看護師の「プリセプター制度」とは? メリット、デメリットも知りたい!

看護師に限ったことではありませんが、初めての職場では、右も左もわからず右往左往してしまうことがありますが、教育制度が整っていれば、初めてでも安心して働けます。そのため、医療機関のなかには、「プリセプター制度」を導入しているところがありますが、「プリセプター制度」とはどのような制度のことなのでしょうか? 詳しく解説していきます。

目次
  1. プリセプター制度とは?
  2. プリセプター制度における具体的な指導内容は?
    1. 業務内容に関する教育・サポート・評価
    2. 看護知識の習得サポート・評価
    3. 精神面のフォロー
  3. 3種類のプリセプター制度とは?
    1. プリセプターのみのマンツーマンスタイル
    2. プリセプターのうえに「アソシエイト(シニアプリセプター )」が配置されるスタイル
    3. 精神的なフォロー役として「メンター」がつくスタイル
  4. プリセプター制度のメリット、デメリットは?
    1. プリセプター制度のメリット
    2. プリセプター制度のデメリット
  5. プリセプター制度を採用している医療機関で働いた場合の日の流れは?
  6. プリセプター制度実践の具体的なステップは?
    1. 【1st Step】看護の基礎を学ぶ
    2. 【2nd Step】受け持つ患者数が増える
    3. 【3rd Step】長所はより伸ばして、短所は克服する
    4. 【4th Step】一人前の看護師としての自覚を持つ
  7. プリセプター制度以外にはどんな教育制度がある?
    1. メンターシップ
    2. チューターシップ
    3. チーム支援型
  8. お互いに気持ちよく働けるよう意識しよう

プリセプター制度とは?

プリセプター制度とは、熟練の先輩ナースが新人ナースを、半年~1年程度 の一定期間、マンツーマンで指導する教育制度のことです。

「プリセプター(preceptor)」は「指導者」という意味の英語で、つまり教える側のナースのことを指します。反対に教わる側のナースのことは「プリセプティー(preceptee)」といい、プリセプター制度のことは「プリセプターシップ(preceptorship) 」ということもあります。

新人看護師のなかには、学生時代の学びを通してイメージしていたことと、実際の臨床の現場で求められることとのギャップが大きい「リアリティショック」 に悩まされる人が一定数いますが、プリセプターという存在がいれば、少なくともひとりで悩まずに済みます。

プリセプター制度はすべての医療機関が採用している制度ではありませんが、2010年4月に、新人看護職員に対する臨床研修の実施が努力義務化されたことをきっかけに、同制度を導入する医療機関が増えることとなりました。

参照:厚生労働省 政策レポート「平成22年4月から新人看護職員研修が努力義務となります」

プリセプター制度における具体的な指導内容は?

プリセプターがプリセプティーに教えることは多岐にわたります。看護技術だけでなく、医療や看護を提供するうえで心がけるべきことや、看護職としての自己管理、就業に関する諸規則 、コミュニケーションにおいて気を付けることなどを教えることで、新人ナースが一人前になる手助けをおこないます。

業務内容に関する教育・サポート・評価

看護師としておこなうべき業務の教育・指導および看護実践時のサポートをおこないます。また、プリセプティーの技術習得度をしっかり把握してフォローすることも大切です。習得度・習熟所の確認の際には、看護技術チェックリストを活用します。

看護知識の習得サポート・評価

プリセプティーが看護に必要な知識をしっかり身に着けられるよう、実務の予習および実践後のレポート作成を指示します。レポート内容を確認して、必要があれば指導をおこないます。

精神面のフォロー

リアリティショックを感じやすいプリセプティーの精神面のフォローも、プリセプターの大切な役割です。プリセプティーが不安な気持ちになっているとき、相談に乗ったり励ましたりしてサポートします。

3種類のプリセプター制度とは?

プリセプター制度は、大きく下記の3種類にわけられます。

プリセプターのみのマンツーマンスタイル

プリセプター制度の基本スタイルです。プリセプターが看護技術や日常業務のこなしかたなどの指導や教育、フォローをおこないます。

プリセプターのうえに「アソシエイト(シニアプリセプター )」が配置されるスタイル

プリセプターをサポートする看護師「アソシエイト」が付き、教育の進捗状況を把握しながら全体をまとめていきます。プリセプターが日常業務の指導や相談役を担い、アソシエイトが実践的な技術指導をおこなうなど、役割を分担している職場もあります。

精神的なフォロー役として「メンター」がつくスタイル

プリセプティーへの指導および教育をプリセプターがおこなうことはマンツーマンスタイルと同じですが、さらに、プリセプティーの中長期的なキャリア支援や精神的フォロー役としてメンターがつきます。メンターは、年齢や経験があまり離れていない先輩ナースが務めることが多いです。

プリセプター制度のメリット、デメリットは?

