保健所立入検査では何をチェックされる? クリニックがとるべき対策は?

クリニックを開業予定の医師の多くが、「保健所の立入検査に備えて何をすればいいのだろう?」と疑問に思い検索したことがあるのではないでしょうか? そこで今回は、保健所の立入検査について詳しく解説していきます。

目次
  1. 保健所立入検査の目的は?
  2. 保健所立入検査の主な検査項目は?
    1. 文書や医薬品、スタッフの管理状況
    2. 人員配置の状況
    3. 構造設備の状況
  3. 文書や医薬品、スタッフの管理状況
      1. 文書の記録・管理体制におけるチェックポイント
      2. 医療安全管理体制に関してのチェックポイント
      3. 医薬品の管理体制
  4. 人員配置の状況
  5. 構造設備の状況
      1. 院内掲示しておきたい内容
      2. 防火・防災体制
      3. 院内感染対策
      4. 診療放射線関係
  6. 保健所立入検査の当日の流れは?
  7. 立入検査は、クリニックの体制を整える絶好の機会

保健所立入検査の目的は?

まずは、保健所による医療機関への立ち入り検査が何のためにおこなわれるのかを説明します。厚生労働省のホームページには、立入検査の目的は次のように記されています。

「病院・診療所等が法令により規定された人員および構造設備を有しており、かつ適切な管理をおこなっているか否かについて検査して、不適正な場合は指導等を通じて改善を図ることによって、病院・診療所等を良質で適正な医療をおこなう場にふさわしいものとする」。

また、立入検査の実施主体に関しては、「医療法第25条第1項による立入検査」は、各病院・診療所等に対してと都道府県等が実施しているもので、「医療法第25条第3項による立入検査」は、特定機能病院等に対して国が実施しているものであると説明されています。

すべての医療機関に対しておこなわれるのは「医療法第25条第1項による立入検査」ということになりますが、この検査は開業時以外にも、原則として年1回実施されていま す。

参照:厚生労働省「医療法に基づく立入検査について」

保健所立入検査の主な検査項目は?

保健所による立入検査の検査項目は、大きく以下の3項目にわけられます。

文書や医薬品、スタッフの管理状況

  • カルテ・処方箋などの管理・保存
  • 届出・許可事項など法令の遵守
  • 患者入院状況・新生児管理など
  • 医薬品などの管理
  • 職員の健康管理
  • 安全管理の体制確保 など
  • 人員配置の状況

  • 医師・看護師などについて標準数と現員が不足しているかどうかをチェック
  • 構造設備の状況

  • 診察室・手術室・検査施設などの状況
  • 給水施設・給食施設などの状況
  • 院内感染対策・防災対策
  • 廃棄物処理状況・放射線管理状況 など
  • 参照:厚生労働省「医療法に基づく立入検査について」

    上記それぞれに関して、特に気を付けたいポイントを説明していきます。

    文書や医薬品、スタッフの管理状況

    各種文書、医薬品、スタッフの健康状態など、クリニックが管理すべきものは多岐にわたります。文書の管理体制に関しては、主に下記の項目がチェックされます。

    文書の記録・管理体制におけるチェックポイント

  • 診療所開設届
  • 紙カルテおよび電子カルテデータ
  • 各種装置の備付届(X線装置など)
  • 各種検査記録(X線装置の定期測定記録など)
  • 医療に関わる安全管理や院内感染対策の指針に関する文書
  • 処方箋の控え
  • 医薬品の安全な使用法に関する文書
  • 職員の健康診断書
  • 医療従事者の本人確認書類のコピー
  • 職員の研修記録書類
  • また、スタッフの研修実施を含めた医療安全管理体制に関しては、主に下記のポイントに関して確認されます。

    医療安全管理体制に関してのチェックポイント

  • 医療に係る安全管理のための指針の整備
  • 医療に係る安全管理のための委員会の開催
  • 医療に係る安全管理のための職員研修の実施
  • 事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策
  • 医薬品の管理体制については下記のポイントがチェックされます。

    医薬品の管理体制

  • 麻薬:麻薬帳で常に在庫状況を確認できるようにして、鍵付きの麻薬専用金庫に保管
  • 向精神薬:鍵付きの保管庫に保存
  • 冷所保存品:専用冷蔵庫を用意して、飲食物とは別で保存
  • 毒劇物:毒劇物とそれ以外の医薬品を別の鍵付き保管庫で保存
  • 人員配置の状況

