「電子同意書」機能を設けた問診ツールを導入するメリットは?

「医師が行う医療行為」について、患者の同意書が必要な場面は多々あります。これまで紙の書面で交わされていた「医療行為への同意書」を電子的なものへ置き換えようとする動きが出ています。IT技術を用いた電子カルテや問診ツールで、電子的な同意書を作成する機能を持つものが増えているのです。

2022年6月、WEB問診サービス『メルプWEB問診』では、新たに「電子同意書」機能をサービスインしました。今回は、『メルプWEB問診』の開発元である『株式会社flixy』に電子同意書のメリットなどについて取材しました。

目次
  1. 「電子同意書」とは?
  2. 「電子同意書」のメリットとは?
  3. 『メルプ問診WEB』が実装している電子同意書
    1. 電子同意書の実際
    2. 電子同意書の優位な点は?

「電子同意書」とは?

電子同意書は、紙の同意書に置き換わるものです。

医師が行う医療行為の内容、診療方針、リスクなどが明記された文書となっており、これを行うことについて患者さん、またその代理人にあらかじめ同意を求めます。同意の証として、患者さんには文書にサインをしてもらいます。医師のサイン、同意した日付も必要です。

紙と違ってデジタル文書の場合にはコピー&ペーストが容易ですので、改ざんできないような仕掛けが必要になります。特に日付や患者さんのサインは決してコピーできたり、変更できたりしてはなりません。

「電子同意書」のメリットとは?

電子同意書のメリットとしては、管理が簡単という点が挙げられます。印刷して患者さんにサインしてもらい、原本とコピーを保存するという手間が要りません。電子カルテと紐付いていれば、カルテを開き、すぐに過去の同意書を呼び出すことが可能です。「どこにしまったっけ」と探すようなことをしなくて済みます。

また、例えば「内視鏡検査」の同意書のフォーマットを一度作ってしまえば、同じ検査を受ける人に対してそれを何度でも使え、また内容の変更も容易です。さらには電子的な問診票と紐付けることが可能であれば、患者さんに問診票に答えてもらうときに、同時に同意書にサインしてもらうことができます。

最近では、予約システムを導入しているクリニックが多いですが、この予約のときに問診に答えてもらい、同意書にサインしてもらうということまで可能になります。

『メルプ問診WEB』が実装している電子同意書

『メルプ問診WEB』が実装している電子同意書について、『株式会社flixy』の吉永和貴代表取締役にお話を伺いました。

――『メルプ問診WEB』の電子同意書とはどのようなものでしょうか。

『メルプWEB問診』はそもそも問診票を作るためのサービスですが、そのサービス上で同意書のやりとりもできるようにしました。『メルプWEB問診』との一体運用が可能です。

医師の先生方が一番気にされるのは電子的に管理していて大丈夫なのかという点かと思われますが、弊社の顧問弁護士監修のもと企画・設計しており法的要件のところをクリアしています。具体的には、作成日及び患者様が同意ボタンを押した事実に加え、患者様が署名した事実及び筆跡まで記録されますので、万が一説明義務の履行の有無等が問題となった場合でも紙ベースの同意書と同じ様に、本サービスの電子同意書が証拠として大きな効果を発揮します。

――どのような運用を想定していますか。

運用は2パターンに対応しています。

①来院前に問診・同意書にサインするケース
②来院後に同意書にサインするケース

例えば、患者さんが内視鏡検査を受ける場合などを考えていただくと分かりやすいかと思いますが、①は、数カ月に1回など、あらかじめ検査を受けることが分かっている場合です。その場合、事前に問診票に答え、同意書にサインをして、来院していただきます。

②の場合は、他の検査を行った際に内視鏡検査が必要だと判断された、といった場合ですね。来院後に同意書が必要になるケースです。①②、どちらのオペレーションでも対応可能です。

電子同意書の実際

以下は『メルプWEB問診』での具体的な電子同意書の画面です。

↑『メルプWEB問診』上では、電子同意書のテンプレートが用意されています。これは内視鏡検査の同意書のテンプレートですが、クリニックが独自に編集可能です。

↑患者さんは、このように一つ一つの説明を読んで「同意する」かどうかを判断します。「医師による説明を希望する」も選択可能です。

↑患者さんに対するリスクの説明部分です。

↑患者さんは内容に同意して、年月日を入力します。年月日はカレンダーから選択可能です。

↑患者さんが署名を行います。スマホ、あるいはタブレットから手書き入力が可能です。

↑サインが終わったら患者さんは「送信」を押します。

↑クリニック側で同意書を確認すると、このように見えます。「理解できないので説明を希望します」の項目に焦点を当てて、患者さんに説明することが可能です。医師の署名はあらかじめ登録しておいたものが読み込まれます。複数の医師がいる場合には、誰が署名するのかを選択できます。

↑電子同意書を「印刷する」ことも可能です。

電子同意書の優位な点は?

――電子同意書のメリットについてはどのように考えられるでしょうか?

まず紙でのやりとりが煩雑であると考えているクリニックさまにとって良いソリューションになると思います。来院前に同意書にサインをしていただければ、クリニックの医師、スタッフの時間を軽減することにつながります。また、「説明してほしい」と患者さんが希望する項目について重点的に説明すればいいので、時間の効率化になるでしょう。

内視鏡検査を例にとって説明しましたが、インフルエンザの予防接種など、同意書が多く必要になる場合や、自由診療で、検査や手術関連の同意を行う場合などにもマッチすると考えています。

――『メルプWEB問診』が実装している電子同意書のポイントはどこでしょうか。

『メルプWEB問診』に搭載されている電子同意書は、弁護士による監修を受けています。関連する法規(医療法第1条の4第2項)の主旨および要件に適う仕様であることを確認しており、安心してご利用いただけます。

――電子同意書の機能を使うのに費用はかかりますか?

いえ、『メルプWEB問診』を使用していただいているのであれば追加費用はかかりません。また、クラウド型のサービスですので、特にクリニック側で用意するものもありません。電子同意書のテンプレートをダウンロードしていただくだけでお使いいただけます。

――今後の展望を聞かせてください。

メルプは元々は、外来患者さんの問診を行うサービスとして始まっているのですが、医療全体のDXを支援できるようにサービスを拡充させていきたいと考えております。

今後は診療後の患者さんのフォローアップもサポートしていきたいと思っております。例えば医師から「このような症状が起きたらまた来院してください」と言われた場合に、患者さんに対してある期間を置いて「重篤な症状が起きていませんか」「薬の副作用がないですか」といったメッセージを自動で送る機能などです。医師の診療の間を埋める機能が実現できるといいですね。

――ありがとうございました。

これまで書面でやりとりされていた同意書ですが、これからは多くが電子的に交わされるようになるでしょう。取り回しが楽になりますし、また問診票の作成と同時にこなせれば、時間の節約にもつながります。同意書のやりとりが多いクリニックの場合には、電子同意書の導入を一考してみるのはいかがでしょうか。

取材協力:『株式会社flixy』

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執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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