在宅で療養している患者に対して指導管理をおこなうと、特定の診療報酬を算定できる場合があります。そのなかから今回は、在宅自己注射指導管理料について解説していきます。
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在宅自己注射指導管理料とは
在宅自己注射指導管理料とは、厚生労働大臣が定める注射薬の自己注射をおこなっている、入院中の患者以外の患者に対して、自己注射に関する指導管理をおこなった場合に、月に1回に限り算定される診療報酬です。
具体的な点数および在宅自己注射指導を実施するにあたっての留意事項は以下の通りです。
【点数】
1. 複雑な場合=1,230点
2. 1以外の場合
イ 月27回以下の場合=650点
ロ 月28回以上の場合=750点
※1の「複雑な場合」とは、間歇注入シリンジポンプを用いて自己注射をおこなっている患者に対して、ポンプの状態、投与量等の確認、調整などをおこなった場合
※新たに在宅自己注射を導入した患者に対しては、3か月を限度として、月1回に限り、「導入初期加算」として580点を算定することができる。処方の内容に変更があった場合は、さらに1回に限り算定できる
※患者に対して、バイオ後続品に係る説明をおこない、バイオ後続品を処方した場合、「バイオ後続品加算」として、3か月を限度として、月1回に限り150点を加算できる
※厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長などに届け出た保険医療機関において、オンライン診療料を算定する際に情報通信機器を用いて在宅自己注射指導をおこなった場合は、月1回に限り100点を加算できる
※厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長などに届け出た保険医療機関において、在宅自己注射指導管理料を算定すべき医学管理を、情報通信機器を用いておこなった場合は、1または2のイもしくはロの所定点数に加えて、それぞれ1,070点または566点もしくは653点を算定できる
【算定要件】
算定要件の「十分な指導」とは
算定要件に記載のある「十分な指導」に関しては、「患者に知っておいてもらいたい内容をしっかり伝えること」が大切です。たとえばインスリン自己注射を始める前の指導であれば、「インスリン注射の対象となる病態(そのうち患者はどれに該当するのか)」「インスリン療法のリスク」「患者が治療に用いるインスリン製剤の特徴」「自己注射の方法および血糖自己測定の留意点」「インスリン治療中に食事が摂れない場合の留意点」などを伝えます。
参照:臨床医向け総合情報隔月刊誌「クリニックマガジン」インスリン自己注射を始める前の指導内容について
導入初期加算に関する注意点
前述の通り、導入初期加算の処方内容に変更があった場合、限度が月1回×3か月であるところ、さらに1回プラスして加算することができますが、単に薬剤の商品名が変更になっただけでは算定不可で、下記に列挙する注射薬の製剤名に変更の場合のみ、算定できることになっています。ただし、該当する薬を1年以内に使用している場合は加算の対象となりません。
【対象となる注射薬】
インスリン製剤
性腺刺激ホルモン製剤
ヒト成長ホルモン剤
遺伝子組換え活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤
遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤
遺伝子組換え型血液凝固第Ⅸ因子製剤
乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤
乾燥人血液凝固第Ⅷ因子製剤
乾燥人血液凝固第Ⅸ因子製剤
顆粒球コロニー形成刺激因子製剤
性腺刺激ホルモン放出ホルモン剤
ソマトスタチンアナログ
ゴナドトロピン放出ホルモン誘導体
グルカゴン製剤
グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト
ヒトソマトメジンC製剤
インターフェロンアルファ製剤
インターフェロンベータ製剤
エタネルセプト製剤
ペグビソマント製剤
スマトリプタン製剤
グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L-システイン塩酸塩配合剤
アダリムマブ製剤
テリパラチド製剤
アドレナリン製剤
ヘパリンカルシウム製剤
アポモルヒネ塩酸塩製剤
セルトリズマブペゴル製剤
トシリズマブ製剤
メトレレプチン製剤
アバタセプト製剤
pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)製剤
アスホターゼ アルファ製剤
グラチラマー酢酸塩製剤
セクキヌマブ製剤
エボロクマブ製剤
アリロクマブ製剤
ベリムマブ製剤
イキセキズマブ製剤
ゴリムマブ製剤
エミシズマブ製剤
イカチバント製剤
サリルマブ製剤
デュピルマブ製剤
インスリン・グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニスト配合剤
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム製剤
遺伝子組換えヒトvon Willebrand因子製剤
ブロスマブ製剤
メポリズマブ製剤
オマリズマブ製剤
テデュグルチド製剤
サトラリズマブ製剤
在宅自己注射指導管理料と一緒に算定できる3種類の加算とは
在宅自己注射指導管理料を算定する際、一緒に算定できる加算があります。「血糖自己測定器加算」「注入器加算」「注入器用注射針加算」の3種類です。それぞれ、以下に対して算定されるものです。
血糖自己測定器加算
血糖自己測定の結果に基づく指導をおこなうための物品
血糖自己測定器、穿刺器、穿刺針、血糖試験紙、アルコール綿など
【点数】
1. 月20回以上測定する場合350点
2. 月30回以上測定する場合465点
