眼科の開業に「必要なこと」とは?開業資金・土地・物件・経営戦略のヒント

将来、眼科医として開業したいと考えているなら、勤務医時代から着々と準備を進めていきたいと思うものでしょう。しかし、今はまだ医師免許を取り立てで、なかなか具体的に準備を進める時間が取れないという人もなかにはいるはず。

そこで今回は、眼科の開業に必要なこと、早いうちから考えておくとよいことをまとめていきます。ぜひ参考にしてみてください。

 

目次
  1. 眼科の開業資金はいくら必要?
  2. 眼科クリニック開業時に考えるべきこと
    1. 診察・検査の内容
    2. 開業エリア
    3. 眼鏡店との連携
    4. バリアフリーの設計
    5. 経営戦略
  3. 開業形態ごとの違いは?
    1. 戸建てクリニック
    2. ビル診療所
    3. 承継
  4. リスクヘッジについてもしっかり考えておこう

眼科の開業資金はいくら必要?

まず気になるのは開業に必要な資金でしょう。眼科の開業医として自身のクリニックを開こうと思ったら、開業エリアにもよりますが、5,000万円以上は必要とされています。内訳は、土地、建物代に3,000万円~。設備代には最低でも2,000万円はかかるでしょう。

では、設備としてそろえるべきものはどんなものかというと、電子カルテ、レジスター、コピー複合機、診察用ベッドなどの、どの診療科にも必要なものに加え、顕微鏡、眼圧系、視野計、眼底検査機器、視力検査機器などの眼科ならでは機器もあります。

ただし、開業資金を全額自分で用意する必要はありません。金融機関から借入して開業することは可能です。もちろん、あくまでも借入なので、返済計画をしっかり立てたうえで開業することが大切です。

 

眼科クリニック開業時に考えるべきこと

続いては、開業にあたって考えるべきことをみていきます。

 

診察・検査の内容

眼科医は、専門性に特化しているかどうかで、普段の業務内容もそろえるべき機器も異なってきます。視力検査や花粉症シーズンの目薬処方などを中心におこなう町医者なら、特別な機器は必要ありません。

しかし、白内障手術をおこなうとなると、そろえるべき機器のコストは跳ね上がりますし、レーシックの専門医として毎日手術をおこなうようなら、建物の坪数も大きめである必要があります。

 

開業エリア

白内障手術をおこなうか否か、などとも関係していることですが、開業希望のエリアで生活している人たちの年齢層などから、潜在顧客のニーズをはかることは大切です。高齢者は高い確率で白内障に罹患しますし、ファミリーがたくさん住んでいるエリアなら、プール開き後には結膜炎で受診する子どもも増えるでしょう。

レーシックなどの数をこなしたいなら、都市部のほうが需要は高いでしょうし、地域に密接した医療を提供していきたいなら、高齢者が多いエリアを選択して、住民の暮らしをサポートすることに注力するのもいいでしょう。

 

眼鏡店との連携

近年は、店内で視力検査やコンタクトレンズの処方をおこなう眼鏡店も増えていますが、とりわけ小さな子どもが親のサポートのもと眼鏡を作る場合などは、より正確に検査してほしいと眼科を訪れることも多いです。そのため、開業を希望しているエリアの眼鏡店をチェックしておくことも重要でしょう。

 

バリアフリーの設計

眼科医を訪れる患者は視力に問題がある人や高齢者が多いため、クリニック内はバリアフリーにしておく必要があります。また、散瞳薬を使用してからおこなう検査があることからも、他の診療科の病院以上に、導線などに配慮することが求められます。

 

経営戦略

1~4のすべてを考えるうえでベースとなるのが、経営戦略です。どんな患者をターゲットにして、どんな治療を行っていきたいかが決まっていなければ、診察・検査内容も開業エリアも、眼鏡店との連携の有無もバリアフリー設計の具体的なデザインも決めることができません。

逆にいうと、まず、細かく経営戦略を立てることによって、1~4に関してどうすればいいかが自ずと決まってくるということにもなります。

経営戦略を立てるうえでの指針としては、まずは「自院の強み」が重要です。

自分が得意な治療、他院に負けないサービスは何であるかを考え、どうすればそれらを存分に活かせるのか?を考えます。同時に、「目指すクリニック像」を定めて、その実現のためには何が必要か、何が足りないかを考えていくことも大切です。

方向性が定まったら、そのために必要な機材やベストな開業エリアなどがみえてくるので、エリア内の競合から抜きん出た存在になるために、ターゲットに訴求する方法も考えます。チラシのポスティングや駅前の看板などを利用するのはもちろん、エリア内の医療機関などとも連携を取りながら、お互いに患者を紹介しあえる関係を築いていくことも大切です。

また、経営戦略に関しては、開業した後も引き続き考えていくことがとても重要。売り上げの変動や患者満足度などを定期的に確認して、よりよいクリニックになるためにはどんな点を改良すればいいかを分析していきます。

 

開業形態ごとの違いは?

開業形態ごとの違いについても知っておくと、どの形態で開業すれば、より自分の理想に近い医療を目指せるかがわかりやすいでしょう。

 

戸建てクリニック

戸建てクリニックを建てようと思ったら、「土地を購入」「土地を借りる」または「建て貸し」が必要です。戸建てクリニックの大きなメリットは、設計プランの自由度が高いこと。

駐車場の台数も確保できるため、車を利用する患者も見込めます。デメリットは、開業資金が大きくなること。また、一から設計していくことになるので、開業までの期間が長く、時間的ロスが生まれることも。

 

ビル診療所

ビル内のクリニックは、「スケルトン」「医療ビル」「医療モール」などがあります。いずれの場合も、初期費用を比較的安く抑えることができるのがメリット。また、少なめの資金でありながら、駅前などの好立地にクリニックをオープンできることもあるでしょう。

ただし、設計プランの自由度が低いため、場合によっては窮屈に感じることも。また、空調設備や換気設備、給排水設備などの導入を検討する必要がある場合もあるでしょう。

 

承継

医療機関を承継すれば、初期費用を限りなく抑えて開業することも可能です。しかも、患者さんも引き継げるため、集患にかける費用も抑えることができます。

ただし、前院長のスタイルとあまりにも違い過ぎると、患者さんが離れてしまうこともありえるので注意が必要です。

 

リスクヘッジについてもしっかり考えておこう

将来、眼科として開業したいと考えている人は、どんな診療に特化したクリニックにしたいか、どんな形態のクリニックにしたいか、早い段階から考え始めておくに越したことはありません。

なかには、眼科医療の分野は進化が早いので、最先端の技術を取り入れていきたいと考える人もいるでしょう。

その場合は、スキルを磨くことはもちろん、リスクヘッジについてもしっかりと考えてくださいね。

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執筆 コラム配信 | クリニック開業ナビ

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