クリニックのスタッフを募集する際は、おおまかな採用フローを決めるものです。
採用フローに最低限盛り込むべきことは、「応募書類(またはメールなど)の受付」「書類選考」「面接」「合否連絡」ですが、これに加えて、職場の事前見学の機会を提供しているクリニックもあります。
では、事前見学の機会を設けるクリニックには、どのような狙いがあるのでしょうか? 見学を実施することにメリットがあるのかどうか、考えていきましょう。
採用フローに事前見学を盛り込むクリニックの狙いは?
まず、採用フローに事前見学を盛り込むクリニックの一番の目的は、「ミスマッチを防ぐこと」です。
多くの場合、求職者は希望する働き先について、求人票に書かれていることやホームページに掲載されていることしか知りません。患者としてクリニックを利用することはあったとしても、バックヤードまでは見ることができません。
そのため、実際に入職してみた結果、「想像していた職場と違っていた」と感じ、早々に退職してしまうことがあるのです。
その点、事前に職場見学の機会を設けておけば、実際に働いている人の様子や職場の雰囲気を求職者自らの目で確認できるため、入職後に、「想像と違った」と思われる可能性が低くなります。
もちろん、見学されている側のスタッフが、機嫌が悪いところを見せないようにするなど取り繕ってしまう可能性もあるため、完全にいつも通りの雰囲気を確認してもらうことは難しいですが、どんな人たちがどんなふうに働いているかなどに関してはしっかりと確認してもらうことができます。
見学時に求職者がチェックしているポイントは?
続いては、職場見学時に求職者がチェックしているポイントを確認していきましょう。
医師と看護師、看護師と事務などの関係性
クリニックの看護師や事務が退職する大きな原因のひとつが、職場の人間関係です。どんなにやりがいがある仕事でも、意地悪な人や横柄な態度の人、自分とは考えが合わない人が職場にいれば、勤め続けることが難しくなります。
個々のスタッフがどんな性格でどんなときに機嫌を損ね、どんな態度をとることがあるのかまでは短い時間に見抜くことができないとしても、医師と看護師の関係性、看護師と事務との関係性などは、短い時間にもなんとなく感じ取れることがあるものです。
医師が看護師になにかを頼むときに偉そうな態度ではないか、看護師と事務とのコミュニケーションにギスギスしたものが感じられないかなど、求職者はしっかりチェックしています。
このチェックポイントに関しては、求職者が見学にくる当日だけ取り繕おうとしてもボロが出てしまうので、日ごろからよい関係を築けるよう努力を重ねておくことが不可欠です。
仕事の範囲、仕事の内容
看護師や事務の仕事の範囲は、働き先によって大きく異なる場合があります。わかりやすいことでいうと、小規模なクリニックであれば院内の掃除もスタッフがやることになりますが、病院であれば業者が入る場合がほとんどでしょう。
そのほかにも医療機関の業務には雑用が生じ得ますが、それを全員で協力し合ってこなしているのか、新人に丸投げしているのかなど、求職者は鋭い目で観察しています。
場合によっては、仕事の範囲に関して、見学時に求職者から質問されることもあるでしょう。その際に嘘偽りなく答えた結果、求職者から敬遠されることのないよう、日ごろから考えておくことが大切です。
付帯設備
付帯設備のなかでも求職者がチェックしたいのは、更衣室や休憩室、仮眠室、給湯室など、自分たちがよく使うことになる設備です。
スタッフの人数に対してロッカーの数が十分であるか、冷蔵庫は設置されているか、仮眠室ではゆっくり休めそうか、などはほとんどの求職者が気にするポイントです。
また、車通勤を希望している求職者にとっては、駐車場の有無や位置も重要なチェックポイントです。
清潔さ
水まわりや入口、受付などに清潔感があるかどうかは重要なチェックポイントです。医療器具や配膳車、手術着などの管理が行き届いているか、空気清浄機が設置されているかなどをチェックする求職者も多いでしょう。
患者層
患者の年代や主な疾患は、ホームページを見るだけではわからない場合もあります。地域密着型のクリニックであれば、地域の住民が多く訪れるため、よく顔を合わせることになる患者がどんな人たちであるのかがわかります。
その結果、たとえば「子どもが苦手だから小児科を避けているのに、ここは耳鼻科なのに子どもが多い」などと思われることがあるかもしれません。
これに対してクリニック側で対策を講じられることはあまりありませんが、実際の様子を見てもらうことで、冒頭で述べた通り、ミスマッチを防ぐことができるでしょう。
事前見学はいつ、どのようにしておこなわれるもの?
事前見学の機会の提供の仕方に決まりはありませんが、最近の傾向としては、求人票またはホームページの求人ページなどに、「まずは見学だけでもOK」の一文を添える企業が増えています。これは、医療機関に限ったことではなく、分野を問わずさまざまな企業が事前見学を推奨しているのです。
理由はもちろん、ミスマッチを防ぐため。事前に職場を見学してもらい、納得したうえで応募してもらうことにすれば、結果的に無駄になる書類選考の時間も省くことができます。
事前見学を受け付ける場合は、「事前見学の申し込み方法」についても併せて求人票やホームページに記載しておくと親切です。メールや受付フォームから申し込みしてもらうようにしておけば、スケジュールを調整して返事ができるため便利です。
電話での受付でも構わないならそのように記しておくといいですが、診療時間中に電話がかかってくると対応しかねるクリニックも多いでしょう。そのため、電話で受け付けする場合は、対応可能時間も併せて記しておきましょう。
面接日に見学時間を設けるのもOK
「まずは見学だけでもOK」という考えであるクリニックは、その時点で相手が自院に入職したいと考えているかどうかに関わらず、見学を受け付けますが、なかには、そうではなく、面接を受けにきてくれた人に対してだけ見学の機会を与えているというクリニックもあります。
この方法だと、面接日以外に見学者がくることがないため、スタッフがたびたび見学希望者に対応しなくて済むというメリットがあります。
また、クリニック側が求職者の見学時の様子をチェックすることで、採用するか見送るかを考えられるのもメリットのひとつです。
見学時に聞かれやすい質問は?
続いては、求職者から見学時に質問されやすいことをみていきましょう。
教育制度に関して
教育体制や研修制度に関して質問されることは多いでしょう。また、電子カルテを導入している場合は、どのメーカーの電子カルテであるのか、使ったことがない電子カルテであれば、レクチャーは受けられるのかなどを質問される可能性もあります。
スタッフについて
スタッフの年齢層や勤続年数も、よく聞かれる質問のひとつです。また、子育て中もしくは妊活中の場合、同様のスタッフがいるかどうかが気になる人も多いでしょう。
仕事内容、勤務条件について
平均的な受け持ち患者の人数や、介護が必要な患者がいるかなどを聞かれることも多いです。また、夜勤や残業の有無、子どもの病欠時の対応なども、答えられるようにしておくといいでしょう。
事前見学を受け付けるかどうかはよく考えて決めるのが正解
これまで述べてきたとおり、事前見学を受け付けると、ミスマッチを防げるという大きなメリットが得られますが、忙しいクリニックにとっては、見学対応に時間をとられるというデメリットも生じ得ます。
そのため、自院にとっては見学を受け付けるメリットとデメリットのどちらが大きいのか、受け付ける場合は対応可能日時をいつに設定するのがベストであるのかなど、よく考えてから決めることをおすすめします。
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2024年4月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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