これから歯科クリニックを開業したいと考えている人にとって、気になることのひとつは、開業までにどんな順序でどんな準備を進めていけばいいかということでしょう。そこで今回、開業までの理想的なスケジュールを説明していきます。
開業準備に取り掛かる前段階にすべきことは?
まずは、開業準備に取り掛かる前の「構想段階」からみていきましょう。
歯科クリニックを開業することに決めて、どのエリアにどんな広さ、どんな雰囲気のクリニックを開業したいかを決定したら、その実現のためにどのくらいの資金が必要かを算段します。おおまかな資金がみえてきたら、そのうち何割を自己資金として用意できるか、どのくらい融資が必要かもわかってくるので、その後のステップに進みやすくなるでしょう。
構想段階でゼロから具体的にイメージするのが難しいと感じるなら、まずは以下の3点について考えてみましょう。
理想とするクリニックのビジョン
診療方針やクリニックのコンセプトを考えます。さらに、「その診療方針、コンセプトはニーズがあるか、ニーズがないならどう軌道修正すればニーズがでてくるか」も考えます。
エリアの要素
立地、人口、患者数予測などの要素を一つひとつ確認して、自院にとってはどの要素が大切かを考えます。たとえば、小児患者の治療を得意とするならファミリー層が多く暮らすエリアがいいでしょうし、審美治療に力を入れたいなら、とりわけ美容に関心の高い女性が通いやすい立地が魅力に感じられるでしょう。
エリア内の競合
エリア内の競合の数およびそれぞれのクリニックの口コミなどもチェックすることで、自院がそのなかに入って行った場合、どれくらいの集患が見込めるかをイメージしやすくなります。
開業の形態
テナントなのか戸建てなのか、テナントであれば他の入居者も医療関係がいいのかなどを考えることで、候補の物件をぐっと絞ることができます。
ある程度イメージが固まったところで、そこからどうやってイメージを形にしていけばいいのかがわからない場合は、参考書やネットで独学もよいですが、コンサルタントをはじめとした開業支援パートナーに相談すると、より具体的な進め方がわかるので大いに参考になるでしょう。
理想的な開業物件の条件とは?
クリニックの開業にあたっては、立地・物件の調査が欠かせません。しかし、多忙な医師ほど、満足に調査・選定の時間が取れません。クリニック開業ナビでは、専任のコンシェルジュが希望エリアの無料診療圏調査はもちろんのこと、あなたのご希望に沿った物件を必ずご紹介いたします。
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開業支援パートナーとは?
開業前の一般的な相談先として、以下を覚えておくとよいでしょう。
歯科クリニックを専門とするコンサルタント
コンサルタントに相談するなら、歯科クリニックの開業や経営サポートを専門としているクリニックがおすすめです。経験や実績も確認したうえで理想のパートナーを選びましょう。
税理士
資金調達や補助金の申請をサポートしてもらえるだけでなく、いざクリニックがスタートした後、どんなふうに経営をすすめていくことが理想であるかなど、お金に関するさまざまなことを相談できます。税務関係の業務に自信があるなら相談する必要はありませんが、資金調達の方法や補助金に関して思わぬ情報をもらえることもあるので、開業に関するおおまかなイメージができてきた時点で、まずは税理士に相談してみるのも悪くはないでしょう。
社会保険労務士
人事や労務、雇用に関することを相談したいときは、社会保険労務士が適任です。社会保険加入の手続きや、労務環境の整え方などについてもアドバイスしてもらえます。人事や労務に関する相談は、理想のスタッフ数などがなんとなく決まった後がベスト。クリニックの規模や予算がわからないうちに相談しても、具体的な話がしづらいためです。
歯科ディーラー
歯科ディーラーは、常に歯科業界の動向を注視して、最新の情報を把握しています。また、歯科器械メーカーや材料メーカーと連携を図りながら、最新の技術や商品状況を提供してくれます。紹介された器機がどうしてもほしくなるかもしれない可能性を考えると、それに合わせて資金調達方法を考えることが望ましいため、税理士より先に相談するのもいいかもしれません。
コンサル・税理士・社労士を比較
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開業10カ月前には着手したいこと
さまざまなパートナーに相談して、何をどう進めていけばいいかがわかったところで、いよいよ開業に向けて具体的に動き出します。具体的な行動を取り始める時期としては、開業10カ月前が理想です。ただしもちろん、その後、思うように物件が決まらないこともあれば、スムーズに融資が下りないことなどもあるので、きっかり10カ月前とはいきにくいもの。そのため、常に余裕を持って準備を進めていくことをおすすめします。
