眼科クリニックでコンタクトレンズを販売するには?|高度管理医療機器等販売業許可の申請プロセスと注意点

一般的な眼科では、多くがコンタクトレンズの処方を行っています。今後、眼科での開業を考えている場合は決して外せない要素です。

眼科でコンタクトを扱う際に必要となるのが、クリニック所轄の都道府県または市区町村による、高度管理医療機器等販売業の許可です。

コンタクトレンズは高度管理医療機器に該当しますので、許可をもらっていないのに販売してしまった場合、薬機法の規定により、懲役や罰金に処されます。

参考: 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(第二十三条の二) | e-Gov法令検索

以下では、高度管理医療機器等販売業の許可をもらうための注意点と、実際の申請プロセスについて解説します。

目次
  1. 眼科クリニックでコンタクトは販売は不可?施設要件の注意点
    1. コンタクトレンズを販売する施設の要件について
    2. コンタクトレンズ販売営業所の管理者について
  2. 高度管理医療機器等販売業の許可を取るプロセス
    1. 1.営業所の所在地を管轄する受付機関を探す
    2. 2.提出書類を揃えて記入する
    3. 3.管轄の受付期間に書類を提出し、申請する
    4. 4.検査、開設および更新について
      1. 更新の手順
  3. まとめ

眼科クリニックでコンタクトは販売は不可?施設要件の注意点

販売許可は営業所の所在地がある都道府県または市区町村が与えることになっているため、まずは営業所を指定する必要があります。

しかし、仮にクリニックをコンタクトを販売する営業所として指定した場合、保健所の指導を受ける可能性があるため、注意が必要です。

というのも、保健所では、クリニック(診療所)の構造設備基準として「他の施設と機能的かつ物理的に明確に区画されていること」と定めており、居宅や事務所が併設される場合は出入口が別々にあることなど、明確な基準で「区画されていることが必要」とされています。

つまり、開業時に「クリニック」として申請した建物はクリニックとしての利用のみが認められ、それ以外の用途での利用は原則禁止となっているのです。

そのため、クリニックをコンタクト販売の営業所として使用していることが発覚すると、保健所から指導を受けることになります。よって、コンタクト販売の営業所は診療所とは別の出入口を設け、スペースも診療所のスペースとは明確に区画される必要があります。

既存の眼科でもクリニック内で販売するのではなく、コンタクトショップを併設するかたちを取っているのは、このためだったのですね。

結論として、「クリニックの施設内ではコンタクトは販売不可」となりますので、コンタクトも扱いたいと考える場合には、クリニックとは別に、販売できる営業所を設けることも考えなくてはいけません。

 

コンタクトレンズを販売する施設の要件について

コンタクトレンズを販売する営業所については、先述した「完全に構造が分かれている(入口が別なども含む)こと」以外にも、以下の施設要件を満たしている必要があります。

  • 採光、照明及び換気が適切であり、かつ、清潔であること。
  • 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること。
  • 取扱品目を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備を有すること。

これらの条件を満たしているかどうかについては実地調査も行われるため、しっかりと対策をしておきましょう。

 

コンタクトレンズ販売営業所の管理者について

先述のように、コンタクトレンズをクリニック内で扱うことは原則不可となります(開業時から想定し条件を満たしている場合を除いて)。

ただし、この許可については「クリニックの医師本人がとらなければならない」わけではなく、医師本人とは別に「コンタクト販売業の管理者」を別に1名立てることも可能です。

その場合は、その方が販売管理者講習等(※後述)を受ける必要があります。

もちろん、医師本人が「コンタクトレンズ販売営業所の管理者」になることもできますが、その場合は以下の条件を満たしている必要があります。

  1. 眼科診療所に隣り合うコンタクトレンズ販売店が、医療用具の販売業として既に届出(平成17年4月1日以降は高度管理医療機器の販売に関する販売業許可)されていること
  2. 当該診療所の管理者たる医師が「医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について」(平成5年2月3日総第5号・指第9号)の「第― 1 医療機関の開設者に関する確認事項」に掲げる条件を満たしていること

参照: 眼科診療所に隣り合うコンタクトレンズ販売店の販売管理者の取り扱いについて(◆平成17年03月28日薬食機発第328001号)

