医師国保の保険料は割安? 割高? 国保や協会けんぽとの違いも解説

健康保険にはいくつか種類があります。そのなかで医師が加入できるものは、「医師国保(=医師国民健康保険組合)「国保(=国民健康保険)」「協会けんぽ(=全国健康保険協会)」の3種類です 。このなかから今回は、医師国保にスポットを当てながら、他の健康保険との違いなどを解説していきます。

目次
  1. 医師国保とは?
    1. 条件をクリアしなければ医師であっても加入できない
  2. 国保、医師国保、協会けんぽの違いは?
    1. 医師国保と協会けんぽの違い
    2. 国保と医師国保の違い
    3. 同一世帯の加入者数で負担が異なる
  3. 医師国保に加入するメリットは?
  4. 医師国保に加入するデメリットは?
  5. 将来的に法人化を考えているなら、医師国保加入についても早めに検討しよう!

医師国保とは?

医師国保は、各地域の医師会または大学医師会が運営する健康保険組合です。加入対象者は、各医師会に所属している医師およびその家族と従業員です。

条件をクリアしなければ医師であっても加入できない

ただし、医師に関して「従業員数が5人未満の個人開業医」という条件が設けられており、5人以上の従業員を雇っている開業医は加入することができません。また、医師国保に加入する場合、「世帯単位で加入しなければならない」という条件もあるため、加入者と同一の世帯者は、他の公的医療機関に加入していない限り、全員加入する必要があります。

ちなみに、従業員は医療職である必要はないため、事務作業を手伝ってくれるパートタイマーなども加入が可能ということになります。

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国保、医師国保、協会けんぽの違いは?

続いては、国保、医師国保、協会けんぽの違いを説明していきます。

医師国保と協会けんぽの違い

まず、前述の通り、医師国保は従業員数5人未満の個人開業医しか加入できません。一方、従業員数が5人以上の5人以上のクリニックもしくは医療法人は、社会保険への加入が義務付けられている ため、「協会けんぽ」以外の選択肢をとれません。

「社会保険(健康保険)」とは、「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」「労災保険」「雇用保険」の5つの保険制度の総称で、運営主体(=保険者)は「健康保険組合」と「協会けんぽ」の2パターンしかありません。このうち前者は、単独の会社で700人以上の大企業、もしくは複数の会社が共同で設立して社員総数が3,000人以上いて、国の許可を受けて運営しています。一方、後者の「協会けんぽ」は、健康保険組合に加入していない被保険者を対象としています 。

社会保険である「協会けんぽ」が適用となると、保険料の事業主負担分が発生しますが、医師国保の場合、従業員の保険料を事業主が負担する必要がないため、経費を削減するために従業員数を5人未満に抑えるというのもひとつの考えといえます 。

国保と医師国保の違い

従業員数が5人以上だと協会けんぽに加入するしかないとなると、国保に加入できるケースは、医師国保と同じく従業員数5人未満ということになります。

では、従業員数5人未満の開業医は、どんな判断基準で医師国保または国保を選んでいるかというと、一番の判断基準は保険料です。

一般的な国保や健康保険は、加入者が負担する保険料は収入に応じて決まるため、収入が上がるほど保険料も高くなります。一方、医師国保は収入に関係なく、年代や加入者の種類によって保険料が決まっている ため、収入が一定の額を超えるとお得ということになります。

同一世帯の加入者数で負担が異なる

また、医師国保と国保は扶養家族にも保険料がかかることから、同一世帯の加入者が多い場合は、そのぶん負担が増えることになります。一方、健康保険(協会けんぽ含む)は扶養家族の収入などの条件によっては保険料が免除となるため、保険料の世帯負担は扶養家族の数に左右されません 。

医師国保に加入するメリットは?

続いては、医師国保に加入するメリットを説明していきます。

医師国保に加入するメリットとしてまず挙げられるのは、前述した通り、保険料が一定であることから、国保と比較して保険料が割安になる場合があるということです。

また、個人事業主として開業した医師が医師国保に加入していた場合、その後、法人化しても加入資格を引き継ぐことができます 。医師国保の加入を継続するためには、管轄の年金事務所に「健康保険適用除外承認申請書」を提出する必要があります 。ただし、法人化に伴い従業員数が5人以上に増える場合は、協会けんぽが強制適用となります。

医師国保に加入するデメリットは?

続いてはデメリットです。

医師国保に加入するデメリットとしてまず考えられるのは、収入と無関係に保険料が決まるため、収入が少なければ保険料負担が大きくなることです。また、扶養家族の人数が増えると保険料が増加することや、世帯全員が医師保険に加入しなければならないため、同世帯に国保加入者がいる場合、医師国保に変更しなければならないというデメリットもあります。

自家診療分の保険請求が不可であることもデメリットといえます。「自家診療」とは、医師やその家族が勤務先の医療機関で診察や治療を受けることで、国保や協会けんぽの場合、自家診療分も保険請求可能とされています。

ただし、医師会によっては、自家診療による薬剤の請求は認めています 。自分の所属している医師会はどのような条件を設定しているのか、一度確認してみるといいでしょう。

将来的に法人化を考えているなら、医師国保加入についても早めに検討しよう!

前述した通り、医師国保にはメリット、デメリットの両方が存在します。そのため、加入資格がある場合、自院にとってはどの保険がベストかをよく考えて選ぶことが大切です。ただし、後々法人化したいと考えているなら、協会けんぽへ強制加入となることで保険料の事業主負担が発生するのを防ぐことができるので、お得度は大きいといえますよ !

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