クリニックの採用活動に力を入れているもののなかなかいい人材が見付からない、もしくは、採用活動を進めたいけど時間の捻出が難しい場合、採用代行サービスの利用を検討してみるのはいかがでしょう?
どんなことを代行してもらうことができるのか、また、どんなメリット、デメリットが考えられるのかを説明していきます。
採用代行サービスとは?
採用代行サービスとは、採用活動の一部またはすべてを外部の専門業者に委託できるサービスです。
一般企業でも利用されることがあるサービスですが、医療機関でも利用するところが増えてきています。
「採用代行」の代わりに「RPO(リクルートメント・プロセス・アウトソーシングの略語)」という言葉が使われることもあり、もともとはアメリカで発展したサービスですが、日本では2000年代に入ってから普及が進み始めました。
採用代行サービスの種類は?
採用代行サービスは大きく以下の2種類に分けられます。
- 採用事務の代行
- リクルーターを派遣
採用事務の代行の場合、依頼を受けた専門業者は、自社で採用事務を行います。リクルーターを派遣するスタイルの場合、一般的に、依頼元のクリニックに常駐して採用活動に従事します。
採用代行サービスの内容は?
続いては、採用代行サービスではどんなことを手掛けてもらえるのかをみていきます。
採用計画
「自院の人材採用における課題抽出」「採用施策にかかる費用対効果の分析」「転職エージェントや求人メディアの選定」を中心に、業者によっては「スタッフ定着率向上施策の企画立案」「採用担当者のトレーニング」「SNSやホームページを活用した採用施策の企画立案」まで請け負ってくれます。
ただし、こうした採用コンサルティングに近い領域の業務を委託する場合、クリニックの経営の根幹にかかわる情報を共有する必要があるため、信頼できる委託先を探すことが大切です。
求人活動
求人広告や求人票の作成のほか、スカウトメールも作成します。
採用チャネル選定に関するノウハウだけでなく、求職者の動向や採用市場のトレンドも把握している業者なら、自院のニーズを、自院が求める求職者に的確に伝えることができます。
選考
書類選考や事前webテスト、筆記試験の実施、面接会場の設定のほか、面接当日の受付や案内、各選考段階における合否連絡なども請け負ってもらえます。もちろん、書類選考も含めて選考は自院でおこないたい場合、受付や案内、合否連絡などの雑用のみを請け負ってもらうことも可能です。
内定者との連絡
内定者に研修日時などの連絡をとり、スケジュールを調整してもらえます。また、内定辞退者が出た場合、ヒアリングや個別面談を行ってくれる業者もあります。
内定辞退者へのヒアリングは必ずしも行わなくてはならないということはありませんが、他の内定先を選んだ理由などがわかれば、今後の採用活動に活かすことができます。
内定辞退者へのヒアリングは、自院が直接おこなうことはハードルが高いので、採用代行サービスを利用するなら、実施してもらうことを検討してもいいかもしれません。
採用代行サービスを利用するメリット
続いては、採用代行サービスを利用するメリットをみていきましょう。
自院の強みや魅力を新たな目線で確認できる
スタッフを募集するにあたっては、自院で働く魅力を求職者にうまくアピールすることが大切です。しかし、自分たちでそれを言葉にしようと思ったら、意外とうまくいかないことが多いもの。
一方、採用代行サービスの専門家なら、院長へのヒアリングを通して、クリニックの強み、クリニックで働く魅力を確認して、しっかりと文章に落とし込んでくれます。
また、自院の強みや魅力を文字として確認することは、ブランディング意識の醸成につながることも大きなメリットと言えます。
求職者に注目してもらいやすい求人票や求人広告を作ることができる
前述の通り、採用代行サービス提供業者は、求職者の動向や採用市場のトレンドをよく把握しています。そのため、求職者から注目されやすい求人票、求人広告を作るのはお手の物。
自院で作成して結果が出なかった後、プロに頼むとその違いがわかりやすいかもしれません。
