転職する理由は人それぞれですが、「憧れの仕事に就きたい」「理想の働き方を実現したい」「今よりもっといい条件で働きたい」などの希望を持って転職した結果、仕事内容や環境が肌に合わず、「転職しなければよかった……」と頭を抱えることになるのは非常に残念なことです。では、訪問看護の仕事においては、どんなことが理由で「失敗した」と感じやすいのでしょうか? また、失敗を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか? 早速解説していきます。
訪問看護の転職で「失敗した」と感じる理由は?
まずは、訪問看護の転職においては、「失敗した」と感じる理由をみていきましょう。
ひとりで判断・行動するのが難しい
もともと医療機関に勤めていて、訪問看護師として働いた経験がない場合、「訪問看護の仕事がこんなに大変だとは思わなかった」と感じることもあるでしょう。「クリニックでの仕事とやることは同じで、患者がクリニックにくるか、こちらが患者を尋ねるかの違いだけ」と思っていた場合などは特に、クリニックでの業務との違いに戸惑ってしまうかもしれません。
なかでも大きな違いは、医療機関の場合、医師や同僚が院内にいるのが当たり前ですが、訪問看護は基本ひとりでおこなうため、自分で考えて行動しなければならないということです。もちろん、基本的には医師の指示のもとで看護をおこなうことになりますが、緊急事態を含め、ひとりでの判断を余儀なくされるシチュエーションは多いです。そのことにプレッシャーを感じて、「失敗した」と思う人もいるかもしれません。
また、自分で計画を立てて行動することが苦手な人にとっては、次の訪問先に間に合うよう時間内に看護を終わらせたり、スケジュールを管理したりしなければならないことも辛く感じられるかもしれません。
移動が大変
医療機関勤務と大きく異なる点としては、移動が多いことも大変なことも挙げられます。真夏の暑いなかでも自転車を漕がなければならなかったり、雨で足元が悪い日でも何軒ものお宅を訪問しなければならなかったりすることが辛く、「失敗した」と感じる人もいるでしょう。
オンコール対応が辛い
24時間訪問体制を採用している訪問看護ステーションなどに転職した場合、オンコール対応が辛いことから、「失敗した」と思うこともあるでしょう。オンコール当番が回ってくる頻度は事業所によりますが、「電話がかかってくるかもしれない」と気を張った状態だと十分にリラックスすることは難しいため、家にいても休んだ気がせず、精神的疲労が溜まってくることも考えられます。
必ずしも電話がかかってくるというわけではないですが、電話がかかってきたらすぐに対応しなければならないため、お酒を飲むことができません。そのため、晩酌の習慣がある人には特に辛く感じられるでしょう。
ノルマ が辛い
訪問看護ステーションによっては、看護師に対してノルマを設定しています。「訪問件数」もしくは「利用者の獲得件数」 もしくはその両方がノルマとして課されることから、プレッシャーで精神的に追い込まれたり、肉体的に疲労が溜まったりして、「失敗した」と思うことがあるでしょう。
営業や挨拶まわりが辛い
訪問看護ステーションによっては、看護師が挨拶まわりや営業をおこなわなければならない場合があります。医療機関勤務の看護師にはまず課されることのない業務なので、知らずに入職した場合、驚くと同時に「失敗した」と感じるでしょう。
教育体制が整っていない
「訪問看護が初めてでも歓迎」と求人票に書かれていたとしても、教育体制が整っているとは限りません。初心者でも安心だと思って入職した結果、わからないことがあっても教えてくれる人がいないとなると、「失敗した」と思わずにはいられないでしょう。
求職票の記載内容と実態に差があった
求職票に記載されていることと実態に差があった場合は、「失敗した」と思って当然です。特に差が出がちなのが残業と報酬で、インセンティブが用意されていたとしても、実際には条件を達成することがほとんど不可能な場合などもあります。
給与が十分でない
「訪問件数に応じて給与アップ」などの文言に惹かれて、「体力には自信があるからたくさんこなしたい」と入職したのに、結果、利用者数が少なく、期待する給与額に満たないということがあります。
管理者と合わない
職場の人間関係に悩まされることがあるのは、どこに勤めても同じですが、事業所の管理者など、常にやりとりしないといけない人と合わないとなると、「失敗した」と感じやすいでしょう。「仕事だから仕方ない」と割り切れるならいいですが、管理者の言動によって仕事時間以外も悩んだり考え込んだりしてしまうようなら、再度転職することを考えたほうがいいかもしれません。
訪問看護の転職で「失敗した」と感じたときの対処法は?
