社会で生きていくうえでは、嫌いな人ともある程度仲良くやっていく必要がありますが、それができないとなると、「今いる場所を離れる」という選択肢を取らざるを得なくなることも。
クリニックで働く看護師や医療事務が、院長のことを好きになれない場合も同様で、「ここで働き続けることは私には無理」と退職するパターンは多いもの。
では、スタッフは院長の言動に対して目を瞑ることができず、「仕事とはいえこれ以上関わりたくない」と思うのでしょうか? 詳しくみていきましょう。
人間関係に悩んで職場を辞める人は多い
働き手が職場を辞める理由として、人間関係は大きな割合を占めています。
厚生労働省が公表している「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、転職入職者のうち、男性の8.1%、女性の9.6%が、前職場の人間関係が好ましくなかったことを理由として転職しています。
この調査は職種を限定したものではありませんが、職種を看護職員に限定した「看護職員就業状況等実態調査結果」においても、職場の人間関係がよくないことを理由に、「他施設で働きたい人」は15.4%、「看護師以外として働きたい人」は10.3%という結果が出ているので、クリニック職員として働くうえでも、人間関係の悪さは大きなマイナスポイントとなることがわかります。
参照:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況」より「転職入職者が前職を辞めた理由」
クリニックスタッフは特に院長との関係に悩みやすい
人間関係の悩みのもととなっている人物は、院長である場合もあれば、看護師や医療事務、特定の患者である場合もあります。しかし、看護師や医療事務、特定の患者が原因である場合、相手に直接物申すことで状況が改善されることもありますし、クリニック側に相談することで解決できる可能性も考えられます。
一方で、悩みの種が院長の場合、不満があっても口に出せない場合も多いもの。なぜ、相手が院長だと意見しづらいかというと、以下のような理由が考えられます。
査定に響くのが怖いから
クリニックや院長に対して文句を言うことで、昇給しにくくなるのではと考えてしまうことはありえます。
口出ししたことで職場の雰囲気が悪くなるのがイヤだから
看護師や事務は全員が毎日出勤しているというわけではありませんが、院長は基本的に常にクリニックにいるため、出勤すると必ず顔を合わせることになります。
そのため、言いにくいことを口にして、院長の機嫌が悪くなるかもしれない可能性を考えると、「重たい空気のなかで働きたくない」と躊躇してしまうことがあるかもしれません。
家族経営のためそもそもスタッフが意見できる雰囲気ではない
院長だけでなく、院長夫人も事務や看護師として働いている場合などは、そのほかのスタッフは不満を口にすることは難しいといえるでしょう。
クリニックの院長にどんな言動があるとスタッフに嫌われやすい?
続いては、実際のところ、クリニックの院長にどんな言動があるとスタッフに嫌われやすいのかをみていきます。
常にイライラしている、いつも機嫌が悪い
スタッフと接しているときや患者と接しているとき、笑顔をみせることもなく不満げな表情を浮かべていると、スタッフとしてもとっつきにくく、「院長がいると職場の雰囲気が悪くなってイヤだな」と思われてしまいます。
怒ったり文句を言ったりする
「なんでこんなこともできないの?」「そんなレベルでよく看護師免許がとれたね」などの発言は、スタッフから嫌われるだけでなく、ハラスメント行為として訴えられる可能性も高いので特に注意が必要です。
ハラスメント行為がみられる
怒ったり文句を言ったり以外にも、ハラスメントととられる行為はいろいろあります。たとえば、「最近メイク変えた? 恋でもしているの?」などの発言を重ねていると、セクハラが酷いと訴えられる可能性が高いでしょう。
人によって態度が違う
お気に入りのスタッフに対してはやさしく接しているのに、気に食わないスタッフに対しては冷たく接している院長は、前者のスタッフからも「自分にだけやさしくしてきて気持ち悪い」と嫌われている可能性があります。
スタッフに対して労いの気持ちがない
スタッフに対して、「クリニックを一緒に回してくれている仲間」という意識を持つことなく、「雇ってあげているのだから働いて当然」という意識でいると、スタッフは気持ちよく働くことができませんし、自分たちが単なる「駒」として扱われていることを察するものです。
自らコミュニケーションをとろうとしない
「おはようございます」など最低限の挨拶を口にすることはあっても、自分からそれ以上のコミュニケーションをとろうとしない院長であると、スタッフは、「わたしたちにまるで関心がないのだな」と判断します。
その結果、スタッフ側も自分たちからコミュニケーションをとろうとはしないため、お互いに言葉にすれば相手の気持ちや考えに気づけるところ、その機会を得ることのないまま、ある日突然退職されるなどということもあり得ます。
クリニックの院長がスタッフから嫌われるのを避けるためにはどうすればいい?