それでは次の項より、コンタクトレンズを販売するにあたっての「高度管理医療機器等販売業の許可」を取るプロセスをご紹介します。

 

高度管理医療機器等販売業の許可を取るプロセス

高度管理医療機器等販売業の許可を取るプロセスについては、おおまかに以下の段階があります。

  1. 営業所の所在地を管轄する受付機関(市役所、保健所など)を探す
  2. 提出書類を揃えて記入する
  3. 管轄の受付期間に書類を提出し、申請する
  4. 検査、開設

以下で、それぞれの詳細について解説します。

 

1.営業所の所在地を管轄する受付機関を探す

高度管理医療機器等販売業の許可をもらうには、営業所の所在地を管轄する受付機関(市役所、保健所など)に申請を行う必要があります。

先述したように、眼科クリニックでコンタクトレンズを扱うには販売営業所がクリニックと隣り合っている必要があるため、クリニックと同じ管轄の受付期間だと考えていいでしょう。

受付機関が(保健所、市役所など)どこなのかについては、都道府県や市区町村によって変わります。

「クリニックの所在地名×高度管理医療機器等販売業の許可」などで検索をしていただき、ご確認ください。

一部例を挙げると、兵庫県では申請の際に使用する書類(後述)が神戸市、姫路市、尼崎市、明石市及び西宮市と、それ以外の市区町村では、市区町村が発行するものか、県が発行するものかの違いがありました。

また、受付機関を探す時期については、営業所の完成後か、完成する直前が望ましいでしょう。理由として、(詳細は後述しますが)必要書類の提出後に営業所への検査が入るため、実際の「営業所」として使用する物件や施設がないといけないためです。

また、許可が下りるまでには申請からおおよそ1か月程を要するため、スケジュール感も把握したうえで、早めに受付期間に相談しておくことをおすすめします。

 

2.提出書類を揃えて記入する

受付機関が分かったら、以下の書類を用意し、記入していきましょう。

  • 高度管理医療機器等販売業・貸与業許可申請書
  • 営業所の構造設備の概要、平面図

→高度管理医療機器等の保管・陳列場所を記載する必要あり

  • 管理者雇用(勤務)証明書

→管理者の雇用契約書(写し)や使用関係証明書など

  • 管理者の資格を証する書類

→医師免許や講習修了証など

そのほか、申請者が法人の場合は登記事項証明書や、診断書(申請者が精神の機能の障害により業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができないおそれがある場合のみ。3ヵ月以内に発行されたもの)が必要な場合もあります。

必要な書類および書類のフォーマットについては、各自治体(つまり、営業所の管轄となる受付機関)のホームページ内に用意されていますので、必要なものをダウンロードして使用してください。

 

3.管轄の受付期間に書類を提出し、申請する

書類に記入したら、受付機関に提出します。

この際、どの自治体でもおおよそ29,000円の手数料がかかります

また、「営業所での営業開始の2週間前までに提出すること」としている自治体もありましたので、提出期限についても注意してください。

 

4.検査、開設および更新について

書類を提出したのちは、受付機関による営業所の検査が入ります。

検査箇所については、先述した「コンタクトレンズを販売する施設の要件について」の部分をご参照ください。

検査をクリアしたのちに、営業所の開設が可能となり、コンタクトレンズの販売を開始できます。

なお、許可証の有効期限は6年間となっているため、その後も営業を続ける場合には更新が必要です。

更新の申請については、必ず「現行の許可証の期限が切れる前」に行ってください。

切れてしまうと、その時点で販売できなくなります。

更新の手順

まずは、必要書類(高度管理医療機器等販売業・貸与業許可更新申請書)を用意します。

こちらも、営業所の所在地を管轄する受付機関のWebサイトなどでフォーマットをダウンロードして使用してください。

更新申請の際には、記入した高度管理医療機器等販売業・貸与業許可更新申請書と、申請手数料を、営業所の所在地を管轄する保健所に届けましょう。

 

まとめ

よほど特別な手術などを行っていない限り、眼科クリニックの運営・経営にコンタクトレンズの処方は必須と言ってもいいでしょう。

導入を検討する際には、是非参考にしていただければ幸いです。

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執筆 CLIUS(クリアス )

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