クリニックを開業するとなると、本業である医療以外に、経営や経理、マネジメントなどさまざまなことを考えることが必要です。しかし、ほとんどのドクターは医療以外の分野の知識やスキルは初心者レベルであるはず。一から学んで身に着けるのは至難の業なので、時間を有効に使うためにも各分野の専門家を頼るのが一番です。そのなかから今回は、社労士(社会保険労務士)に関して、顧問契約を結ぶメリットやいい人材を見極めるポイントなどをお伝えします。
社労士とは? どんな仕事を任せられるの?
まずは、社労士の仕事を説明します。
社労士とは、社会保険労務士法に基づいて認められた国家資格者のことで、労働・社会保険のエキスパートです。主な仕事は、労働・社会保険に関する手続きの代行や書類作成、従業員の採用から退職にいたるまでの人事労務に関する相談に応じることなど。企業経営の3要素であるヒト・モノ・カネのうち、ヒトに関すること全般を扱います。
社労士の顧問料相場は? 顧問料相場は月額2万円~
社労士の顧問料は、従業員の数によって決まるのが一般的です。人数が4人以下なら月額2万円~、5~9人なら月額3万円~が相場とされているので、一般的なクリニックであれば月額2万円~が目安と考えていいでしょう。ただし、依頼する内容を限定すれば、顧問料を安く抑えられる場合があります。たとえば、給与計算や社会保険に関する手続きのみを依頼するのも一手。しかし、助成金申請代行や就業規則変更手続きなどを依頼したい場合には、別途料金を支払うことになるので、結果的にどちらが安くなるかよく考えてから契約条件を決めることをおすすめします。
社労士には得意分野がある
社労士は、業務特化型と業界特化型の大きく2種類にわけられます。
前者は、「就業規則に強い」「賃金制度について詳しい」などの得意な分野があるタイプ。後者は、たとえば「医療福祉業界に精通している」などです。なかには、補助金や助成金の知識が豊富な社労士もいるので、自院が社労士と顧問契約を結ぶなら、主にどんなことを依頼したいのかを考えることも、社労士選びに役立つでしょう。
社労士に業務を委託するメリットは?
続いては、社労士に業務を委託するメリットをみていきましょう。
業務の効率化が期待できる
給与計算や社会保険に関する手続きなどを一任すれば、そのぶん本業やその他の作業に時間を割くことができます。
法改正にスムーズに対応できる
労働・社会保険関連の法改正はかなりの頻度でおこなわれます。改正に伴い、これまでの労務管理だと法に引っ掛かる場合なども、顧問社労士がいれば対処法をアドバイスしてもらうことができます。
労働基準監督署や年金事務所、ハローワークからの調査に対応してもらえる
労働基準監督署や年金事務所、ハローワークからの調査が入ることになった際、事前準備や当日の立ち合いを依頼できるため安心できます。顧問社労士がいることで、調査する側からも「問題なさそうだ」と思ってもらいやすいこともメリットといえます。
労務トラブルが起きた際に適切に対処、アドバイスしてもらえる
クリニック内でパワハラやセクハラが起きたときや、問題行動が見られる従業員を辞めさせたいときなど、適切な対処法をアドバイスしてもらえます。労務トラブルの原因がクリニック側になかったとしても、従業員から訴えられたら不利になることもあり得るので、正しく対処することがとても大切なのです。
労務管理に関して相談に乗ってもらえる
労務トラブルが起きた際に対処法のアドバイスをもらえるだけでなく、労務トラブルを防止するためにどうすればいいか相談に乗ってもらうこともできます。
いい社労士を見極めるポイントは?
続いて、クリニックにとってプラスとなる社労士を見極めるポイントをみていきましょう。
コミュニケーションが丁寧
社労士に限ったことではありませんが、コミュニケーションに問題がある企業や担当者とは、契約を結ばないのが得策です。仕事をお願いした後で、雑な対応をされて要らぬストレスを抱えることになっては大損です。
質問や相談に的確に答えてくれる
労務に関する疑問や不安を自ら解消しようと調べても、難解な法律用語が多く、理解に時間がかかることがあります。そういうときは専門家に教えてもらうのが一番ですが、自分で調べた結果と同じくらい難しい言葉で説明されたり、偉そうな態度で説明されたりするのはストレスフル。顧問契約を結ぶ前にそのような態度が見られた場合は、早々に別の社労士を探すことをおすすめします。
費用についてきちんと説明してくれる
基本の顧問料金でどこまでの業務をおこなってくれるのか、どんなときに別途費用がかかるのかなどしっかり説明してくれる社労士でなければ、契約しないほうがいいでしょう。
緊急時にも対応してくれる
労務に関するトラブルは、急に勃発することもあり得ます。そんなときは、一刻も早く専門家に相談したい、対処してもらいたいと思って当然。また、実際にすぐに対応してくれる社労士であれば、その先も長くお付き合いしていきたいと思うはず。
基本的な医療用語を把握している
できれば、医療機関の顧問を務めた経験に長けている社労士がベスト。医療機関の顧問を務めた実績が少ない場合は、基本的な医療用語をきちんと理解しているかどうかはチェックしたいところです。
社労士を決めるタイミングはいつが適切?
新規開業時にはさまざまなことの準備に追われるため、スタッフの雇用契約確認などが疎かになりがちです。そこで頼りにしたいのが、雇用に関して専門的な視点からチェックしてくれる社労士です。また、健康保険や雇用保険、厚生年金に関する書類の作成、そうした書類の行政官庁への提出業務も担ってもらえるので、開業に先駆けて社労士を選定しておくことが大切です。デッドラインは開業の2か月前。スタッフの採用面接を終えるころまでに契約を結んでおくことで、雇用契約の内容確認や社会保険加入手続きがスムーズに進みますよ!
特徴
対応業務
診療科目
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この記事は、2022年7月時点の情報を元に作成しています。