服薬情報等提供料とは? 1~3の違いと算定要件を解説

従来、服薬情報等提供料には「服薬情報等提供料1」と「服薬情報等提供料2」が存在していましたが、令和2年度の診療報酬改定において服薬情報等提供料の見直しがおこなわれ、「服薬情報等提供料3」が新設されました。では、この3種類にはどのような違いがあるのでしょうか? 詳しく解説していきます。

目次
  1. 服薬情報等提供料とは?
    1. 【疑義照会との違いは?】
  2. 服薬情報等提供料は3種類ある
    1. 服薬情報等提供料1の算定要件
      1. 医師から求めがあった場合に算定可能
    2. 服薬情報等提供料2の算定要件
      1. 薬剤師の判断によって算定可能。もしくは、患者やその家族から求めがあった場合に算定可能
    3. 服薬情報等提供料3の算定要件
      1. 入院予定の患者に関する情報を医療機関から求められた場合に算定可能
  3. 服薬情報等提供料の点数および算定可能回数は?
  4. 服薬情報等提供料1、2、3共通の要件は?
  5. トレーシングレポート(情報提供書)作成時の注意点は?
  6. トレーシングレポート(情報提供書)に記す内容の具体例
    1. 一包化の提案
    2. 用法変更の提案
    3. 残薬調整の提案
    4. 生活状況の報告
    5. 副作用の可能性の提案
  7. 服薬情報等提供料の算定制限とは?
    1. 患者によっては算定不可
    2. 併算定不可の項目がある
    3. クリニックにとって「特別調剤基本料算定薬局」の場合、算定不可
    4. 医療機関によっては同一月内での算定が認められない
  8. 患者から「選ばれる薬局」になるためにできることを考えよう

服薬情報等提供料とは?

服薬情報等提供料とは、薬剤師が医師や医療機関、または患者などに服薬に関する情報提供をおこなった際に算定できる調剤報酬で、「薬学管理料」のひとつです。

「薬学管理料」とは、薬剤師による薬学的管理や服薬指導、情報提供などを評価するもので、「服薬情報等提供料」を含む以下の6つの項目によって構成されています。

薬学管理料 調剤管理料 薬剤師による患者情報の分析・評価、処方内容の薬学的分析などを評価するものです。点数は処方日数によって異なってきます
服薬管理指導料 「調剤管理料」での分析を活用して、患者に対して処方薬の情報提供や服薬指導などをおこなった場合に算定します
かかりつけ薬剤師指導料 かかりつけ薬剤師が、同意を得た患者に対して、必要な指導をおこなった場合に算定できます
服薬情報等提供料 医療機関や患者、もしくはその家族に対して必要な情報提供をおこなった際に算定できます
外来服薬支援料 患者の服薬コンプライアンスの向上を目的に、適切な服薬支援をおこなった場合に算定できます
在宅患者訪問薬剤管理指導料 在宅患者に対して服薬指導などをおこなった場合に算定できます

【疑義照会との違いは?】

「服薬に関する情報提供をおこなう」という点においては疑義照会と同じですが、服薬情報等提供料と疑義照会では緊急性のレベルが異なります。疑義照会は、「この場で確認することなしには調剤がおこなえない」と判断される場合に実施するのに対して、服薬情報等提供料は、次回以降の処方に役立つ情報を提供することを目的としています。

服薬情報等提供料は3種類ある

冒頭で述べた通り、服薬情報等提供料には1から3までの3種類が存在します。3種類の違いは何かというと、算定要件と算定点数です。まずはそれぞれの算定要件をみていきましょう。

服薬情報等提供料1の算定要件

医師から求めがあった場合に算定可能

服薬情報等提供料1は、医師から求めがあった場合に算定可能です。たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 医師から薬剤師に、残薬の調整をしてほしいとの申し出があった
  • 医師の指示によって分割調剤をおこなって、2回目以降の調剤時に情報提供が求められた
  • 医師から薬剤師に、患者の服要約や服用状況を知りたいとの申し出があった
  • 患者に副作用が出ている可能性があるため、副作用の原因と推定される薬の情報提供が求められた
  • 服薬情報等提供料2の算定要件

