金融機関の医療担当者が見ているのはココ!医師が開業資金を調達する場合に気をつけるべきポイントを解説

開業に向けた資金調達、銀行との交渉に自信が持てない医師も多いのではないでしょうか。
「他のクリニックとの差別化ポイントをつっこまれると困る」
「融資が通りやすい事業計画書の作り方なんてある?」
「銀行の審査の基準が分かれば少しは事前対策できるかも」
自身で事業プランを立て、融資の相談をした経験のある勤務医はほとんどいないはずです。銀行でクリニックの新規開業を多く手掛ける担当者に、どんなポイントに気をつけるべきかを聞きました。
この記事を読むと、銀行で行われる審査の流れ、医師が準備しておくべき内容が分かります。自身の開業コンセプトと、融資の関係についても解説しています。ぜひ参考にしてください。
※本記事に記載の情報は取材を行った2022年5月16日現在です。

回答者:飯野 和浩氏(株式会社 山梨中央銀行 コンサルティング営業部 コンサルティング営業室 医療介護担当室長代理)
甲府市に本店のある山梨中央銀行は、医療や介護分野の事情に精通した専門担当者が多数在籍し、グループ会社や専門コンサルティング会社などと連携し、新規開業のサポートを行っています。
今回お話しを伺った飯野氏は、2020年から現職で開業を志す医師を幅広く支援してきた実績があります。

目次
  1. 過去最多!年間約60件の開業支援を行う
  2. 審査でプラスになる点、マイナスになる点
  3. 「ココ」で見極めているポイントとは
  4. まだ何も決まっていない状況でも相談可能
  5. 銀行は事業の見通しを「人」で見ている

過去最多!年間約60件の開業支援を行う

ーー山梨中央銀行さんは2014年から医療介護の専門チームを組んでこられたそうですね。医療に強い銀行だと思いますが、具体的にはどのような支援を行うのですか?
飯野:物件情報の提供、診療圏調査、開業に必要な事業者のご紹介なども行いますし、もちろん開業に必要な資金のご融資も行います。幅広い、スムーズな開業のお手伝いをさせていただきます。山梨県下はもちろんですが、東京や神奈川に17店舗を構えており、広範囲でのご開業相談を承っております。
受けられる支援の内容は、同行ホームページにリーフレットでまとめて記載されています。
医療機関・介護事業者様向け 経営支援メニューガイド|山梨中央銀行

事業計画書の策定
人材確保
集患支援(ホームページ作成、広告看板手配)
ICT機器導入
資産形成の相談や補助金の案内など
年々、山梨中央銀行に相談する医師が増えているとのことです。
ーーコロナになった2020年は「開業控え」もあったと聞きます。2021年以降はいかがでしょうか。
飯野:そうですね、確かに2020年は開業の計画を一旦ストップされた先生も多かったかと思います。しかし、2021年はウィズコロナが定着し、開業を目指す先生が増えた印象です。昨年、私どもがご支援した開業件数は過去最高の59件にのぼりました。
ーーそれは前年の反動もあったとしても、驚くべき数字なのではありませんか。
飯野:反動はあったと思います。もともと2020年に開業予定だった先生が2021年に開業のタイミングをずらされたケースがありました。ただ2022年も支援件数は順調に推移しており、開業された先生方からご紹介を頂くケースも増えています。着実にご評価をいただけるようになってきたのかなと感じています。
その背景として、私どものスタッフの中に次のような専門家がいる点も大きいかなと自負しています。
医療機関に出向経験がある者
医業経営コンサルタント
医療経営士
介護経営士
こうした専門の資格を持っている人間がアドバイスしております。また弊行の強みとして、医療機器メーカー、医療に強い税理士、薬局、不動産業者など外部提携先が数百社にのぼるネットワークもございます。

