2022年度診療報酬改定の解説|診療所・クリニック向けオンラインセミナー

※この記事は2022年2月17日に行われたセミナーの模様を書き起こし、編集したものです。

クリニックを始めとした医療機関の収入に大きくかかわってくる「診療報酬改定」。

今年2022年に行われた診療報酬改定では、どういったポイントが変わったのでしょうか?

医療機関の保険請求漏れや査定限定対策などを中心にコンサルティング活動、病院やクリニック経営診療報酬改定に伴う講演活動などを全国で行う株式会社エム・アール・シー代表取締役の石上 登喜男(いしがみ ときお)様をお招きしたオンラインセミナーの模様をまとめました。

診療報酬改定について

診療報酬改定は2年に1度行われるわけなんですけども、現段階(※セミナー当時。2022年2月17日)では、その答申が出たところですね。

答申とは、中医協が厚生労働大臣に対して出す答申を指します。

実際には3月の上旬に告示されます。そこで、正式な改定後の点数がわかります。それと同時に、課徴通知も出てきます。

これが非常に重要で、それぞれの点数における注釈的なところが出てきます。

そして3月の下旬に疑義解釈が出てきまして、そこで改定後の点数のことがはっきりとわかってくるわけですね。

ですから今回のセミナーでは、現状の答申の内容についてお話していきます。

とはいえ、答申の内容が告示で変わるかっていうと、ほぼ変わりません。

点数も変わりませんし、盛り込んであった内容がなくなってしまう、ということもほぼ今までの歴史の中ではありませんでしたので、今回もないでしょう。

令和4(2022)年度の診療報酬改定率について

それではまず、今回の改定率(令和4年改定率)についてお話していきます。

診療報酬自体はプラス0.43%なんですが、診療報酬の本体の話として、薬価や材料費の引き下げ考えますと、全体敵に実質0.94%のマイナス改定です。マイナス改定は、5回連続となっています。

内容的なところで言いますと、看護の処遇改善のためのプラス0.2。

これは病院の急性期の病院だけですから、診療医さんにとってはあまり関係ないでしょう。

問題になるのは、図の※3にあるリフィル処方箋ですね。後で詳しくお話しますけども、マイナス0.1%、つまり予算が0.1%減るんです。医療機関の収入も減るということですね。

不妊治療は、保険適用がありますのでプラス0.2%。

それから、現在は小児の感染防止対策として6歳未満の小児の診療には加算がついておりますが、この加算が3月末で終わりです。4月以降はこの分が減るので、0.1%のマイナスですね。

トータルすると、よほど上手く立ち回らなければ、診療医さんにはマイナス改定ということになると思います。

そんな厳しい厳しい状況にあることを前提に、今回のセミナーの本題に入っていきます。

オンライン診療について

まずオンライン診療ですが、新型コロナの関係で緩和されておりました初診・再診を算定可能なものとして認めました。

電話での診療についても認めていますが、ただこれは時限的なものでして、今だけのものとなっています。

ドクターの判断によって、電話での診療が可能だとした場合のみですので、なかなか難しいですね。実際にこれをやった先生の話は聞いたことがありません。

電話での診療は難しいものがありますので、先生方もやはり敬遠されてると思います。

ただ、一度でも自院にかかったことある方が受診した場合は、算定していいことになっています。

この場合(電話での初診)の点数は214点ですね。対面診療での初診の点数が288点ですから、ちょっと低い点数にはなるんですけれども、算定していいですよと。処方箋料も算定して良いことになっています。

電話での再診についても、もちろん算定して良いことになっていますし、処方箋も算定して良いことになっております。

(患者さんが、対面での診療を避ける心理が働くことなど)新型コロナの影響を鑑みて、特定疾患の方の指導料も算定していいですよ、ということで214点になっています。

コロナに感染した患者さんについては、電話で指示をするわけなんですけども、その際の点数としては251点が特別に公費としてついています。この公費については(2022年の)3月いっぱいまでとなっております。

初診料(情報通信機器を用いた場合)

