整体師として働き始めた暁には、いつかは独立開業したいと考えて当然です。しかし、開業すれば必ず年収アップできるというわけではありませんし、失敗して借金だけが残ってしまうこともありえます。
そうならないよう、失敗にはどんなパターンがあるのか、どうすれば防ぐことができるのかを知っておくことはとても大切。そこで今回は、整体師が開業に失敗する原因を解説していきます。
整体院・整骨院の開業が失敗に終わる件数は増えている
結論から言うと、整体院・整骨院の開業が失敗に終わる確率(つまり廃業する確率)はとても高く、廃業率は95%を超えるといわれています。件数でいうと、2017年の倒産件数は68件。翌2018年には93件にも上っています。
その後、2020年には新型コロナウイルスがまん延したことで、多くの業種で廃業に追いやられる店が増えたためまた状況が変わっていますが、いずれにしても廃業率の高さはかなりのものであることを覚えておいたほうがいいでしょう。
整体院・整骨院の開業が失敗する原因とは?
続いては、なぜ廃業率が高いのか、失敗の原因を探っていきましょう。
競合が多い
整体院・整骨院の廃業率が高い原因として第一に考えられるのは、やはり競合の多さです。厚生労働省が公表している「令和2年衛生行政報告書(就業医療関係者)の概況」によると、令和2年の「あん摩、マッサージおよび指圧を行う施術所等の数」は以下の通りです。
あん摩、マッサージおよび指圧を行う施術所 | 18,342 |
鍼および灸を行う施術所 | 32,103 |
あん摩、マッサージおよび指圧、鍼ならびに灸を行う施術所 | 38,309 |
その他の施術所 | 2,661 |
柔道整復の施術所 | 50,364 |
すべて合わせると141,779件ということになりますが、2020年末時点における全国のコンビニエンスストアが55,924店舗なので、そのおよそ3倍と考えるといかに競合が多いかがイメージできるでしょう。
参照: 厚生労働省「令和2年衛生行政報告書(就業医療関係者)の概況」p.8より一部抜粋
【対策】
競合が多いことへの対策方法としては、「開業時に競合が少ないエリアを選ぶ」「エリア内の競合にはない強みを打ち出す」「エリア内の競合と比べて利用しやすい価格設定にする」などが考えられます。
宣伝していない・宣伝できていない
ホームページ作成や近隣へのチラシ配布を行うことなく、患者がくるのを待っているだけでは倒産して当たり前です。
「うちは1階だから近所の人が前を通るたびに見ているのだから気づいてくれるはず」と思っていたとしても、その整体院・整骨院がどんな施術を得意としているのか、どんな整体師なのか、どんなメニューがあるのかなどが一切わからない状態であれば利用しようと思うはずがありません。
【対策】
ホームページを制作することは鉄則です。最近はwordpressを活用すれば比較的楽に自分でも作れますが、ITの知識に乏しく自力での制作は困難であるなら、ホームページ制作業者を頼るといいでしょう。
チラシの制作なども一緒に頼める会社もあるので、チラシ配布も考えているのなら、一か所にまとめて頼むとやりとりもスムーズになるはず。チラシは開業時の一度だけでなく、継続的に配布したほうが効果的なので、長く付き合える制作会社を見極めることも大切です。
また、Googleビジネスプロフィールに登録することも必須。ホームページ制作が自力で難しいという人でも、フォームに沿って埋めていくGoogleビジネスプロフィールであれば、よほどITが苦手でない限り問題なく登録できるはずなので、まずは自分でチャレンジしてみましょう。
ターゲット層に合ったメニューや接客を考えていない
たとえば、高齢者が多く暮らしているエリアでの開業なのかオフィス街での開業なのかによって、ターゲット層は大きく変わってきます。ターゲット層が変われば、メニューのニーズも、接客で求められることも当然変わってきます。
【対策】
開業エリアを決めたら、エリア内の競合のホームページなどをチェックして、どんなメニューのニーズが高いか分析するといいでしょう。また、開業前であるなら、自分の強みを生かすにはどんなターゲット層を狙えばいいのか、そのためにはどんなエリアで開業するのがいいのかを考えてみることをおすすめします。
十分な運転資金を用意していなかった
開業時には、物件の取得費のみならず、内装工事費、広告宣伝費、施術に使用するベッドや機器の購入費などさまざまなことにお金が必要です。
しかも、それとは別に、開業後4~6か月分の運転資金を確保しておくことも大切。なぜなら、積極的に営業活動していたとしても思うように集患できないことも十分あり得るからです。運転資金を確保しておらず、最初の半年間で集患できなかった場合、廃業に追い込まれる可能性は非常に高くなるでしょう。
【対策】
開業から4~6か月分の運転資金のねん出が難しい場合は、融資の利用を検討することをおすすめします。融資が下りなかった場合にできることとしては、施術に利用する機器を中古やリースで安く仕入れて節約することなどが考えられます。また、従業員を雇わない一人院長での開業であれば人件費がゼロなので、事業が軌道に乗り始めるまでは一人院長でやっていくことも一手です。
悪い口コミがたくさん入った
Googleビジネスプロフィールなどに悪い口コミがたくさん書き込まれると、それを見た人からもよくない印象を持たれて、集患に悪影響が及ぶことがあります。
【対策】
ホームページのSEO対策に力を入れることが鉄則です。また、書き込まれた内容が真実で自院に非がある場合は、リプライ機能を活用して、意見を述べてくれたお礼と共に改善の意思を書き込むことが大切です。誠意ある対応をとれているかどうかも、口コミサイトを訪れる人は必ずチェックしているからです。
スキル不足
施術のスキルが足りず、施術を受けた人を満足させることができなければ、リピーターになってくれる可能性は低いでしょう。
【対策】
スキルアップするためのひとつの方法として、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などの資格を取得することが考えられます。資格取得のためにはそれなりに時間もお金も必要ですが、資格を取得していた方が、将来的に入ってくる額も大きくなる可能性が高いといえます。
そのほか、施術を受けてくれた人にアンケートをとることで、自分に足りないスキル、患者が必要としている施術などを知ることができるので、自分では自分の腕に自信があったとしても、特に最初のうちは客観的な目を持つためにも、アンケートを実施することをおすすめします。
競合から一歩抜きんでるための努力も必要
主な失敗の原因やそれに対する対策を十分理解して実施していたとしても、競合たちも同じように努力を続けていることは言うまでもありません。もちろん、努力の程度には個人差がありますが、「廃業したくない」という思いは誰にでも共通のものです。
そのため、ライバルたちから一歩抜きんでるための“プラスアルファの”努力も大変重要。たとえば、経営セミナーに参加して経営の知識に磨きをかけたり、ブランディングを強化するために専門書を読んだりすることもそのひとつ。
開業準備を進めながら、知識やスキルの研鑽のために努力し続けることは簡単なことではありませんが、そのぶん得られることもとても大きいので、将来の理想像を思い描きながら、それを現実のものにするための努力を続けてみてくださいね。
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この記事は、2023年2月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
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