クリニックのスタッフ面談は、必ず実施しなければならないものではありませんが、クリニックにとってもスタッフにとっても有意義な面談であれば、実施することによってさまざまなメリットが得られます。では、どんな点に気を付ければ、面接の価値を高めることができるのでしょうか? 早速解説していきます。
クリニックでスタッフ面談を行う意義は?
まずは、クリニックでスタッフ面談を行う意義について考えていきます。
スタッフ面談を行う本来の目的は、クリニック側がスタッフ一人ひとりから直接話を聞くことで、普段なかなか話せない本音を聞き出すことにあります。なかには、「面談の機会など設けなくても、言いたいことがあるときに都度言ってくれたらそれでいい」と思う院長もいるかもしれません。
しかし、「毎日忙しそうで話せるタイミングが見付からない」と思っているスタッフもいれば、「みんながいる前で相談を持ち掛けるに勇気がいる」と躊躇しているスタッフもいるものです。
しかし、「クリニック側の人間とスタッフが、お互いの話に耳を傾けることを通して、よりよい医療を提供できるようお互いに努力する」という目的のために設定された面談という場があれば、「せっかくの機会だから日ごろから気になっていることを聴いてもらおう」と思ってもらいやすくなります。
その結果として、普段なかなか言い出せないことまで話すことができれば、スタッフのなかで、クリニックに対する信頼や、言いたいことを言えてスッキリした気持ちが生まれることが考えられます。
スタッフ面談でありがちな間違いは?
院長とスタッフ間の軋轢を生まないためにも、職場環境を健全なものにするためにも重要なスタッフ面談ですが、意識しておかないといけない点がいくつかあります。
ありがちな間違いや、良くないスタッフ面談とはどんなものか?についてみていきましょう。
クリニックの要望を一方的に伝えるだけになっている
クリニック側からスタッフに望むことを一方的に伝えるだけだと、「面談」とはいえません。
親子関係や恋人関係に当てはめて想像してもわかることですが、相手からの要望を聞かされるだけの時間は、聴くほうにとっては苦痛でしかありません。しかも、「あれしなさい」「これしなさい」ばかりだと、やる気まで削がれてしまいます。
スタッフからの要望を聞くだけになっている
反対に、スタッフからの要望を聞くだけの面談もよくありません。
面談の一番の目的は、「よりよいクリニックになるために、話し合いを通して、クリニック、スタッフ双方のモチベーションやスキルを高めていくこと」です。そのことを忘れず、面談時には各自の目標などもしっかり確認していきましょう。
叱ったり諭したりしがち
スタッフから「この仕事が難しい」「給与に不満がある」「患者のクレーム対応が辛い」などの意見が上がると、「努力が足りない」と一蹴したり、「そのくらいは我慢してくれないと困る」と諭したりしたくなることもあるかもしれません。
もちろん、実際にスタッフの努力不足というケースもあるでしょう。その場合も、まずは「スタッフのモチベーションを上げるにはどうすればいいか?」を優先して、対応の仕方を考えるのが賢明。
「クリニックのためにもっとがんばろう!」と思ってもらえるような対応をとったほうが、結果的にクリニックにとってもプラスになります。
面談時間が長い、面談の頻度が高い
面談の時間が長かったり実施頻度が高かったりすると、「なんでプライベートの時間を削ってまで話し合いの場を持たなければならないの?」との不満が出てきて当然です。
しかも、面談が長くなる理由が、院長の話が長すぎたり、話が逸脱したりしがちなことが原因であれば、もう、最悪。
学生時代に、話が長い校長先生などが嫌われていたことなどがあれば、絶対に反面教師にするべきです。
スタッフが本音をさらけ出していない
スタッフの表情や態度を通して、うわべだけの話をしていないかどうかをよく観察することはとても大切です。
100%本心だけを話してもらうのはなかなか大変なことですが、うわべばかりであれば大問題。スタッフに不満があることに気付くことができなかったことで、ある日突然、離職届を出されるということになりかねないからです。
そうした事態を防ぐためにも、スタッフはともにクリニックの未来をつくっていく仲間であることを意識して、日ごろから一人ひとりの気持ちにしっかり寄り添って仕事することが大切です。
また、院長に対しては言い出しにくいことでも、女性スタッフに対してであれば言えるというケースもあるので、場合によっては、誰が面接を行うかも検討し直したほうがいいでしょう。
どうすればクリニックのスタッフ面談の価値が高まる?