続いては、プリセプター制度のメリット、デメリットを説明します。

メリット デメリット
プリセプティー側 ・わからないことや困ったことを質問・相談しやすい
・実践面でのサポートがあるため、精神的な負担が少ない
・プリセプターと性格的に合わない場合がある
・プリセプターが能力不足の場合がある
プリセプター側 ・教えることを通して自分の知識やスキルを再確認できる
・知識やスキルの学び直しができる
・プリセプティーが評価されると自分も評価される
・プリセプティーと性格的に合わない場合がある
・通常業務以外の仕事が増える

プリセプター制度のメリット

プリセプター制度は、プリセプティーにとってもプリセプターにとってもメリットが大きい制度であるといえます。まず、プリセプティーにとっては、一定期間、先輩ナースが身近にいてくれるため、わからないことや不安なことがあればすぐに質問・相談できますし、実践面で自信がないときはサポートしてもらえるため、精神的な負担が少ないといえます。

また、プリセプターにとっては、教えることを通して自らの知識やスキルを再確認することが学び直しになりますし、プリセプティーが評価されると、自らの「教えるスキル」が評価されることになります。

プリセプター制度のデメリット

一方でデメリットはというと、一定期間、マンツーマンで指導となると、相性がよくない相手と組まされた場合、お互い苦痛であることが考えられます。

また、プリセプティーはプリセプターを指名することができないため、知識や技術に乏しいプリセプターが当たった場合、十分な学びを得ることができないかもしれません。一方、プリセプターにとっては、通常業務以外の仕事が増えるのもデメリットのひとつです。しかも、それでいて、プリセプターへのサポート体制が整っていない場合もあるので、プリセプターとしての負担を大きく感じやすいかもしれません。

プリセプター制度を採用している医療機関で働いた場合の日の流れは?

プリセプター制度を採用している医療機関で働いた場合、まず、勤務開始時に1日のスケジュールをプリセプターとプリセプティーが一緒に確認します。勤務中は、仕事の進捗具合をお互いに確かめ合いながら、勤務終了時には、プリセプターがプリセプティーの考えを聞き出しながら、1日を振り返ります。

プリセプターは、プリセプティーが積極的に業務に当たれるようサポートすることが役目ですが、医療の現場では患者の安全が最優先となるため、プリセプティーの技術習熟度によっては、プリセプターが手を貸してくることもあります。場合によっては、「自分ひとりでやりたかったのに……」などと思うこともあるかもしれませんが、患者の安全が最優先であることと、一つひとつの業務に時間をかけられない場合もあることに目を向けると、プリセプターの言動がしっかり理解できるはずです。

また、1日の勤務終了時には、業務にあたってどんなことを感じたかを確認されるので、プリセプターの質問に対して「Yes/No」で答えるのではなく、自分なりに意見を言えるようにしておくことが大切です。また、わからないことはわからないままにしておくことなく、その日のうちにプリセプターに質問して、解決させることも重要です。

プリセプター制度実践の具体的なステップは?

前半で述べた通り、プリセプター制度は、約半年~1年間にわたって、プリセプターがプリセプティーについて指導する制度ですが、その間ずっと同じような1日を過ごしているわけではありません。具体的には、下記の4ステップを通して習熟度を高めていきます。

【1st Step】看護の基礎を学ぶ

最初の3か月弱は、主にプリセプターがお手本を見せながら、それぞれの看護業務の意味や根拠を伝える時期です。そのなかでも最初の数日にあたる入職直後は、プリセプティーに業務を見学させる「シャドーイング」がおこなわれます。プリセプターの身体の動きや作業内容をよく観察することで、プリセプティーは、なぜそれが必要であるのかをしっかりと理解することができます。

【2nd Step】受け持つ患者数が増える

看護の基礎を学んだら、プリセプティーも少しずつ受け持ち患者を増やしていくことになります。そうするとどうなるかというと、受け持ちが増えたぶん、何を優先して、どのように仕事の時間を割り振るかを考える必要が出てきます。最初の打ちは優先順位のつけ方がわからなくても、プリセプターのアドバイスをもとに実践を繰り返すうち、効率よく仕事できるようになってきます。

【3rd Step】長所はより伸ばして、短所は克服する

一通り基礎を学び、効率よく仕事を回すコツもつかんでくるころには、自分の得意なことと苦手なことが明らかになってきます。この段階に入ると、長所をさらに伸ばして、短所を克服することを考えることが大切です。苦手なことを克服するためにどうすればいいのかをプリセプターに相談するなどして、看護技術の向上を目指します。

【4th Step】一人前の看護師としての自覚を持つ

プリセプター制度の実施期間が終了したら、一人前の看護師としての自覚を持つことが大切です。この段階でまだ不安な点があるなら、プリセプターのもとを離れる前に、納得いくまで教わりましょう。

プリセプター制度以外にはどんな教育制度がある?

新人看護師の教育制度としては、プリセプター制度以外に、下記のような制度があります。新人教育が整っている職場を選びたいと考えている人は、求人票などをしっかりチェックしましょう。

メンターシップ

3種類のプリセプター制度のうちの1つとして、精神的なフォロー役としてメンターがつくパターンがあることを説明しましたが、「メンターシップ」にはプリセプターは不在です。主に精神面での支援をおこなうメンターがつくことで、中長期的なキャリアを視野に入れたサポートをおこないます。

チューターシップ

「チューター」とは、相談役のこと。業務や学習の効率的な進め方や、メンタル面・生活面で困っていることについて相談に乗る役割を果たします。チューターとなる看護師は、看護技術や日常業務の実践的な指導はおこないません。これらの指導は、チューターとは別の看護師が担当するのが一般的です。

チーム支援型

新人ナースに特定の指導者がつくのではなく、配属先チームの先輩がそれぞれの得意分野を指導するかたちでサポートします。

お互いに気持ちよく働けるよう意識しよう

プリセプター制度は、基本、マンツーマンでの指導となるため、タッグを組む相手とソリが合わないと、お互いに「やりにくいな……」と感じることがあるかもしれません。しかし、前述の通り、マンツーマンの期間は半年~1年程度続くので、その間ずっとやりにくさを感じなければならないのは残念なことです。そのため、気が合いそうにないなと感じても、仕事だと割り切ったり、相手のいい部分を見つけたりすることで、お互いに気持ちよく働けるよう意識することをおすすめしますよ!

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対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、