美容クリニックの開業には準備期間が必要です。やるべきことがたくさんあるので、一つひとつを順序よく進めていくことが大切です。
美容クリニックの開業準備ステップ
美容クリニック開業準備について、やるべき期間ごとに、9つのステップに分けてご紹介します。
【18~12ヵ月前】
コンセプトを決めよう
まずはクリニックのコンセプトを考えます。具体的には、「クリニックの理想像(どんなクリニックにしたいのか)」「ターゲット層」「診療内容」を決めていきます。また、この時点でクリニックの規模も決めます。規模を決めなければ、物件の条件が決まらず、必要な資金のおおまかな額もわからないためです。
【12~7ヵ月前】
1.資金調達、土地・物件選びをしよう
コンセプトが決まったら、開業にいくら必要なのかの概算がわかります。概算が出たら、そのうち何割を自己資金として用意できるのか、残りの融資をどこから受けるのか、使える助成金や補助金があるのかを考えます。
また、同時に物件探しもスタートします。戸建ての場合は土地探しからのスタートとなります。
2.クリニック名を決め、ロゴのデザインおよび発注、内装業者選びをしよう
土地や物件が決まったら、次は内装業者を探します。ロゴと内装デザインの相性がよくなければ、ロゴが浮いてしまうため、なるべく同じ内装業者に発注するといいでしょう。ロゴデザインを先に提示することで、内装業者もイメージが浮かびやすくなります。
【6ヵ月前】
保健所・消防署にコンタクトをとり、電子カルテの導入準備を始めよう
法で定められている建物基準をクリアするため、保健所・消防署に連絡をとる必要があります。これはエリアによっても異なるので、管轄の保健所・消防署に相談することが必須です。
電子カルテの選定から導入までに要する期間は、短くて3カ月程度、長くて6~8カ月とされています。候補のなかから1つを選んだら、自院の運用に合わせてシステムを設定したり、試験運用したりすることが必要です。場合によっては、導入前に「お試し」として一定期間の試験運用を行うこともあります。
▲電子カルテ導入にも活用したい「IT導入補助金」
IT導入補助金は、電子カルテの導入にも活用できます。参照: IT導入補助金2023
▲クラウドサービス利用費に利用できる「ものづくり補助金」
ものづくり補助金は、革新的なサービス開発や試作品の開発などに取り組む費用の補助に充てることができます。概要だけ聞くと美容クリニックには関係なさそうですが、クラウドサービス利用費も補助の対象とされています。参照: ものづくり補助金
【6~4ヵ月前】
内装業者を決め、医療機器や什器を選定しよう
複数の内装業者から、自院と相性のよさそうな業者を選んだら、いざ契約。同時に、医療機器や什器の選定もスタートします。
▲什器導入に活用したい「IT導入補助金」
什器導入にあたっては、「IT導入補助金」の活用が推奨されます。IT導入補助金とは、ITツールの導入に使える補助金のことで、ITツール導入にかかる費用の最大1/2が補助されます。美容クリニックの場合、会計ソフト、受発注ソフト、POSレジなどの導入に活用できます。参照: IT導入補助金2023
【4~3ヵ月前】
ホームページの制作をしよう
ホームページの制作から公開までには、最低でも3か月はかかると思っておいたほうがいいでしょう。ホームページ制作費用は業者によってピンキリなので、依頼する場合は、早くからリサーチをはじめて、よく比較検討することをおすすめします。
【3~1ヵ月前】
内装工事・スタッフ募集を開始し、広告の準備を始めよう
内装工事は開業3か月前までに開始します。同じころ、スタッフの募集や広告作成も開始します。求人は、出してすぐにいい人材が見つかるとは限らないので、早めにアクションを起こすことだけでなく、理想の人材がなかなか見つからないときに、募集媒体や募集方法を変えたり増やしたりすることも考えなくてはなりません。
広告は、紙媒体とWeb媒体の大きく2通りに分けられるだけでなく、さまざまな価格帯のツールがあります。実際に広告内容を詰めていくのは開業3か月前あたりでいいとしても、どんな広告ツールがあるのかを調べることはもっと早くから始めておいたほうがいいでしょう。
▲チラシ作成などに活用できる「小規模事業者持続化補助金」
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や生産性向上に取り組んだ費用を補助してくれるものです。かかった費用の最大2/3が補助されます。美容クリニックの場合、チラシの作成費用などの補助に活用できる可能性があります。 参照: 小規模事業者持続化補助金
【1ヵ月前】
1.保健所立ちあい検査、開業届を提出しよう
内装工事が完了したら、保健所の立ちあい検査を受ける必要があります。立ちあい検査を受けて問題がなければ、管轄の保健所に開設届を提出します。開設届は、医療法によって、開設後10日以内に届け出るよう定められています。開設届は、クリニックとしての診療行為を可能にするものなので、開設ではなく開業後に提出してしまうと、受理されるまで診療行為ができないということになるので注意が必要です。
2.保険医療機関指定申請書を提出しよう(保険診療も行う場合のみ)
開業届受理後に行えるのは自由診療だけです。美容クリニックの場合、基本的に自由診療のみというところが多いですが、保険診療も行う場合は、別途、管轄の厚生局を通して厚生労働省に「保健医療機関指定申請書」を提出する必要があります。保険診療から自由診療まで行う美容皮膚科、診療科目に形成外科が含まれる美容外科などがこのケースに該当します。
保険医療機関指定申請書は、開業届受理後にしか提出できません。また、基本的に受付締切日は毎月1日になっていますが、地域によって受付締切日が異なる場合があるので、事前に管轄の厚生局に確認しましょう。
3.備品・医療機器の設置、スタッフ研修をしよう
各手続きが完了したら、クリニックオープンに向けて最後の準備に入ります。備品や医療機器を然るべき位置に設置して、スタッフ研修を実施します。スムーズなスタッフ研修のためには、マニュアルを用意しておくことが役立ちます。
▲スタッフに気持ちよく働いてもらうために活用したい「キャリアアップ助成金」
キャリアアップ助成金は、従業員のキャリアアップを促進するための費用を補助する助成金です。派遣社員を正規雇用に転換する場合や、非正規雇用労働者を対象とする法定外健康診断制度を規定して、延べ4人以上が実施した場合に助成されるため、実際は開業後の適用になりますが、スタッフの雇用と関わることなので覚えておくといいでしょう。 参照: 雇用・労働キャリアアップ助成金
ひとりで進めるのが難しい場合はプロを頼ろう
開業準備はやることが多くて大変だといても、1年~1年半あれば問題なくできるはず。そんなふうに思う人もいるかもしれません。しかし、準備期間中は準備以外のことをしていないというわけではなく、ほとんどの医師は前の職場で働いているはずですし、退職に向けての準備なども並行して進める必要があります。
そのため、実際に着手したら思った以上に大変でいっぱいいっぱいになってしまうこともあるかもしれません。その場合は、税理士などの専門家にサポートしてもらうとスムーズに進めることができますよ。
特徴
対応業務
その他の業務
診療科目
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その他特徴
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この記事は、2023年8月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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