今までもオンライン診療での加算はあったんです。

ただ条件が非常に厳しく、報酬も少なかったものですから、ほとんどの先生がやっていなかった。やっていた先生は私の知る限り1人ぐらいで、それ以外の先生では聞いたことがないです。

そんなオンライン診療ですが、今回、報酬が上げられました。新しい報酬は251点です。

今現在の点数が214点なので、高いですね。

算定要件

ただし、この251点の点数を得るには、届け出が必要です。厚生労働大臣が定めた施設基準を満たしたうえで、厚生局に届け出た場合に加算されます。

「4月以降はこの届出をしないと電話診療ができないのか」という質問についてですが、今のところ、この特例措置についてはそのまま継続することになっています。ですので、(251点とはいかないまでも)214点であれば算定できます。あくまでも今(※2022年2月17日時点)の解釈ではそうです。

ただこれを加算するには、厚労省が出している「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の内容に基づいてやる必要があります。

患者さんが急変したときの対応については、かかりつけの先生がいるかどうかによって変わりますので、しっかりと確認しておいてください。

その他の細かい条件としては、対面診療も提供できるようにしておく必要があったりとか、診療録への記載内容についても「適切な処方である」ということを記載する必要があるなどがあります。

また、この特別料金については、予約に基づく特別な料金はいただけないことになっています。情報通信機器の運用に要する費用については、徴収してもいいですよということになっております。

施設基準

今のところ「通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されていること」の一文だけです。

全く(詳細が)わからないですが、これについては3月の、告示についてくる課長通知の中でもっと細かく出てくるはずですので、それを待つことになりそうです。

今のオンライン診療では、(顔の見えない)電話での診療はNGで、顔を見ないといけません。

そこに、この施設基準が準ずるかどうかはわかりませんが、おそらく「電話でもいいですよ」なんて簡単なものではないと思います。

セキュリティの問題もありますので、そういうところも併せてしっかりと見る必要があるかなと思います。

再診料(情報通信機器を用いた場合)と外来診療料(情報通信機器を用いた場合)

通信機器を用いた再診については、電話での再診が71点ですから、比べるとちょっと点数は高くなっています(73点)。算定要件は、初診料と全く同じですね。

情報通信機器を用いた医学管理料

次は、「通信機器を用いた医学管理料」についてですね。

内科疾患の患者さんの場合においては現在214点なんですが、今回の報酬改定で、施設基準の届出をすると点数も少し上がることになっています。

具体的な点数はこちらです。

特定疾患療養管理料ですね、生活習慣の疾患の患者さんの場合は、オンライン診療では196点で算定できます。対面診療では225点なので、そこまではいかないにしても、電話再診のときの点数よりも高くなっていますね。

それぞれ、疾患指導料や小児科の療養指導料や転換指導所難病指導料についても、対面での診療点数よりも若干低いですけども、算定はできることになっています。

厚労省はこの「通信機器を用いた診療」への取り組みをずっと進めておりますので、条件的にもこういった形で報酬をつけて、なんとかやってほしいという方向ではあるんですが……ただこの「通信情報通信機器を用いた診療」が、これまでの電話での診療とは違いますので、簡単ではないんですね。

実際にやってらっしゃる先生からは、「対面診療と同じぐらいの時間がかかる」という声も聞こえておりますので、やはり簡単にはいかないなと感じています。

在宅時医学総合管理料におけるオンライン在宅管理に係る評価の見直し

オンライン診療をした場合の、在宅時医学総合管理料についての点数ですね。

在宅診療をやってらっしゃる先生についてはこの点数が主な診療報酬になるので、これを算定できないのであれば、在宅診療をやってもあまり大きな報酬はないということになってしまいますね。

