
看護師を採用する際、「面接を受けてくれた人のなかではこの人がいい気がする」など、なんとなくの感覚で選んでいるクリニックも多いかもしれません。
その選び方が必ずしも悪い結果をもたらすというわけではありませんが、最良の選択肢をとれば、クリニックの運営がもっとよくなる可能性もあるので、看護師採用におけるポイントをしっかりおさえておくに越したことはありません。
そこで今回は、看護師の採用基準の定め方について考えていきます。
クリニックの看護師採用時にチェックしたい4つのポイントとは?
まずは、クリニックの看護師採用時にチェックしたい4つのポイントをみていきます。
人柄、人間性
もっとも大切なのは人柄、人間性です。どれだけ看護師としてのスキルが優れていたとしても、人間性に問題があれば、クリニック内の人間関係が悪くなる可能性が高いですし、患者がクリニックに対してよくない印象を持つことも考えられます。その結果、悪い口コミを書かれることもあるので注意が必要です。
人間性は履歴書だけだとわからないと思うかもしれませんが、たとえば、パソコンで作成した履歴書であったとしても、見やすいフォントサイズに設定されているか、小さなミスがないかなどから、人間性もある程度みえてくるはず。
きちんと時間をとって作った履歴書であれば、仕事も丁寧に仕上げてくれる可能性が高いですし、やっつけ仕事で作った履歴書であれば、看護への姿勢もいい加減かもしれません。
また、「〆切を守っていない」は言語道断ですし、自己PRや志望動機が短すぎたり、空欄が多かったりする場合はやる気のなさが伺えます。
履歴書から読み取れない部分に関しては、面接の場での質疑応答を通して、しっかり判断していきましょう。
キャリア、職歴
これまでのキャリアを見れば、その人がどの程度の仕事をこなせる人なのか、ひとつの職場でじっくりと腰を据えて働くことができる人なのかなどをある程度見極めることができます。
ただし、女性の場合は特に、出産のために仕事を早期退職しなければならないケースなどもあるので、休職や転職の理由などもきちんと確認します。
なお、未経験でも積極的に採用したいと考えている場合は、キャリアは重視する必要はありませんが、複数人を雇いたいなら、そのうち最低1人キャリアが充実している人を選べば、後輩看護師の指導を任せられるため、全体としての業務効率が上がります。
スキル
看護師に求めるスキルは、診療科によっても異なりますし、クリニックの方針によっても異なります。
たとえば糖尿病専門外来であれば、一人ひとりの患者の血糖管理に必要なことを理解して、指導・提案するスキルやフットケア技術などがある看護師であれば、患者からも頼りにされるに違いありません。
また、地域密着型の小さなクリニックであれば、専門的なスキルよりも、事務作業や掃除にも対応できる柔軟性や、患者とのコミュニケーションスキルを重視したいという場合もあるでしょう。
流行に敏感な若い世代にアプローチしたいと考える美容クリニックなどであれば、SNSを駆使して集患につなげるスキルを有した看護師を採用したいと思うこともあるかもしれません。
「掃除やSNSの運用はプロに頼めばいいや」という考え方もありますが、外注するとそのぶん費用がかさむので、特定のスキルに優れた看護師を採用すれば一石二鳥という考え方もあります。
働き方に関する希望
働き方に関する希望も、必ずチェックが必要なポイントです。
「応募要項を見て応募してきているのだから、こちらが求める条件に合っていたということでは?」と思うかもしれませんが、面接時に希望を聞くと、「残業には対応できない」「基本的には条件通りで大丈夫だけど、水曜日だけは家庭の事情で定時に帰らなくてはならない」などの細かな希望が出てくるものです。
また、これからは、「勤務時間は問題ないが、副業を許可してほしい」というパターンが増えることも予想されます。
副業・複業を許可するかどうかはクリニックの考えによりけりですが、Wワークすることによって自院の仕事に影響が出る可能性も考えながら、働く条件をすり合わせることができるのかを見極める必要があります。
さらに、現状はクリニックが提示する条件通りに働けるものの、妊娠したら仕事を辞めたいと考える人もいるので、将来的なことも含めた理想のライフスタイルも確認しておくことが賢明です。
求職者を正しく評価するためのポイント
続いては、上記4つのポイントをベースに、求職者を正しく評価するためのコツをみていきます。
履歴書を隅々までよく見る
前述の通り、履歴書から読み取れることは多いです。手書きの履歴書であれば、一字一字丁寧にしたためているかがわかりやすいですが、パソコンで作成した履歴書にも性格は反映されるものです。
