診療報酬の平均点数を知っておくべき理由とは?

自院の診療報酬は当然把握しているけど、競合の診療報酬は気に留めたことがないというクリニックは多いかもしれません。また、開業前であっても、他院の診療報酬を意識することはあまりないかもしれません。もちろん、個別のクリニックの診療報酬の情報を得ることなどできません。しかし、都道府県ごとの平均点数なら公開されているので、確認しておくのが得策。その理由を紐解いていきます。

目次
  1. 平均点数を知っておいたほうがいいのはなぜ?
    1. 目標を立てやすくなる
      1. クリニックの売上金額の計算方法
    2. 厚生局からの指導を回避できる
  2. 都道府県別の診療報酬平均点数は?
  3. 平均点数は診療科によって異なる
  4. 最新の診療科別平均診療点数は各厚生局のホームページでチェックを!

平均点数を知っておいたほうがいいのはなぜ?

目標を立てやすくなる

なぜ、自分が開業している都道府県、開業予定地の都道府県の診療報酬の平均点数を把握しておいたほうがいいかというと、ひとつは、目標を立てやすくなるからです。開業前であれば、「まずは平均点数を目指そう」という目標を立てることができます。開業後であれば、自院と平均値との差を確認したうえで、次なる目標を定めることができます。
また、「売上金額の目標」と「診療報酬の平均点数」のふたつがわかれば、集患の目標を立てることもできます。なぜなら、売上金額は以下の計算式によって算出できるため、どれだけ患者を呼び込めばいいかがわかるからです。

クリニックの売上金額の計算方法

診療日数×診療報酬×患者数=売上金額

厚生局からの指導を回避できる

平均点数を知っておいた方がいいもうひとつの理由は、厚生局からの指導を回避できるということです。どういうことかというと、レセプト1件あたりの平均点数が都道府県の平均点数の1.1倍を超えると、集団的個別指導の指導対象となり、講義形式での指導を受けることになります。また、集団的指導を受けた翌年度で再び高点数保険医療機関等に該当した場合などは、集団的指導ではなく個別指導を受けることになります。指導を回避するためには、平均点数を知っておくことが必須と言えるでしょう。

参照:集団的個別指導及び個別指導の選定の概要について

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都道府県別の診療報酬平均点数は?

続いては、令和2年度の都道府県別診療報酬平均点数をみていきます。下記は、地方厚生局によって公表されたデータです。開業予定地または現在開業しているエリアの平均点数を確認しましょう。

都道府県 平均点数
北海道 1,410点
青森県 1,331点
岩手県 1,283点
宮城県 1,116点
秋田県 1,366点
山形県 1,105点
福島県 1,179点
茨城県 1,155点
栃木県 1,086点
群馬県 1,120点
埼玉県 1,122点
千葉県 1,163点
東京都 1,158点
神奈川県 1,226点
新潟県 1,199点
富山県 1,100点
石川県 1,204点
福井県 1,212点
山梨県 1,188点
長野県 1,130点
岐阜県 1,107点
静岡県 1,096点
愛知県 1,167点
三重県 1,088点
滋賀県 1,076点
京都府 1,231点
大阪府 1,354点
兵庫県 1,264点
奈良県 1,119点
和歌山県 1,251点
鳥取県 1,179点
島根県 1,155点
岡山県 1,263点
広島県 1,295点
山口県 1,215点
徳島県 1,296点
香川県 1,296点
愛媛県 1,133点
高知県 1,242点
福岡県 1,290点
佐賀県 1,192点
長崎県 1,190点
熊本県 1,190点
大分県 1,313点
宮崎県 1,305点
鹿児島県 1,159点
沖縄県 1,238点

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平均点数は診療科によって異なる

平均点数は診療科によって大きく異なるので、自院の診療科の平均点数を確認することが必要です。2022年の都道府県別の平均点数のなかから、青森県および秋田県を例に、どのくらいの違いがあるかをみていきましょう。
2022年度 青森県内のクリニックの診療科別平均点数

診療科 平均点数(医療保険一般分+後期高齢者分)
内科(人工透析有) 9,146
内科(人工透析無在宅有) 1,506
内科(人工透析無在宅無) 1,159
精神・神経科 937
小児科 1,205
外科 1,151
整形外科 1,273
皮膚科 556
泌尿器科 1,120
産婦人科 926
眼科 789
耳鼻咽喉科 849

参照:2022年度 診療科別平均点数一覧表(青森県)

診療科 平均点数(医療保険一般分+後期高齢者分)
内科(人工透析有) 4,064
内科(人工透析無在宅有) 1,355
内科(人工透析無在宅無) 1,217
精神・神経科 1.666
小児科 1,042
外科 1,338
整形外科 1,219
皮膚科 582
泌尿器科 1,069
産婦人科 1,081
眼科 1,354
耳鼻咽喉科 683

参照:2022年度 診療科別平均点数一覧表(秋田県)

2つを見比べたところ、「内科(人工透析有)」には2倍以上の開きがある他、「精神・神経科」や「眼科」にもかなりの差があることがわかります。すべての都道府県を比較すると、さらに差が大きい診療科もあることでしょう。

最新の診療科別平均診療点数は各厚生局のホームページでチェックを!

診療科別の診療点数平均データは、厚生労働省および地方厚生局によって公表されています。自院の開業予定地または開業地の診療科別平均診療点数を、ぜひチェックしてみてくださいね。

クリニック開業ナビ

執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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