クリニック閉院手続きの注意点は? 各届出の提出期限も厳守しよう!
せっかくクリニックを開業したら長く運営し続けたいものですが、後継者不在、健康上の問題などさまざまな理由で閉院を余儀なくされる場合があります。閉院手続きの経験がなければ、「土地・物件探しからスタートする開業と比べたら閉院は簡単なはず」と思うかもしれませんが、閉院の手続きも意外と面倒! 具体的にどんなことが必要なのかを説明していきます。
目次
  1. 保健所や税務署に各種届出を出すことが必要
    1. 医療法、健康保険にまつわる届出
    2. 税務関係の届出
    3. 社会保険・労働保険関係の届出
  2. 閉院後も保管しなくてはならないものは?
    1. カルテ
    2. レントゲンフィルムまたはデータ
    3. エックス線装置等放射線障害発生の恐れがある場所の測定結果記録
    4. 向精神薬処分の記録
  3. スタッフや患者に閉院を知らせるタイミングは?
  4. 借りていたものを返すことも必要
  5. 金銭的な負担や手間を考えると、閉院ではなく承継がおすすめ

保健所や税務署に各種届出を出すことが必要

クリニック開業時には、管轄の保健所や開業届けをはじめとする各種届出を提出しますが、クリニック閉院時にも同様に、さまざまな届出を提出する必要があります。

医療法、健康保険にまつわる届出

まず、医療法、健康保険まわりで必要な届出は以下です。
届出の名称提出先期限
診療所廃止届保健所閉院から10日以内に提出
診療所開設者死亡届開設者(院長)が死亡した場合、死亡日から10日以内に提出。ただし、提出が不要な自治体もある
診療用エックス線装置廃止届診療用X線装置がある場合、診療所廃止届と同時に提出
麻薬使用者業務廃止届麻薬の使用がある場合、閉院から15日以内に提出
保険医療機関廃止届地方厚生局閉院後速やかに提出
生活保護法指定医療機関廃止届地方厚生局生活保護法の指定を受けている場合、閉院から10日以内に提出
労災保険適用廃止労働基準監督署労災保険法の指定を受けている場合、閉院から50日以内に提出

税務関係の届出

続いては、税務に関する必要な届出です。
届出の名称提出先期限
個人事業の開業届出・廃業届出等手続税務署、都道府県税事務所、市区町村閉院から1か月以内に提出
事業廃止届出書税務署、都道府県税事務所、市区町村消費税の課税事業者の場合、閉院したら速やかに提出
給与支払事務所等の廃止届出書税務署閉院から1か月以内に提出
所得税の青色申告の取りやめ届出書取りやめようとする年の翌年の3月15日までに提出
提出期限は、都道府県によって異なる場合があるので、必ず管轄の税務署や都道府県税務署に確認するようにしましょう。

社会保険・労働保険関係の届出

続いては、社会保険・労働保険に関しての必要な届出です。
届出の名称提出先期限および添付書類
健康保険・労働厚生保険適用事務所全喪届年金事務所閉院から5日以内。法人の場合は法人登記謄本、個人事業主の場合は雇用保険適用事業所廃止届など、事業を廃止したことを確認できる書類を添付することが必要
被保険者資格喪失届閉院から5日以内。協会けんぽの場合、健康保険被保険者証の提出が必要。紛失等により回収できなければ健康保険被保険者証回収不能届が必要
雇用保険適用事業者廃止届ハローワーク閉院から10日以内。法人の場合、登記簿謄(抄)本などが必要。法人でない場合、その事実を証明する書類が必要
雇用保険被保険者資格喪失届閉院から10日以内。離職証明書など離職理由が確認できる書類等の提出が必要

閉院後も保管しなくてはならないものは?

