の情報を元に作成しています。