    自院配置に関しては、下記職種の医療従事者の人数がチェックされます。立入検査の際には、これに該当するスタッフの免許証のコピーを用意しておく必要があります。

  • 医師、歯科医師
  • 薬剤師
  • 看護師
  • 看護補助者
  • 管理栄養士
  • 構造設備の状況

    院内設備に関して、立入検査対策で忘れがちなのが「院内掲示」です。立入検査では、院内掲示物の有無が確認されることが多い傾向にあります。なぜなら、しっかり掲示することで患者に正しい情報を伝えることができるため、掲示物の有無によって、「患者から信頼されるクリニックを目指しているか」がわかるためです。掲示しておくことが特に大切な内容は以下です。

    院内掲示しておきたい内容

  • 診察日時
  • クリニックの管理者、医師の名前
  • レントゲン室や診察室など、部屋の使用用途
  • 管理者やスタッフ、患者の個人情報の管理体制を明示したもの
  • また、防火・防災体制、院内感染対策に関しては以下のポイントについて確認されます。

    防火・防災体制

  • 防火管理者および消防計画
  • 消火訓練・避難訓練
  • 防火・消火用設備の整備
  • 点検報告など
  • 防災及び危険防止対策
  • 院内感染対策

  • 院内感染対策の指針の整備
  • 院内感染対策のための委員会開催
  • また、クリニック内で放射線を取り扱うことがある場合、診療放射線関係についても確認されます。主な検査項目は以下の通りです。

    診療放射線関係

  • 管理区域
  • 敷地の境界等における防護措置
  • 放射線障害の防止に必要な注意事項の掲示
  • 放射線装置・器具・機器及び同位元素の使用室・病室の標識
  • 使用中の表示
  • 取扱者の遵守事項
  • 従事者の被ばく防止の措置
  • 患者の被ばく防止の措置
  • 器具または同位元素で治療を受けている患者の標示
  • 使用・貯蔵等の施設設備
  • 照射器具および同位元素の管理
  • 障害防止措置
  • 閉鎖施設の設備・器具
  • 放射性同位元素使用室の設備
  • 貯蔵箱等の障害防止の方法と管理
  • 廃棄施設
  • 通報連絡網の整備
  • 移動型エックス線装置の保管
  • 陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の使用体制の確保
  • 保健所立入検査の当日の流れは?

    立入検査当日は、管轄の保健所から担当者1~2名が訪問してきて、クリニック内を回りながら項目に沿って検査していきます。その際、問題がある項目が見付かれば口頭で指導 されますが、不備のある箇所が多い場合は、後日、文書で指導内容が送られてくることもあります。

    口頭指導、文書指導のほかに、医療法に係る法令不備があった場合、文書によって改善が指示される「指摘」がおこなわれるため、保健所立入検査の結果は以下の4パターンのいずれかに該当することになります。

  • 指摘:医療法に係る法令不備
  • 文書指導:法令不備のうち軽微なもの、通知に対する重大な不備、医療法以外の法令における不備
  • 口頭指導:通知に対する不備
  • 指摘・指導事項なし:不備がみられない
  • ただし、4つのうち「指摘・指導事項なし」の結果になることはほとんどありません。例として、東京都福祉保健局医療政策部医療安全課が公表している「令和3年度医療法第25条第1項に基づく定例立入検査の実施状況報告書」を見ても、「指導・指摘事項なし」の結果になった医療機関は0件とされています。

    参照:東京都福祉保健局医療政策部医療安全課「令和3年度医療法第25条第1項に基づく定例立入検査の実施状況報告書」p.3(PDF4枚目)より一部抜粋

    立入検査は、クリニックの体制を整える絶好の機会

    立入検査に向けて院内環境を整えなければならないとなると、「面倒くさい」「来ないでほしい」と思ってしまう人も多いでしょう。しかし、“立入検査に備えて院内環境を整えなければならない”ということは、裏を返すと、“いつもの状態のままでは問題がある可能性がある”ということ。年に1回の貴重な機会に院内環境を整え直すことによって、患者からの信頼度も高まるはずなので、寧ろ絶好のチャンスだと思って体制を整えられるといいですね!

    Mac・Windows・iPadで自由に操作、マニュア ルいらずで最短クリック数で診療効率アップ

    特徴

    1.使いやすさを追求したUI・UX ・ゲーム事業で培って来た視認性・操作性を追求したシンプルな画面設計 ・必要な情報のみ瞬時に呼び出すことが出来るため、診療中のストレスを軽減 2.診療中の工数削減 ・AIによる自動学習機能、セット作成機能、クイック登録機能等 ・カルテ入力時間の大幅削減による患者様と向き合う時間を増加 3.予約機能・グループ医院管理機能による経営サポート ・電子カルテ内の予約システムとの連動、グループ医院管理機能を活用することにより経営サポート実現 ・さらにオンライン診療の搭載による効率的・効果的な診療体制実現

    対象規模

    無床クリニック向け 在宅向け

    オプション機能

    オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

    提供形態

    サービス クラウド SaaS 分離型

    診療科目

    内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、