開業医による覆面座談会、電子カルテどうやって選んだ?サポートや機能のホンネ

診療の中心として欠かせない電子カルテは、新規開業時にはほぼすべてのクリニックで導入されていると言われます。

「電子カルテを選ぶうえで大切なことは何?」
「結局クラウド、オンプレどっちがいいの?」
「電子カルテの費用と効果をどう考えればいい?」

これから開業する、また電子カルテを選ぶという段階の先生には選び方の基準を知りたいという人が多いでしょう。

開業時にどんな電子カルテをどのような基準で選んだか、またその評価について4名の開業医に話を聞きました。単にメリットを並べるのではなく、酸いも甘いも知った生の声をお届けします。

現在、各メーカーが取り扱っている電子カルテの種類は数十にも及ぶと言われています。電子カルテを選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。

※記載内容は、匿名を条件にお伺いした開業医個人の意見です。

⇒回答者:

  • F院長:2012年に3代続くクリニックを承継しすぐにオンプレ電子カルテを導入。
  • A院長:2016年、内科を新規開業。両親のクリニックで使っていた電子カルテを踏襲した。
  • Y院長:2021年開業。オンプレ型からクラウドに変更した経緯がある。
  • N院長:2022年開業、あまりこだわりなく安いクラウド型の中から選んだ。
  • 目次
    1. 病院時代とは頭を切り替えなければいけない
    2. 重視すべきは安定性と速度
    3. 機能よりも大切なのはサポートへの情熱
    4. オンプレ型もクラウド型も進化している
    5. まとめ:比較検討して実際に触るのがおすすめ

    病院時代とは頭を切り替えなければいけない

    --本日は宜しくお願いします。開業の歴史が古い順番にお伺いします。
    F(オンプレ/Medicom):となると、僕ですね。うちは開業60年以上の老舗内科です。承継したのは10年前で、そのタイミングで紙カルテから、電子カルテに変えました。父の反対はなかったのですが、長年勤めている看護師や事務員は嫌がっていましたね。「でも、これから電子カルテ以外ありえない」と説得したんです。10年前は、まだクラウド電子カルテはほとんどなかったと記憶していますね。オンプレしか選択肢がなかったのでシェアの大きい「Medicom」を選びました。

    A(オンプレ/Medicom):私もオンプレを選びました。2016年の新規開業と同時に入れたのですが、勤めていた大きな病院の電子カルテが本当に使いづらかったんです。オーバースペックで、動作も鈍い。ただ両親の経営するクリニックで先に導入した電子カルテは悪くなかった。「使う機能なんてわずか。患者数も大病院と比べればたかが知れているのだから、安定第一」ということを学びました。なので自然と「Medicom」を導入したんです。

    Y(クラウド/CLIUS):よろしくお願いします。たしかに病院の電子カルテは使いづらかったですね…。カスタマイズもできないので、自分で開業するからには使いやすい電子カルテを選ぼうと思っていました。ただ最初に選んだ電子カルテがさんざんで…後にクラウド型の「CLIUS」に変えました。今は満足できています。

    N(クラウド/デジカル):私は新規開業したばかりの整形外科です。リハビリ機器などそろえるものが多いので、正直言って、電子カルテのことをあまり深く考える余裕はありませんでした。オンプレとクラウドでは、初期費用があまりにも違うので、安い「クラウド一択」という感じでしたね。バイト先で触ったこともあったし、先輩からの勧めで「エムスリーデジカル」にしました。

    --ありがとうございます。オンプレ2名、クラウド2名と半々に分かれましたね。

    重視すべきは安定性と速度

    --電子カルテ選びの際に重視したポイントを教えていただけますでしょうか。

    F(オンプレ/Medicom):安定して診療ができるかですね。いろんな意見があると思うのですが、うちがオンプレにこだわり続けているのは、安定性。やはりクラウドを使っている先生に聞くと、急に動作が重いなど、年に1~2回起こるとか。それでは困りますね。