ケアレスミスが多く、作成後に一度も読み返していないことが明らかなら、仕事もいい加減かもしれません。
ルール・マナーを守って履歴書を送っているかを確認する
先にも述べた通り、〆切を守っているかどうかはまず大切なチェックポイントです。
ただしなかには、「〆切を1日過ぎた時点で募集に気づいたのですが、貴院で働くことに大きな魅力を感じているため、ダメもとで応募させていただいております」などのメッセージとともに履歴書を送付するケースもあります。
添えられたメッセージに誠意が感じられる場合は、「面接で実際に会ってから見極めよう」という判断でもいいかもしれません。
また、「履歴書と一緒にXXを送ってください」などのルールを守れているか、履歴書を添付したメールの文面がきちんとしているか、などもしっかりチェックすることが大事です。
面接前後の態度も観察する
面接当日は、面接前後の態度もしっかり観察することをおすすめします。
「履物をきちんとそろえているか」「受付スタッフへの言葉遣いがちゃんとしていたか」「院内ですれ違った他のスタッフにも会釈していたか」などをチェックして、一つでも引っかかるところがあれば採用を見送ったほうがいいかもしれません。
面接前に筆記試験を受けてもらう
社会人としての一般常識が身に着いているかを判断するためには、筆記試験を受けてもらうことが有効です。もしくは、簡単な質問票に回答してもらうのでもいいでしょう。
なぜかというと、たくさんの求職者と面接を重ねていると、どの求職者を選ぶべきかを客観的に判断しづらくなってくるからです。面接の日にちが数日にわかれているならなおさらそう。
「昨日の人のほうが質問への答えがたどたどしかったな」などと感じる原因が、実は院長自身が面接に慣れてきて質問が上手になっていたことであっても、自分では気づかないというケースもあるでしょう。
そうした場合も、全員に同じ試験を受けてもらえば、公平かつ客観的な視点を持って判断することができます。
院長以外のスタッフなどに面積に同席してもらう
人を見抜く力に自信がある場合でも、自分以外に最低1人は面接に同席してもらうことが望ましいといえます。
ただし、開業前で自分しかいない場合や、開業後で他のスタッフは業務から手を離せない場合などは、先に紹介した、筆記試験を導入することや、求職者がクリニックに到着した時点からスタッフにも観察してもらうことなどを検討しましょう。
違和感を覚えたら採用を見送る
履歴書にも面接の態度にも、決定的なマイナスポイントがあるわけではないのに、どうにも違和感を覚えてしまう……ということはあるでしょう。
この場合は、理由を説明できないとしても、採用を見送るのが賢明です。違和感を覚えるということは、少なくとも院長自身とは馬が合わないところがあるということですし、結果的になんらかの問題を起こす可能性も高いです。
また、他のスタッフや患者が同じように違和感を覚える可能性も高いと考えられます。
試用期間を設ける
上記に挙げたポイントすべてをチェックしても、求職者を100%正しく見抜けることは難しいといえます。そのため、採用してから「この人を採用したのは失敗だった……」と後悔することのないよう、試用期間を設けることがおすすめです。
試用期間を設けておけば、万が一、自院と合わないということがわかった場合、本採用しなければいいので、「採用となったのに辞めさせられた」と労働基準監督署に駆け込まれる心配がありません。
採用基準の優先順位を決めておくことも大切
採用活動を始める前に、看護師の採用基準をきちんと決めておくことと同じく、採用基準の優先順位を決めておくことも大切です。
たとえば、「コミュニケーション力はこの程度、スキルに関してはこれが必要、最低でも5年のキャリアがある人がいい」といくつもの条件を定めたとして、そのすべてを満たしている人は簡単に見つからない可能性が高いといえます。
そのため、優先順位を決めておいたほうがスムーズに採用できる可能性が高く、そのぶん、採用で頭を悩ませる時間が短くなります。
なお、どの条件を優先するかはクリニックごとに判断すべきことですが、人間性は成人してからではそう簡単に変えることはできませんが、スキルに関してはいくらでも磨くことができるので参考にしてみてください。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2024年8月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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