クリニック経営者が知らない「指導料の実態」とは?増収が見込めるポイントを解説

クリニック経営において診療報酬を正しく算定するのは言わずもがなですが、実は指導料(医学管理料)が見落とされている実態をご存知でしょうか?

ただでさえ集患対策が難しくなっている上に、新型コロナウイルスの感染拡大も収束する様子はいまだ見えず、経営に対する不安は拭えない状況が続いています。

そこでこの記事では、増収のきっかけ作りとなる指導料について実態を明らかにしながら、算定漏れを防ぐための実践ノウハウをお伝えします。ぜひ最後までご覧ください。

指導料は診療報酬上の穴場

指導料は他の算定項目とは違い、自分たちで取りにいかないと算定に結びつかないため、診療報酬上の穴場となっている場合が多くあります。

実際に私が勤務していた医療機関でも、外部講師を招いた診療報酬改定の説明会を開くたびに算定もれが指摘され、院長や事務長の顔が暗くなっている場面を数多く見てきました。

では、なぜ算定漏れが起きてしまうのか?その実情についてご説明します。

現場で起こりがちな算定漏れの実情

指導料の算定もれが起きてしまう主な原因として、次の2つの問題が考えられます。

  • カルテ記載の仕組みの問題
  • レセプトチェック時の問題

どちらも仕組み上の問題ではありますが、改善させるには1つの施策だけでは足りません。

その理由は、開院してから培われてきた風土が大きく関係しているからです。開院当初は手探りでやりくりしていた運用手順は、いつしか暗黙のルールとして「この方法でなければいけない」「このやり方がベスト」と染み付いてしまいます。

すると運用手順から外れたものや、新しいルールは受け入れにくい状態となり、算定漏れが起きるポイントを見つけても、改善へのアクションは取れなくなってしまうリスクが潜んでいるのです。

カルテ記載の仕組みの問題

カルテ記載の問題として、記載内容と指導料を紐づけるのが難しいことが挙げられます。

処置や手術など、診療内容が明確でカルテ記載と紐付けやすいものとは違い、指導料は個別対応が求められ、算定した理由をカルテに記載する手間もかかります。

特に、特定疾患療養管理料や特定薬剤治療管理料など、カルテ記載が算定要件となっている指導料については、カルテを開いた時点で対象患者だと分かる仕組みが必要です。

日々の限られた時間の中で算定もれをなくすためには、どれだけ手間を省きながら、必要な要件を満たせるかがポイントになります。具体的な対策についてはこの後の算定もれを防ぐための実践ノウハウでお伝えします。

レセプトチェック時の問題

一方のレセプトチェックでは、レセプトを点検する人の目が大きく影響します。

経営者として気をつけなければいけないのは「ベテランだから安心」「新人だから不安」ではないという点です。

なぜなら、ベテランの方は自分のレセプトチェックのやり方が染み付いている場合が多く、慢心してしまっているケースがあります。一方の新人の方であっても診療報酬のルールを勉強している方なら、新鮮な目で指摘してくれる場合があるからです。

指導料を漏れなく請求できるようにするには、レセプトチェックソフトの導入のほか、請求漏れを見つけた時に積極的に改善提案ができるような雰囲気作りも、増収に向けたレセプトチェックの体制には重要になります。

算定漏れが起きやすい指導料の特徴

算定漏れが起きやすい指導料には「算定要件が複雑なもの」と「算定要件が変化するもの」の2つの特徴があります。

どちらも算定要件にはカルテ記載が求められており、自動的には算定ができません。

そのため、いかにして労力をかけずに、算定要件を満たしたカルテ記載ができるかを検討しましょう。

例えば「特定疾患療養管理料」を例に挙げると、管理内容の要点をカルテに残す必要があります。この場合、SOAPのA欄またはP欄に患者さんの個別情報が残っていなければなりません。具体的には「1日のカロリー摂取を1,500kcal以下に抑える」などが挙げられます。

