
コロナ禍以降、オンライン診療を導入するクリニックが増えています。しかし、オンライン診療ではできないこともあるので、診療科によってはオンライン診療が向いていないといえます。では、心療内科はどうでしょうか? オンライン診療でどんなことができるのか、導入のメリットがあるのかをみていきます。
心療内科はオンライン診療に向いている?
まずは、心療内科はオンライン診療に向いているかどうかをみていきます。
心療内科の患者の多くは、メンタルヘルスに不調をきたしています。場合によっては、クリニックを受診することが難しい場合もあるでしょう。そのため、より気軽に悩みを相談できるオンライン診療というスタイルは、患者から歓迎されるケースが多いと考えられます。
心療内科にとってのオンライン診療のメリットは?
続いては、心療内科がオンライン診療を導入するメリットをみていきます。
対面受診が望ましい患者に来院を促すことができる
先に述べた通り、自宅から診療を受けることができることは、メンタルヘルスに不調をきたしている患者にとっては喜ばしいことです。「外に出るのが辛い」「電車に乗りたくない」という悩みを抱えている人もいれば、メンタルの不調が原因で肉体にも影響が及び、クリニックを受診する体力や気力がないという人もいるでしょう。
しかし、その状態のまま引きこもっていると、状況は悪くなる一方です。そのため、医療従事者から患者に早期受診を促すことができるチャンスを得られることは、オンライン診療の大きなメリットといえます。
来院が難しい患者に診療を提供できる
メンタルの不調が原因で来院できない患者がいる一方、「クリニックから離れたエリアに住んでいる」「足腰が悪く家から出られない」といった患者もいます。
前者の場合、「いろんな心療内科を受診したけど納得がいく診療ではなかった。近くにはもうめぼしいクリニックがないから、対面が難しいエリアでもオンライン診療をおこなっているなら診療してもらいたい」というパターンもあるでしょう。
そうした患者に診療を提供できることに、やりがいを感じる医師も多いはずです。
患者の状態や医師の都合でオンラインと対面を使い分けられる
オンライン診療を導入しておけば、普段は活用することが少ない場合も、かかりつけ患者のメンタルの調子が悪いときなどに「オンライン診療なら受けられるでしょうか?」と提案することができます。また、学会出席のためにクリニックを離れているなどの理由で、医師が対面診療のニーズに応えてあげられないときなども、オンライン診療を提案することができます。
もちろん、普段からオンラインと対面を柔軟に使い分けることも可能です。
心療内科にとってのオンライン診療のデメリットは?
続いてはデメリットです。
端末や通信状況などによっては患者の表情や仕草を読み取りにくい
患者の端末のサイズや通信状況、診療を受けている部屋の照明の強さなどによっては、患者の表情や仕草を読み取りにくく、患者・医師双方にとって納得のいく診療にはならない可能性が考えられます。
処方できない薬がある
また、もうひとつの懸念点は、心療内科で処方されることの薬の多くは、オンライン診療では初診からは処方できないということです。具体的には、麻薬および向精神薬、抗悪性腫瘍味、免疫抑制剤といった、ハイリスク薬と考えられる薬剤の処方が禁止されています。
抗うつ剤や睡眠薬、抗不安剤、抗認知症薬などが対象なので、患者が悩んでいる症状を緩和してあげられない場合があります。
オンライン診療を導入している心療内科はどんなふうに患者にアピールしている?
続いては、既にオンライン診療を導入している心療内科は、オンライン診療を導入していることを患者にどのようにアピールしているのかみていきましょう。
うつ病を根本解消するメソッドは、オンラインでも対面でも同等の効果を発揮することを明言『YSこころのクリニック』
うつ病を専門に診ている『YSこころのクリニック』は、遠隔地に住む患者や、自宅から出られず来院が難しい患者に向けて、うつ秒改善のためのメソッドをオンライン診療でも受けられることを発信しています 。「オンライン診療による治療効果は、来院の場合と同等です 」の説明を読んで、受診したいと考える患者は多いのではないでしょうか。
※2024年8月で『YSこころのクリニック』は診察終了とのことです。
遠方に住んでいてもオンラインで根治療法を受けられることを案内『OBO CLINIC』
オンラインカウンセリングを紹介するページでは、遠方患者でも同クリニックの根治療法を受けられることや、初診でもオンライン診療を受けられることが説明されています。また、オンラインカウンセリングを担当する医師や公認心理士は全員写真付きでサイト上で紹介されているため、初めてでも安心感があります 。
オンライン診療でも診断書を即日発行できることを説明『iこころクリニック 日本橋』
550円の「オンライン簡易相談」を受けた後、当日中にオンライン診療を受けることが可能であることや、オンライン診療でも休職診断書を即時発行してPDFデータで共有してくれることなどを説明しています。そのため、いち早く休職診断書を手に入れたい患者には魅力的に映るでしょう。また、オンライン簡易相談、オンライン診療、診断書発行にそれぞれいくらかかるかも明記されているため、「必要な費用が事前にわかっているから安心だ」と感じる患者は多いはず。
オンライン完結型『ウィーミート』
オンライン診療を選択肢として用意しているのではなく、「オンラインのみ」しかおこなっていない医療機関もあります。そのなかでも特殊な『ウィーミート』は、厚生労働省のオンライン診療研修を受診した医師数人が登録して成り立っており、患者側で医師を選ぶことができます。「待たずに、会わずに、ムリせずに」をキャッチコピーに、利用方法も価格設定も明確に設定されているので、患者側も気負うことなく気軽に利用できます。
同じよう、医師登録型のオンライン完結型クリニックはほかに『ファストドクターメンタルクリニック』などがありますが、複数の意思が登録していなくても、医師ひとりで完結型を実現させることもできます。
将来的に導入を検討しているなら、今のうちに必要な準備や手続きだけでも知っておこう!
オンライン診療を導入するためには、厚生労働省が策定した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の要件を満たす必要があります。ビデオチャットをおこなうための端末やシステムの選定・導入はもちろん、患者のためのマニュアルを作成してホームページなどで共有することや、通信環境を整備することや、セキュリティ対策を強化することも不可欠です。厚生労働省による指針は常に改定されており、現在公表されているものは令和5年3月に改訂されたもの。今後もIT環境の進化などに伴い随時改定されていくはずなので、そのときどきで最新の情報をチェックして準備を進めるようにしましょう。もちろん、開業ナビでも随時情報を更新していきます。
参照:厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針の概要」
参照:オンライン診療のオプションも無料で使える! 電子カルテCLIUS
参照:「オンライン診療」概要ブック ※お申込みフォームにご入力いただくとWPをDLできます
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2023年12月時点の情報を元に作成しています。