一番高い点数がついているのが、重症の方を対象に訪問診療を月2回以上したうちの1回以上、情報通信機器を用いた(オンライン診療をした)場合、3029点ついています。

こちらはもともと2回診療すると5400点ですから、半分よりはちょっとだけいいようになっています。

月1回だけしか訪問診療を行っていない場合は、この月1回を、通信機器を用いた(オンライン)診療にしても良いことになっています。

ただし、それができるのは2ヶ月に1回に限る、と書いてあります。

つまり隔月で実際に訪問しなきゃいけないんですね。

この場合の点数は1515点ということで、これもやはり元の点数が2789点ですので、半分よりも少しいい点数になっております。

施設入居時等医学総合管理料におけるオンライン在宅管理に係る評価の新設

施設入居時等医学総合管理料についてです。

こちらも、「オンライン診療での報酬」として管理料を算定できますが、その代わり、数字の場合よりも点数が下がると今回設定されました。

外来医療等におけるデータ提出に係る評価の新設

こちらは、オンライン診療とちょっと違うんですけども、データの提出についてですね。

入院診療病院では当たり前にデータの提出は行っているものの、診療所さんですとなかなかデータ提出はやってないということで、厚労省も「診療所のデータが欲しい」ということなんでしょうね、点数をつけてきました。

きちんとした整備されたりなど細かい要件はいろいろとあるんですが、生活習慣病管理料のデータを厚労省に毎月届け出た場合、所定点数に50点を加算できることになっています。

在宅診療をされている場合も、その診療データを送っていただければ50点差し上げますという仕組みになっています。

リハビリテーションについては、以下の図の通りです。

いろいろなリハビリ科について書いてありますが、こちら全て、月に1回データを提出すれば、50点を加算できることになっています。

ただこの運用については令和5年10月からになっていますので、だいぶ先の話ではありますね。

オンライン資格確認システムを通じた患者情報等の活用に係る評価の新設

いわゆる「顔認証システム」についてですね。

先生方も話は聞いてると思うんですが、これは大前提として、患者さんがマイナンバーカード持ってないとできません。かつ、患者さんからの承認も必要です。

ただ、その2つを患者さんからいただけた場合は、そのままマイナンバーカードを保険証として使用して資格確認ができます。

これを行った場合、初診は7点、再診は4点という点数がつきます。

図の米印のところなんですが、「情報の取得が困難な場合には、3点を所定点数に加算」とありますが、この「情報の取得が困難」なケースっていうのがあります。

これはつまり、まだすべての健康保険組合がこの仕組みに対応できてない、ということなんですね。

ですから、そういったケースに当てはまった(情報が取れなかった)場合に限り、令和6年の3月31日までは、3点の加算が認められています。

医療機関・薬局におけるオンライン資格確認の導入状況

オンライン資格確認の導入状況についてですが、実際に申し込んだところは、病院診療所を含めて全体の56. 5%ということなんですけども、実際に準備完了しているところが12. 9%、運用しているのは8. 8%という段階です。

外来感染対策向上加算

次が、新しくできた「外来感染対策向上加算」です。こちらは診療所のみ、6点の加算です。

昨年、コロナの診療には、初診も再診も点数がつきましたよね。それに代わるものとしての加算です。この図にも書いてあるように、施設基準があります。

“「感染防止対策部門」を設置し医師等の専任の管理責任者を配置する” ということなんですが、「部門」って何かっていうと、看護部や検査部と同等の部門を指しています。

それから、感染対策向上加算の1という届出を行っている保険医療機関または地域のいい機会と連携した年2回のカンファレンスと、同じく年2回の院内研修をしてください。というものも条件としてはありますね。

“感染防止対策の業務指針及び院内感染管理者の具体的な業務内容を整備” することも必要です。

また、感染対策のマニュアルを作ってくださいというものもありますね。

施設要件としてはほかにも細かく書いてありますが、これを全部クリアできるようであれば加算ができることになっています。

地域包括診療料、地域包括診療加算の改定

そもそもこれがどんな点数なのか?についてまずはお話します。

この図の左側に「地域包括診療料」についての記述があります。

診療所でも、月に1回の算定が可能です。この包括の中には、処方量や検査料も入っています。

通常の検査等については算定できません。

右の方には「出来高」と書いてありますが、通常の再診療や指導料とは別に、この加算を算定してもいいですよということになっています。ただ、これにも施設基準があります。

図の下の方を見るとそれぞれに書いてありまして、ドクターが2名以上いなければいけなかったり、24時間対応の薬局と組まないといけなかったりします。

これがなかなか難しいところもありまして、近くの薬局で24時間やってるところがないなどで断念してるケースもあるようですね。

また今回の改定では、以下の図の患者さんが対象になりました。

これまでは、高脂血症や高血圧、糖尿病、認知症の4つのうち、2つ以上の疾患を有する入院していない患者さんが対象だったのですが、今回の改定で、慢性心不全と慢性腎臓病の患者さんも対象になりました。