続いては、閉院後も保管が必要なものを説明していきます。保管が必要ということは保管場所が必要ということなので、自院の場合はどのくらいのスペースを確保すればいいのかを考えなくてはなりません。

カルテ

カルテは、医師法第24条によって過去5年分の保管が求められています。紙のカルテの場合、患者の人数によっては相当な量になりますが、電子カルテであれば保管スペースが不要です。また、オンプレミス型電子カルテの場合は、パソコン内のデータをそのまま保管しておけばよいですが、クラウド型電子カルテは契約が切れるので、カルテをPDFで出力してパソコンやハードディスクなどに保存する必要があります。

レントゲンフィルムまたはデータ

レントゲンフィルムまたはデータは、保険医療機関及び保険医療養担当規則第9条によって、撮影した疾患に関する診療行為が終了してから3年間保存することが定められています。

エックス線装置等放射線障害発生の恐れがある場所の測定結果記録

診療用エックス線装置、診療用高エネルギー放射線発生装置、診療用粒子線照射装置および診療用放射線照射装置を使っていたクリニックは、半年を超えない期間ごとに1回以上、放射線量を線量計で測定して、その結果に関する記録を5年間保管することが必要です。

向精神薬処分の記録

第1種向精神薬、第2種向精神薬を使用していたクリニックは、閉院にともなう薬の廃棄時には、「向精神薬の品名(販売名)およびその数量」「譲り受け、譲り渡し、または廃棄した年月日」「譲り受け先または譲り渡し先の営業所等の名称および所在地」を記録して、2年間保管しなければなりません。 また、向精神薬はきちんと廃棄しなければ、誰かが回収して使用する可能性があるため、酸やアルカリによる分解、希釈、焼却、他の薬剤との混合など、確実な廃棄方法で廃棄するよう定められています。

スタッフや患者に閉院を知らせるタイミングは?

クリニックを閉院する際には、スタッフや患者にも事前に伝える必要があります。院長の病死が理由の場合などは不可能ですが、基本的には、スタッフにも患者にも2~3か月前に伝えることが大切です。

まず、閉院によってスタッフを解雇する場合、解雇の必要性と解雇の時期などについて納得してもらうために、労働組合およびスタッフに説明する必要があります。解雇されたスタッフが転職の準備をしなければならないことを考えると、閉院2~3か月前が望ましいといえます。また、スタッフに対して退職金を用意することが必要です。

クリニックに入院および通院している患者も、閉院2~3か月前には知らせてもらわなければ、急な通院先変更に対応できず困惑してしまうケースがあるでしょう。引き継ぎ先となるクリニックは患者自身で決めることももちろんできますが、患者のほうでアテがなければ、閉院するクリニックが引き継ぎ先へつなぐことが必須となります。そのため、紹介状の用意などにもある程度時間がかかります。 また、他の医療機関に紹介する前に、患者から未回収の医療費がないかどうかをよく確認することも必要です。

借りていたものを返すことも必要

クリニックの物件が賃貸の場合、物件を借りた条件に沿って貸主に返す必要があります。たとえば、返すにあたってスケルトンにしなければならないとなると、それだけでもかなりの費用がかかります。医療機器のリースを利用していた場合、リース代が残っているなら、相殺して清算しなくてはなりません。ローンの借り入れが残っている場合も同様です。

金銭的な負担や手間を考えると、閉院ではなく承継がおすすめ

上記に説明した通り、クリニックを閉院するとなると、さまざまな書類を提出しなくてはならないだけでなく、退職金を用意したり、患者を他の医療機関に引き継いだりと、しなければならないことがたくさん出てきます。一方、承継であれば、スタッフをそのまま雇ってもらうことを条件にドクターを探すこともできますし、患者ももちろん引き継いでもらうことができるうえ、金銭的負担も大幅に減ります。各官庁に提出する書類の種類の多さに関しては、さほど差がないどころか、承継手続きのための書類が増えるデメリットがありますが、承継手続きは専門業者に一任すればいいですし、物件や医療機器の減価償却などについて考える必要もなくなります。

ただし、条件が合うドクターがすぐに見つかるとは限らないので、閉院するにしろ承継を目指すにしろ、少しでも早い段階で着手することが望ましいといえます。早期にリタイアしたい希望がある場合などは、それぞれの選択肢について、一度じっくりと考えてみてもいいかもしれませんね。
Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

特徴

1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

対象規模

無床クリニック向け 在宅向け

オプション機能

オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

提供形態

サービス クラウド SaaS 分離型

診療科目

内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、