3. 月40回以上測定する場合580点
4. 月60回以上測定する場合830点
5. 月90回以上測定する場合1,170点
6. 月120回以上測定する場合1,490点
7. 間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの1,250点
【算定要件】
イ インスリン製剤またはヒトソマトメジンC製剤の自己注射を1日に1回以上おこなっている患者(1型糖尿病の患者及び膵全摘後の患者を除く)
ロ インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上おこなっている患者(1型糖尿病の患者または膵全摘後の患者に限る)
ハ 12歳未満の小児低血糖症の患者
ニ 妊娠中の糖尿病患者または妊娠糖尿病の患者(厚生労働大臣が定める者に限る)
イ インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上おこなっている患者(1型糖尿病の患者又は膵全摘後の患者に限る)
ロ 12歳未満の小児低血糖症の患者
ハ 妊娠中の糖尿病患者又は妊娠糖尿病の患者(別に厚生労働大臣が定める者に限る)
注入器加算
注入器に対する加算
ただし、ノボラピット注フレックスペン、ランタス注ソロスター等、薬価基準を確認して、キットとあるものは算定不可(注入器一体型キット製剤)。現在はほとんどがキット製剤使用のため、注入器加算の算定はあまりない
【点数】
300点
【算定要件】
別に厚生労働大臣が定める注射薬の自己注射をおこなっている入院中の患者以外の患者に対して、注入器を処方した場合に、第1款の所定点数に加算する
注入器用注射針加算
インシュリンを打つための、インシュリンに付ける針に対する加算。ただし、院内で患者に渡す場合は算定可能だが、処方箋に記載して患者が薬局で受け取る場合は算定不可
【点数】
1. 治療上の必要があって、1型糖尿病若しくは血友病の患者またはこれらの患者に準ずる状態にある患者に対して処方した場合=200点
2. 1以外の場合=130点
【算定要件】
別に厚生労働大臣が定める注射薬の自己注射をおこなっている入院中の患者以外の患者に対して、注入器用の注射針を処方した場合に、第1款の所定点数に加算する
在宅自己注射指導管理料に関する注意点
続いては、在宅自己注射指導管理料に関する注意点を説明していきます。
排卵誘発を目的とする性腺刺激ホルモン製剤について
在宅自己注射指導管理料は、在宅における排卵誘発を目的とする性腺刺激ホルモン製剤を用いた治療については算定できません。ただし、性腺刺激ホルモン製剤に含まれる「フォリトロピンペータ製剤(遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤)」を「視床下部-下垂体機能障害に伴う無排卵および希発排卵における排卵誘発」の治療のために投与した場合、または 「フォリトロピンアルファ製剤(遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤)」を「視床下部-下垂体機能障害又は多嚢胞性卵巣症候群に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発」の治療のために投与した場合に限っては、在宅自己注射指導管理料を算定することができます。
インターフェトンベータ製剤について
インターフェロンベータ製剤に関しては、多発性硬化症に対して用いた場合に限り算定できます。
インターフェロンアルファ製剤について
インターフェロンアルファ製剤は、C型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善(血中
HCV RNA量が高い場合を除く)を目的として単独投与に用いた場合、C型代償性肝硬変に
おけるウイルス血症の改善(セログループ1の血中HCV RNA量が高い場合を除く)を目的
として単独投与に用いた場合、HBe抗原陽性でかつDNAポリメラーゼ陽性のB型慢性活動性
肝炎のウイルス血症の改善を目的として単独投与に用いた場合およびHTLV-1関連脊髄症(HAM)に対して用いた場合に限り算定可能。なお、ペグインターフェロンアルファ製剤については算定できません。
グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L-システイン塩酸塩配合剤について
グリチルリチン酸モノアンモニウム・グリシン・L-システイン塩酸塩配合剤については、慢性肝疾患における肝機能異常の改善に対して用い、在宅自己注射での静脈内投与について十分な経験を有する患者であって、医師により必要な指導を受けた場合に限って算定できます。
顆粒球コロニー形成刺激因子製剤について
顆粒球コロニー形成刺激因子製剤については、再生不良性貧血および先天性好中球減少症の患者に対して用いた場合に限り算定できます。
アドレナリン製剤について
アドレナリン製剤については、蜂毒、食物および毒物などに起因するアナフィラキシーの既往のある患者またはアナフィラキシーを発現する危険性の高い患者に対して、定量自動注射器を緊急補助的治療として用いた場合に限って算定できます。
参照:株式会社三和化学研究所「C101在宅自己注射指導管理料(特掲診療料/在宅療養指導管理料)
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在宅自己注射指導管理料は、糖尿病内科での開業を検討しているなら算定する可能性大
在宅自己注射指導管理料は、主に在宅で自己注射をおこなっている糖尿病の患者に対して算定されます。そのため、糖尿病内科での開業を検討しているなら算定することになる可能性が高いので、詳細についてもしっかりと頭に入れておきましょう。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2024年4月時点の情報を元に作成しています。