
クリニックの業務を効率化するためにも、パソコンやその周辺機器は高性能なものを選びたいところ。そのなかから今回はLANケーブルに着目。どんなものを選ぶことが業務の効率化につながるのかを解説していきます。
LANケーブルとは?
LANケーブルとは、インターネットに接続するためのケーブルのこと。インターネットには有線で接続する場合と無線で接続する場合がありますが、前者の場合、LANケーブルを用いて接続することになります。
最近は、街中でも自宅でも無線での接続が主流になってきていますが、有線LAN接続は無線LAN接続に比べて安定性にすぐれているため、大容量のデータ通信時や動画再生時には、LANケーブルを使用した接続が適しているといえます。
LANケーブルを選ぶ際のポイントは?
LANケーブルを選ぶ際にチェックすべきポイントはいくつかあります。
速度
LANケーブルは、通信速度や周波数などの違いによって「カテゴリ5」から「カテゴリ8」までの7段階の「カテゴリ」に分類されています。
伝送帯域 | 最大速度 | |
カテゴリ5 | 100Hz | 100Mbps |
カテゴリ5e | 1Gbps 一般的な家庭向け速度 |
|
カテゴリ6 | 250MHz | |
カテゴリ6A | 500MHz | 10Gbps テレワークなど安定した通信が必要なシーン向け速度 |
カテゴリ7 | 600MHz | |
カテゴリ7A | 1000MHz | |
カテゴリ8 | 2000MHz | 40Gbps |
上記の表でいうと、下にいくほど通信速度が速いということになりますが、だからといってどんな場合も速度が速いものを選べばいいかというとそうではありません。たとえば、「カテゴリ7以降」は通信速度や周波数、ノイズ耐性が高いですが、無線親機に必要以上の伝送速度を求めていない小規模クリニックの回線だと逆に効果を発揮しないことがあるからです。
では、クリニックでの利用にはどのカテゴリが適しているかというと、クリニックでどんな機器を使っているかにもよりますが、一般的には、複数のパソコンやプリンタを使用する企業は「カテゴリ6A」が適していて、精密な機器やサーバを利用している環境下では「カテゴリ7以降」が適していると言われています。
また、院内では複数本のLANケーブルを使う可能性が高いため、「カテゴリをそろえないといけないの?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、LANケーブルには互換性があるため、カテゴリの違うケーブルが混在していても問題ありません。ただし、各端末の最大通信速度は、端末の上流側にあるLANケーブルの最大通信速度に準拠するため、通信速度が制限されることがあります。
ちなみに、「カテゴリ8に近づくほど価格が高くなるの?」と思う人もいるかもしれませんが、LANケーブルの価格にもっとも影響するのは、カテゴリではなく形状です。形状に関しては後述しますが、ねずみやペットが感でも千切れないよう金属で覆われたタイプなどは高額です。
長さ
長さも重要なチェックポイントです。パソコンやモデムを設置する位置を決めたら、LANケーブルは何メートル以上の長さであることが必要かを計ってみます。ただし、「大は小を兼ねる」の考え方で長すぎるものを選ぶことはおすすめしません。なぜかというと、長すぎるとケーブルが邪魔になったり、ノイズで通信速度が落ちたりするためです。
形状
LANケーブルには数種類の形状があります。
スタンダードタイプ
一般的な丸型のケーブルです。ノイズの影響を受けづらいため、安定した通信ができます。ケーブルは曲がりにくく、長距離の配線に向いています。
フラットタイプ
厚さ約1mmの平べったい形状です。カーペットや絨毯などの下に隠したり、隙間に通したりすることができるため、空間をスッキリと見せられます。ただし、ノイズの影響を受けやすいため長い距離の配線には向いていません。
極細タイプ
スタンダードタイプより細い丸型ケーブルです。柔軟性にすぐれているため、狭い場所やラウンドしているスペースでも配線しやすいです。
STP LANケーブル
内部にシールド加工を施しているため、ノイズに強いのが特徴です。そのため、ネットワークが混線している環境下での使用に適しています。
金属製外皮LANケーブル
ねずみやペットがケーブルを噛んでも断線しないよう、ケーブル全体が金属で覆われています。キャスターなどで誤って踏んだ際の断線防止にもなります。
PoE対応ケーブル
ネットワーク機器への電力供給・通信もできるLANケーブルです。電源ケーブルを用意する必要がないことがメリットです。
クロスLANケーブル
8本の導線がクロス配線されているLANケーブルです。これを使うことで、ルーターを使わず、パソコン同士で直接データをやりとりすることができます。
巻き取りLANケーブル
持ち運びに適した巻き取り式です。
抗菌LANケーブル
細菌の増殖を抑制できるタイプです。
いずれのLANケーブルもクリニックで使うことができますが、空間をスッキリさせたいなら、隙間に通しやすいフラットタイプや極細タイプ、清潔感重視なら抗菌タイプなどを選んでもいいでしょう。
コネクタ
コネクタとは、LANケーブルの両端にある機器に接続する部分のこと。挿し込む部分のツメが折れにくいよう加工されている「ツメ折れ防止カバー付きコネクタ」や、隣接するポートのコネクタ同士の干渉を防げる「スリムコネクタ」などがあります。
クリニックでの情報のやりとりで必要になるのは
「カテゴリー5e」以上のLANケーブルであれば事足りると思います。
(1Gbps以上の伝送速度、最大伝送距離100m)
値段的にもカテゴリー6以下であればコストパフォーマンスは高めなのではないかと思っています。
単線/より線
ケーブル内部にある8芯の芯線すべてに太い銅線が使用されている「単線」は、安定した通信が見込めるメリットがある一方、ケーブルがしっかりしていて硬いため、曲げて配線することは難しいです。
一方、複数の細い銅線を寄り集めた芯線8芯分で作られている「より線」は、安定感に関しては単線より劣るものの、ケーブルがやわらかく柔軟に配線できます。
クリニックでの使用に適したLANケーブルは?
