クリニックを開業予定の医師の多くが、「保健所の立入検査に備えて何をすればいいのだろう?」と疑問に思い検索したことがあるのではないでしょうか? そこで今回は、保健所の立入検査について詳しく解説していきます。
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保健所立入検査の目的は?
まずは、保健所による医療機関への立ち入り検査が何のためにおこなわれるのかを説明します。厚生労働省のホームページには、立入検査の目的は次のように記されています。
「病院・診療所等が法令により規定された人員および構造設備を有しており、かつ適切な管理をおこなっているか否かについて検査して、不適正な場合は指導等を通じて改善を図ることによって、病院・診療所等を良質で適正な医療をおこなう場にふさわしいものとする」。
また、立入検査の実施主体に関しては、「医療法第25条第1項による立入検査」は、各病院・診療所等に対してと都道府県等が実施しているもので、「医療法第25条第3項による立入検査」は、特定機能病院等に対して国が実施しているものであると説明されています。
すべての医療機関に対しておこなわれるのは「医療法第25条第1項による立入検査」ということになりますが、この検査は開業時以外にも、原則として年1回実施されています。
保健所立入検査の主な検査項目は?
保健所による立入検査の検査項目は、大きく以下の3項目にわけられます。
文書や医薬品、スタッフの管理状況
人員配置の状況
構造設備の状況
上記それぞれに関して、特に気を付けたいポイントを説明していきます。
文書や医薬品、スタッフの管理状況
各種文書、医薬品、スタッフの健康状態など、クリニックが管理すべきものは多岐にわたります。文書の管理体制に関しては、主に下記の項目がチェックされます。
文書の記録・管理体制におけるチェックポイント
また、スタッフの研修実施を含めた医療安全管理体制に関しては、主に下記のポイントに関して確認されます。
医療安全管理体制に関してのチェックポイント
医薬品の管理体制については下記のポイントがチェックされます。
医薬品の管理体制
人員配置の状況
自院配置に関しては、下記職種の医療従事者の人数がチェックされます。立入検査の際には、これに該当するスタッフの免許証のコピーを用意しておく必要があります。
構造設備の状況
院内設備に関して、立入検査対策で忘れがちなのが「院内掲示」です。立入検査では、院内掲示物の有無が確認されることが多い傾向にあります。なぜなら、しっかり掲示することで患者に正しい情報を伝えることができるため、掲示物の有無によって、「患者から信頼されるクリニックを目指しているか」がわかるためです。掲示しておくことが特に大切な内容は以下です。
院内掲示しておきたい内容
また、防火・防災体制、院内感染対策に関しては以下のポイントについて確認されます。
防火・防災体制
院内感染対策
また、クリニック内で放射線を取り扱うことがある場合、診療放射線関係についても確認されます。主な検査項目は以下の通りです。
診療放射線関係
保健所立入検査の当日の流れは?
立入検査当日は、管轄の保健所から担当者1~2名が訪問してきて、クリニック内を回りながら項目に沿って検査していきます。その際、問題がある項目が見付かれば口頭で指導 されますが、不備のある箇所が多い場合は、後日、文書で指導内容が送られてくることもあります。
口頭指導、文書指導のほかに、医療法に係る法令不備があった場合、文書によって改善が指示される「指摘」がおこなわれるため、保健所立入検査の結果は以下の4パターンのいずれかに該当することになります。
ただし、4つのうち「指摘・指導事項なし」の結果になることはほとんどありません。例として、東京都福祉保健局医療政策部医療安全課が公表している「令和3年度医療法第25条第1項に基づく定例立入検査の実施状況報告書」を見ても、「指導・指摘事項なし」の結果になった医療機関は0件とされています。
参照:東京都福祉保健局医療政策部医療安全課「令和3年度医療法第25条第1項に基づく定例立入検査の実施状況報告書」p.3(PDF4枚目)より一部抜粋
立入検査は、クリニックの体制を整える絶好の機会
立入検査に向けて院内環境を整えなければならないとなると、「面倒くさい」「来ないでほしい」と思ってしまう人も多いでしょう。しかし、“立入検査に備えて院内環境を整えなければならない”ということは、裏を返すと、“いつもの状態のままでは問題がある可能性がある”ということ。年に1回の貴重な機会に院内環境を整え直すことによって、患者からの信頼度も高まるはずなので、寧ろ絶好のチャンスだと思って体制を整えられるといいですね!
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2023年11月時点の情報を元に作成しています。