このうち2つを持っている人を診療した際には、算定してもいいですよってことですね。

ただ包括点数はなかなか難しくて、点数が高い方の包括診療を取ると、一部負担金の問題があります。

また、診療料を算定する月としない月があっても構わないということもありまして……検査した月を算定しないってことをやってると、その患者さんとの間で信頼関係が築けないんじゃないかってことで、これをやってない先生も多いです。

それから、医師の指示を受けた看護師や管理栄養士が指導をしてもいいことになっていますね。必ずしも、ドクターじゃなくても良いわけですね。

地域包括診療料・加算の算定・届出状況

実際の地域包括診療料の届出件数は横ばいで、ほぼ変化していません。

在宅診療を中心にやってらっしゃる先生なんかは、この施設基準がクリアしやすいので、算定する先生も多いです。

しかし、そうでないところはなかなか対応しづらい現状があるようです。

生活習慣病管理料の見直し

生活習慣病の管理料も改定されました。

生活習慣病の包括点数を算定すると、先ほどと同じように、再診料…そうですね投薬量や検査料など、そういったものがまるめられてしまうんですね。

しかも診療計画を完全に渡さなきゃいけないので、報酬としてはいいですが、かなり手間です。

また、これを算定できるのは患者さんに対してのかかりつけ医である、という定義があります。

これまで糖尿病と高血圧については、定期的な記録を書かなければいけませんでしたが、これからは求められない、ということです。

また投薬についても変更がありましたので、これまで院内処方の場合と院外処方の場合の点数が二つあったものが一本化されたということで、院内処方の先生方はこれもしかしたらプラスの方向かもしれないですね。

生活習慣病管理料の算定状況

算定状況は右肩下がりですね。やはりなかなか算定しづらいのかもしれません。

ただ厚労省は「なんとか算定してくださいよ」と言っている。つまり、かかりつけ医機能を高めたいということですね。

小児かかりつけ診療料の改定

小児科のかかりつけ診療についてですが、これも届け出が必要です。これは結構ハードル高いですね。

上の図の左側に「小児科外来診療」についての記載があります。

6歳未満の患者さんについては何をやっても、初診では599点、再診では406点ですよ。ということになっています。

右側は点数が少し高いんですが、この違いは「かかりつけ機能を持っている」ということですね。

つまりこれも、「かかりつけ機能がある」ことの推進なんですね。

これらについては条件が書いてありまして、そのハードルがすごく高くなっています。これこそ患者さんとそれから先生とのきちんとした繋がりがないと無理かなと感じています。

これを算定(届け出)している先生が私の知人にいるんですけども、その先生のところは小児科なんですが、レセプトが月1800枚ぐらいです。かなり来ているんですね。その中でこれを算定する患者さんっていうのは、1件か2件だそうです。