適切なタイミングで求人条件の修正や見直しを行える
求職者の動向や採用市場のトレンドを抑えていても、似た条件で募集をかける競合が多く存在する場合など、すぐには結果を出せないことがあります。その場合は、適切なタイミングで求人情報の修正や見直しを行うことが大切です。
自院で採用活動を行っている場合、そのタイミングが読めなかったり、あるいは修正したほうがいいとわかっているものの時間が取れなかったりするものですが、採用代行サービス提供業者なら、適切なタイミングで修正や見直しを行ってくれます。
求職者に合わせて求人内容を最適化してもらえる
求人条件の設定および修正や見直しを行ううえでは、「求人内容の最適化」を考えることがとても大切です。
たとえば「月給25万円~40万円」と表記していた場合、それを見た求職者は、自分の場合はどの程度の月給になるのか見当がつかないことが考えられます。
しかし、「前職給与も考慮します」などの文言を添えれば、求職者が、前職よりも給料が下がるかもしれないという不安な気持ちを抱かずに済みます。
こうしたコツを踏まえているといないとでは、求職者に目に留めてもらえる確率が大きく変わってきますが、とりわけ初めての採用活動であれば、どういう点に気を付けて求人内容を記せばいいかわかりにくいものです。
その点、採用代行サービス提供業者は、求人内容を最適化するためには何をすればいいかをよく知っています。
スカウト活動も最適化して行ってくれる
採用活動においては、「待っているだけ」ではいい人材が見付かる可能性は低いといえます。しかし、積極的に探そうとしても、何をもっていい人材かどうかを判断すればいいかがわからない場合もあるでしょう。
また、仮に自院の理想とする条件の人材が見付かったからといって、闇雲にスカウトしたところで、自院に興味を抱いてもらえるわけではありません。
その点、スカウト活動における大切なポイントを把握している業者なら、効率よく、いい人材を見つけてくれます。
事務作業もすべて任せられる
応募者一人ひとりとのやりとりや面談のスケジュール調整は、意外と手間のかかる作業です。しかも、全員がしっかりしたマナーでやりとりできるとは限らないので、やりとりを通してストレスが溜まっていく場合もあります。
なかには、途中で連絡が途絶えてしまう応募者がいる可能性もありますが、その場合のフォローアップもしっかりと行ってくれます。
このように、面倒な事務作業をすべて丸投げできることはメリットが大きいといえます。
内定承諾までコミットしてもらえる
内定通知後、一人ひとりに連絡をとってフォローアップしてもらえるため、「内定がなかなか承諾されない」などの困った事態に陥ることがありません。また、万が一、他院の選考も同時に進んでいて入職の可否の返事を待たされた場合、条件交渉を行ったり口説いたりしてもらえる場合もあります。
採用代行サービスを利用するデメリット
続いてはデメリットです。
利用料がそれなりにかかる
採用代行サービスの利用料は安くはありません。完全成果報酬型で、いい人材が決まるまでは無料というところも多いですが、採用が決まった暁には、一定の費用が発生します。
自院に採用のノウハウが残らない
「どうすればよりよい人材をより効率よく採用できるのか」のレクチャーまで行ってくれるわけではないため、自院に採用のノウハウが残りません。
そのため、退職者が出るたびにサービスを利用するか、もしくは次回からは自院で採用活動を行うということになりますが、前者を選べば毎回お金がかかり、後者を選べば、後々、一から考えなくてはならないことがたくさん出てきます。
ミスマッチのリスクがある
書類選考から内定者のフォローまですべての業務を任せてしまうと、採用後に、イメージしていた人材との違いに悩まされることがあります。
これを防ぐためには、業者に任せる範囲を絞るか、もしくは事務手続き以外の選考作業などはすべて業者と一緒に行うなど工夫する必要があります。
クリニック向け採用代行サービス提供業者は?
