クリニックで信頼できる医療事務スタッフを育てる方法

医院にとって人材の確保は大きな悩みです。

新規開業時はもちろん、開業後も優秀な人材が集まらないと悩んでいる院長は多いのではないでしょうか。

「経験者を雇いたいがこれ以上給与を上げることはできない」「給与を上げたとしても優秀な人が見つかるか分からない」「そもそもどんな人が優秀か見極められない」と人材に関する悩みは尽きることがありません。

医療事務スタッフはまさに医院の顔。

医院の印象を左右する大きな存在なので、どのような人材を採用するのか慎重に判断するべきです。

ここでは、医療事務スタッフに絞って、人材を選ぶときのポイントや、優秀な人材への育て方について経験則も併せて紹介します。

優秀な医療事務スタッフを育て、患者様の満足度を高め安定した経営を目指しましょう。

目次
  1. 医療事務スタッフの採用は必ずしも経験者を採用するほうがよいとは限らない
    1. 経験者の中には今までのやり方を押し通そうとする人もいる
    2. 診療科が変われば算定項目も変わるので結局勉強が必要になる
    3. 医療事務の経験よりもパソコンのスキルが重要
  2. 優秀な医療事務を育てる4つの方法
    1. 定期的に勉強会を開催し検査や投薬の知識を共有する
    2. 日常からコミュニケーションを取る
    3. 頑張りを認めて仕事を任せる
    4. 人間的に魅力的な人を採用する
  3. まとめ

医療事務スタッフの採用は必ずしも経験者を採用するほうがよいとは限らない

医療事務スタッフを採用する場合、できれば経験者を雇いたいと思う医師も多いでしょう。

また、経験者からの応募がなく仕方なく未経験者を採用することもあるのではないでしょうか。

一般的には経験者のほうが仕事ができる、知識が豊富で仕事を任せられるというイメージがありますが、経験者を雇えば安心というわけではありません。

医療事務スタッフの採用に関しては、経験者だからといって「即戦力になる」とは限らないのです。

ここではいくつかの具体例を紹介します。

経験者の中には今までのやり方を押し通そうとする人もいる

医療事務経験者を採用すると、前の医院でのやり方を主張して他のスタッフや医師と意見がぶつかってしまうケースもあります。

実際に私が働いていたクリニックでは、年上の医療事務経験者が「前の医院ではこんな会計のやり方はしていなかった」と主張し、会計のオペレーションを変えることになり他のスタッフが混乱してしまった経験があります。また、「前の医院では昇給制度があった」などと院長に直談判したという話も耳にしました。

経験者の知識や実績はとても有益なものなのですが、大切なことは経験だけではありません。

前の医院での知識や経験が足かせになってしまったり、他のスタッフと関係を悪くしてしまうケースもあるので、必ずしも経験者がよいとは限らないのです。

診療科が変われば算定項目も変わるので結局勉強が必要になる

経験者を応募したとしても、同じ診療科の経験がある医療事務を雇うことはなかなか難しいでしょう。

診療科が変われば、検査や処置、指導管理料の算定項目も変わってきますし、処方薬も違います。つまり、前の医院での経験が役立つ部分は限られてくるのです。

もちろん保険証の種類や、初診、再診の概念は共通なので知識として活かせる部分が多いでしょうが、必ずしも必須ではないのです。

未経験者を採用する場合は、一定レベルの業務ができるようになるまで、OJTをするなどで充分に対応できます。

指導に当たるスタッフは昇給するなどのベースアップを提示できれば、モチベションを上げて新人育成へ取り組んでくれることも期待できます。

しっかりと医療事務の知識があるスタッフがいるならば、経験者にこだわりすぎる必要はないのです。

医療事務の経験よりもパソコンのスキルが重要

医療事務の知識や経験がなかったとしても、新規採用において一定のパソコンのスキルは重要でしょう。

なぜなら、医院によって使用している電子カルテやレセコンの操作方法は違うので操作に慣れる必要があるからです。

「同じレセコンを10年間使用していてパソコンスキルがない経験者」と「レセコンは操作できないがパソコンスキルがある経験者」では、パソコンスキルがある未経験者の方が、新しい操作を覚えるのが早いケースもあります。