それぐらい患者さんに話しづらいところもあって、難しい点数ではあるんですけども、それを今回改定したということですね。

点数をそれぞれの基準によって分けようじゃないかってことで2つに分けてきたということですね。

この基準1と2に分けた理由なんですけども、1と2の大きな違いは、以下の図の赤のところです。

まずは、「時間外の電話にも十分な対応ができること」ですね。

これはつまり24時間体制とほとんどイコールですね。なかなかできないクリニックも多いんです。その分点数がちょっと高くなっています。

次はちょっと低いんですけども、「必要な対応ができる体制」があると算定できるとあります。

ここで気になるのは、「十分な対応」と「必要な対応」が、どう違うか?ですよね。

十分な対応というのは例えば、「明日また来てくださいね」とか、「次までに必要な分のお薬出しておきますね」等の対応のことを指します。

必要な対応とは、どこかの病院を紹介するなど、「やるべきことをやった」ことを指します。

この「十分」と「必要」の違いは、非常に微妙です。現在(※セミナー時点)はここまで歯科情報が出ていませんが、課徴通知でより詳しく明かされると思います。

小児かかりつけ診療料・小児科外来診療料の算定・届出状況

こちらの図を見てもわかるんですが、令和2年に、小児科外来診療料ががくっと下がっています。

下がった原因としては、今まではこの点数は3歳未満の方だけに適応されていました。しかし今回、6歳未満に適応が広がったんですね。

3歳以上6才未満の患者さんの中には、ぜんそくの方もいらっしゃいます。すると、特定疾患指導料225点が算定できるんです。

しかしそれを算定すると、出来高も高くなってしまうんですよね。包括の点数よりも高くなってしまう。そこで取り下げたという先生も多いです。こういった現状から、算定件数が下がってしまったということはあります。

機能強化加算の見直し

こちらも、「かかりつけ医機能」に関わる改定です。

算定の要件としては、専門医に紹介するとか、健康診断後確認をするとか、時間外を含む緊急時の対応などをしなくてはいけません。「かかりつけ医機能を担う医療機関として必要な対応」をする、ということですね。

在宅診療をやってらっしゃる先生の場合には24時間対応ですから、おそらく算定されていることが多いと思うんですけども、通常の診療している先生方にとってはかなりハードル高くてちょっと算定難しいものになっているかと思います。

施設機能追加もありまして、「次のいずれかを満たすこと」とあります。

こちらの図を読むと、本当のかかりつけ医機能もったような医療機関でないとなかなか参加できないということですね。

ア〜キの項目のどれか1つに該当すればいいよということなんですが、在宅やってらっしゃる先生だったらクリアできる内容になっております。

リフィル処方箋について

 次、問題のリフィル処方箋です。

基本的な考え方として、“症状が安定している患者さんについて、医師の処方によって医師および薬剤師の適切な連携のもとに、一定期間内に処方箋を反復利用できる”ということになっています。

これは海外ではもうずっとやってることなんですけども、ついに日本でも採用しました。ここから先、なくなることはないでしょう。

処方箋の用紙も変わります。この図を見てください。

これは用紙の下の方だけに注目したものですが、「リフィル可」にチェックをすると繰り返し使えますよっていうことになってます。

留意事項ということで、あくまでも保険医が可能とした場合に限り、です。患者さんの申し出でにしたがってはいけない、ということになっています。

先生方が、「あなたは状態をチェックしなければ、判断難しいから」ということになれば、もちろんこれはリフィル処方箋を出さず、通常のフローで構いません。

ただ、実際に新聞等によると、「リフィル処方箋の導入で患者さんの負担が減る」と報道しております。

つまり、「毎月行っていたものが、3ヶ月にいっぺんで良くなりますよ」というような表現をするところもあります。

ですから、リフィル処方の希望をする患者が増えることも、おそらく多くなるのではないでしょうか。

リフィル処方について、同じ処方箋による薬の受け取り回数の上限は3回です。

1回当たりの期間および投与については、「医師が病状等を踏まえて、個別に医学的に適正相応感判断した期間」ということで、もうドクターに丸投げです。国では決めてません。例外的に「湿布は駄目ですよ」と決めてはいますが、それ以外はドクターの裁量です。

つまり、「なにか事故があった場合には先生の責任です」ということですかね……。ですから、慎重にやらなければいけません。

しかし患者さんとしては、なるべく病院には行きたくないと……。これが難しいところですね。

リフィルの場合、2回目以降の処方については、前回薬を頂戴した日から記載して投与薬が終わるところの前後7日以内ということになってます。

保険調剤薬局についてもいろいろ規制がありまして、調査不適切と判断した場合には主治医の先生に連絡を取ったり、必要に応じて情報を医療機関に提供したりなども求められております。

外来在宅共同指導料

こちらは、外来を4回以上継続して受診していた患者さんが在宅に移行することになったとき、それまで診療していた先生が在宅診療をできない場合に、ほかの先生を紹介した際、在宅医療を担当する先生が400点、そして外来診療をしてきた先生が600点、それぞれ加算できるというものです。