続いては、クリニックの院長がスタッフから嫌われないために意識すべきことをみていきましょう。
明るくはきはきとしゃべる
いつもイライラしていたり暗い雰囲気で声が小さかったりすると、スタッフはしゃべりかけにくいと感じます。そのため、まずは、明るくはきはきとしゃべることを意識することが大切です。
すべてのスタッフに平等に接する
スタッフによって態度を変えることのないよう、自分を客観的にみつめる習慣を持ちましょう。お気に入りのスタッフとそうでないスタッフがいること自体は自然なこと、かつ不可避なことですが、周囲がそれに気づくような態度をとることは避けましょう。
自分から進んでスタッフにコミュニケーションをとる
スタッフに自分から歩み寄ることを続けていくと、スタッフからも「わたしたちからも話しかけやすい」と思われやすくなります。
そもそも人としゃべるのが苦手で、自分から積極的に話すのが億劫で……という人もいるかもしれませんが、最低限、「おはようございます」や「いつもありがとうございます」の声掛けを心がけていると、スタッフのほうからも話しかけてくれるようになるので、自然と場が和みやすくなります。
スタッフがいなければクリニックが成り立たないことを常に念頭におくようにする
スタッフがいることによってクリニックの運営が成り立っていることに目を向けて、「ともにがんばっている仲間である」ことを意識しましょう。
スタッフがミスや失敗したときは、単に叱るのではなく対策を考える
仕事ができないスタッフや、ミスや失敗したスタッフに対して、「なにやってんだよ!」と一喝しては、該当スタッフは委縮して仕事しにくくなります。
もちろん、何度注意してもミスや失敗を繰り返している場合など、きちんと叱ったほうがいい場合もありますが、注意しても改善されないのであれば、叱るよりも「どうすれば改善されるのか」を考えることを優先すべきです。
たとえば、あまりにもリスクが高いミスが続いている場合など、辞めてもらうことを視野に入れなければならないこともあります。判断に迷いそうなときは、「他の全スタッフに対して示しがつくか?」「自院の理念を貫くためには何がベストなのか?」をイメージすると、どうすべきであるかの答えが出やすいです。
スタッフに定期的に不満がないかを確認する
スタッフから嫌われる原因となり得る言動のなかには、自分では「問題がある」と気づくのが難しいものがあります。特に、ハラスメントの範囲に関しては線引きが難しいもの。
「そんなふうに取られるとは思っていなかった」というケースを防ぐためにも、クリニックで働いていくうえで困っていることや不満に思っていることはないかどうかを、定期的にアンケートや面談で確認できるといいかもしれません。
場合によっては、「内心では思っていたけど、面談の場では口にしづらかった」と後々言われることもあるかもしれませんが、その場合も、面談という機会を設けていたという事実によって、院長には非がなかったことを対外的にも立証しやすいです。
マネジメントや経営について学ぶ
人を雇用することや、雇用したスタッフみんなに気持ちよく働いてもらうことに対して自信が持てないなら、マネジメントや経営について一度しっかり学んでみるのもいいかもしれません。
参考書を活用した独学であればスキマ時間に実施できますし、関連するセミナーや一対一のコーチングを受けることで、一流の経営者を目指すこともおすすめですよ。
「スタッフに好かれる院長」を目指すことで得るものは大きい
スタッフに好かれる院長を目指せば、必然的に経営状況も上を向いてきます。
なぜかというと、スタッフに好かれる院長になれば、スタッフも「このクリニックのためにがんばろう」と思うようになって、毎日活き活きと働けるようになり、その結果として、患者から「このクリニックは院長もスタッフも感じがいいから安心できる」と選ばれやすくなるからです。
ほんの少しの努力で、驚くほどいろんなことが変わっていく可能性が高いので、まずはできることから実践してみてはいかが?
特徴
対象規模
オプション機能
提供形態
診療科目
この記事は、2024年6月時点の情報を元に作成しています。
執筆 CLIUS(クリアス )
クラウド型電子カルテCLIUS(クリアス)を2018年より提供。
機器連携、検体検査連携はクラウド型電子カルテでトップクラス。最小限のコスト(初期費用0円〜)で効率的なカルテ運用・診療の実現を目指している。
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