    薬剤師の判断によって算定可能。もしくは、患者やその家族から求めがあった場合に算定可能

    服薬情報等提供料2は、服薬指導をおこなった薬剤師が、医師への情報提供が必要だと判断した場合に算定できます。もしくは、患者やその家族から求めがあって情報提供をおこなった場合にも算定可能です。たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 薬剤師の判断もしくは患者やその家族の求めによって残薬調整をおこなった
  • 患者の服薬期間中に新たに知った情報があり、安全性の担保のために情報提供をおこなった
  • 服薬情報等提供料3の算定要件

    入院予定の患者に関する情報を医療機関から求められた場合に算定可能

    入院患者の服薬状況に関しては、院内で処方したものだけでなく、他の医療機関や薬局で処方されたものに関しても知っておく必要があります。そのため、薬剤師からの情報提供は非常に大切です。

    服薬情報等提供料の点数および算定可能回数は?

    服薬情報等提供料の点数および算定可能回数は以下の通りです。

    点数 算定可能回数
    服薬情報等提供料1 30点 月1階に限り算定可能
    服薬情報等提供料2 20点 医療機関への情報提供による算定に関しては、月1回に限り算定可能
    服薬情報等提供料3 50点 3か月に1階に限り算定可能

    同一患者に対して、服薬情報等提供料1~3をそれぞれ同一月に算定することは可能です。また、服薬情報等提供料1を算定する患者について、異なる内容についての情報提供をおこなう場合は、同一月内に服薬情報等提供料3の算定が可能です。

    参照:日医工医療行政情報 調剤報酬善点数解説(2022年度改定版)「服薬情報等提供料1、2、3」

    服薬情報等提供料1、2、3共通の要件は?

    服薬情報等提供料1、2、3の個別の算定要件は前述の通りですが、1、2、3に共通の要件もあります。具体的には以下の通りです。

  • 服薬情報等を提供することに関して患者の同意を得ること
  • 患者の服薬状況などを正しく把握すること
  • 医療機関への情報提供は文書によっておこなうこと
  • 情報提供内容や指導内容などを薬剤服用歴に記録すること
  • 薬剤師が、医師へのフィードバックが必要だと感じたとしても、患者に無断で情報を提供することはできないので注意が必要です。万が一、自己の判断で情報を提供したことによって、後々、患者から「薬剤師が医師に情報を漏らした」と思われることがあっては大変です。薬局の信頼問題に関わることなので慎重に行動するよう心がけてください。

    参照:日医工医療行政情報 調剤報酬善点数解説(2022年度改定版)「服薬情報等提供料1、2、3」

    トレーシングレポート(情報提供書)作成時の注意点は?

    前述の通り、医療機関への情報提供をおこなう際には、「トレーシングレポート(情報提供書)」と呼ばれる文書を作成することになりますが、作成にあたっては、要点をしぼってわかりやすくまとめることが大切。「情報提供をおこなう目的」「明確な根拠をもとにした提案」を意識して、患者の治療の役に立てるようなレポートを作成しましょう。

    また、作成した文書の写しは薬歴に添付して保存しておくことが必要です。トレーシングレポートの内容に不備があると算定が認められない可能性があるので、作成の際は、厚生労働省のホームページでフォーマットを確認することをおすすめします。

    フォーマットは、服薬情報等提供料1、2の算定時に活用できる「患者の服薬状況等に係る情報提供書」、服薬状況等提供料3の算定時に活用できる「入院前の患者の服薬状況等に係る情報提供書」の2パターン分用意されているので、必要に応じて使いわけましょう。

    参照:厚生労働省「服薬情報等提供料に係る情報提供書」(服薬情報等提供料1、2に対応)

    参照:厚生労働省「患者の服薬状況等に係る情報提供書」(服薬情報等提供料3に対応)

    トレーシングレポート(情報提供書)に記す内容の具体例

    トレーシングレポートを作成するのが初めての場合は特に、トレーシングレポートを通して医師にどのような情報を提供すればよいかわからないかもしれません。たとえば、下記のような項目が治療を進めるうえで有益な情報となります。