審査でプラスになる点、マイナスになる点

ーー実際にどのような審査をされているのかを教えてください。
飯野:まず弊行には住宅ローンのような制度に当てはめたパッケージ型の融資の商品はございません。パッケージ型の商品では、融資金額の上限、開業時の年齢、担保や保証人の有無、保険診療、返済期間など限定される要素があります。そこで弊行では、開業されたいドクターの個別状況などを踏まえて、個々にカスタマイズしてご提案しています。したがって机上で資料だけを見て融資を判断することはありません。
もちろん書類も拝見しますが、開業予定地や診療圏をくまなく歩いて回ります。地域の特色や競合となるクリニックの状況などのほか、面談を通じてお聞きした院長のビジョンを実現するのにふさわしい場所かをチェックします。
ーー院長のビジョンに相応しい場所…というのが分かるのですか?
飯野: これまでいろいろな研鑽を積んでこられた過程を踏まえて「その地域」に「どのような医療をこれから提供していきたいのか」が重要です。やはり差別化しても、似たコンセプトのライバルが近くにいるなどは不利に働く場合がありますし、たとえばファミリー向けに医療を提供したいのに住民が高齢者ばかりだとしたらマッチしません。こうしたことは、現場を歩いて、見聞きして初めて発見できることが多いです。
ーー具体的に審査の上でプラスになる点があれば、ぜひ教えてください。
飯野:まずは今もお話しした院長のビジョンが第一です。どんな医療を提供したいのか、そして一世一代の開業であると覚悟は決まっていらっしゃるか。
次にご家族、親族の同意や協力をしっかり得られるかも非常に大切なポイントです。主人公は院長ですが、私生活の支えがあるとやはり経営もうまく行く可能性が高いです。
私生活とも関わりますが、開業に向けて資産形成や貯蓄をしっかりやってこられたか、金額よりも計画性をもっていらっしゃるかです。開業後も、クリニックの修繕費や医療機器の更新など何かとお金が必要です。プライベートでも教育費、住宅費などがかかる年代の先生が多いので、貯蓄計画も事業計画に盛り込んでおく必要があるかなと考えます。
ーーなるほど、やはり強固な意志が重要ですね。
飯野:ただし、最終的には院長が判断するのですが、開業に携わるいろんな方々の意見を参考にしながら、進めていくことも大事なポイントだと捉えています。
とくに本業の診療にとどまらずクリニック運営、人事労務管理などの知識を備えているかも確認します。
ーー逆にマイナスポイントは、プラスの裏返しと捉えればよろしいですか。
飯野:そうですね。第一の目的が「勤務医時代より年収を上げたい」など、開業のビジョンが定まっていない、開業前後の資産形成に計画性がないなどはマイナスでしょうか。また、家族、コンサルタントや医療機器メーカーの方の意見を全く参考にせず、すべてご自身で全部決める点などはマイナスに捉える場合が多いです。

「ココ」で見極めているポイントとは

ーー結局どう判断するかを知りたい方が多いかと想像します。たとえば「口では立派なことを仰るけれど、中身が伴っていない」のようなケースは見抜けるものでしょうか。
飯野:お話しが上手な先生は、深掘りしていくと本音が見えてくる場合もありますし、言葉で伝えるのが苦手な先生には開業に対する意気込みを「趣意書」と呼ばれる文書にまとめていただくお願いもしますね。後日、じっくり院長のお考えを文書とともにプレゼンしていただくと明確になる場合もあります。最初からスラスラお話しできる先生は少数です。きちんと対話して「なぜ医者を志したのですか」というところから振り返っていただくと「地域に自分の専門医療を還元したい」などの軸が見えてきます。
ーープラスして人柄も重要視されるとか。
飯野:ビジョンに加えて、ドクターのお人柄も重要視していますね。ドクターも、対患者さん、対人のコミュニケーション能力、誠実性、説明能力は非常に重要視しています。
ーーこのほか投資や借入の規模などはどう影響するのでしょうか?
飯野:投資規模、スタッフ人員、借入規模、借入方法が先生のビジョンに合っているか対話を通じて確認させていただきます。近年、開業される先生は専門性を打ち出す傾向が強いと感じています。開業地域の人口動態や、既存のライバルクリニックの状況により異なりますが、ビジョンの実現のために必要な資金ならば、問題はありません。当然、高額な医療機器が必要な場合など、診療科によってもだいぶ異なります。
なお「手持ち資金が十分あるのは望ましい」としながら、現在は自己資金や担保の有無によって融資を判断することはないとのことでした。
個々の事情に寄り添って提案を行う、同行の強みが反映されていると言えるでしょう。

まだ何も決まっていない状況でも相談可能

豊富な支援メニューで、新規開業の伴走をしてきた山梨中央銀行にはすでに何百件もの事例データベースが貯まっています。これをもとにアドバイスできる点も強みです。
とくに融資を受けるために欠かせない事業計画書の作成を金融機関自らが、助けてくれるのは経営に不慣れな勤務医にとってはありがたいサービスになるでしょう。
ーー審査が始まるまでの流れを教えてください。
飯野:はい、概ね次のような流れです。
医師本人またはコンサル会社や税理士から相談の電話やメールを受ける
事業計画書があれば持参、また個人の資産や借入などの資料を用意する
現時点で開業のパートナーが決まっていない、計画書がない場合でも相談可能
ご連絡いただく段階での準備の度合いは個別さまざまです。事前に開業のパートナーとともにかなり資料を作り込んでいる場合もあります。もちろん資料があるに越したことはないのですが、ゼロ段階からご相談してくださるケースもあって、それはそれでまったく構いません。
ーー必要書類なども全部サポートしてくださるし、事業計画書がなくても一緒に作ります!という姿勢なんですね。これは心強いですね。銀行に連絡するなんて、ちゃんといろんな段取りが決まってからでないと失礼に当たると思っている先生も多いかもしれませんね。
飯野:最初は何も決まっていないのは当たり前ですから、ぜひお気軽にご連絡いただきたいですね。