続いては、医療業界の採用代行サービスを得意とする業者、もしくは、医療業界に特化して採用代行サービスを行っている業者を紹介します。
全国350以上の導入実績を誇るノウハウが魅力の「リクルートメディカルキャリア」
医師・薬剤師転職支援事業および医師・薬剤師採用支援事業を行っているリクルートメディカルキャリアは、採用代行サービスにも力を入れています。
全国で350を超える医療機関のサービス利用実績があるため、確かなノウハウが期待できます。
参照: リクルートメディカルキャリア
SNSを活用して自主応募を増やす「HOAP」
訪問看護・介護の採用に特化した「HOAP」は、「採用支援サービス」と「インスタグラム活用サービス」の2つを組み合わせた独自の採用戦略を展開しています。
求職者の共感を生むインスタグラムアカウントの運用により、必然的に応募率がアップします。
参照: HOAP
看護師の採用代行に特化した「キャリタス」
常時1,000件以上の医療機関の掲載数を誇る求人サイト「キャリタス看護」を運営していることから、スタッフは看護師採用のノウハウに精通しています。
参照: キャリタス「アウトソーシング」
採用難易度の高い専門資格を有した人材の採用も期待できる「エンブライド」
医療・介護・福祉業界に特化していることから、採用難易度の高い専門資格を有した人材の採用も得意としている「エンブライト」。
クリニックにおける人事の基盤づくりをサポートしながら、内定者の入職まで伴走してくれます。
参照: エンブライト
採用した人材の定着率は90%以上「スピアヘッド」
院長自身も気づきにくい、クリニックの長所・短所に目を向け、クリニックの強みとなる要素を探し出すことで、求職者に働く環境の魅力を伝えてくれる「スピアヘッド」。
面接者の選別にもこだわっているため、採用した人材の定着率は90%以上を誇ります。
参照: スピアヘッド
幅広い職種に対応可能な「メディカルソーシング」
医師、看護師、看護助手、臨床検査技師、管理栄養士、薬剤師、介護職員、医療事務、受付、事務長、事務職など幅広い職種に対応可能なため、在宅医療展開のために新たな人材を探しているときなどにも頼れる業者です。
参照: メディカルソーシング
プランによって費用が固定で採用ごとの支払いが不要な「グランジュテ」
求人作成・スカウトメール送付・見学面接日程調整の「プラン①」(税込66万円)、求人作成・スカウトメール送付の「プラン②」(税込55万円)の2つのプランのいずれかを選ぶスタイルをとっている「グランジュテ」。
採用1回ごとに費用が発生するということがなく、いずれのプランも、1回の利用で以降5年は採用できるよう、クリニックのニーズに合わせた採用ノウハウを納品してもらえます。
参照: グランジュテ
歯科医師、歯科衛生士、歯科助手の採用なら「CLINICT(クリニクト)」
歯科クリニックに特化した採用代行サービス提供業者です。
採用成功率は90%! 「エリアの給与相場」「勤務体制や福利厚生などの条件が適切であるか」「自院で働く魅力が伝わる求人内容であるか」なども考慮しながら採用代行を進めてくれます。
参照: CLINICT(クリニクト)
月額10万円で人事・採用活動を丸投げできる「デンタルリクルート」
歯科医院専門の人事・採用代行「デンタルリクルート」は、
- 成果が見込めるすべての求人媒体と人材紹介会社に対応
- 求人内容の最適化
- スカウト活動の最適化
- 事務作業すべてに対応
- 応募者1人ひとりのフォローアップ
- 引っ越し希望者とのオンライン面談
- 内定通知と内定承諾交渉
のすべてを月額10万円で請け負ってくれます。
参照: デンタルリクルート
サービス利用の際は、採用に関するノウハウをできる限り吸収しよう!
採用代行サービスの内容や範囲は業者によってさまざま。
採用にかかるすべての業務を丸投げできるところもありますが、せっかく利用するのなら、かけた費用の元をとれるよう、採用に関するノウハウを吸収するつもりで、担当者と密にコミュニケーションをとることをおすすめします。
そのためにも、業者選びの際には、自院と二人三脚でしっかりサポートしてくれそうな担当者であるかどうかをよく見極めることが大切! わからないことや不安なことがあればどんどん質問しながら、本当に頼りになる業者かどうかを観察してみてくださいね。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2024年4月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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