クリニックで使うLANケーブルを選ぶにあたっては、まずは「速度」の項目で述べた通り、「カテゴリ6A以降」に絞ることが重要です。形状に関してはドクターの好みなどもありますが、「極細タイプ」や「フラットタイプ」は配線しやすいのでおすすめ。価格を抑えたいなら「スタンダードタイプ」でもいいでしょう。また、ツメ折れ防止機能完備またはスリム設計であると、余計なストレスをひとつ減らすことができます。以上の点をもとに、おすすめをいくつかピックアップします。
【カテゴリー6】
BUFFALO ツメの折れないLANケーブル カテゴリー6 ストレート スタンダード 2m ブラック BSLS6NU20BK2
メーカーの検証で2,000回の屈曲検査にも合格した“絶対にツメの折れない”LANケーブル。180度曲げても折れない新素材のツメが採用されているので、頻繁に挿抜してもツメの破損が起きにくいといえます。また、コネクターの厚みは従来比40%カットの薄型で、スイッチングハブやサーバーで干渉しにくいのもメリットです。
参照:BUFFALO ツメの折れないLANケーブル カテゴリー6 ストレート スタンダード 2m ブラック BSLS6NU20BK2
エレコム LANケーブル CAT6A 3m ツメが折れない 爪折れ防止コネクタ cat6a準拠 スーパーフラット ブルーメタリック LD-GFAT/BM30
ツメ折れ防止プロテクタと屈曲に対する耐久性が高い新素材コネクタを採用したダブル構造で、通常の使用環境では絶対にツメが折れないLANケーブルです。スーパースリムやフラットなどいくつかのタイプが用意されています。
参照:エレコム LANケーブル CAT6A 3m ツメが折れない 爪折れ防止コネクタ cat6a準拠 スーパーフラット ブルーメタリック LD-GFAT/BM30
サンワサプライ LANケーブル CAT6A メッシュフラット メタルコネクタ 10Gbps/500MHz ギガビット イーサネットケーブル ツメ折れ防止 RJ45コネクタ (2m) ブルー KB-FL6AME-02BL
メッシュ素材採用で引張強度200%を実現。ケーブル厚2.3mmのフラットタイプです。メタルコネクタ、メタルハウジングケースの組合せで、側圧衝撃に強いのも特徴です。
【カテゴリー7】
エレコム LANケーブル Cat7 爪折れ防止 フラット 2m ブラック ECLD-TWSFT/BK2
ツメ折れ防止プロテクタと屈曲に対する耐久性が高い新素材コネクタを採用したダブル構造。約2.3mm、幅約7.2mmのフラットタイプで、ドアの隙間にも配線しやすいです。
参照:エレコム LANケーブル Cat7 爪折れ防止 フラット 2m ブラック ECLD-TWSFT/BK2
エレコム LANケーブル CAT7 2m 爪折れ防止コネクタ cat7準拠 やわらか ブルー LD-TWSY/BU2
取り回しがしやすいやわらかケーブルを採用して、高速で安定したネットワーク環境を実現。ギガビット以上の高速通信で起こりがちな、隣り合ったケーブル間でのノイズ干渉による通信エラーを防ぐ二重シールド構造を採用しています。スリムやフラットなどいくつかのタイプが展開されています。
参照:エレコム LANケーブル CAT7 2m 爪折れ防止コネクタ cat7準拠 やわらか ブルー LD-TWSY/BU2
サンワサプライ LANケーブル CAT7 ウルトラフラット 10Gbps/600MHz ギガビット イーサネットケーブル ツメ折れ防止 RJ45コネクタ (5m) ブラック KB-FLU7-05BK
耐ノイズで1.9mmの薄さを実現したウルトラフラットLANケーブル。細いすき間にスッキリ配線できます。サビや酸化被膜の発生を抑え、高精度の接触を保証する金メッキシールドプラグを採用。また、ケーブルの素材に火災の延焼原因になりにくい素材を採用しています。
LANケーブルはパソコン周辺機器のなかでは選ぶポイントが比較的わかりやすい!
クリニックで使うパソコンおよび周辺機器は、チェックポイントが多すぎてどれがいいか選ぶのが難しい場合もありますが、LANケーブルは「速度」「長さ」「形状」「コネクタ」などのチェックポイントをひとつずつ潰していくと、ある程度選択肢が絞られるため、ITに明るくなくても比較的選びやすいといえるでしょう。ただし、たとえば「フラットであればどんな隙間でも通る」などということはないので、通したい場所の計測などは抜かりなくおこなうようにしてくださいね!
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この記事は、2022年9月時点の情報を元に作成しています。