クリニック側の人間とスタッフが、お互いに腹を割って話すことができるなら、スタッフ面談を実施する価値はあるといえます。
しかし、ただ単に面談の時間を設けただけでは、その時間は有意義なものにはなりません。
スタッフ面談の価値を高めるには、以下のような点に留意することが大切です。
スタッフと同じ目線で考えてみる
まず大切なのは、スタッフ一人ひとりが抱えている悩みや不安を聞き出して、それを解消するための方法を一緒に考えることです。
ただし、「仕事するうえでの悩みや不安なことがあれば教えてください」といきなり振られても、スタッフのなかで考えがまとまっていないこともありますし、「不満を口に出したら怒られるかもしれない」と遠慮するスタッフもいるでしょう。
そのことを考慮したうえで、「最近、仕事で困っていることはありませんか?」などと声をかけて、スタッフが話しやすい雰囲気を作る努力をしましょう。
目標の設定、目標の振り返りを徹底する
スタッフの悩みや不満を聞き出して、それを解決するだけが面談の目的ではありません。
「よりよいクリニックになるためにはどうすればいいか?」「よりよい医療を提供できるようになるには?」を念頭に置きながら、その実現のために目標を決めることも大切です。
もちろん、目標は「立てるだけ」ではダメ。毎回の面談ごとに、目標の設定および前回立てた目標の達成度を確認しましょう。
目標の共有を徹底することで、スタッフはいい緊張感を持って日々の仕事に挑めます。
スタッフのモチベーションアップを意識する
面談を通して、スタッフのモチベーションを向上させることはとても大切です。
モチベーションアップの肝となるのが、前述の目標設定と目標の振り返りです。立てた目標の達成度などを一緒に確認しながら、できていることに関しては大いに褒めましょう。
一方、できていないことに関しては、叱るのではなく、目標達成に対して何が足りなかったのかを一緒に確認して、スタッフを励ましたり、一緒に目標を立て直したりしましょう。
クリニックに対しての要望も聞く
クリニックからスタッフに求めるだけで、スタッフからクリニックに対しての要望に耳を傾けなければ、平等な関係とはいえません。
もちろん、働くうえで雇用関係にあることは事実ですが、いい雇用関係を作り、信頼関係を構築するためには、「働き手の声にもきちんと耳を傾ける」クリニックであることを示したいものです。
給与や賞与に関して、勤務体制に関してなどなにかしらの不満があるスタッフは多いので、すべて叶えてあげられるとは限りませんが、面談の機会に訊き出して、スタッフがどう思っているのかを把握しておくことは大切です。
場合によっては、お互いの妥協点を探る必要もあるでしょう。
定期的に面談を実施する
面談は一回きりでは意味がありません。定期的に実施しなければ、目標を設定して、達成具合を確認することもできません。
「そんなこといっても毎日患者を診療するだけで精いっぱいで時間なんて作れない!」と思うかもしれませんが、たとえば「毎月第4土曜の午後診のあとの時間は面談に充てる」などと決めて、毎月一人ずつで順繰りに回していくなども一手です。
どうしても時間がとれない場合は別の手段を考えるのもアリ!
定期的な面談はスタッフのモチベーションアップにも活かせますが、月一の面談でも時間がとれないほど多忙な場合は、無理をして面談を行う必要はありません。
ただし、その場合は、スタッフがクリニックに対して意見を言いやすいよう、風通しのよい職場環境を心がけていきましょう。
たとえばチャットツールを導入するなどして、個別に相談したいことがある人が気軽に院長に連絡をとれるような体制を整えておけるといいですね!
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診療科目
この記事は、2024年4月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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