    A(オンプレ/Medicom):やはり診療への影響も気になりますよね。待ち時間を少しでも短くしたいと取り組んでいるのに、電子カルテが遅くて、患者さんを待たせるなんてありえない。

    Y(クラウド/CLIUS):わかります。キーボードに触る回数をいかに減らすかは大切ですよね。それが時短のカギになりますから、僕はかなりショートカットキーの設定にこだわってます。設定できない電子カルテはないのかもしれませんが、細かいところまで好みの配置で設定できるか、また設定しやすさで、全然診療中のストレスが違います。

    --診療中に先生がストレスを感じていると、患者さんも不安になりそうですよね。

    F(オンプレ/Medicom):ストレスを感じさせないでいうと、Medicomは、処方や病名の入力サポートが早くて正確だと思います。データベースへの反映が早いみたいで、新しい薬が出たときもすぐ検索できるので「おっ!またアップデートされてる!」と感心します。

    N(クラウド/デジカル):内科の先生方ほどは、診察時間を「急がなければ…!」という感じではないんです。「CLINICS」(メドレー)でできる経営分析には心惹かれたのですが、最終的には初期費用ゼロにはかないませんでしたね。

    --「初期費用をおさえたいからクラウド」というご意見はよく聞きますね、いかがですか?

    A(オンプレ/Medicom):N先生のように機器に設備投資をするという選択は理解できますし、悪くないと思いますね。患者数やクリニックのコンセプトによっては電子カルテの優先度が下がる部分のあるとは思います。ただ当院ではオンプレの安定感は絶対的に捨てがたいですね。いや、目に見えない差ですし、クラウドを導入しても問題ないというのは分かっているのですけど。

    F(オンプレ/Medicom):そもそもカルテって大切だよねという話なのですが、実は一部うちにはまだ紙カルテが残っているんです。大先生が週に一度だけ診療に立っているのですが、今も紙。で、それを後で事務スタッフに電子カルテに入力してもらっています。

    --同じ患者さんを大先生ではなく、院長が診察するときもあるからですか?

    F(オンプレ/Medicom):そうです。僕は紙だ、電子だと切り替えるのは不便です。それに父の字は難解です(笑) だから見慣れた画面で見たいし、検索もそのほうが楽ですよね、患者さんにも「ああ3年前にも同じところが痛いって言っていましたね」などと説明しやすい。

    Y(クラウド/CLIUS):見慣れた画面は大切ですよね。私は勤務医時代、かなりたくさんの病院でお世話になりました。今も非常勤で行きますが、振り返ってみると私のパフォーマンスがいいとき、そうでもないときが結構分かれるんですよ。生産性、業務効率性ですね。あとから振り返ると、電子カルテとの相性によって医師のパフォーマンスはかなり変わるのではないでしょうか。ただ、どれが合うかは人それぞれですね。

    A(オンプレ/Medicom):分かります。病院によっては、本当にひどいレベルの電子カルテを使っているところもあります。遅い機種は最低でモチベーションが下がったまま1日を過ごすことになる(笑)

    機能よりも大切なのはサポートへの情熱

    --Y先生は開業からまだ1年ですが、すぐに電子カルテをオンプレからクラウドに変えましたよね。何が理由だったのでしょう?

    Y(クラウド/CLIUS):さすがに名前は出しませんが、オンプレの会社がとんでもない対応だったからです。そもそもが機器の不調が原因で、診療に支障が出てしまった。では「すぐ直してくれ」となりますよね。ところが、本当に対応が緩慢で、謝罪の一言もなかった。「これは今後も同じことがある。付き合えない」と、すぐに契約を打ち切ったんですよ。

    A(オンプレ/Medicom):オンプレでその対応ですか? ひどい話ですね。ただ、私の意見は逆ですね。クラウド型の会社は、なんでもかんでもメールで済ませようとする思惑を感じます。そうじゃなくて、こちらが困っているのだから、血の通った対応をしてほしい。機能云々よりも、人ですよ、人。

