クリニック従業員の賃上げに対する理想的な考え方は?

春闘の時期が近付くたび、自分たちの給料が妥当であるのかを考える働き手は多いもの。それに合わせて、雇う側も昇給について見直すことが必須となります。これはすべての業界に共通のことですが、医療機関においては、実際のところどの程度の賃上げが実施されているのでしょうか? また、従業員から度を越した要求があった場合はどのように対応すればいいのかも気になるところでしょう。そこで今回は、クリニック従業員の賃上げに対する理想的な考え方をみていきます。

目次
  1. クリニックが従業員を雇ううえで賃上げは必須?
  2. クリニックにおける従業員の昇給・賞与の相場は?
  3. エリアごとの平均賃金も知っておきたい
  4. 「働きぶりの評価」はわかりやすく設定&グレード制を導入して毎年査定するのが理想大切
  5. 医療従事者の賃上げの実態は?
  6. 賃上げ率を低くした結果、従業員からクレームが入った場合はどう対処する?
  7. 2022年には国による賃上げ政策で一部看護師の給料が上がっている
  8. PCR検査で売り上げが上がった際などは昇給を考えるべき?

クリニックが従業員を雇ううえで賃上げは必須?

まずは、賃上げの必要性について考えていきます。

労働基準法では、昇給や賞与に関して支払い義務などを定めてはいません。そのため、「賃上げは必須か?」の答えとしては「NO」となります。ただし、従業員と労働契約を締結する際に、自院が昇給についてどういう取り決めをしているのかを明示する必要があるということは定められています。また、労働契約締結時以前に、ほとんどの求職者は仕事を探している段階において、募集要項における昇給・賞与欄を漏れなくチェックしているので、募集する側はそれを踏まえたうえで自院の方針をきちんと決めることが不可欠です。

クリニックにおける従業員の昇給・賞与の相場は?

続いては、クリニックが設定する昇給・賞与の相場をみていきましょう。

まずは昇給の相場ですが、そのときどきの社会情勢や景気によって変動するものの、常勤スタッフに関しては、「毎年3,000円~4,000円程度」と定めているところが多いようです。ただし、即戦力目当てで高めの給与で募集をかけた場合、昇給額は低めのケースがほとんど。反対に、未経験者歓迎で募集をかけた場合は、もともとの給与を低めに設定して、経験値とともに給与を上げていくパターンが多いでしょう。

賞与に関しては、「年間で基本給の2~3か月分」とするクリニックが多いものの、昇給額を「毎年3,000円~4,000円程度」と定めていると、それに連動して賞与額も上がっていくので注意が必要です。しかも、給与も賞与も必ず毎年上がり続けるとなると、働き手の意欲が薄れやすいといえます。そのため、昇給に関しても賞与に関しても、働きぶりの評価によって変わるものであることを、事前にしっかりと明示しておくことをおすすめします。

エリアごとの平均賃金も知っておきたい

昇給・賞与について考える前に、エリアごとに平均賃金を改めて確認することも大切です。

2023年2月時点における、看護師、医療事務の地域別の給料相場は以下の通り。この額と比べて極端に少ないようだと、従業員から不満が出る可能性も高いでしょう。

【看護師の地域別給料】

地域 年収
北海道・東北 319万円
甲信越・北陸 337万円
関東 374万円
東海 358万円
関西 360万円
四国 320万円
中国 315万円
九州・沖縄 299万円

参照:求人ボックス 給料ナビ「看護師の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」

【医療事務の地域別給料】

地域 年収
北海道・東北 260万円
甲信越・北陸 283万円
関東 310万円
東海 296万円
関西 302万円
四国 262万円
中国 269万円
九州・沖縄 256万円

参照:求人ボックス 給料ナビ「医療事務の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)」

「働きぶりの評価」はわかりやすく設定&グレード制を導入して毎年査定するのが理想大切

「評価によって決まります」と明示してあっても、評価の基準が曖昧であれば、従業員らから不満が出て当然です。そのため、評価基準は全員に対してしっかりと公表しておくことが大切です。たとえば、「連帯感」「仕事への積極性」「患者への対応」などの項目を設けることや、遅刻やミスがあれば一回ごとに減点とすることなどが考えられます。