続いては、訪問看護の転職で「失敗した」と感じたときの対処法をみていきます。
管理者や上司などに相談する
事業所に改善してほしいことがある場合は、まずは管理者や上司に相談することがおすすめです。たとえば、「オンコール対応の頻度が高い」「セクハラが酷い利用者宅を訪問するのが辛い」などが理由で「失敗した」と感じているなら、相談して対処してもらうことによって、状況が改善される場合があります。
他の訪問看護ステーションなどに転職する
管理者や上司と合わなくて「失敗した」と感じているなら、他の訪問看護ステーションなどに転職することを検討しましょう。また、教育体制が整っていない場合や、求職票の記載内容と実態に差がある場合なども同様です。訪問看護師のニーズは非常に高いため、今より働きやすい職場は比較的見つかりやすいといえます。
医療機関や健診センターなどに勤務することを検討する
移動が多いことや、利用者宅においてひとりで判断しなければならないことがネックとなり、「失敗した」と感じているなら、医師や他のスタッフと一緒に働ける職場を選ぶことをおすすめします。
副業、複業を検討する
給与の額が十分でないものの、職場に対して大きな不満はない場合、副業もしくは複業を検討するのも一手です。ただし、副業や複業に時間をとられて本業が疎かになるのは本末転倒なので、時間や体力の配分などはよく考えてくださいね。
訪問看護の転職で失敗を防ぐためのポイントは?
続いては、訪問看護の転職で失敗しないためにできることをみていきましょう。
訪問看護の仕事への理解を深める
訪問看護ステーションから訪問看護ステーションへの転職であれば、訪問看護の仕事がどんなものであるのか、1日の仕事の流れはどんなものであるのかをわかっていて当然ですが、医療機関勤務の看護師が訪問看護ステーションへ転職する場合などは、まずは訪問看護の仕事についてきちんと理解することが不可欠です。そうでなければ、「思っていたのと違う!」というギャップが生じる可能性が高くなります。
【書類送付前】求人内容をしっかり確認する
求人内容をしっかり確認することは基本中の基本です。オンコール対応の有無などに関しても記載されているので、書かれている条件の通り働くことができるのかどうかを、頭のなかでシミュレーションしてみることが大事です。
【特にチェックしたいポイント】
また、応募を検討している事業所がSNSアカウントを運営しているなら、SNSの発信もまめにチェックすることが有効ですし 、そうではない場合も、最低限、ホームページはチェックしておくとよいでしょう。
【面接時】求人票でわからないことは面接時に確認する
働く条件に関しては、基本的には求人票に記載されていますが、どんな疾患の利用者が多いかなどは詳しく記されていない場合が多いので、わからないことは面接時に確認するようにしましょう。訪問看護の利用者は、医療機関のように、診療科によってわけられていません。そのため、たとえば精神科勤務経験がない看護師であれば、精神疾患を患っている利用者の看護はハードルが高く感じるでしょう。
また、入職前に体験訪問や見学を希望する場合、求人票にそうした記載がなかったとしても、可能かどうか尋ねてみるのは一手です。必ずしも応えてもらえるわけではありませんが、体験訪問や見学ができたら安心して入職することもできますし、希望に応えてくれたことで、「この事業所なら信頼できる」と感じることもあるでしょう。
【特にチェックしたいポイント】
万が一失敗しても落ち込む必要はなし!
転職の失敗はできることなら防ぎたいものですが、どれだけ対策を練っても、失敗するときにはするものです。しかし、失敗したと感じるなら、再度、転職すればいいだけのこと。しかも、訪問看護師のニーズは全国的に高く、すぐに次の転職先が見つかりやすいのですから、「失敗した」と嘆いて立ち止まってしまう必要などどこにもありません。とはいえもちろん、何度も転職を繰り返していたら、求人先からもよい印象を持たれにくくなりますが、よりよい勤務先を求めて転職を重ねること自体は問題なし! 気持ちよく働いて納得のいく額の給料を手にするためにも、妥協しない転職先選びを心がけてみては?
特徴
対象規模
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診療科目
この記事は、2024年6月時点の情報を元に作成しています。