    F(オンプレ/Medicom):人が大事というのは大賛成です。「大手だからいい」というつもりはないけど、うちのクリニックは10年以上ずっと同じ代理店がついて信頼できる人がいます。彼の言うことなら信頼できるし、トラブル時も彼がダメというならあきらめもつくほど。

    Y(クラウド/CLIUS):会社によって違いますよね。先ほどA先生はクラウドはダメだとおっしゃったけど、うちの担当も熱心ですね。クラウドは機能が限られている点もあるだろうけれど、改善の要望を出すと、できること、できないことに分けて回答してくれます。

    N(クラウド/デジカル):ほとんどやり取りしたことがないですね(笑) 開業直後に精算機を入れるので、調整をお願いしたくらい。そういう意味では順調ですし、まだ歴史が浅いとはいえ、システムのトラブルがないのは恵まれているのだと、今日先生方の話を聞いて強く思いました。ただ商品そのものと同じかそれ以上にサポートが大事、というのは他の医療機器などでも同じですね。「売ったら終わり」ではないので、サポートが弱い会社とは確かにお付き合いしたくないですね。

    オンプレ型もクラウド型も進化している

    --オンプレ、クラウド何かと比べられますが、一長一短ありますね。それに途中で乗り換えられるというのも発見でした。

    A(オンプレ/Medicom):基本的にはオンプレで満足しています。ただメンテナンスと更新は思ったより負担が大きいですね。こないだ初めてサーバーや端末の入れ替えを行いました。「え、もう?」と思ったのですが、業者の担当者が「5年が一区切りです」というんで、提案された通りにしました。まあまだ使えるとは思うのですが、型が古くなってきたし「全然早くなりますよ!」という営業トークに乗せられています。

    N(クラウド/デジカル):電子カルテがしっかりしていると請求業務もスムーズです。また自動精算機やPACSなど他のシステムとの連携がすぐ実現すると、どんどん業務が便利になります。いろんなメーカーと連携できるかどうかも電子カルテ選びのポイントだと思います。

    A(オンプレ/Medicom):あ、それ分かります。以前、導入したはずの精算機を引き取ってもらったことがあります。事前に聞いていた話と全く違い、電子カルテと全然連動がうまくいなかったんですよ。それじゃあ業務が増えるだけですからね。

    Y(クラウド/CLIUS):アップデートが頻繁なのはクラウドの魅力ですよね。基本的に一切、余計なコストがかからないので。「カスタマイズできない」のが不便とはよく言われることですけれど、それでも「昔に比べるとだいぶカスタマイズできる範囲が広がってよくなった」とも聞きます。まあクラウド型を使うなら「できない変更はできない。だから安いんだ」と納得するしかないですね。

    F(オンプレ/Medicom):オンプレも結構進化しているんですよ。実は数年前から訪問診療を始めたんですが、当初はクリニックに戻ってきてから、打ち込み作業をするしかなかったんです。ちょっと二度手間な感じは否めませんでした。それが、院外からでも院内サーバーにアクセスできるようになって、訪問先で電子カルテも見れるし、書き込めるので本当に便利になりました。オンプレとクラウドの「いいとこどり」を実現できて、訪問診療の生産性が大きく向上しましたね。

    --いろんなメリットがあるだけでなく、どんどん進化していることが分かりました。お話しは尽きませんが、本日は誠にありがとうございました。

    まとめ:比較検討して実際に触るのがおすすめ

    電子カルテはクリニックの安定的な運営には欠かせないものと言っていいでしょう。ただしどれを選ぶかについては、様々な考えや好みがあるので、どの先生の意見が「正解」ということはありません。

    途中で乗り換えることもできますが、できれば一度で納得のいく電子カルテを選びたいもの。複数の企業から見積もりをもらい、デモで使い心地を試してみるのがおすすめです。

    座談会の内容もぜひ参考にしてください。

    Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

    特徴

    1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

    対象規模

    無床クリニック向け 在宅向け

    オプション機能

    オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

    提供形態

    サービス クラウド SaaS 分離型

    診療科目

    内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、