銀行は事業の見通しを「人」で見ている

事業計画書から開業の想いが読み取れるかを、山梨中央銀行では重視されているように思います。
ただ計画がどんなに完璧であっても、予期せぬ事態はどんなクリニックにも起こるものでしょう。見えない見通しを予測するよりも、医療にかける想いと、院長が経営者にふさわしい人柄を備えているかを見極めるべきと考えているのでしょう。
メガバンクや都市銀行では一般的に融資の審査が厳しく、大規模な案件でなければ承認が難しいと指摘されます。個人開業の規模感からも、地方銀行または信用金庫などから親身にサポートを受けるのは狙い目と言えるかもしれません。
こうした医療機関の支援実績が豊富な金融機関を頼れば、資金繰り以上に有効なアドバイスを得られるのではないでしょうか。
取材協力:株式会社 山梨中央銀行

コンサルタント有資格者と地域の医療情報に通じた地域開業アドバイザーが2人1組となり医師をサポート

特徴

ご開業準備は多岐にわたり、先生方のブレーンの一人として、医業理念立案から開業場所選定に伴う各種マーケット調査、資金調達に不可欠な事業計画、導入システムや医療機器・什器とその院内レイアウト、広告・求人・各種届出等々、スケジュール管理による開業準備をトータルサポートさせて頂きます。まずはお気軽にご相談ください。

対応業務

開業コンセプト決め 開業予定地調査 物件選定サポート 事業計画書作成 金融機関との交渉 医療機器導入サポート 現場工事打合せ参加 ホームページ制作サポート 保健所・厚生局届け出サポート 開業後のマーケティングサポート 移転・建て替えサポート 分院展開

その他の業務

継承案件紹介 病院経営コンサルティング 診療所経営コンサルティング 増患・集患対策 業務改善

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、
医療に関するコンサルティングサポート!経験豊富で確かな知識のあるスタッフ在籍!

特徴

○ 医療コンサルティングのノウハウがあります  医療コンサルタントをお探しでしたら、これまでにも多くの方からご相談をいただいてきた実績があり、一人ひとりのお悩みに寄り添った丁寧な対応で信頼がある当社までお問い合わせください。常に事業者様の目線に立った対応を心掛けている当社では、まず皆様からのご相談をしっかりと承り、最適なサポートをいたします。 経験豊富で確かな知識のあるスタッフが在籍している当社は、直接ご来店される必要はなく、電話やメールでお気軽にお問い合わせいただけますので、医療コンサルティングへのご相談をお考えでしたら、お気軽にご連絡ください。 < サービスメニュー > 1.事業者様の開業支援 2.病院の経営改善をサポート 3.医療機器販売 4.メディカルツーリズムによる医療機関をコーディネート

対応業務

開業コンセプト決め 開業予定地調査 物件選定サポート 事業計画書作成 金融機関との交渉 設計・工事業者選定サポート 医療機器導入サポート 現場工事打合せ参加 その他広報戦略サポート 保健所・厚生局届け出サポート 職員研修サポート 経営改善コンサルティング 開業後のマーケティングサポート 移転・建て替えサポート 医療法人化サポート

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、
医療経営に特化したクリニックの税務・会計顧問

特徴

地域医療を支えるクリニックとしての良質な医療サービスの実現と継続性、 さらには院長の描く将来像やスタッフの充実した生活を守るために わたしたち税理士法人日本医療総研は、医療経営に特化したエキスパートとして、 クリニックの税務・会計顧問を支える叡智と、 日本医業総研グループのコンサルティングチームと連携した分析力・提案力の両輪での 「成功サポート」をお約束いたします。

その他特徴

レセプトに強い 医療業界に強い 事業承継に強い

対応業務

月次面談・監査 経理代行 記帳代行 税務相談・申告 相続税・資産税 融資・資金調達 給与計算 社会保険 人事・労務手続き 電子申告 資金繰り相談 経営計画・経営指導 経営コンサルティング 事業計画 節税対策 M&A 事業継承 財務分析

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、
ご自身の生活スタイルにあった開業を実現するための開業支援、無料開業相談(オンライン相談)実施中!

特徴

小規模なテナントで開業し、初期費用やランニングコストを抑えて借り入れを少なくするなどして、 無理のない資金計画をご提案。 近年は女性医師の開業支援に力を入れており、子育て中の女性医師など、勤務時間に制約がある先生のサポートも多く行っております。 ご自身の生活スタイルにあった開業を実現。現在、無料開業相談(オンライン相談)を実施しておりますので、お気軽にご相談下さい

対応業務

開業コンセプト決め 開業予定地調査 物件選定サポート 事業計画書作成 金融機関との交渉 設計・工事業者選定サポート 医療機器導入サポート 現場工事打合せ参加 保健所・厚生局届け出サポート 職員研修サポート 経営改善コンサルティング

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

執筆 執筆者 藤原友亮

医療ライター。病院長や医師のインタビュー記事を多く手がけるほか、クリニックのブログ執筆やSNS運用なども担当。また、法人営業経験が長く医療機器メーカーや電子カルテベンダーの他、医師会、病院団体などの取材にも精通している。


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