では、開業10カ月前の段階で着手すべきは何かというと、事業計画書の作成および融資可能額の確認、そして歯科医師会や管轄の厚生局への相談です。事業計画書には、クリニックのコンセプトや立地なども盛り込む必要があるため、物件の選定および内装の見積もり、医療機器の見積もりなども同時に進めていきます。
開業半年前には着手したいこと
半年前には、融資を受ける金融機関を決めて、物件および内装業者も決定します。さらに大型医療機器やレセコンなども決定して、いよいよ人やお金も動き始めます。そのため、着実に開業に近づいていることを実感することができるでしょう。
開業半年前~3か月前に着手したいこと
開業まで半年を切ったら、内装工事を開始することが必要です。ただし、テナント開業の場合は一般的に開業4か月前とされていますが、物件を一から建てる場合はさらに早い段階で開始します。場合によっては1年程度かかることもあるので、そのつもりでスケジュールを立てましょう。
内装工事が始まると、そこから先は事業計画の修正は難しくなるため、この時点で最終事業計画書を確定させます。また、開業3か月前には求人を開始できるよう、ホームページの作成も開始します。求人サイトや求人媒体で募集をかける場合も、ホームページに誘導することで、より詳しい応募条件などを確認してもらうことができるためです。
さらに、ホームページを作成するにあたっては、クリニックのロゴも用意しておくのが理想です。
開業3か月前には着手したいこと
内装工事が完了したら、ユニットやレントゲンなどの大型機器の取り付けをおこないます。また、備品や消耗品の発注先を見つけて契約をおこない、近くの歯科技工所ともコネクションを作ります。さらに、開業にともなうオープニングスタッフの募集開始、内覧会準備開始、役所に提出する書類作成などやることが山積みです。
開業1か月前に必要なこと
開業1か月前には、スタッフを決定して研修を開始することが必要です。また、保健所による検査、歯科医師会への入会手続き、役所への届出書類申請と徐々に忙しくなっていきますが、この時期に周辺住民にクリニックのことを周知させるかどうかで集患率に差が出るため、内覧会の開催やチラシのポスティングにも力を入れたいところです。
歯科クリニック開設時に届出が必要な書類は?
続いては、歯科クリニックの開業にあたって届出が必要な書類をみていきましょう。
保健所に提出が必要なもの
社会保険事務所に提出が必要なもの
福祉事務所に提出が必要なもの
労働基準局に提出が必要なもの
税務署に提出が必要なもの
都道府県税事務所に提出が必要なもの
開業スケジュールを組むにあたっての注意点
続いては、開業スケジュールを組むにあたっての注意点を解説します。
パートナーに任せきりはNG!
開業に関してわからないことがあればどんどんパートナーに質問するべきですが、頼りっぱなしですべて丸投げするのは絶対にNGです。なぜなら、すべて任せてしまっては、経営者として必要な知識を身につけることができませんし、自分で考えて答えを出していなければ、失敗の可能性も高くなります。
開業を8月に設定するのはNG!
お盆休みや夏休みで家をあける人が増える8月は、集患がもっとも難しい時期です。しかも、お盆とは日にちをずらしたとしても、猛暑とされる時期には多くの人はなるべく外出したくないと考えるので、歯の治療も涼しくなってからと時期をずらしがちなのです。また、その時期に業務開始で休みをとれないことは、スタッフの不満につながる場合もあります。同じ理由から、年末年始やGW前後の開業も避けるべきだと言われていますが、もっとも避けるべきは、気温が高い期間が長い8月でしょう。
スケジュール進行中にも常に計画に立ち返ることが理想
スケジュールを計画通り進めていくことは簡単なことではありません。特に、長期にわたって何かを成し遂げようとしているときはそう。予想外のハプニングもあれば、依頼した先が思うように動いてくれないこともあるからです。しかし、そのたびに先送りにしていては当初の計画から離れる一方。そうならないよう、スケジュール進行中は常に当初の計画に立ち返りながら、着実に達成していくことが大切です。また、途中で最初の計画を見直すことで、うまくいかない原因や不足していることがよく見えるため、クリニックのクオリティおよび経営者としてのスキルをブラッシュしていくことにもつながりますよ。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
特徴
対応業務
その他の業務
診療科目
特徴
対応業務
診療科目
この記事は、2022年11月時点の情報を元に作成しています。