これは、当然並行する場合もあります。外来から内科で通院する場合もあるんでしょうけども、そうではなく、例えば内科全般の診療はしていないんだけども、これからトータル的には在宅でそろそろを見ていただいた方がいいですねっていうケースもあったりするので。

ただこれ1回ずつしか参加できません。そうすると、在宅やってる先生と外来通院を見てる先生っていうのは2人いて同じ疾病に対しての加算ができません。

耳鼻咽喉科乳幼児処置加算

今回、耳鼻咽喉科乳幼児処置加算で60点がつきました。

耳鼻咽喉科を標榜していて、耳鼻咽喉科を担当する医師が、6歳未満の患者さんに対して、この図にある処置を行った場合、1日につき60点を所定点数に加算するというものです。

それぞれの処置の点数にプラス60点ということなので、結構いいですよね。

耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算

そしてですね、耳鼻咽喉科の先生に対しても、小児厚生や厚生抗菌薬の適正使用の支援加算ということで80点がつきます。施設基準については下に書いてあるように、抗菌薬の適正な使用を推進するための体制が整備されていること。

そして、保険病院の場合はデータベースの提出が必要です。

これについて、届出は必要ありません。

「厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において」とは書いていますが、そのあとに「届出した医療機関」とは書いてませんからね。

ただ病気が急性気道感染症、それから急性中耳炎または急性副鼻腔炎ってことで、これら3つの病名のどれかに当てはまっていないと、対象からはじかれちゃうんですけども。

それから点数の引き上げということで、耳鼻口腔の処置の点数が上がっています。

アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料

こちらは、1ヶ月目280点、2ヶ月目25点という点数となっています。

こちらも、「厚生労働大臣定める施設基準を満たす保険医療機関」のみ書いてありますので、届出は必要ないですね。

入院中の患者以外の患者さん(外来の患者さん)で、アレルゲン免疫療法による治療の必要を認めて、治療内容等に説明文書を用いて同意を得た上で療法を行った場合、月1回に限り算定できることになっています。

これについては、施設基準がまだ今の段階でておりません。

疾患別リハビリテーション料の見直し

消炎鎮痛処置は点数が低いですから、セラピストを雇って疾患別リハビリテーションを算定しているという先生については、算定できる上限の日数がありますよね。

60日と90日とか疾患によって違うんですけども、それを超えた場合に、ドクターが必要といった場合はやってもいいという規定になっていますよね。

これからは、そういった方(リハビリの標準的算定日数を超える方)については、月1回、機能的自律度評価法(FIM)での測定を要件化する、ということです。

これはそんな簡単じゃないと思います。13項目ですかね、階段登ったり降りたりとか便座に座ったり立ったりとか。そういった機能をチェックするんですけどね、結構項目あるんですね。

これチェックしたからといって、そこで何点以上だったらいいよとかそういうことないんです。ただ、測定することを要件化しただけですが、まず測定してくださいねっていうだけのことなんですけどね。

それから、実施計画書の署名欄に署名がなくてもリハビリを実施してもいいですよってことなんです。

これは診療の先生方にはあまりあり得ないことではあるんですが、本来は証明がないとリハビリできないんですけども、それが難しい場合は、署名がなくても、後で同意の事後確認ができればいいということになりました。

通院・在宅精神療法の見直し

次に、通院在宅精神療法についてです。

これは、精神保健指定医が療法を行った場合に点数をあげますよという改定です。

※図ではアルブミン定量104点とありますが、102点です。

このように、ほとんど下がってます。前回の改定でも下がっていました。ただ中には上がっているものもありますね。

注射料の改定

次は注射についてです。全般的に上がっていますね。 ※点滴の項の3つめは、誤40点→正49点。今回の改定で1点上がる

手術料の改定

技術料については割と上げる傾向にあるんですけど、今回も上がってきております。

これ診療所のレセプト拝見するとよくあるんですけども、創傷処理っていうのは病名が決まっておりまして、「挫創、切創、割創、刺創に対する縫合・切除・結紮」。これが算定要件ですから、この病名以外ではNGです。