    一包化の提案

    「服用している薬の種類が多い」「シートから錠剤を取り出しにくい」などが原因で、患者が服薬を大変だと感じていることは多々あるものです。患者にヒアリングをおこなってそうした状況を把握した場合、医師に一包化の提案をおこなうのも一手です。

    用法変更の提案

    患者へのヒアリングによって、「朝食を食べない」「寝る直前に夕飯を食べている」などの生活習慣が判明した場合、朝食後と夕食後の薬を一回にまとめて服用してもらうことなどを提案するのも一手です。

    残薬調整の提案

    飲み忘れによる残薬がある場合などは、残薬調整の提案をおこなってもいいでしょう。残薬調整の提案は疑義照会でおこなうこともありますが、服薬情報等提供料としておこなえば、患者の待ち時間を削減できます。また、医療費削減にも貢献できます。

    生活状況の報告

    医療費を抑えるために受診を控える患者は一定数存在します。患者との会話を通してそのことがわかった場合、患者の自己負担を抑えるためにジェネリックへの切替を提案してもいいでしょう。

    副作用の可能性の提案

    患者との会話を通して、患者が副作用のような症状に悩んでいることがわかった場合も、医師に情報提供することが大切です。ただし、緊急性があると判断される場合は疑義照会をおこないます。

    服薬情報等提供料の算定制限とは?

    服薬情報等提供料の算定に関しては、以下の制限が設けられています。

    患者によっては算定不可

    下記のいずれかを算定している患者には算定することができません。

  • かかりつけ薬剤師指導料
  • かかりつけ薬剤師包括管理料
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導料
  • 在宅患者オンライン薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料
  • 在宅患者緊急時等協働指導料
  • 併算定不可の項目がある

    下記の項目については併算定不可とされています。

  • 特定薬剤管理指導加算2
  • 調剤後薬剤管理指導加算
  • 服薬薬剤調整支援量2
  • クリニックにとって「特別調剤基本料算定薬局」の場合、算定不可

    不動産取引などの特別な関係を有している医療機関に対しては、情報提供をおこなったとしても算定加算できません。

    医療機関によっては同一月内での算定が認められない

    以下の薬学管理料を算定している医療機関に対しておこなう情報提供については、同一月内での算定が認められていません。なぜかというと、いずれの薬学管理料も、医師へ文書による情報提供をおこなうことが要件に含まれているからです。

  • 吸入薬指導加算(3月に1回まで)
  • 服用薬剤調整支援料2(3月に1回まで)
  • 調剤後薬剤管理指導加算(月1回まで)
  • 特定薬剤管理指導加算2(月1回まで)
  • 患者から「選ばれる薬局」になるためにできることを考えよう

    服薬情報等提供料の算定はたくさんとりにいくこともできますが、ゼロということも十分あり得ます。ゼロであっても薬剤師としての仕事をまっとうしていないとまでは言い切れないですし、患者一人ひとりの薬剤情報を注意深くチェックしない薬剤師などいくらでもいます。しかしだからこそ、しっかりチェックして患者のQOL向上に貢献することによって、患者から「選ばれる薬局」に一歩近づくことになります。服薬情報等を正しく提供するために患者とコミュニケーションをとっていくなかでは、患者から鬱陶しがられたり、「そんな質問投げかけてくる間に早く薬を出してくれ」と言われたりすることがあるかもしれませんが、確認を怠ることが患者のQOL低下につながるかもしれないことを常に念頭に置くことで、薬剤師としての使命をまっとうすることを意識できるといいですね!

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    対象規模

    無床クリニック向け 在宅向け

    オプション機能

    オンライン診療 予約システム モバイル端末 タブレット対応 WEB予約

    提供形態

    サービス クラウド SaaS 分離型

    診療科目

    内科、精神科、神経科、神経内科、呼吸器科、消化器科、、循環器科、小児科、外科、整形外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管科、小児外科、皮膚泌尿器科、皮膚科、泌尿器科、性病科、肛門科、産婦人科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、気管食道科、放射線科、麻酔科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科、リハビリテーション科、、、、