そのほかにも算定漏れが起きやすい指導料は数多くありますので、算定漏れしやすいポイントと共にご紹介します。

算定要件が複雑なもの

代表的なのは在宅医療に関わる指導料です。例えば次のようなものが挙げられます。

  • 在宅自己注射指導管理料
  • 在宅酸素療法指導管理料
  • 在宅人工呼吸指導管理料

いずれの指導料も患者ごとに適切な指導内容を提供し、その内容を適切にカルテに残さなければなりません。

適切にカルテに残す点をどう工夫するかが、私自身も10年以上カルテ監査に関わったものと苦労した点ですが、増収に向けた施策としては避けて通れない道です。

年々算定要件が変化するもの

毎年のように算定要件が変化する指導料も、算定漏れにつながりやすく注意が必要です。

具体的には、オンラインに関わる内容が挙げられます。

ICTの普及と、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、医療機関においてはオンライン対応への需要が高まっています。

例えば「服薬管理指導料」は診療報酬改定によって報酬体系が1つから2つに分けられました。改定内容に対応を把握できず、高い点数が取れるのに低い点数のまま請求してしまうケースは珍しくありません。

算定もれを防ぐための実践ノウハウ

それでは、これまでお伝えしたような指導料の算定もれを防ぐにはどのようにすべきなのか、具体的なノウハウと共にお伝えします。

記事を通してお伝えしている通り、算定もれを防ぐには、どこか1つだけ変えれば良い訳ではありません。クリニック全体の経営改善策として取り組む必要があります。

そこで、「診療サイドでできること」と「事務サイドでできること」の2つの方面から対策が可能です。

診療サイドでできること

診療サイドの対策は「丁寧な診察」と「丁寧なカルテ記載」です。

これだけ聞くと至極当たり前のように思えますが、私の経験上両方できている医師はごく少数です。

丁寧な診察とは、患者さんと親身になってコミュニケーションをとるのはもちろんですが、保険医として、診療報酬に関わる内容も患者さんに伝える点が含まれています。

具体的には、指導料を算定する場合に普段よりも会計が高くなる旨を伝えるだけで、その後の会計までの患者さんの受け止め方が変わります。

そして、丁寧に診察し、その内容をくまなくカルテに記載があれば、保険者の監査にも耐えうる指導料算定の完成です。

1つだけ注意点があります。それはSOAPを正しく使ったカルテ記載が必要という点です。どれだけ良い内容が書かれていても、第三者に理解されなければ意味がありません。SOAPの枠組みを活かしたカルテ記載がされていれば、その後のレセプトチェックでもチェックが容易になり、算定もれへの予防線が張れます。

事務サイドでできること

事務サイドでは、カルテ記載をしやすくするためのサポートで、算定もれ改善に貢献できます。

実際に私が勤務していた医療機関を例に挙げると、次のような取り組みをしていました。

  • 紙カルテ:算定要件を印字したシールを予めカルテに貼付し、診察当日は医師が該当項目にチェックするだけ
  • 電子カルテ:カルテ機能のメッセージボックスを使い、該当患者であることを常に画面上に表示させる

このような取り組みは難しいことではありませんが、積極的に展開するためには経営者である院長の後押しも必要です。

個別最適を全体最適に押し上げ増収を目指すためにも、事務サイドの意見に耳を傾ければ開かれた関係性の構築にもつながり、クリニックの雰囲気もよくなります。

まとめ

指導料は大きな点数設計がされているものもあり、クリニック経営において重要な増収源となります。

しかし、積極的に取りに行く姿勢がなければ、算定件数を増やすのは不可能に近いです。

増収に向けてポイントになるのはカルテ記載の充実と、それを可能にする周りのサポートが何より大切です。

そのためには短期的な取り組みで終わらせるのではなく、中長期的な視点で改善活動を行い、良いPDCAサイクルを構築する必要があります。

とはいえ、院内で内政的に取り組むには限界もあるかと思います。その場合には外部へ相談し、支援を仰ぐのも1つの方法です。以下でいくつかの事業者もご紹介していますので、ぜひご参考ください。

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執筆 医療ライター 武田 直也

フリーランスWebライター。18年間医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かし、カルテ監査やDPCデータ、クリニカルパスなど医療情報の活用に精通している。


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