「挫傷」とか「擦過傷」で算定仕様とすると、処置料は間違いなく減点されます。病名には気を付けていただければと思います。

それから、点数が上がった「皮膚切開術」についてですが、この範囲が非常に広いんです。

ただ、局麻剤(局所麻酔)を使用した場合については書いてない(適応外になる)んです。

お子さんなんかの場合は当然、局麻剤まで使わないこと多いですね。

しかもこれ、切開するのはメスを限りは限らないっていうこともあるので、その辺はいろいろ幅のある点数です。

とにかく何かを切って取り出したっていうことについては、先ほどの創傷にはそのような病名の縛りはありません。

人工腎臓の評価の見直し

これはもう毎回当たり前のように下げられます。今回も引き下げです。

薬剤も包括されている、というのが今回の改定ですね。

診療情報提供料(I)の情報提供先、対象患者の追加

市の情報提供料の提供先が追加になりました。

保育所、児童相談所の2つが情報提供先になりまして、さらに、小児慢性特定疾病の公費認定がある子どもも、情報提供の対象になりました。

在宅療養移行加算

これは、いわゆる入院から在宅に移行するときの加算なんですけども、継続診療からの加算ですね。

ただこれは、在宅時医学総合管理料加算なんですけども、在宅療養支援診療所と病院では算定できないということになっております。

機能強化型の在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院の施設基準変更

こちらに関しては、施設基準の変更がありました。

いわゆる地域ケア会議等への出席状況等を報告をすることになったんですね。

何回以上という縛りではなくなったんですね。

また、「出席すると望ましい」という表現になっておりますので、施設基準としては非常に柔らかいものになっていますね。

在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院の施設基準追加

厚生労働省から、「人生の最終段階における医療のケアの決定プロセス」ということでガイドラインが出ているんですが、そういったことを医療機関で説明しなさい、というものですね。

当然、在宅をやっている先生は最初に確認すると思うんですけども、最期の看取り、ということも含めて「亡くなるのときにどうしますか?」という決定のプロセスを、きちっとお話して、決定してもらうようにしましょうというものですね。

在宅がん医療総合診療料の見直し

こちらについては、15歳未満の小児も新設されています。週1回、1000点を所定点数に加算するということになっています。

緊急往診加算の見直し

緊急往診の加算見直しということで、もともと緊急往診の場合は病名が限られていて、急性心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症が予想される場合だったんですが、15歳未満の小児の場合、図の赤い文字のところ(低体温、けいれん、意識障害、急性呼吸不全など)が追加されたということでございます。

令和4年度診療報酬改定におけるコロナ特例等に係る対応

最後に、コロナの特例ということでご紹介します。

この図の1番目ですね。

「新型コロナウイルスの感染症に対する診療等について外来入院、在宅等において講じてきた特別特例的な評価について引き続き実施する」と答申しています。ですから引き続き、4月以降も今のところは算定できるということですね。

アフタートーク(Q&A)

Q.一般内科クリニックにおいて増収を見込める改定ポイントは?

A.1つはですね、さっき言った80点の強化加算があると思います。

「24時間体制」を整える必要があるにはありますが、実際には連絡先などを院内に表示するだけでも大丈夫です。

実際やってらっしゃる先生もいますが、そこまで多くの件数が来ているわけではないようです。そのあたりの加算を算定するのが1つですね。

もう1つは、やはり「かかりつけ医機能」を設けることですね。

生活習慣病の管理料ですとか、いろいろな包括点数がありますので、そういったところを一度検討してみるというのがいいと思います。

「感染防止対策」の6点についても、要件を読んだ上でらできそうだと判断された場合は、やっぱりこれも増収ではありますので、いいかなと思います。

Q.かかりつけ医の施設基準(定義)はどんな形になる?

A.今日の資料の中に入れていなかったんですけども、かかりつけ医の定義というのはきちっと出ております。

「かかりつけ医研修」を今は医師会の方でもやっていますので、それを受講して、その資格を持っていると、施設基準の中にはそういった研修を受講していることっていうものもありますし、受けておくといいと思います。

受講はネットでもできますので、特に内科の先生なんかは受講されて基準取得ということについては積極的に臨んだ方がいいかなとですね、

Q.リフィル処方箋について

病状が安定している慢性疾患の患者様に90日分処方していた場合、30日分を3回リフィルするよりも、初めから90日分処方をする方が薬局にも行かなくていいんじゃないかと考えているがどうか?

