クリニックの医療法人化手続き前に知っておきたい「社員」「理事」「監事」の役割

将来的に自院を医療法人化したいと考えているなら、早い段階から、必要な手続きやスケジュール、費用などについて知っておくと、いざそのタイミングが訪れたときにスムーズに準備を進めることができます。そのなかから今回、医療法人化の手続きを進める前に決めておくことが必要な「社員」「理事」「監事」の役割について説明していきます。

目次
  1. 医療法人化の要件とは?
    1. 人的要件
    2. 施設・設備要件
      1. 施設に関して
      2. 設備に関して
    3. 資産要件
    4. そのほかの要件
  2. 医療法人における理事、幹事、社員の役割とは?
  3. 医療法人における理事とは?
  4. 医療法人における監事とは?
  5. 医療法人における社員とは?
  6. 医療法人化手続きをスムーズに進めるためにも、社員、理事、監事の候補は早めに考えておこう

医療法人化の要件とは?

クリニックを医療法人化するにあたっては、満たすべき要件がいくつかあります。そのうちのひとつとして、「社員」「理事」「幹事」を必要人数そろえることが挙げられますが、まずは医療法人が満たすべき要件の概要を説明します。

人的要件

医療法人は原則として下記の人的要件を満たす必要があることが定められています。

  • 理事3名(理事長含む)
  • 監事1名
  • 社員3名以上
  • ※ただし、医療法第46条の5の1項によって、理事については都道府県知事の認可を受けた場合は、1人または2人の理事を置けば足りるとされています

    参照:e-GOV 法令検索 医療法第46条より一部抜粋

    施設・設備要件

    医療法人としての法人業務をおこなうために必要な施設・設備を有している必要があります。具体的にどのような施設・設備が必要かというと以下の通りです。

    施設に関して

    1か所以上の病院・診療所・介護老人施設があること

    設備に関して

    医療行為に必要な設備・器具があること

    資産要件

    資産要件に関しては以下について満たす必要があります。

  • 年間支出予算の2か月分の運転資金があること
  • 個人時代の設備を買い取る場合は別途そのための資金があること
  • 施設の土地・建物は医療法人所有のものか、もしくは長期の賃貸借契約が担保されていること
  • そのほかの要件

    そのほかに以下の要件も満たしておく必要があります。

  • 既存の法人と同様の法人名を使用していないこと
  • 誇大広告にならないような法人名であること
  • 2つ以上の医療施設を保有する場合、それぞれの医療施設の管理者が事実上の雇用関係にないこと
  • 医療法人における理事、幹事、社員の役割とは?

    続いては、人的要件の構成要素について詳しく説明していきます。医療法人における理事、幹事、社員の役割は、大まかに説明すると以下の通りです。

    理事: 理事会にて意思決定する権限があり、事実上の職務執行淵源を持つ
    監事: 医療法人の業務監査などをおこなう
    社員: 社員総会において重要事項を決議する権限を持つ

    それぞれについてさらに詳しく説明していきましょう。

    医療法人における理事とは?

    医療法人における理事は株式会社でいう「取締役」、理事長が「代表取締役」のような存在です。医療法第46条の6では、理事および理事長に関して以下のように定められています。

  • 医療法人の理事のうちひとりは理事長とし、医師または歯科医師である理事のなかから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師または歯科医師でない理事のなかから選出することができる
  • 理事長は、医療法人を代表して、医療法人の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する
  • 理事は、医療法人に著しい損害を及ぼす恐れのある事実があることを発見したときは、直ちに当該事実を幹事に報告しなければならない
  • 参照:e-GOV 法令検索 医療法第46条をもとに作成

    では、理事はどのようにして決定するかというと、社員の総意によって選出します。ちなみに、ここでいう「社員」とは、いわゆる企業の一社員とは異なる、“医療法人における”社員のことです。社員について詳しくは後述します。

    また、小規模の医療法人などでは、社員が理事を兼任するケースもあります 。

    医療法人における監事とは?

    医療法人における監事の職務は、医療法第46条の8項によって以下のように定められています。

  • 医療法人の業務を監査すること
  • 医療法人の財産の状況を監査すること
  • 医療法人の業務または財産の状況について、毎会計年度、監査報告書を作成して、当該会計年度終了後3か月以内に社員総会または理事に提出すること
  • 医療法人の業務に関する監査または医療法人の財産状況に関する監査の結果、医療法人の業務または財産に関し不正の行為または法令もしくは定款もしくは寄附行為に違反する重大な事実があることを発見したときは、これを都道府県知事または社員総会若しくは評議員会に報告すること
  • 社団たる医療法人の監事にあっては、前号の報告をするために必要があるときは社員総会を招集すること
  • 財団たる医療法人の監事にあっては、第四号の報告をするために必要があるときは理事長に対して評議員会の招集を請求すること
  • 社団たる医療法人の監事にあっては、理事が社員総会に提出しようとする議案、書類その他厚生労働省令で定めるもの(次号において「議案等」という)を調査すること。この場合において、法令もしくは定款に違反しているか、または著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を社員総会に報告すること
  • 財団たる医療法人の監事にあっては、理事が評議員会に提出しようとする議案等を調査すること。この場合において、法令もしくは寄附行為に違反しているか、または著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を評議員会に報告すること
  • 参照:e-GOV 法令検索 医療法第46条の8をもとに作成

    上記の内容からもわかる通り、医療法人の監事は、中立な立場からの目線が求められます。そのため、医療法人の社員や理事およびその親族は、医療法人の監事を務めることはできません。

    ちなみに、医療法人の業務や財産の状況を監査して、監査報告書を作成するなどといった業務内容から、顧問税理士を選任したいと考える理事長もいるかもしれませんが、顧問税理士は理事長と利害関係にあると判断されて、就任が認められない場合があります。これに関しては自治体によって異なる ので、詳しくは自院の管轄となる自治体に確認することで確かな答えを得られます。

    医療法人における社員とは?

    医療法人における「社員」とは、わかりやすく表現すると、株式会社における「株主」です。それゆえ、前述した通り、社員総会において重要事項を決議する権限を持つのです。医療法人の社員には、ドクターの身内にもそれ以外の人にも任せられますが、社員総会での決議によっては理事長が解任となることもあるため、それを防ぐためには過半数を身内などで固めておくことが望ましいでしょう。ただし、身内だからといって必ずしもドクターを支持するとは限らないので、場合によっては身内以外の人を社員に選任したほうがいいこともあります。

    医療法人化手続きをスムーズに進めるためにも、社員、理事、監事の候補は早めに考えておこう

    自院の医療法人化を希望しているものの、今はまだそのタイミングではないという場合も、社員、理事、監事の候補は早めに考えておくことが得策です。自分の頭のなかだけでも候補を決めておけば、日々の業務のなかで、それぞれの人材が本当に社員や理事、監事にふさわしいのかどうかを見極めることもできるので、これを機会にぜひ一度候補の人材について考えてみてはいかがでしょうか。

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