また、知識の習得度や目標の達成度なども、わかりやすい基準となり得ます。

こうした評価項目を年一回で必ずチェックするだけでなく、グレード制を導入して、一人ひとりの従業員が、自分が今どのグレードにいるのかを確認できるようにしておくと、クレームが出にくいでしょう。

ただし、どの従業員がどのグレードに位置しているかを公にしてしまうと、嫉妬が原因で揉めることがあります。従業員同士で給料を明かし合ってしまうのは防げないとしても、クリニック側から、他の従業員の給料を明かすことなどはないように気をつけましょう。

医療従事者の賃上げの実態は?

続いては、医療従事者の賃上げの実態をみていきましょう。

2015年に実施された「病院給与勤務条件実態調査」では、病院の職種別平均昇給額において、看護師の平均昇給額は4,272円、事務員の平均昇給額は4,284円との結果が出ています。これは、小規模な診療所ではなく病院におけるデータなので、クリニックに関してはこれよりも低い額が妥当であるといえるでしょう。

賃上げ率を低くした結果、従業員からクレームが入った場合はどう対処する?

賃上げをおこなわない、値上げ率が低いといったことに対して、従業員からクレームが入ることはあり得ます。これを防ぐためにはどうすればいいかというと、先に述べた通り、評価基準をしっかり定めておいて、基準をクリアしていない場合はそれが原因であることを本人に伝えることです。

ただし、事前に評価基準を定めておいてその通りに実行している場合や、「毎回上がるわけではない」と明示している場合でもクレームが入ることはあり得ます。場合によっては、春闘の時期であるかどうかなども関係なく、従業員全員で徒党を組んで賃上げを要求してくることもあり得ます。その場合どうすればいいかというと、「実際に賃上げを要求せずにはいられないほど給与が低いのかどうか」によって対応方法が変わってきます。

クリニックに十分な儲けがあって給与水準が低いのであれば、従業員から不満が出て当然です。地域の競合の給与などを確認して、妥当な金額について考え直す必要があるでしょう。そうではなく、十分に支払っているのに賃上げ要求があったのなら、自院の給与が決して低い水準ではないデータを示すことや、場合によっては「それでも文句がある人は辞めてもらって結構です」と強い態度で応じることも必要になってくるでしょう。ただし、全員に辞められた結果、クリニックの運営が回らなくなっては元も子もありません。まずは、従業員との話し合いの場を設けると同時に、水面下で新規スタッフの募集をかけはじめるなど、頭を使うことが望ましい場合もあるでしょう。

2022年には国による賃上げ政策で一部看護師の給料が上がっている

クリニックの儲けが変わらないのに毎年昇給させ続けることは実質難しいので、昇給を実現化しようと思ったら、クリニックの売上を上げる方法についても考えていかなければなりません。とはいえ、コロナ禍のような不測の事態も起こり得るので、プラン通りに事が進まないことも十分あり得ます。しかし、たとえば2022年には、地域でコロナ医療を担っている医療機関の一部看護職員を対象に、国が補助金を充てることで看護職員の賃上げを実施することを発表しました。国によるこうした対策は、今後も事あるごとに実施される可能性があるので、自院で活用できそうなものがないかどうかこまめにチェックすることも大切です。有益な情報に関しては、開業ナビでも随時配信していくので、ぜひ定期的にチェックしてみてくださいね。

PCR検査で売り上げが上がった際などは昇給を考えるべき?

コロナ禍などの不足自体でもうひとつ考えなくてはならないのは、PCR検査などで売り上げが大幅にアップしたクリニックの昇給に関する問題です。クリニックが大量に検査を請け負い、一時的に売上が上がったら、従業員はそのことを把握しています。そのため、売上が上がっているのに給料が上がらないとなると、「なぜ売上UPに貢献している自分たちに還元されないのか?」と不満を抱いて当然です。しかし、ここで固定給を上げると、その後、事態が落ち着いて元の状況に戻ったときに、その給料を維持することが大変です。そのため、一時的に売上が大幅にアップしたときは、ボーナスを支給するなどして対応することが望ましいですよ。

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内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、