たとえば90日分を3回渡すと、単純に3ヶ月の3倍なので、9ヶ月分処方できてしまうのではないか?それも許容されるのか?

A.今の段階での算定要件のところを見ますと、90日分を3回リフィルで出すことは今の文章の中では可能です。

ただし、その管理について責任を持つのは、処方したドクターということになります。

ですので、理論的には可能ではあるものの、おそらく実際には無理かなと思います。

分割処方もできるんですが、分割処方とリフィルは別でして、

リフィル処方の場合、たとえば30日ずつ3回でいいと言った場合には、30日終わった段階で、患者さんの状態を薬局側で確認する必要があるんですね。

薬局側で、「どうですか、変わりないですか?」と聞いたときにもしも「いやちょっと最近だるさが増してる」等といわれた場合には、 薬局側が受診を促すということも当然必要になってきます。

要件にはそういったことも書いてあるので、リフィル処方を乱用するっていうことは、そう簡単にはできないのかなと考えています。

Q.骨粗鬆症2次骨折予防の評価が新設されるとのことだが、診療所では算定できるのか?

A.手術を行っている医療機関であれば、診療所でも算定可能です。

要件としては「手術を行った患者に対してのフォローアップ(をすること)」で点数が出ていますので、今のところ「病院」とは書いていません。

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医療経営に特化したクリニックの税務・会計顧問

特徴

地域医療を支えるクリニックとしての良質な医療サービスの実現と継続性、 さらには院長の描く将来像やスタッフの充実した生活を守るために わたしたち税理士法人日本医療総研は、医療経営に特化したエキスパートとして、 クリニックの税務・会計顧問を支える叡智と、 日本医業総研グループのコンサルティングチームと連携した分析力・提案力の両輪での 「成功サポート」をお約束いたします。

その他特徴

レセプトに強い 医療業界に強い 事業承継に強い

対応業務

月次面談・監査 経理代行 記帳代行 税務相談・申告 相続税・資産税 融資・資金調達 給与計算 社会保険 人事・労務手続き 電子申告 資金繰り相談 経営計画・経営指導 経営コンサルティング 事業計画 節税対策 M&A 事業継承 財務分析

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、
経営環境の変化による資金需要に備えた事業保障をサポート

特徴

株式会社イデアルライフは、理想のLifeを創造し貢献したいという想いから生まれた社名です。 お客様のLifeにかかわる仕事人として、保険の知識のみならず、様々な知識と見識と胆識、探求と創意工夫、そして安心を感じられる人間力が必要であると考えます。 どのような生き方をしたいか、どのような仕事をしたいのかを自身に問い、喜んでいただきたい、そして感謝をいただきたい、お客様のご意向やご要望に、期待を超えうる情報やサービスをご提供します。

取り扱い商品

生命保険 医療保険 がん保険 養老保険 個人年金保険 経営者保険

提供サービス

保険の新規加入相談 保険見直し相談 資産形成の相談 賠償責任保険の相談 資産運用の相談 ライフプラン設計相談 年金やリタイアメントプランの相談 相続の相談 経営者保険の相談

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、

取材協力 株式会社エム・アール・シー 代表取締役:石上登喜男

1977年法政大学経済学部卒業。神奈川県内民間病院にて医事課長、事務次長を歴任。1988年医療事務コ ンサルタントとして独立。代表取締役を務める株式会社エム・アール・シーでは、医療機関の保険請求漏れや査定限定対策などを中心にコンサルティング活動、病院やクリニック経営診療報酬改定に伴う講演活動などを全国で行っている。戦略的レセプト研究会の代表も務めている。主な著書には、療養担当規則第20条を読む(医療タイムス)、戦略的レセプトの研究(医療経営情報社)、医療・介護施設のための医事管理入門(じほう)などがある。


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執筆 CLIUS(クリアス )

クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。


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