医療事務の実務では電子カルテやレセコンの操作の他にも、院内の掲示物を作成したり、ワードやエクセルでリストを作成したりする機会もあるでしょう。

最低限のパソコンのスキルがあれば、レセコンや電子カルテの操作を覚えるに当たって、理解できる素養があると判断できるのです。

優秀な医療事務を育てる4つの方法

優秀な人材を確保したいのなら、時間をかけて育てることも一つの方法です。

どんなに知識があり経験があっても、それを活かせる環境がなければ宝の持ち腐れです。

反対に、未経験者であっても努力と経験を積んで、医院にとって優秀な医療事務に育てることは充分に可能なのです。

そのためには、院長の理解やサポートが必要です。

ここでは、優秀な医療事務を育てるために必要なポイントを4つ紹介します。

定期的に勉強会を開催し検査や投薬の知識を共有する

医師や看護師だけでなく、医療事務スタッフも検査や投薬に関する知識を得ることで診察がスムーズに進むようになります。

医療事務スタッフが検査内容や検査時間を把握していれば、待合で待たれているご家族に待ち時間を案内することもできますし、看護師との連携もスムーズに行えます。

医院ではスタッフの数も限られるため、手が足りないところを補い合うという意識を持ってもらうことが大切です。

そのためには、院内でのそれぞれの業務を把握しておくことが重要なので、事前に医師や看護師が検査機器の使用方法をレクチャーしておきましょう。

また、投薬内容に関しては、昼の休憩時間などを利用して製薬会社主催の勉強会に参加することも有効です。

休憩中まで拘束されることに抵抗があるスタッフもいるでしょうが、スキルアップすることは医院のためだけでなく、医療事務スタッフにとってもプラスの効果を生みます。

正確な知識を身につけることができれば、患者様の疑問に答えることもできますし、自信を持って受付に立つことができます。

スタッフの能力の向上は医院にとって大きな財産になるので、医療事務スタッフが知識を得れるよう積極的にサポートしましょう。

日常からコミュニケーションを取る

優秀な医療事務スタッフに長く仕事を続けてもらうには、日常的なコミュニケーションが欠かせません。

定期的に個別ミーティングを行い、給与や不満点、改善点などを話し合う機会を作ることが大切です。

勤務時間外に行う場合時間外手当が発生するので、気軽な雰囲気で行えるランチミーティングなどの形を取れば行いやすいですね。

日常からコミュニケーションを取っていれば、不満が原因での急な退職を防ぐ効果もあり早期に問題に気づきやすくなります。

優秀なスタッフの退職は医院にとって大きなダメージになるので、日頃からコミュニケーションを取ることを心がけましょう。

また、患者様の些細な変化を見逃さないために、医師、看護師、医療事務で情報共有することが大切です。

患者様の中には、「待ち時間が長い」「医師が話を丁寧に聞いてくれない」など医師には直接言いづらい不満を受付で伝えるケースがあります。

受付スタッフは患者様が一番気を許して話せる相手なので、隠された不安や不満を聞き出すことができます。

実際に、応対した患者様の態度に異変を感じた医療事務スタッフの提言で認知症が発見されたケースもあります。

患者様の様子を観察し、クレームを未然に防ぐためにも、診療後に患者さんに関する報告や、オペレーションミス、問題点などを話し合う時間を設けることが大切です。

頑張りを認めて仕事を任せる

後輩の指導や、医療改正時のオペレーションシステムなど特定の仕事を任せることで、医療事務スタッフが責任感を持って仕事ができる環境をつくりましょう。

仕事を任されると責任も増えますが、頑張りを認めてもらえたことでスタッフの自信につながり、モチベーションを上げて仕事に臨んでくれることが期待できます

一方、ただ仕事や責任だけを増やしてしまうと不満に繋がってしまうので、新規スタッフを採用した際には指導に当たるスタッフを昇給させるなどの配慮も必要です。

その際、給与のベースアップなどの待遇向上が難しい場合は、指導に使用する資料やマニュアル作成に関しては時給換算をして一時金を支払うなども検討しておくと、指導に当たるスタッフのモチベ―ションも高く保てるかと思います。

実際に私の場合も、インフルエンザの予防接種などで忙しい時期は給与とは別に1ヶ月に1万円程度の一時金が支払われるなど配慮がありました。

一時金という対価はもちろんですが、頑張りを評価してくれることで大切にされていると感じるので、忙しさに不満を感じることはありませんでした。

人材育成には、それなりの費用が発生しますが、時間をかけて育てた優秀な人材を手放さないための必要経費だと考えましょう。

人間的に魅力的な人を採用する

優秀な人材を育てるためには、医療事務の知識があるだけでなく人間的な魅力も必要です。

医療事務の知識は仕事をする上でもちろん重要ですが、最も大切なことは患者様の気持ちに寄り添えるスタッフを採用することです。

医療事務スタッフは、医院に訪れた患者様が最初に接する人なので医院の印象を大きく左右します。

病気を抱えていたり、不調がある患者様を診療する場所だからこそ安心感を与えられるスタッフを採用することが大切です。

採用面接の際には、「質問内容に対して簡潔で的確に答えられているか」「表情が豊かであるか」「清潔感があるか」を重点的に観察しましょう。

質問内容に的確に答えられる人は、頭の回転が早くコミュニケーション能力が高い傾向にあり、表情豊かで清潔感があることは患者様に安心と信頼を与えることができます。

実務のスキルは育てることができますが、第一印象を変えることは難しいので人間的な魅力を持っているかどうかをよく観察しましょう。

採用面接をする場合は、院長だけでなく配偶者やスタッフなどと複数で意見交換をするなどして慎重に判断するほうがミスマッチを防ぐことができます。

まとめ

優秀な人材を確保することは、医院のみならずどの業種でも大きな課題となっています。

しかし、優秀な人材を雇うのではなく育てるというように発想を転換すれば、解決の糸口が見つかるかもしれません。

優秀な人材に育てるためには、一人ひとりのスタッフが医院の一員であるという自覚を持って、スキルアップを目指せる環境を整えることが重要です。

医療事務を採用する場合には、経験者かどうかという表面的な条件に惑わされず、一から経験を積んで優秀な人材に育て上げていくという意識を持ちましょう。

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執筆 医療ライター 福島 涼子

内科クリニックで医療事務を8年間の勤務経験あり。新規開業スタッフとして医療事務や受付業務に従事し業務マニュアル作成、新人の育成などを担当。
現在はライターとして活動中。


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