医療業界は常に人手不足で仕事に追われがち。それでも、医療を必要とする患者は後を絶たず、緊張感を持って挑まねばならない業務も多いことから、ストレスを抱えている医療従事者は多いものです。そのため、ストレスをうまく発散したり、なるべくストレスを溜めないよう心がけたりすることが大切です。そこで今回は、医師がストレスを溜めずに働くコツを考えていきます。
まずはストレスチェックで現状を把握しよう
ストレスを溜めずに働くコツに目を向ける前に、まずはストレスチェックを活用して現在の自分の状態を知ることが大切です。ストレスチェックのためのツールはいくつかありますが、手軽に利用できるものとしては、厚生労働省が配布しているストレスチェック実施プログラムがおすすめです。
すべての質問に回答したら、仕事の量的負担、コントロール(自由度)、同僚からの支援などのなかで何に問題があるのか、そしてストレスの度合いがどのくらいであるかがみえてきます。
自らのストレスが「仕事のストレス判定図」として可視化されると、とりわけどんな点に気を付けて働くことがストレスを溜めない働き方となり得るのかがわかりやすくなります。
あわせて、スタッフのストレスチェックを通して、スタッフ一人ひとりの不満に耳を傾ける機会を持つことは、スタッフの急な退職などの予防につながることから、医師がスタッフに関するストレスを溜めずに働けることにつながるのはもちろん、スタッフ全員に活き活きと働いてもらえるようになると、結果的に医師自身のストレスも溜まりにくくなります。
参照:「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」ダウンロードサイト
仕事でストレスを溜めないコツは?
続いては、仕事でストレスを溜めないための具体的な方法を紹介していきます。
業務が整理されていないことが原因のストレス防止策
朝、仕事を始める前にその日のTo Do Listと優先順位を決める
やらなければならないことがたくさんあると思うと、それだけでストレスが溜まるものです。しかし、「今日はこれとこれとこれとこれをやる。余裕があればこれもやる」と、その日、どこまでやればいいかを予め決めると、「ここまでくれば終わり」とわかることから、不思議とストレスが溜まりにくくなります。
また、やることが複数ある場合は、やる順番を決めると、ひとつの作業が終わるたびに「あー、まだこんなにある……」と考えるかわりに、「次はこれか!」と思えるようになります。
医師の性格によっては、To Do Listの内容や優先順位をスタッフとシェアして、「〇時になったらこれをやるから声かけしてね」など伝えておくこともとても有効。人の目があることで、いつも以上にがんばれる自覚があるなら、ぜひこの方法を実践してみてください。
こまめに断捨離する
デスクの周りを見回して要らないものがあれば思い切って捨てましょう。不要なものがたくさんあると、たくさんある荷物のなかから必要なものを探すのも大変で、それだけでストレスが溜まります。しかも、「探す時間」を捻出しなければならないことが、忙しいあなたをさらに圧迫しているのです。
断捨離は、部屋のなかだけに適用されるものではありません。デスクトップや書類の束も整理したいものです。パソコン内部が散らかっていても、不要な書類が多すぎても、同様に「探す時間」が余計にかかりますし、膨大な資料やデータを目の当たりにすると、それだけでどっと疲れを感じることもあるでしょう。
整理整頓の習慣をつける
断捨離とセットで実践したいのが整理整頓です。要らないものを捨てて、要るものだけが残ったら、残ったものを分類しましょう。パソコン内のデータに関しても同様に、種類ごとにフォルダを分けます。わかりやすく分類しておけば、次に探す手間が省けるので、そのぶん、ストレスが減ります。
「今できること」を後回しにしない
メールの返信や折り返しの電話など、今すぐできることほど後に回しがちという人は多いでしょう。しかし、たとえば後から返信するとなると、返信する際に再度メールの内容を確認することになるので、同じ作業を二回繰り返していることになります。これはとてももったいないことだと思いませんか? メールを受信した瞬間、「電話がほしいそうです」と言われた瞬間に対応する習慣を身につければ、無駄な時間を発生させずに済みますし、“後からやらなきゃいけないこと”が積み重なっていくストレスからも解放されます。
孤独作業が多いことが原因のストレス防止策
チームで仕事しているという意識を持つ
医師のなかには、看護師や事務がやるべき仕事も自らこなす人もいます。「自分ひとりでできるから」とスタッフを雇っていない場合や、スタッフの手が回らなくなっているときに手伝っているパターンなら問題ありませんが、「やりかたを教えるより自分でやったほうが早い」と思っている場合や、スタッフを信用できないために自分で片づけているケースはよろしくありません。医療はチームで提供するものなので、お互いを信頼することがとても大切です。ただし、採用したばかりでまだ任せられないということはあるでしょう。その場合は、まずは教育に注力して、ゆくゆくはお互いがお互いを支え合うことを目指しましょう。
相談相手がいないストレス防止策
理事長を雇う
反対に、医師自身が誰かに仕事の相談に乗ってほしいと感じることが多いなら、理事長を雇うのも一手。特に、経営を回すことにストレスを感じているのなら、その業務を一手に担ってくれる人材を採用することで解決の糸口が得られる場合もあります。また、医師の苦手分野によっては、専属の税理士やコンサルタントに相談相手になってもらうのもいいかもしれません。
患者が少ないことへのストレス防止策
近隣の医療機関と提携し合う
困っている患者、苦しんでいる患者を助けたいという思いはすべての医師に共通するものですが、一日に診ることのできる患者の数には限りがあります。もちろん、だからといって患者を見捨てることはできないシーンも多々あるでしょう。そんなとき、お互いに患者を紹介し合えるよう、近隣の医療機関を頼ることは有効です。また、時間に追われていないときでも、「この症状ならあのクリニックのほうが処置がうまいだろう」と患者を紹介するようにすると、先方からもいい印象を持ってもらえますし、後々、患者を紹介してもらえることもあるでしょう。
肉体疲労によるストレス防止策
適度に身体を休める
基本中の基本ですが、身体を酷使しすぎず、十分に心身を休める時間を持つこともとても大切です。患者のためになるべく休みを少なくしたいという医師もいるかもしれませんが、無理をして働きすぎて倒れてしまっては、結果的に患者に迷惑をかけることにもなりかねません。
オンオフの切り替えも大切に!
身体を休めること同様、基本中の基本の方法を最後に挙げると、オンオフを切り替えて、プライベートを大切にすることも言うまでもなく大事です。朝から晩まで患者のことを考えられるのは立派なことではありますが、考え過ぎていつも煮詰まった状態であっては元も子もありません。自分や家族を大切にすることなしに、人を大切にすることはできないのだと悟ることで、今以上によい医療を提供することができるようになりますよ!
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2023年8月時点の情報を元に作成しています。